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第3章・血みどろの抗争編
第90話 ルドマス一家の参謀①
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「アシルさん!!無事だったんですね!」
駆け寄ろうとする俺を、ウッツさんとローマンさんが制止する。
「──え?」
「そっちの2人は、よく分かってるみたいだね、僕が杖を持ち出す意味。」
アシルさんは、ふふっと、怖い時の笑顔で笑った。
「僕はエンリツィオ一家では参謀の立場だった。だから杖を持ってはいるけど、基本戦うことなんてない。
──僕がこれを持ち出すのは、戦う意思のある時だけ。」
「嘘……でしょ?」
俺はそう言いながらも、本気なんだろうと何となく思っていた。雰囲気がまるで違う。あれは俺の知ってる人じゃない。
「奥さんと子どもを、人質に取られてて、仕方なく……なんですよね?
だから──」
「危ない!」
「──ストーンブラスト。」
「ナパーム!」
ローマンさんが俺をかばい、アシルさんの土魔法にウッツさんが火魔法で対抗する。
ストーンブラストは、石の飛礫を直線上のすべての敵に浴びせる土魔法。単体魔法と広域魔法の中間のような範囲魔法だ。
杖を使うことで石の大きさが上がり、本来軽く拳を握るくらいの大きさの物が、更に大きくなっている。
対してナパームは燃焼系の火炎放射器のような、暫く炎が出続ける火魔法だ。射出範囲こそ狭いが、動かし続けることで飛んでくる石礫を叩き落とした。
「こんな屋内で土魔法ですか?
やるんなら、外でやりましょうぜ。」
ウッツさんがそう言う。
本来土魔法の弱点は火魔法だ。同じレベル7同士。普通ならアシルさんに勝ち目のない戦いだが、アシルさんはそれを補える杖を持っている。それも魔石を使った特注品。
ついでに言うと、この世界の弱点属性はこんな感じだ。
聖↔闇
雷>水
水>火
火>土
土>風
風>雷
ちなみに氷魔法は水魔法に含まれていて、毒魔法と暗黒の状態異常魔法は闇魔法に含まれる。状態異常回復は聖魔法に含まれてる。
重力系の魔法は、土魔法じゃなく風魔法に含まれている。
雷魔法はレベル8から麻痺が。
水魔法はレベル8から睡眠が。
火魔法はレベル8から混乱が。
土魔法はレベル8から誘惑が。
風魔法はレベル8から脱力が。
聖魔法はレベル8から封印が。
それぞれ使えるようになる。
何故か闇魔法はレベル5から毒魔法が使えて、レベル8から暗黒が使えるようになる。
召喚魔法自体には属性はなく、召喚した魔物の属性がそのまま弱点属性となる。
混乱、麻痺、睡眠、暗黒、誘惑、封印、脱力、猛毒等の状態異常は、魔法スキル以外にも、人間の場合、扱いとしては無属性のスキルとして、職業スキルとかの一覧に表示されることもある。
またはセイレーンや、恭司のフェニックスのように、魔物の存在そのものに付属してる場合とがある。だから毒を魔法じゃなく無属性状態異常として持っている魔物もいる。
唯一弱点がなく、他の魔法に対する弱点にもならないのが、回復魔法と生活魔法だ。ただし回復魔法はアンデットにのみ、攻撃魔法へと変わる。
「ローマン、このままじゃ、ここでランドルの部下の奴らを表になんか出せねえ。
匡宏さんを先に医師に見せて、すぐにボスに相談してくれ。
──ここは俺とこいつらが引き受ける。」
「分かった。」
「アニキには俺が伝えに行くぜ!」
「そうしてくれると助かる。」
恭司の言葉に、ローマンさんが俺を肩に担いだ。
「ウッツさん!俺!すぐに戻りますから!
無理だと思ったら逃げて下さい!
今のアシルさんには勝てないんです!
絶対に!!」
ローマンさんが走り出して、俺はどんどんと2人から遠ざかって行く。
ユニフェイがそれを追いかけて来た。
ローマンさんは俺を、エンリツィオの部下たちが治療されている宿に連れ込んだ。
「昨日、彼も腕を切られて、血が不足してるらしくて、吐き気とめまいが辛いそうです。急ぎで見て貰えませんか?」
と、医師に頼んだ。
医師の見立てでは、確かに血が不足していると言われて、俺は薬師の調合した増血剤を飲んだ。
それを医師が職業スキルで効果を早めるのだが、若さだね、とても血が増えるのが早いよ、と言われた。
一気に鈍い頭痛、吐き気、目眩がおさまってゆく。やはり血が足りないのが原因だったらしい。
MPの回復速度まで上がっている。本来の体調がHPやMPの回復速度に影響を与えるものらしかった。
回復した途端腹が鳴った。そういえば気持ち悪過ぎて、昨日の夜から何も食べていなかった。
若さだねえ、と再び医師が笑う。今度は薬師までも。薬師が若くてキレイな女の人だったので、俺はちょっと恥ずかしくなった。
エンリツィオの部下たちに出していた食事を出そうかと言ってくれたけど、のんびりそんなものを食べてる暇はなかった。
パンと水だけ貰って腹に詰めこむと、
「俺、先に戻ります!」
とローマンさんに告げて、後から来てくれと声だけかけてユニフェイを置いて、空間転移で、さっきの倉庫までテレポートした。
ユニフェイ──江野沢なら、俺の匂いを追って、後からいくらでも追い付ける。
倉庫の外では、余裕の表情のアシルさんの足元に、頭から血を流したウッツさんや、他のエンリツィオの部下の人たちが這いつくばっていた。
さっきの今の一瞬で、もう決着がついたってのか。
「アシルさん……。
仲間を……。手にかけたんですか?
ほんとに……?」
俺はまだどうしても、目の前の状況が信じられなかった。──これをアシルさんがやったって言うのか?
奥さんと子どもを人質に取られてるから、だから、仕方なくやってるんだろう?
……そうなんだろう?
「君にどう思われても構わないけど、僕は最初からいつだってボスの為に動いてる。
──君たちがこのことを知らなかったってだけさ。」
「元々……、ルドマス一家の……、あいつらの仲間だったってことですか!?
エンリツィオのクラスメートで、はじめからずっと一緒にいたのに、家族がさらわれたからってわけじゃなく、初めから裏切ってただけってことですか!?
いつ!?なんで!?どうして!!
──俺は、あなただけは、……誰が裏切っても、エンリツィオを裏切らないと、そう思っていたのに!!!」
「……うるさいなあ。
それを知って何になるのさ。
──知ってもどうしようもないことは、僕は言わない。
知ってるでしょう?」
「……今のあんたと対等に戦えるのは、俺とエンリツィオだけだ。
なら、俺が相手になります。」
「……君のスキルを、僕は知ってる。
簡単には、倒せないよ?
君は別に良い奴じゃない。
でも、悪い人間にもなりきれない。
──僕と君とじゃ、覚悟が違う。」
「それでも、必要なら殺しますよ。
あんたもそれを、知ってる筈だ。」
俺はアシルさんと睨みあった。
「……ソイルスパイク。」
俺の足元から複数の土の槍が飛び出して、中央へと集まる。俺はそれをとっさに知能上昇を使い、土魔法で砂に変えた。
「──レベル8土魔法!?
なんで……!!」
アシルさんはエンリツィオと同じ、魔法スキルレベル7で上げ止まっていた筈だ。
魔法はスキルレベル8から更に強力な、全体魔法を含む魔法が使えるようになる。
「……君は僕のステータスを見られるスキルを持っているのに、わざわざ見ようとはしなかった。
それだけの話だよ。」
いつの間にか本人レベルを引き上げていたということか……!!
俺と恭司は本人の口から語られるまで、言葉で聞き出せる内容であれ、その人のプライベートなことを聞き出すことはない。
ましてや仲間だと思ってる相手の、ステータスなんてわざわざ見ることはない。
魔法スキルレベル8に加えて、杖で威力が増加していたから、土魔法の弱点属性である火魔法使いなのに、ウッツさんは一瞬で倒されてしまったのだ。
「ずっとこの機会を伺ってたんですね。
俺たちを全滅させる機会を。」
「どうとってくれても構わないよ。
僕は僕の目的を果たすだけだ。
その為なら、誰だって殺す。」
「……そういうことなら、──俺も容赦しません。」
俺は隠密をかけて空間転移でアシルさんの後ろにまわり、
「バインドロック。」
アシルさんをバインドロックで拘束する。
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駆け寄ろうとする俺を、ウッツさんとローマンさんが制止する。
「──え?」
「そっちの2人は、よく分かってるみたいだね、僕が杖を持ち出す意味。」
アシルさんは、ふふっと、怖い時の笑顔で笑った。
「僕はエンリツィオ一家では参謀の立場だった。だから杖を持ってはいるけど、基本戦うことなんてない。
──僕がこれを持ち出すのは、戦う意思のある時だけ。」
「嘘……でしょ?」
俺はそう言いながらも、本気なんだろうと何となく思っていた。雰囲気がまるで違う。あれは俺の知ってる人じゃない。
「奥さんと子どもを、人質に取られてて、仕方なく……なんですよね?
だから──」
「危ない!」
「──ストーンブラスト。」
「ナパーム!」
ローマンさんが俺をかばい、アシルさんの土魔法にウッツさんが火魔法で対抗する。
ストーンブラストは、石の飛礫を直線上のすべての敵に浴びせる土魔法。単体魔法と広域魔法の中間のような範囲魔法だ。
杖を使うことで石の大きさが上がり、本来軽く拳を握るくらいの大きさの物が、更に大きくなっている。
対してナパームは燃焼系の火炎放射器のような、暫く炎が出続ける火魔法だ。射出範囲こそ狭いが、動かし続けることで飛んでくる石礫を叩き落とした。
「こんな屋内で土魔法ですか?
やるんなら、外でやりましょうぜ。」
ウッツさんがそう言う。
本来土魔法の弱点は火魔法だ。同じレベル7同士。普通ならアシルさんに勝ち目のない戦いだが、アシルさんはそれを補える杖を持っている。それも魔石を使った特注品。
ついでに言うと、この世界の弱点属性はこんな感じだ。
聖↔闇
雷>水
水>火
火>土
土>風
風>雷
ちなみに氷魔法は水魔法に含まれていて、毒魔法と暗黒の状態異常魔法は闇魔法に含まれる。状態異常回復は聖魔法に含まれてる。
重力系の魔法は、土魔法じゃなく風魔法に含まれている。
雷魔法はレベル8から麻痺が。
水魔法はレベル8から睡眠が。
火魔法はレベル8から混乱が。
土魔法はレベル8から誘惑が。
風魔法はレベル8から脱力が。
聖魔法はレベル8から封印が。
それぞれ使えるようになる。
何故か闇魔法はレベル5から毒魔法が使えて、レベル8から暗黒が使えるようになる。
召喚魔法自体には属性はなく、召喚した魔物の属性がそのまま弱点属性となる。
混乱、麻痺、睡眠、暗黒、誘惑、封印、脱力、猛毒等の状態異常は、魔法スキル以外にも、人間の場合、扱いとしては無属性のスキルとして、職業スキルとかの一覧に表示されることもある。
またはセイレーンや、恭司のフェニックスのように、魔物の存在そのものに付属してる場合とがある。だから毒を魔法じゃなく無属性状態異常として持っている魔物もいる。
唯一弱点がなく、他の魔法に対する弱点にもならないのが、回復魔法と生活魔法だ。ただし回復魔法はアンデットにのみ、攻撃魔法へと変わる。
「ローマン、このままじゃ、ここでランドルの部下の奴らを表になんか出せねえ。
匡宏さんを先に医師に見せて、すぐにボスに相談してくれ。
──ここは俺とこいつらが引き受ける。」
「分かった。」
「アニキには俺が伝えに行くぜ!」
「そうしてくれると助かる。」
恭司の言葉に、ローマンさんが俺を肩に担いだ。
「ウッツさん!俺!すぐに戻りますから!
無理だと思ったら逃げて下さい!
今のアシルさんには勝てないんです!
絶対に!!」
ローマンさんが走り出して、俺はどんどんと2人から遠ざかって行く。
ユニフェイがそれを追いかけて来た。
ローマンさんは俺を、エンリツィオの部下たちが治療されている宿に連れ込んだ。
「昨日、彼も腕を切られて、血が不足してるらしくて、吐き気とめまいが辛いそうです。急ぎで見て貰えませんか?」
と、医師に頼んだ。
医師の見立てでは、確かに血が不足していると言われて、俺は薬師の調合した増血剤を飲んだ。
それを医師が職業スキルで効果を早めるのだが、若さだね、とても血が増えるのが早いよ、と言われた。
一気に鈍い頭痛、吐き気、目眩がおさまってゆく。やはり血が足りないのが原因だったらしい。
MPの回復速度まで上がっている。本来の体調がHPやMPの回復速度に影響を与えるものらしかった。
回復した途端腹が鳴った。そういえば気持ち悪過ぎて、昨日の夜から何も食べていなかった。
若さだねえ、と再び医師が笑う。今度は薬師までも。薬師が若くてキレイな女の人だったので、俺はちょっと恥ずかしくなった。
エンリツィオの部下たちに出していた食事を出そうかと言ってくれたけど、のんびりそんなものを食べてる暇はなかった。
パンと水だけ貰って腹に詰めこむと、
「俺、先に戻ります!」
とローマンさんに告げて、後から来てくれと声だけかけてユニフェイを置いて、空間転移で、さっきの倉庫までテレポートした。
ユニフェイ──江野沢なら、俺の匂いを追って、後からいくらでも追い付ける。
倉庫の外では、余裕の表情のアシルさんの足元に、頭から血を流したウッツさんや、他のエンリツィオの部下の人たちが這いつくばっていた。
さっきの今の一瞬で、もう決着がついたってのか。
「アシルさん……。
仲間を……。手にかけたんですか?
ほんとに……?」
俺はまだどうしても、目の前の状況が信じられなかった。──これをアシルさんがやったって言うのか?
奥さんと子どもを人質に取られてるから、だから、仕方なくやってるんだろう?
……そうなんだろう?
「君にどう思われても構わないけど、僕は最初からいつだってボスの為に動いてる。
──君たちがこのことを知らなかったってだけさ。」
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エンリツィオのクラスメートで、はじめからずっと一緒にいたのに、家族がさらわれたからってわけじゃなく、初めから裏切ってただけってことですか!?
いつ!?なんで!?どうして!!
──俺は、あなただけは、……誰が裏切っても、エンリツィオを裏切らないと、そう思っていたのに!!!」
「……うるさいなあ。
それを知って何になるのさ。
──知ってもどうしようもないことは、僕は言わない。
知ってるでしょう?」
「……今のあんたと対等に戦えるのは、俺とエンリツィオだけだ。
なら、俺が相手になります。」
「……君のスキルを、僕は知ってる。
簡単には、倒せないよ?
君は別に良い奴じゃない。
でも、悪い人間にもなりきれない。
──僕と君とじゃ、覚悟が違う。」
「それでも、必要なら殺しますよ。
あんたもそれを、知ってる筈だ。」
俺はアシルさんと睨みあった。
「……ソイルスパイク。」
俺の足元から複数の土の槍が飛び出して、中央へと集まる。俺はそれをとっさに知能上昇を使い、土魔法で砂に変えた。
「──レベル8土魔法!?
なんで……!!」
アシルさんはエンリツィオと同じ、魔法スキルレベル7で上げ止まっていた筈だ。
魔法はスキルレベル8から更に強力な、全体魔法を含む魔法が使えるようになる。
「……君は僕のステータスを見られるスキルを持っているのに、わざわざ見ようとはしなかった。
それだけの話だよ。」
いつの間にか本人レベルを引き上げていたということか……!!
俺と恭司は本人の口から語られるまで、言葉で聞き出せる内容であれ、その人のプライベートなことを聞き出すことはない。
ましてや仲間だと思ってる相手の、ステータスなんてわざわざ見ることはない。
魔法スキルレベル8に加えて、杖で威力が増加していたから、土魔法の弱点属性である火魔法使いなのに、ウッツさんは一瞬で倒されてしまったのだ。
「ずっとこの機会を伺ってたんですね。
俺たちを全滅させる機会を。」
「どうとってくれても構わないよ。
僕は僕の目的を果たすだけだ。
その為なら、誰だって殺す。」
「……そういうことなら、──俺も容赦しません。」
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