デイリーさんに叱られる〜転生先を奪われた悪役令息は、デイリーミッションで世界の秘密を知るようです〜

陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)

文字の大きさ
44 / 55

第44話 実行犯を救え

しおりを挟む
「くっ……!卑怯者……!」
「さあ、わかったらいつものように、これを王妃の食事に盛るんだ。」

 嫌そうに顔をそむけながらも、メリッサは相手が差し出した、茶色い布袋を受け取ったのだった。

 声で男だとだけわかるその人物の後を、念の為追いかけるよう、ギィに念話を送ったのだが、途中でまかれてしまったようだった。しょんぼりした顔でギィが戻って来る。

「……このように聖水には段階があり、上級ともなりますと、管轄祭司クラスでないと作れないものとされております。
 呪いは聖水でなければ解呪出来ないものであり、強い呪いは通常の祭司が作る聖水では解けないものとなるのですな。」

 ちょうど呪いについての授業をしていた家庭教師が、聖水についての説明をしてくれていた為、シルヴィオはしっかりと家庭教師を見つめた。

「先生、上級聖水は、どの程度手に入りにくいものなのでしょうか?」
 ラヴェール王子が家庭教師に質問する。

「管轄祭司自体の数が少ない為、非常に貴重なものだとされておりますな。だいたいこの国の伯爵家の領地の収益の、最低3年分とも言われます。まあ、滅多なことではそこまでの呪いにかかることもありませんがな。」

 小柄でモジャモジャした長い黒髪の家庭教師が、長いあごヒゲを引っ張りながら言う。

 呪いというのは、ダンジョンにいる呪いを使う魔物と遭遇する以外では、呪術師と呼ばれるスキルを持つ人間がかけることの出来るものなのだそうだ。

 だがそれだけに、呪術師のスキル持ちについては、各国でも大体把握をしている。
 だが孤児や奴隷の中に呪術師のスキル持ちがいた場合、国も把握出来ないケースがあると言う。

 貴族であるメリッサの父親がダンジョンに行くとは思えない為、国が把握していない呪術師に呪いをかけられたのかも知れなかった。

 上級聖水が伯爵家の領地の収益の3年分ともなれば、簡単に買える値段でもなければ、そもそも管轄祭司の数自体が少ないのであれば、作ってもらうことすら難しそうである。

 王宮に勤める侍女たちは、基本的に貴族の令息令嬢だと聞いている為、メリッサもどこかの貴族の筈であるが、上級聖水を手に入れる手段か、お金がなかったのであろう。

 つまり、デイリーさんはメリッサを救ってやりたいのだろう。上級聖水がデイリーミッションの報酬というのは、そういうことだ。

「僕と王妃さまは、セフィーラさまの加護と祝福で毒を打ち消してもらえましたが、それがあれば今後呪われたりしなくなりますか?」

「それは難しいですな。呪いも毒も、加護や祝福があってもかかりはするものです。授ける時にそれまでの状態異常はすべて打ち消されるものとされておりますが、それ以降新たに状態異常を防ぐものではありませんので。」

 つまりまたメリッサがまた毒を盛ろうと思えば、それは新たに毒を消す手段を考えなくてはならないと言うことだ。

 王宮側ではまだ犯人どころか、毒を入手したルートも掴めていない為、もちろん従者たちもそれを見越してグナの葉を、王妃の分まで用意することだろうが。

「特に王妃さまに盛られた毒は、銀の食器にも反応しない特別な物でした。多少の毒であれば、ラヴェール殿下の場合、加護に弾かれるかと存じますが、そういった特別なものや強い毒であれば、加護があっても毒におかされるかと存じます。」

 昨日の夕食の時点で既に、王妃さまの食事が出来た後、配膳前に毒見役が毒見をした後の料理を、更に小分けして、薬師と錬金術師に成分分析を依頼した。ですが、毒は検出されなかったようですね、とシーラがどこから仕入れてきた情報なのか、教えてくれた。

 既存の方法では見つけられない特殊な毒だということだ。それこそ、デイリーミッションでもなければ、犯人を見つけられないかも知れなかった。

【デイリーミッションクリア
 王妃を狙った犯人を突き止めよ・その1。
 侍女メリッサの秘密を探れ。
 報酬:上級聖水
 報酬は直接アイテムボックスに付与されます。】

 と文字が現れ、デイリーさんの声が聞こえた。さて、問題は、どう理由をつけて、この上級聖水をメリッサに手渡すかである。

 シルヴィオは、毒におかされていた王妃さまの体調が心配なので、面会したいとシーラを通じて申し込みをした。

 たとえ王子であっても、国王と王妃に面会する際には、事前に面会申請が必要という、なんとも他人行儀な話だった。

 すぐに許可が降り、明日、シルヴィオは王妃と昼食を共にすることとなった。
 ちょうど家庭教師の授業も休みの為、昼食の時間を長く取ってもらえますよ、とシーラに言われた。

 メリッサは王妃への給仕の為、その場に現れる筈である。翌日になると、シルヴィオはシーラを伴って王妃宮へと向かい、嬉しそうに待っていた王妃に、時間をとってもらえたことへのお礼をのべた。

【デイリーミッション
 王妃を狙った犯人を突き止めよ・その2。
 侍女メリッサに聖水を手渡せ。
 報酬:侍女メリッサと会っていた男の情報】

 シルヴィオが椅子に腰掛けると、デイリーミッションが発動する。メリッサは心なしか青ざめた様子で、王妃の食事を給仕していた。

────────────────────

X(旧Twitter)始めてみました。
よろしければアカウントフォローお願いします。
@YinYang2145675

少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
ランキングには反映しませんが、作者のモチベーションが上がります。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。

名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。 ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。 そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。 問題は一つ。 兄様との関係が、どうしようもなく悪い。 僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。 このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない! 追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。 それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!! それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります! 5/9から小説になろうでも掲載中

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

処理中です...