最後の勇者のレゾンデートル〜スキルなし判定された俺が隠しユニークスキル「ゲノムコントロール」で闇社会の覇王となるまで〜

陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)

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第3章・血みどろの抗争編

第95話 古代魔法の継承者①

「サイマルティニアスアタック。」
 ランドルス将軍が空中に8つもの、こちらに向いた縦の状態の魔法陣を展開させ、そこからそれぞれ全属性の魔法が飛び出して俺たちを攻撃する。

「アブソロプションゲート!!」
 同時に魔法陣を展開していた英祐の魔法陣が、それを吸い込んで吸収する。

「合成魔法、インフェルノシュート。」
 エンリツィオが両手からそれぞれ闇魔法と火魔法を出して合成して放つ。

 トランプシュートはカード状の刃を作り出し、空中に浮かんだそれを一斉に射出させる、カード自体が影なので物理的な干渉を与えるのが難しい単体闇魔法。

 インフェルノは体にまとわりつく灼熱の炎が襲いかかる広範囲火魔法。
 それらが合成されることで、炎の刃がまとわりつくようにランドルス将軍たちに襲いかかる。

 どこかから光を纏った矢が飛んで来ると、それが空中で拡散し、複数の光の矢となって俺たちに降り注ぐ。
「「ディメンションウォール!!」」

 俺とアシルさんが土魔法の、攻撃に反応する壁を周囲に展開し、エンリツィオの合成魔法攻撃と、弓矢の連撃をそれぞれ防ぐ。
 戦力はほぼ互角に思えた。

 互角なら持久戦になる。ただし元からMPが高く、新しくMP回復スキルを手に入れた俺がいる限り、長引けば長引く程、向こうに不利だと思えた。

「アシルさん、俺、MP回復スキルを手に入れたんですよ。
 長期戦になったら、そっちに勝ち目、ないと思いますけどね?」

「へえ?そりゃ凄いね。
 けど、そう思ったようにいくかな?」
 不敵に笑う俺に、こともなげに笑い返すアシルさん。なんでそんなに余裕そうなんだ?俺は不思議で仕方がなかった。

 空中ではランドルス将軍と英祐の魔法陣が、互いに魔法攻撃を放っては、それを吸収する、というのを繰り返していた。

「僕がただ魔法を受け止めてただけだと思いますか?
 そろそろお返しするよ。
 ──リバースゲート!!!」

 英祐が100を超える魔法陣を、縦に空中に展開したかと思うと、それまでに吸収していたランドルス将軍の魔法が、魔法陣から一斉に飛び出して襲いかかる。

 それを見た、到底人には見えない、表情なんて分からない筈のランドルス将軍の顔が、ニヤリと笑ったように見えた。
「──召喚。」

 ランドルス将軍が、空中に縦に十幾つもの魔法陣を展開する。
「──アダムさん!カールさん!」

 魔法陣の1つ1つに、エンリツィオの部下たちが召喚される。全員で1~2体がやっとと言っていた魔物と、少ない人数で戦っていたからだろう、みんな見た目が既にボロボロだった。

 そんな彼らが、まるで十字架にはりつけにされたイエス・キリストかのように、両腕を左右に開いた状態で魔法陣にはりついて、そのまま空中に浮かべられ、ランドルス将軍の前を盾のように塞いだ。

 アシルさんの余裕の正体はこれだったのだ。いつでも呼び出す事のできる人質。魔族が味方にいるならではの戦い方だ。

「くっ……!!
 止められない!」
 英祐の放った魔法がみんなを襲う。

「空間転移!!空中浮遊!!知能上昇!!合成魔法、クリムゾンウェイブ!!」

 俺はアダムさんたちがはりつけにされた魔法陣の前に空間転移すると、俺の使役しているアンデットたちを呼び出して、知能上昇を使った。

 アンデットたちと俺の放った魔法が、英祐の放った魔法と相殺される。──だが、100以上は多過ぎた。
「ダークウォール!!」

 空中に土魔法の壁は展開出来ない。俺は魔力の限り範囲を広げて闇魔法の壁を作ったが、撃ち落とし切れなかった魔法たちが、闇魔法の壁を貫き、俺やアダムさんたちに襲いかかる。

「うわああああ~~!!」
 俺はまともに魔法攻撃を浴びて、回復魔法を発動させながら、それでも体勢を崩して空中から地面に向けて落ちた。

 地面に激突する!空中浮遊!
「──テレポート、フライト、フォーリングコントロール、テレキネシス、ルーンシールド。」

 だがその前に、俺の体が落ちる速度が遅くなったかと思うと、フワッと空中に浮かびあがり、誰かにそのまま抱きあげられた。

「──人の国で好き勝手やりやがって。
 あんだけ派手にドンパチやってりゃあ、俺の部屋から丸見えなんだよ。」

 俺を横抱きに──要するにお姫様抱っこで──抱きかかえて空に浮かんでいたのは、白く薄い羽のようなオーラをまとい、金色に目を光らせて、髪の毛を逆立てたアスタロト王子だった。

「古代魔法!?
 人間がなぜそんなものを……。」
 ランドルス将軍が驚いた声を出しながら、アスタロト王子を見る。

「こりゃあさすがに予想外かな。
 ストーンブラスト!」

 アシルさんが苦笑しながら、アスタロト王子めがけて土魔法を放つ。だけどアスタロト王子が纏ったオーラはそれを受け付けなかった。

「チムチの王族の祖先は妖精の血を引いてると言われててな。
 だから代々魔物と妖精にしか殆ど現れない筈の、誘惑のスキルを持って生まれてくんのさ。

 俺は特にその力が強くてね。
 ──先祖返りってヤツ?

 この姿じゃねーと使えねーし、周囲を破壊しかねねえから、普段は使わないようにしてたんだけど。

 ……よくもコイツに手え出しやがったな。
 このまま続けるなら、チリすら残らねえと思え。
 ──ストーン・サーヴァント。」

 アシルさんの放った土魔法を流用して、握りこぶし程の大きさの石礫が、みるみるたくさんの人型のストーンゴーレムへと変貌してゆく。

「いけ。」
 ストーンゴーレムたちが一斉にランドルス将軍に襲いかかる。

「くっ!
 バーンクラフト!!」

 アスタロト将軍の魔法陣から放たれた炎の波が、ストーンゴーレムたちを飲み込んでいく。だがストーンゴーレムの進行は止まらない。

「古代魔法で作られたストーンゴーレムに、そんな魔法きくかよ。
 倒したきゃ、お前も古代魔法を使うんだな。」

「そ、そんな。
 うああああ!!!」

 ストーンゴーレムに一斉にのしかかられ、ランドルス将軍がその下に埋もれる。次の瞬間空中の魔法陣が消えたかと思うと、それにはりつけられていたアダムさんたちが地上に落ちて来る。

 手の空いているストーンゴーレムたちが、それを次々に受け止めた。

「──人質とやらもいなくなった。
 ストーンゴーレムにお前らの魔法はきかない。
 さて、どうすんだ?」

 アスタロト王子が見下すようにランドルス将軍を睨む。ヤンキー要素が炸裂している時の、今の恭司の顔だ。

 こんなオラついた妖精見たことないぞ……。いや、妖精自体見たことないけども。
「くっ!すべてが効かぬ訳ではあるまい!ファイヤーイグニッション!」

 ランドルス将軍は諦めることなく、魔法陣から魔法を放つ。

「しつけえなあ。
 力の差もわからねえ奴は、力任せのケンカにすら勝てねえんだぜ。

 マジックリフレクション、スティールマインド。」

 俺を片腕で抱いたまま、アスタロト王子が古代魔法を放つ。

「ぐっ……!?
 があああああ!!!!」

 突如力が抜けたようなランドルス将軍は、展開途中だった魔法陣が消えたかと思うと、そのまま自分の放った魔法をモロにくらった。

「お前のMP、全部貰ったぜ。
 もう攻撃出来ねえだろ。
 ──次は命を貰おうか?」

「クソッ!こんな奴が味方にいるなど想定外だ!」

「さすがに引くしかなさそうだね。
 君ホント、王族をたらし込む才能あり過ぎじゃない?」

 アシルさんが苦笑したみたいに笑うと、そのまま右手を上げる。遠くから矢が飛んできたかと思うと、まばゆい光が広がり、俺たちは一瞬視界を見失った。

 目がなれた時、既にランドルス将軍とアシルさんの姿はなかった。

「──オイ。」
 アスタロト王子が俺を睨む。
「な、なんだよ。」

「王族をたらし込む才能ってなんだ。
 まさか俺以外の奴とも……。」
 そこ引っかかったのかよ!
 そもそもお前とはなんにもねーだろーが!

「別になんもねーよ。
 つか、いつまで抱いてんだ!
 いい加減おろせ!」

「……いや、その言い方は何かあるやつだ。
 正直に言えよ。
 怒らねえから。」

 いや、完全に怒ってんだろ!キレてる時の恭司の顔だわ!

「好きな奴ってそいつのことか?」
 ……まあ、ジルベスタのことは、確かにちょっと好きだったから、ある意味間違ってはねーけど。

 一瞬それを顔に浮かべた俺に、ムッとした表情を浮かべたかと思うと、
「あっ!?オイ、どこ触ってんだ!」

「いいだろ!そいつはお前に好かれてんだから!俺だって尻くらい!」
「よくねーよ!
 てか、別に好きじゃねえよ!」

「……何やってんだアイツら……。」
「さあ……。」

 空中で揉める俺とアスタロト王子を、地上でエンリツィオと英祐が呆れたように眺めていた。

 ようやくアスタロト王子に地上に降ろされた俺は、アダムさんたちに回復魔法を使った。
「大丈夫ですか?」

「石化を防ぐ護符のおかげでなんとか生きてますが、守るのに精一杯で……。すみません。多分、誰も倒せてないと思います。」
 アダムさんが力なく謝ってくる。

「しょうがねえよ、敵が来るなんて予想外だったからな。

 攻撃は一発ずつ最低限当ててあんだろ?
 お前らは休んどけ。
 オイ、俺とお前とで1体ずつ回って倒すぞ。」

 エンリツィオが俺にそう声をかける。
「分かった。」
「僕も手伝います。」

「まだ敵がいんのか?
 俺もサポートすんぜ?」
 英祐とアスタロト王子がそう言ってくれた。

 俺の千里眼で魔物の位置を特定し、そこにアスタロト王子が古代魔法で転送してくれる。
「この人数運べんのはスゲーな!」

「へへ、だろ?」
 俺に褒められて、アスタロト王子が嬉しそうに人差し指で鼻の下をこすりながら喜ぶ。

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