最後の勇者のレゾンデートル〜スキルなし判定された俺が隠しユニークスキル「ゲノムコントロール」で闇社会の覇王となるまで〜

陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)

文字の大きさ
160 / 175
第3章・血みどろの抗争編

第91話 殺人祭司との遭遇①

しおりを挟む
 アシルさんが元から裏切り者だったということを、俺からエンリツィオに話すことが出来なかった。ユニフェイをホテルの部屋に置いて、恭司と共に呼び出された酒場のVIPルームに俺たちはいた。

 アシルさんにランドルの部下を奪われたこと。ウッツさんたち全員がやられたこと。ローマンさんがそれを説明しているのを聞きながら、俺は黙ってじっとうつむいていた。

 チムチの幹部4人もそこにいて、全員動揺しているようだった。その場にいた全員が、複雑な表情をしていたと思う。

「──ウッツいわく、アシルさんの魔法スキルはレベル8になっていたようです。

 奥さんとお子さんに会いにいくと言って、足繁くこの国に通っていたのも、ランクの高い魔物のわくこの国で、レベルアップすることと、ルドマス一家と何度も打ち合わせを重ねるのが目的だったのでしょう。」

 ローマンさんも、説明しながら苦しそうだった。アダムさんとカールさんも同席してたけど、2人の表情は相変わらず殆ど変わらなくて、ギュンターさんはどうしていいか分からないようだった。

「アシルの奴をやりましょう!
 ……裏切りには制裁を。
 これはたった1つの組織のルールだ。」

 トラウゴットさんが言う。
 シュテファンさん、エックハルトさん、ジークヴァルトさんもそれにうなずく。

「──アイツを襲ったとしてどうする。
 土魔法の弱点属性である、レベル7の火魔法使いのウッツが、杖を持ったアイツに為す術もなかったんだぜ?

 ……今のアイツに勝てるのは、俺かコイツくれえだろう。」

 エンリツィオは、足を開いて腕組みしながら、俺のことを顎でしゃくった。

「ましてや、昨日のランドルとの一戦で、レベル7スキル持ち4人と、そこのコイツの連れてる魔物までいて、それでもランドル1人に負けたってんだ。

 ……まあ、どっちも結果相打ちってとこだが、その内の2人は、火力5割マシのスキル持ちだ。それで相打ちにしかなれねえ相手に、なんで挑もうと思える。

 アイツとの戦いにランドルが出て来たら、──お前ら勝てんのか。」
 その場にいた全員が、シン……とした。

「……俺、ダンジョンに潜ります。」
 ウッツさんが、強い決意を秘めた目で言った。

「──俺も潜ります!
 俺たちは自身のレベルが30で上げ止まってるってだけで、この国でなら、すぐに全員魔法スキルレベル8になれる筈だ!」

 ローマンさんも言う。
 その場にいた魔法スキルレベル7組が一斉にエンリツィオを見つめた。

「……俺たちゃ冒険者じゃねえ。
 ダンジョンに潜るには、冒険者ギルドの登録と許可がいる。

 エンリツィオ一家がゾロゾロと冒険者に混ざって、コソコソレベル上げするってか?
 そんな笑い話、すぐにルドマス一家に伝わるだろうぜ。

 火力を上げてもランドルにゃあ勝てねえ。
 やんのは構わねえが、知られた途端、確実に毎回ランドルが出てくるこったろう。

 それに対抗出来る手段がねえなら、レベル上げしてることを向こうに知られるのは得策じゃねえ。」
 みんなお互いの顔を見合わせる。

「それに冒険者ギルドに登録せずに、コッソリダンジョンに侵入するとして、ダンジョンは時間制限付きだ。

 時間が来ると入り口が閉じて出られなくなる。
 ダンジョンボスを倒さすとも、時間が来りゃあ閉じる。
 倒したらその瞬間から一定時間で閉じる。

 この国のダンジョンがどの程度の時間で開いて閉じんのか、ダンジョンボスを倒してから、どの程度で閉じんのか、お前らの内、誰か1人でも知ってんのか?

 その為に、あえてボスの手前で引き返すダンジョンだってあるくれえだ。」

「……そこは調べれば、すぐに分かります。
 だから……。」
 ウッツさんが食い下がる。

「──お前らが一斉にダンジョンに潜ったとして、仮にそれがこの内の半分だとしても、そん時にルドマス一家が攻めて来たらどうする?

 ダンジョンは下層に行かなきゃ、強い敵がいねえ。
 1番弱い魔物の出るダンジョンですら、往復で最低でも3時間。中に連絡を取る手段もねえときた。

 ……ここいらのシノギをごっそり奪われるだろうぜ。
 そこまで考えて発言してんのか?」

「2~3人ずつなら……。」
 ローマンさんが言う。

「じゃあそれで、全員がレベル8になるのはいつだ?
 それまでこの国に留まんのか?
 もっと別の方法を考えろ。

 ここを出るまでに全員のレベルは引き上げる。それは俺も考えてることだが、お前らのやり方じゃ、今の状況にゃあ相応しくねえ。

 俺たちゃ真っ当な仕事をしてるわけじゃねえ。ましてや相手もそうなら、そいつをどうにかする手段を先に考えろ。」
 誰も何も言えなくなった。

「あの……さ。ちょっといいかな。」
 俺が手をあげる。
 全員の視線が一斉に俺に集まってちょっとビクッとする。

「前にニナンガにいた時に、篠原が俺たちの元クラスメートたちをレベルアップさせる為に、転送魔法陣を使って、魔物を呼び寄せてたんだよね。

 ここは魔族の国に最も近い国だろ?ニナンガに来るよりも時間はかからない筈だ。
 強い魔物をダンジョン以外の場所に、呼び寄せて貰ったらどうかな?

 そうすれば、短時間しか持ち場を離れなくてもいいし、人のいない場所で、そう各自の持ち場から遠くない場所なんて、みんなたくさん知ってるだろ?」

「──確かに、魔族と協定を組んだわけですし、もしそれで彼らに協力して貰えるのであれば……。」
 シュテファンさんが言う。

「やりましょう、ボス!それなら戻るまでの時間もかからないし、何かあってもすぐに集まれる!」
 エックハルトさんが同調する。

「ルドマス一家を倒すのにも、協力して貰えば……。」
 ジークヴァルトさんが興奮して、両の拳を重ね合わせて握りながら言った。

「魔物を呼び出させるのはいい。
 だがルドマス一家の抗争に、魔族を巻き込むのは駄目だ。

 ──あいつらは王族を倒す為だけに、共闘してるわけだからな。
 それに現時点で、魔族の力を借りてることを王族たちに知られるわけにもいかねえ。

 ましてや万が一協力してくれたとしてだ。他の敵対組織にそんなことが知られてみろ。俺たちだけじゃ勝てねえんだと、いいもの笑いのタネだぜ。

 ルドマス一家をやんのに、魔族の力を借りんのは諦めろ。
 それは各自別の方法を考えるんだ。」

 エンリツィオがそう言って、みんなが了承した。

「──奴らはいつ頃来れる?」
 エンリツィオが俺を見る。

「確認してみるよ。返事が来たら知らせる。
 ……それと、管轄祭司が乗った船が、もうすぐこの国につくよ。」

「それまでに、チムチの寵妃の居場所と警備内容の特定を急げ。

 ──俺たちが以前ランドルと、ことを構えてから、うちがそうなように、向こうの戦力も大幅に変わっている筈だ。

 ルドマス一家の現状を詳しくさぐれ。
 他にも似たようなスキルを持ってる奴がいたら面倒くせえ。」

 これでこの日は解散になった。
 残っているのは、俺と恭司と護衛のアダムさんとカールさんだけ。

「……オマエ、こないだの娘、匿ってるらしいな。」
 俺はギクッとした。

 結局家にかえすことも、保護して貰える人間を見つけることも出来なかった俺は、さすがに俺たちと同じランクのホテルじゃお金が続かなくなるから、もっと安い宿にアンナを泊まらせていた。

「この先、オマエがずっと面倒みるわけにゃいかねえぜ?
 いずれオマエのオンナを元に戻す為に、俺たちゃこの国を出る。

 一時的に救ってやったところで、ただの自己満足だ。
 ……むしろ今救ってやってることで、家に戻る日がより辛くなるかも知んねえぞ。

 ──分かってると思うが、俺たちゃ慈善事業をしてるわけじゃねえんだ。
 この世界は女が働ける仕事は少ねえ。

 ましてや未成年じゃ、やれることは限られてくる。その女が娼館で働くってんなら、守ってやらなくもねえが、そうじゃなきゃ組織としては何もしてやるつもりはねえぞ。」

「分かってる……。けど……。」
 俺はうつむくことしか出来なかった。

「その子のスキルは何なんですかね?
 スキル次第では、冒険者にならせてみてもいいんじゃないですか?

 この世界じゃ小さい子でも、12歳から始めるものですし。」
 アダムさんが俺に聞いてくる。

「スキル……。考えた事もなかったな。」
 俺は俺の元いた世界の感覚で、小中学生が働くなんて考えてもみなかったし、保護されるべきものだと考えていたけれど、この世界は12歳から働き始める子もいるのだ。

 保護者がいないなら、自活していけるように手助けする方法を考えた方が、アンナの為になるかも知れなかった。

────────────────────

次世代ファンタジーカップエントリーしています。
応援よろしくお願いいたします。

少しでも面白いと思ったら、いいねをタップしていただけると幸いです。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

処理中です...