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第3章・血みどろの抗争編
第94話 殺人祭司の手先と将軍の魔の手①
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「お前!!この国の王子になんてことしやがる!!」
俺は崩折れたアスタロト王子を抱きかかえながら男を睨んだ。知能上昇を使って全力で回復魔法を使うも、アスタロト王子は俺の腕の中で体温を失っていった。
クソッタレ!!どっかの臓器が回復出来ない程に全損してやがんのか!
「王子?そいつ王子だったのか。
ラッキー、王族は経験値高いから、褒めて貰えるぜ。」
男は無邪気に笑った。俺は急いでアスタロト王子をアイテムボックスの中にしまう。
「経験値……?
まさか、お前、」
「とある方に頼まれて、お前の姿を奪いに来たのさ。
そいつはついでだ。
可愛い顔してたからな。
気に入っちまったんだ。悪いな。」
やっぱり殺人祭司の手の者だったのか。アスタロト王子の姿をしていた男は、元の死体になった男の姿へと変わった。
「まさか、その姿も奪ったのか?」
「そーだよ?
キレイだろう?気に入ってんだ。
さて、次はお前の番だ。
どっちがこの世界に選ばれるかな?
まあ、俺はこの勝負に負けたことはないけどな。」
俺は男のステータスを見た。
遺伝子操作、激運、反射。
幸運のスキルは段階がある。幸運、強運、豪運、盛運、そして最上級の激運だ。
遺伝子操作は相手の遺伝子情報を奪い自由に扱うことの出来るスキル、そして同じ姿になった時に、激運がコイツを生かすことになる。
戦いに不向きなスキルだけど、こと殺人においては、同じ姿が存在出来ないこの世界のルールにおいては最強の組み合わせだ。
反射があるから下手に魔法攻撃も出来ない。俺にとって戦い辛い相手だと言えた。
俺はスキルを奪う。
コイツは姿を奪う。
どちらも体に触れる必要があるから、俺がコイツのスキルを奪おうとした時に、コイツに姿を奪われる危険があるのだ。
あの日あんなところで血を流して倒れていた男は、魔物や盗賊に襲われたわけじゃなく、コイツに姿を奪われて死んだのだ。
コイツには姿を奪われ、俺にはスキルを奪われ。挙げ句の果てに命まで落とした。
なんて踏んだり蹴ったりな人生だろうか。その死に加担したわけじゃないけど、俺は何だか申し訳なくなった。
「お前と勝負なんてしねえよ。
近付かなきゃいいだけだ。」
「へえ?どうするんだ?」
「──空間転移!!」
俺は空間転移で男の目の前から逃げた。
向かった先は──王宮だ。
突如チムチの王様の前に現れた俺を見て、兵士たちがざわつき駆け寄って来る。
王様も目を丸くして俺を見ている。
「お願いします!
俺の友達を、……あなたの息子を助けて下さい!!」
俺がアイテムボックスから血まみれのアスタロト王子を取り出すと、王様は椅子から立ち上がって駆け寄って来た。
「さっき変な男に襲われて……。
俺をかばってアスタロト王子が……。
王子から、あなたは復活のスキルを持っていると伺いました。
まだ攻撃されて間もない状態でアイテムボックスに入れて運んで来ました。
どうか──!!」
王様が俺に抱きかかえられたままのアスタロト王子に触れると、その手が光る。
「……復活のスキルは、死んでから時間が経てば経つほど、死ぬ前の記憶を失う。
それだけは避けられない。
だが死んですぐなら、そこまで失われてはいないだろう。
ありがとう。君がアイテムボックスに入れて連れて来てくれたおかげだ。」
アスタロト王子がうっすらと目を開ける。俺は目に涙が溜まって泣きそうになった。
「お前……なんで泣いてんだ?」
「……泣いてねえよ。」
完全に涙をこぼしながら俺は強がった。
「うわっ!?なんじゃこりゃ!
俺の服が血まみれじゃねえか!」
「お前は襲われて1度死んだのだよ。
彼がここに連れて来てくれて、私が復活させた。記憶の混乱は復活したせいだ。
感謝しなさい、彼のおかげだ。」
「そうだったのか……。
……あんがとな。助けてくれて。」
そう言うなり、いきなり俺を抱き寄せて強引にキスをしてきた。
「~~~~!?????」
「──なんと。
そういうことか。
それなら話が早い。
皆の者。」
「──え?」
王様に声をかけられた従者たちが、俺たちを風呂に運んで体を洗い、バスローブのような新しい服を着せる。
「──え?」
そのままどこかの部屋に2人して運ばれる。訳がわからないまま、だが大勢の大人の力に抗うことが出来ず、気付けば俺はアスタロト王子と2人、ベッドの上に座らされていた。
「──え?」
アスタロト王子は頬を染めて嬉しそうに俺を見つめてにじり寄って来る。
「お前が泣くほど俺のことを心配してくれるなんてな。
やっぱり、お前も俺のことを好きだったんだな。」
「な、なに言ってんだ!
さっき他に好きな子がいるって言っただろうが!」
「……?
さっき?何の話だ?
俺は今日お前に会ってねえぜ?」
復活のスキルのせいか!
俺と過ごした時間のことが、スッポリとアスタロト王子の記憶から消えていた。
「ここまで来たら、もう覚悟を決めろよ。
ここには俺とお前の2人きり。
……王子の部屋には、誰も邪魔しになんてこれねーぜ?」
だあああああ!
そうだ、ここには恭司もユニフェイもいない。
敵陣真っ只中。単独で潜入している俺を助けてくれる人間なんていない。
「空間転──」
「誘惑。」
空間転移しようとした俺に、アスタロト王子が誘惑を使って阻止してくる。俺の体は一気に熱を帯び、殆どのスキルが使えなくなってしまった。
「最初は誰でも緊張するよな。
……素直になれよ。」
身動きのとれない俺のバスローブの紐を、アスタロト王子が解いて服をはだける。当然その下は素っ裸だ。
アスタロト王子もバスローブを脱いだ。
俺の体を愛おしげに撫でてくる。
「や、やだ……。嫌だ……。」
「安心しろよ、すぐによくなる。」
その言葉通り、触れられたところを気持ちよく感じてしまう。
俺は思わず泣いた。
「嫌だよ……。
お前を嫌いになりたくねえよ……。」
精一杯、そう、声を絞り出した。その言葉にアスタロト王子がビクッとする。
「……他に好きな奴がいるってのは、マジなのか?」
俺はコックリとうなずいた。
俺をじっと見つめるアスタロト王子。だが強引に唇を奪ってくる。俺は殆ど動かない体で抵抗するが、振りほどくことが出来なかった。
俺の頬に温かな雫が、落ちてすぐに冷えて俺の頬を伝った。アスタロト王子は目を閉じて俺にキスしたまま泣いていた。
ふっと、体の熱が消える。ステータスを見ると、誘惑が解除されたことが分かった。アスタロト王子がといてくれたのだ。
「──見んなよ。」
アスタロト王子は俺に覆いかぶさったままで、俺の顔の脇の枕に顔を埋めて、声を殺しながら泣いていた。
「運命だと、思ったんだ……。」
俺は2度もアスタロト王子を振ることになってしまった。もう払いのけることは出来たけど、俺はそうは出来ずに、俺を抱き締めて泣いているアスタロト王子に、されるがままじっとしていた。
「──カッコわり。」
アスタロト王子は俺の上から起き上がると、鼻をすすってそっぽを向いた。
「刺激がつえーわ。」
と、はだけられた俺の服を直す。
「着替えて遊びに行こうぜ?
城の中を探検しねーか?
宝物庫、案内してやるよ。
興味あんだろ?王族の宝物だぜ?」
そう言って、ニヤリと笑う。
仲直りしようってことなのだろう。
俺はコックリと頷いた。
アスタロト王子が外の従者に声をかけて、俺の服を持って来させる。さっきまで着ていた服は血まみれになってしまったから、この国の腰に紐を巻くタイプの服が用意された。
服を着替えると、アスタロト王子の合図で警備の兵士を避けながら、城の中を宝物庫に向かって進んでいく。
ワクワクが止まらない表情を浮かべたアスタロト王子を見て、コイツとも、ちゃんと友達になれたらいいのになあ、と思った。
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俺は崩折れたアスタロト王子を抱きかかえながら男を睨んだ。知能上昇を使って全力で回復魔法を使うも、アスタロト王子は俺の腕の中で体温を失っていった。
クソッタレ!!どっかの臓器が回復出来ない程に全損してやがんのか!
「王子?そいつ王子だったのか。
ラッキー、王族は経験値高いから、褒めて貰えるぜ。」
男は無邪気に笑った。俺は急いでアスタロト王子をアイテムボックスの中にしまう。
「経験値……?
まさか、お前、」
「とある方に頼まれて、お前の姿を奪いに来たのさ。
そいつはついでだ。
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気に入っちまったんだ。悪いな。」
やっぱり殺人祭司の手の者だったのか。アスタロト王子の姿をしていた男は、元の死体になった男の姿へと変わった。
「まさか、その姿も奪ったのか?」
「そーだよ?
キレイだろう?気に入ってんだ。
さて、次はお前の番だ。
どっちがこの世界に選ばれるかな?
まあ、俺はこの勝負に負けたことはないけどな。」
俺は男のステータスを見た。
遺伝子操作、激運、反射。
幸運のスキルは段階がある。幸運、強運、豪運、盛運、そして最上級の激運だ。
遺伝子操作は相手の遺伝子情報を奪い自由に扱うことの出来るスキル、そして同じ姿になった時に、激運がコイツを生かすことになる。
戦いに不向きなスキルだけど、こと殺人においては、同じ姿が存在出来ないこの世界のルールにおいては最強の組み合わせだ。
反射があるから下手に魔法攻撃も出来ない。俺にとって戦い辛い相手だと言えた。
俺はスキルを奪う。
コイツは姿を奪う。
どちらも体に触れる必要があるから、俺がコイツのスキルを奪おうとした時に、コイツに姿を奪われる危険があるのだ。
あの日あんなところで血を流して倒れていた男は、魔物や盗賊に襲われたわけじゃなく、コイツに姿を奪われて死んだのだ。
コイツには姿を奪われ、俺にはスキルを奪われ。挙げ句の果てに命まで落とした。
なんて踏んだり蹴ったりな人生だろうか。その死に加担したわけじゃないけど、俺は何だか申し訳なくなった。
「お前と勝負なんてしねえよ。
近付かなきゃいいだけだ。」
「へえ?どうするんだ?」
「──空間転移!!」
俺は空間転移で男の目の前から逃げた。
向かった先は──王宮だ。
突如チムチの王様の前に現れた俺を見て、兵士たちがざわつき駆け寄って来る。
王様も目を丸くして俺を見ている。
「お願いします!
俺の友達を、……あなたの息子を助けて下さい!!」
俺がアイテムボックスから血まみれのアスタロト王子を取り出すと、王様は椅子から立ち上がって駆け寄って来た。
「さっき変な男に襲われて……。
俺をかばってアスタロト王子が……。
王子から、あなたは復活のスキルを持っていると伺いました。
まだ攻撃されて間もない状態でアイテムボックスに入れて運んで来ました。
どうか──!!」
王様が俺に抱きかかえられたままのアスタロト王子に触れると、その手が光る。
「……復活のスキルは、死んでから時間が経てば経つほど、死ぬ前の記憶を失う。
それだけは避けられない。
だが死んですぐなら、そこまで失われてはいないだろう。
ありがとう。君がアイテムボックスに入れて連れて来てくれたおかげだ。」
アスタロト王子がうっすらと目を開ける。俺は目に涙が溜まって泣きそうになった。
「お前……なんで泣いてんだ?」
「……泣いてねえよ。」
完全に涙をこぼしながら俺は強がった。
「うわっ!?なんじゃこりゃ!
俺の服が血まみれじゃねえか!」
「お前は襲われて1度死んだのだよ。
彼がここに連れて来てくれて、私が復活させた。記憶の混乱は復活したせいだ。
感謝しなさい、彼のおかげだ。」
「そうだったのか……。
……あんがとな。助けてくれて。」
そう言うなり、いきなり俺を抱き寄せて強引にキスをしてきた。
「~~~~!?????」
「──なんと。
そういうことか。
それなら話が早い。
皆の者。」
「──え?」
王様に声をかけられた従者たちが、俺たちを風呂に運んで体を洗い、バスローブのような新しい服を着せる。
「──え?」
そのままどこかの部屋に2人して運ばれる。訳がわからないまま、だが大勢の大人の力に抗うことが出来ず、気付けば俺はアスタロト王子と2人、ベッドの上に座らされていた。
「──え?」
アスタロト王子は頬を染めて嬉しそうに俺を見つめてにじり寄って来る。
「お前が泣くほど俺のことを心配してくれるなんてな。
やっぱり、お前も俺のことを好きだったんだな。」
「な、なに言ってんだ!
さっき他に好きな子がいるって言っただろうが!」
「……?
さっき?何の話だ?
俺は今日お前に会ってねえぜ?」
復活のスキルのせいか!
俺と過ごした時間のことが、スッポリとアスタロト王子の記憶から消えていた。
「ここまで来たら、もう覚悟を決めろよ。
ここには俺とお前の2人きり。
……王子の部屋には、誰も邪魔しになんてこれねーぜ?」
だあああああ!
そうだ、ここには恭司もユニフェイもいない。
敵陣真っ只中。単独で潜入している俺を助けてくれる人間なんていない。
「空間転──」
「誘惑。」
空間転移しようとした俺に、アスタロト王子が誘惑を使って阻止してくる。俺の体は一気に熱を帯び、殆どのスキルが使えなくなってしまった。
「最初は誰でも緊張するよな。
……素直になれよ。」
身動きのとれない俺のバスローブの紐を、アスタロト王子が解いて服をはだける。当然その下は素っ裸だ。
アスタロト王子もバスローブを脱いだ。
俺の体を愛おしげに撫でてくる。
「や、やだ……。嫌だ……。」
「安心しろよ、すぐによくなる。」
その言葉通り、触れられたところを気持ちよく感じてしまう。
俺は思わず泣いた。
「嫌だよ……。
お前を嫌いになりたくねえよ……。」
精一杯、そう、声を絞り出した。その言葉にアスタロト王子がビクッとする。
「……他に好きな奴がいるってのは、マジなのか?」
俺はコックリとうなずいた。
俺をじっと見つめるアスタロト王子。だが強引に唇を奪ってくる。俺は殆ど動かない体で抵抗するが、振りほどくことが出来なかった。
俺の頬に温かな雫が、落ちてすぐに冷えて俺の頬を伝った。アスタロト王子は目を閉じて俺にキスしたまま泣いていた。
ふっと、体の熱が消える。ステータスを見ると、誘惑が解除されたことが分かった。アスタロト王子がといてくれたのだ。
「──見んなよ。」
アスタロト王子は俺に覆いかぶさったままで、俺の顔の脇の枕に顔を埋めて、声を殺しながら泣いていた。
「運命だと、思ったんだ……。」
俺は2度もアスタロト王子を振ることになってしまった。もう払いのけることは出来たけど、俺はそうは出来ずに、俺を抱き締めて泣いているアスタロト王子に、されるがままじっとしていた。
「──カッコわり。」
アスタロト王子は俺の上から起き上がると、鼻をすすってそっぽを向いた。
「刺激がつえーわ。」
と、はだけられた俺の服を直す。
「着替えて遊びに行こうぜ?
城の中を探検しねーか?
宝物庫、案内してやるよ。
興味あんだろ?王族の宝物だぜ?」
そう言って、ニヤリと笑う。
仲直りしようってことなのだろう。
俺はコックリと頷いた。
アスタロト王子が外の従者に声をかけて、俺の服を持って来させる。さっきまで着ていた服は血まみれになってしまったから、この国の腰に紐を巻くタイプの服が用意された。
服を着替えると、アスタロト王子の合図で警備の兵士を避けながら、城の中を宝物庫に向かって進んでいく。
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