最後の勇者のレゾンデートル〜スキルなし判定された俺が隠しユニークスキル「ゲノムコントロール」で闇社会の覇王となるまで〜

陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)

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第3章・血みどろの抗争編

第98話 ネクロマンサーvs伝説のネクロマンサー②

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『マジかよ……。
 けど、ただの虫だろ?あんなん、とっちまえば別に……。』

『この中で一番動きの早い恭司が虫を取ろうとしても、アンナかママさん、どっちかの体内には確実に侵入されて操られる。
 そうなったら、僕らじゃ取り出せない。』

『それに。』
 心の中で会話をしながらも、英祐は声を潜めるように恭司に話しかけた。

『分かる?──囲まれてる。
 これは魔法で知ったんじゃない、純粋な敵意と悪意だ。注意して周囲の気配を気にしてみれば、恭司にも分かると思うよ。

 ……アスタロト王子は、もう気付いたみたいだ。』

『マジだ。……いつの間にか、囲まれてやがる。10人はいるぜ。』

『殺人祭司の手のものか、ルドマス一家の配下なのかは分からないけど……。
 ──ねえ、恭司は、魔族が恐れる人間って、どんなものか分かる?』

 突然英祐にそんなことを聞かれて、恭司は意図が分からないまま首をひねった。

『……魔族が恐れる人間……?
 勇者たちは毎回魔王に到達する前に殺されてんだろ?なら、基本魔族の方が、人間よりも強えーってことじゃねえか。

 魔族が人間を恐れることなんて……そもそもあんのか?想像も出来ねえ……。』

『勇者たちは、人間を基準に考えてるから敵じゃないんだよ。

 ただの剣士や弓使いや魔法使いが幾ら来たって、対策方法が分かってるから、怖くもなんともないんだ。

 人間同士だって、この属性魔法にはこれ、って、対策して戦うでしょ?』
『そうだな?』

『対策方法が広く知られてるってことは、簡単に対策出来る相手ってことだ。

 あとはレベル差やステータスの差で決着がつくことになる。魔法使い同士の戦いなんかは、基本特にそうだよね。』

『だからアニキも魔法関連のスキルを集めてるし、匡宏がニナンガ王宮に攻め込んだ時もそうだったぜ?

 レベルの高い魔法を使われたら、レベル差で火力が増して勝てないんだろ?』

『それはとても単純な力押しに過ぎないんだ。現代魔法対現代魔法を想定した、ね。

 だけど、どれだけステータスやレベルの差があろうとも、魔族にはどうしようも出来ないものを、人間は稀に持っている。
 ──それがスキルなんだ。』

『スキル……?魔法以外の、ってことか?』
『そうさ。対人類なら、レベルの高い魔法スキルを集めることは有効だし、最も確実な方法と言えるね。

 だけど、魔族には存在しない、魔法以外のスキルこそが、魔族にとって本当の驚異なんだ。魔族と戦う気なら、そういうスキル持ちこそ集めるべきなんだよ。

 隠密は、どんな魔法にも、魔道具にも、スキルにも、サーチも解除もされない特殊スキルだよね。こと姿を隠すってだけにおいては最強と言っていい。

 そういう、魔法じゃどうしようもない、特殊なスキルってものを、稀に持っている人類こそ、魔族にとっての驚異なんだ。』

『だから今までどんだけ勇者を送り込んでも、魔族に勝てなかったのか……。』

『もちろん、現代魔法が通じにくい、アスタロト王子の古代魔法も脅威だけど、それは現代魔法しか操れない、人類にとっても同じことだ。

 だけど、生まれつき高いステータスを持ってる魔族にも、特殊なスキルの存在はどうしようもない。スキル以外の対抗手段がほぼほぼ存在しないのに、魔族には、僕以外にスキル持ちがいないから。

 ──魔王候補は、ステータスの高さで決まるんだ。僕は今、魔族の国で、魔王の次にステータスが高い。

 魔力の高さは他の生き物の繁殖や進化に影響を及ぼす。逆にそれがないと、魔族は子どもを作ろうとはしない。

 だからステータスの高い魔王の存在が、魔族には不可欠なんだけと……。』

 英祐はいつの間にか嫌な汗をかいていた。
『だけど、そんな僕でも、能力の分からないスキルには、対抗する手段がないんだ。

 匡宏がいれば相手のステータスから、スキルの詳細が見られるし、対抗出来るであろうスキルもたくさん持ってる。

 だからそこも問題ないと考えてたけど、匡宏が連れ去られるなんて考えてなかった。
 ……僕が甘かったんだ。

 どうしよう。……相手のスキル次第じゃ、みんなを守れないかも知れない。』

 英祐はブルブルと震える両手を、ぐっとテーブルの下で握りしめながら、必死に自分の恐怖をごまかしていた。

『落ち着けって。まだ俺たちもアンナも、攻撃されたってわけでもねーだろ。』
 恭司が思わず心配して英祐を見てしまう。

『なんで奴らが攻撃して来ないのかが分からない……。分からないから凄く怖いよ。

 蟲使いのスキルはたまたま知ってたから少しは分かるけど、他のスキルと組み合わせた時に、どんな効果を生み出すかまでは、僕には分からないんだ。

 僕の知らない能力だったらと思うと……。
 さっきから変な汗が止まらないんだ。

 アンナとママさんを置いて逃げる訳にはいけないし、姿を奪う男のこともあるし、アスタロト王子を1人にも出来ないから、すぐには匡宏を追っていけない。

 どうしたらいいんだ……。
 無事でいてくれ……匡宏……。』
 普段の学校にいた時の、臆病な英祐が顔を出し、祈るように俺の身を案じた。

「くっ……!空間転移!」
 俺は触手の拘束から、空間転移で抜け出した。目はなんとかまぶたを修復して両目を開けることが出来、俺は肩で息をした。

 だけど、剥がれ落ちた頭の皮膚は、あそこに落ちてるのを拾わないと修復出来ない。
 頭皮の一部が剥がれた俺の見た目は、今とても酷いことになっているのだろう。

「ほーお?面白いスキル持ってんだな。
 楽しくなってきやがったぜ。」

 ノアはあくまでも戦いが楽しくて仕方がないらしく、ボロボロの俺を見ながら、目を見開いて嬉しそうに笑っていた。

 クソッ!何が面白いってんだ!
「お前の持ってる力をすべて出せよ。
 そうしなきゃ、お前、ここで死ぬぜ?」

 ノアの言う通りだろう。古代魔法を操る魔物がいる限り、俺と俺のアンデッドの魔法攻撃は、ノアとノアの魔物に一切通らない。

 それなのに、ノアの操る魔物は、まだたったの2体しか、その能力を見せてはいないのだ。俺1人じゃ、戦うのにも守るのにも限界があった。

 まだ使ったことねえから、うまく操れるか分からねえけど、やるしかねえ……!!
 レベルアップしたことにより、同時に召喚出来る魔物の数も上がっている。

 俺はメモリーオーブを本の形で呼び出してめくった。そこに書かれているのは、俺が呼び出せる、過去に倒した魔物たち。

 俺はそれらを同時にすべて呼び出した。
「──召喚!!!」

 呼び出したのは、ネクロマンサー、セイレーン、コカトリス、バジリスク、メドゥーサ、カトブレパス、玉藻前。セイレーンは呼び出せるだけ呼び出した。

 そして、──俺が殺した、強盗をやっていた男。この近隣で死んだ強い魔物も、俺が存在を知っていれば呼び出せるけど、俺が認識してる死体がこれだけなのだ。

「セイレーン!混乱で触手を一斉攻撃!
 その間にお前は足元に落ちてるアレを拾ってこい!

 他の奴らは俺のガードと、触手からアレを取り戻すまで、強盗の男のサポート!」
「ほーお?やりゃあ出来んじゃねえか。」

 ノアが嬉しそうに笑う。攻撃してくるのを待っているのか、頭皮を拾う間、ノアは一切攻撃してこなかった。

 魔物には通りにくい混乱だけど、流石にセイレーンの数がいたから、触手の動きを封じることに成功した。

 強盗の男が拾って来た俺の頭皮を、回復魔法でくっつける。良かった……!なんとかくっついて元通りになる。

「ようやく戦いらしい戦いが出来そうで嬉しいぜ。ネクロマンサー同士の戦いは、こうでなくっちゃな。」
 ノアはあくまでも余裕の表情だった。

「簡単にやられると思うなよ。
 お前の魔物とスキル、この俺がいただいてやるぜ。」

「……出来るもんならやってみな。
 俺は産まれてこの方、負けってもんを知らねえのさ。

 一度知ってみたいと思ってたぜ。
 敗者の気持ちってやつをよ。」

「すぐに教えてやらあ!!
 かかってこいよ!
 戦闘狂のクソッタレ野郎!」

 魔物を従えた俺とノアは、互いに睨み合い、互いに魔物に指示を与えた。

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