勇者の孫は逆チート〜ハズレスキルしか手に入れられない不遇な男の、やがて英雄?になる物語〜

陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)

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第1話 僕のスキルは口にするのも恥ずかしいものでした②

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 ちなみにファミリーネームのように、名前と一族名の間に、別の一族名がはさまれるのは、既婚者の女性のみとなる。

 だから我が家の場合、父がマティアス・スワロスウェイカーで、母がジョヴァンナ・メディシス・スワロスウェイカーとなる。

 既婚者の場合、結婚式や葬式に参列する場合の服や、パーティーに参加する時の服も、既婚者専用のものを着なくてはならず、一見して既婚者だと分かるようになっている。

 のだが、それを知らないよそから来た冒険者だ、旅で近くに立ち寄った遠くの国の王子であるだとかが、毎年祖母に惚れてプロポーズする男たちがあとを絶たないのであった。

 ちなみにこれは、隣国であるイトゥルビデ王国から独立を勝ち取った際に、隣国の習慣を引き継いだもので、僕らのような貴族の間にだけ存在する決まりごとである。

 ちなみに我が家も祖父と祖母のおかけで、公爵家などという大層な地位を与えられてはいるが、元が平民の冒険者出身の勇者である祖父の影響で、普段の話し方やマナーなんかは、至って普通の庶民と変わらない。

 いざという時の為に、一応祖母と、元々貴族であった母より、マナーを習っている為、どこに出ても恥ずかしくなく出来るには出来るが、祖父のやり方の方が気楽でいいのだ。

 この決まりごとについては、今どき男尊女卑も甚だしいと、変更を提案する女性陣の活躍が近年目覚ましく、新興国である我が国的には、やがて消えゆくものであるのかも知れなかった。

 個人的には祖母を見た瞬間、既婚者と分かってあからさまにガッカリする男性陣の多さに、残しておいた方が変なトラブルに巻き込まれずに済むのになあ、と思ってもいた。

 今だってたまに強引な奴らがいるくらいなのだ。そのたびに、自身のレベルとステータスが、スコーンと頭から吹っ飛んだ祖父が、キレて見境なくあたりを破壊しては男どもを追っ払うことになり、その結果ご近所に謝りに行くのは、僕と父の役目なのである。

 時には、本来自分たちが治める領地の領民だけで済む筈の謝罪が、まれに隣の領地の貴族から、またですか、やかましいので勘弁していただきたい、との苦情を、かなり仰々しい正式な書面にて頂戴することとなる。

 祖母も祖父と肩を並べる程に強いので、放っておいてもそんな輩に全然勝てるのだが、幼げでか弱げな祖母の見た目に、祖父の中のオスの部分が爆発してしまうらしい。
 幼い頃は憧れた時もあったけど、いい年してラブラブなのも考えものである。

 鑑定師が僕の前に立ち、左手を差し出すように告げる。僕の差し出した左手を右手で包んだ鑑定師は、明らかに「?」を顔に浮かべて、大きく首を傾げた。

「申し訳ございません。もう片方の手にも、触れさせていただけませんでしょうか?」
 ちなみに鑑定は簡易なものであれば片手のみ、正確なものを調べる時は両手を使う。

 スキルの名前やステータスを確認するだけであれば、片手でことたりるが、ユニークスキルと呼ばれる珍しいスキルの場合、両手を使ってスキルの詳細までを確認しなければ、効果が分からないのだ。

 つまり僕にはユニークスキルが付与されている可能性があるということだ。あの祖父母のポテンシャルを引き継いだ僕の父も、騎士団の1部隊を任されており、孫である僕にも期待がかかる中での鑑定だった。

 そんな凄くなくていいのだ。勇者と王女を両親に持つ父の苦労は、嫌という程見てきている。

 騎士団の一角を担うなど、じゅうぶんに凄いことだのに、親が親だけに周囲の期待が大き過ぎて、それでも最低限レベルと見なされてしまう。

 祖父の両親は普通の人だったと言うし、祖父だけが一族の中で突然変異した、異質な存在であるだけだと理解して欲しい。

 僕は僕で、地に足をつけて頑張れるスキルがあれば、それでじゅうぶんなのだ。引退する頃くらいまでに英雄と呼ばれていたい気持ちはあるけれど。

 願わくば、剣を使うスキルでありますように。子どもの頃からずっと、鍛えてきたのだから。

 両手でしっかりと僕を鑑定した鑑定師が、僕の現在のステータスをハッキリと告げたあとで、生まれつき付与されているスキルを、モゴモゴと濁しながら告げる。

「……マクシミリアン・スワロスウェイカーさん、あなたのスキルは、──〈勃起不可〉です。」

 ?
 ???
 ?????
 その場にいた全員の頭にハテナがともる。

 美しく清らかな祖母様は、初めて聞いた言葉のように、「ぼ……?」とキョトンと首を傾げている。
 こんな言葉を彼女に聞かれて、僕は死ぬほど恥ずかしかった。

「あの……それはどういうスキルなのでしょうか?」
 なんの聞き間違いかと思った僕の父が、鑑定師に困った表情で尋ねる。

「どのような状況におかれましても、海綿体が充血しなくなる、とのみ書かれておりました。」
 鑑定師も困ったような表情を浮かべて、申し訳なそうにそれに答えた。

 かくして僕に与えられたスキルは、〈勃起不可〉唯一つのみと判明した。
 幼なじみのユスラン・イエーガーも既に鑑定を済ませていて、マジェスティアラン学園への進学を決めている。

 俺は〈風魔法レベル1〉と〈剣士〉だったぜ!
 お前のスキル、なんだったんだよ?
 と聞かれたが、う、うん、まあね、と適当に濁すしかなかった。

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