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第49話 背後にいる人物
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「もちろんそれだけではないけれど、それも大きな理由の1つね。一族取り潰しの憂き目に合うこともある貴族にとって、王宮でつかえることは名誉であると同時に、一族を人質に取られているようなものだから。」
「なるほど……。では余計に、父親を人質にとってメリッサさんを脅した、ということにならないでしょうか?」
「……そうだと思うわ。だからと言って、メリッサのしたことがなかったことにはならないわ。知られればシャクマーン辺境伯はただではすまないでしょう。」
「でも、それがわかっていて、メリッサさんは罪を告白したのですよね?情状酌量の余地があるのではないでしょうか?ひょっとしたら犯人につながる手がかりを持っているかも知れません。」
「そうね。もしも彼女が犯人を特定する材料を持っていれば、司法取引の余地はあるわ。だけど彼女を脅していた呪術師は、呪い返しで死んでしまった。その後ろにいる人間にたどり着ける程の情報を、彼女に握らせるような真似はしないでしょう。」
なら、自分が突き止めればよいのではないか?とシルヴィオは考えた。自分にはデイリーさんがついている。
シルヴィオのスキルでどうしようもなくとも、デイリーさんはメリッサを救いたいようだったし、手助けをしてくれるのではないかと思った。
「……ただ、わたくしとしては助けてあげたい気持ちもあるけれど、死罪にならずとも、王宮に勤めるのはもう無理でしょうね。万が一取り潰しを免れても、王宮の勤めを解雇されたことはいずれ知られるでしょうから、彼女は今後結婚も難しくなると思うわ。」
「……まあ、それはしょうでしょうね。」
なにせ長年王妃さまの命を狙い、場合によってはラヴェール王子もシルヴィオも死んでいた可能性すらあるのだ。
なにより、シルヴィオは生まれついての加護で得たスキルにより、毒を打ち消してしまっていたが、ラヴェール王子は王妃さまを通じて毒が体内に残っていたのだから。
親を人質に取られていたとはいえ、人を殺そうとしていたのだから、未遂と言えども今まで通りの生活を望める筈はない。
それでも彼女は罪を告白したのだ。救ってやりたい、とシルヴィオは思った。
そしてやはりというか、次の日になると、
【デイリーミッション。
王妃を狙った犯人を突き止めよ・その3。
侍女メリッサに聞き取り調査をせよ。
報酬:背後にいる人物の情報。】
という文字とデイリーさんの声が早速現れた。やはりデイリーさんはメリッサを救ってやりたいようである。
シルヴィオはシーラを通じてメリッサに面会を申し出たが、ここで問題が発生した。正式に拒否されてしまったのだ。
これには愕然としたが、普通に考えて王妃さまは自分が年齢よりも賢い息子であるから話をしてくれたのであって、司法の場はシルヴィオが王族であろうとも、その限りではないということだ。
当たり前と言えば当たり前であった。だが明日になればデイリーミッションはクリア出来なくなってしまう。それに連続クリアによる恩恵もなくなってしまう。
どうにかしてメリッサに会わなくてはならない。そこでふと、ギィやレルグたち眷属は、影を通じてあちこちに出入り出来ることを思い出した。
自分もそこを通ることが出来ないかな?と考えた。試しに影に入ってみようとしたが、どうしても、普段ギィやレルグたちがやるように、影に入り込むことが出来なかった。
「ねえ、ギィ、ギィたちは普段どうやって影の中をくぐってるの?」
「ギィ?」
なぜそんなことを聞くのだろう、とでも言いたげに、ギィは不思議そうに首を傾げた。
「僕も影の中を移動したいんだけど、やり方を教えてくれない?」
そう言うと、ギィがシルヴィオの手を取った。グイグイと引っ張ってくるので、ついて来いということだと思い、ギィに連れられるまま壁際へと移動する。
ギィはそのまま洋服タンスの物陰へと手を引いて移動したかと思うと、グイ、とシルヴィオを引っ張った。
「──!?」
トプン、と水音のような小さな音が聞こえた気がしたと同時に、足元が急に心もとなくなった。──落ちる!?
そう思ったが、それは一瞬の出来事で、暗闇の中に、ギィに手を引かれたまま、漂っている感じだった。特に苦しいとも感じない。
「ギィと一緒なら、僕も影の中に潜れるってこと?」
「ギィッ!」
ギィは嬉しそうにコクコクと頷いた。
ギィたちを眷属にしているシルヴィオ自身は直接は影の中に入れないが、ギィと一緒であれば影の中に入れるらしい。
もしも他の人間にもそれが可能なのであれば、誰か人を逃がしたい時なんかに使えそうだな、これ、と思いながら、シルヴィオはメリッサのところへ行きたいとギィに告げた。
暗くて前後左右も足元に地面があるのかすらもよく見えなかったが、ギィの姿は不思議とはっきり見えた。ギィに手を引かれるまま、シルヴィオは道なき道を歩いた。
────────────────────
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「……そうだと思うわ。だからと言って、メリッサのしたことがなかったことにはならないわ。知られればシャクマーン辺境伯はただではすまないでしょう。」
「でも、それがわかっていて、メリッサさんは罪を告白したのですよね?情状酌量の余地があるのではないでしょうか?ひょっとしたら犯人につながる手がかりを持っているかも知れません。」
「そうね。もしも彼女が犯人を特定する材料を持っていれば、司法取引の余地はあるわ。だけど彼女を脅していた呪術師は、呪い返しで死んでしまった。その後ろにいる人間にたどり着ける程の情報を、彼女に握らせるような真似はしないでしょう。」
なら、自分が突き止めればよいのではないか?とシルヴィオは考えた。自分にはデイリーさんがついている。
シルヴィオのスキルでどうしようもなくとも、デイリーさんはメリッサを救いたいようだったし、手助けをしてくれるのではないかと思った。
「……ただ、わたくしとしては助けてあげたい気持ちもあるけれど、死罪にならずとも、王宮に勤めるのはもう無理でしょうね。万が一取り潰しを免れても、王宮の勤めを解雇されたことはいずれ知られるでしょうから、彼女は今後結婚も難しくなると思うわ。」
「……まあ、それはしょうでしょうね。」
なにせ長年王妃さまの命を狙い、場合によってはラヴェール王子もシルヴィオも死んでいた可能性すらあるのだ。
なにより、シルヴィオは生まれついての加護で得たスキルにより、毒を打ち消してしまっていたが、ラヴェール王子は王妃さまを通じて毒が体内に残っていたのだから。
親を人質に取られていたとはいえ、人を殺そうとしていたのだから、未遂と言えども今まで通りの生活を望める筈はない。
それでも彼女は罪を告白したのだ。救ってやりたい、とシルヴィオは思った。
そしてやはりというか、次の日になると、
【デイリーミッション。
王妃を狙った犯人を突き止めよ・その3。
侍女メリッサに聞き取り調査をせよ。
報酬:背後にいる人物の情報。】
という文字とデイリーさんの声が早速現れた。やはりデイリーさんはメリッサを救ってやりたいようである。
シルヴィオはシーラを通じてメリッサに面会を申し出たが、ここで問題が発生した。正式に拒否されてしまったのだ。
これには愕然としたが、普通に考えて王妃さまは自分が年齢よりも賢い息子であるから話をしてくれたのであって、司法の場はシルヴィオが王族であろうとも、その限りではないということだ。
当たり前と言えば当たり前であった。だが明日になればデイリーミッションはクリア出来なくなってしまう。それに連続クリアによる恩恵もなくなってしまう。
どうにかしてメリッサに会わなくてはならない。そこでふと、ギィやレルグたち眷属は、影を通じてあちこちに出入り出来ることを思い出した。
自分もそこを通ることが出来ないかな?と考えた。試しに影に入ってみようとしたが、どうしても、普段ギィやレルグたちがやるように、影に入り込むことが出来なかった。
「ねえ、ギィ、ギィたちは普段どうやって影の中をくぐってるの?」
「ギィ?」
なぜそんなことを聞くのだろう、とでも言いたげに、ギィは不思議そうに首を傾げた。
「僕も影の中を移動したいんだけど、やり方を教えてくれない?」
そう言うと、ギィがシルヴィオの手を取った。グイグイと引っ張ってくるので、ついて来いということだと思い、ギィに連れられるまま壁際へと移動する。
ギィはそのまま洋服タンスの物陰へと手を引いて移動したかと思うと、グイ、とシルヴィオを引っ張った。
「──!?」
トプン、と水音のような小さな音が聞こえた気がしたと同時に、足元が急に心もとなくなった。──落ちる!?
そう思ったが、それは一瞬の出来事で、暗闇の中に、ギィに手を引かれたまま、漂っている感じだった。特に苦しいとも感じない。
「ギィと一緒なら、僕も影の中に潜れるってこと?」
「ギィッ!」
ギィは嬉しそうにコクコクと頷いた。
ギィたちを眷属にしているシルヴィオ自身は直接は影の中に入れないが、ギィと一緒であれば影の中に入れるらしい。
もしも他の人間にもそれが可能なのであれば、誰か人を逃がしたい時なんかに使えそうだな、これ、と思いながら、シルヴィオはメリッサのところへ行きたいとギィに告げた。
暗くて前後左右も足元に地面があるのかすらもよく見えなかったが、ギィの姿は不思議とはっきり見えた。ギィに手を引かれるまま、シルヴィオは道なき道を歩いた。
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