養っていただかなくても結構です!〜政略結婚した夫に放置されているので魔法絵師として自立を目指したら賢者と言われ義母にザマァしました!(続く)
陰陽@4作品商業化(コミカライズ他)
文字の大きさ
大中小
131 / 192
第56話 商会作成と離婚の準備①
しおりを挟む
「──アルベルト、だいじょうぶ?気を付けてね、怪我しないでね?」
「慣れてる。だいじょうぶ。」
強盗に風穴を開けあられてしまった屋根を修理する為、大工さんを紹介して欲しいと工房長にお願いしたところ、慣れているから自分がやるとアルベルトが名乗り出てくれた。
今アルベルトは、屋根の上に登って、強盗に開けられた巨大な穴を修理してくれているところだ。けれどいくら慣れているとは言っても、本職は絵の具職人なのだ。
そもそも危険な仕事に代わりはないし、ましてや本職でもないのにそんな仕事をして本当にだいじょうぶなのかしらと心配になる。
以前も屋根の上に乗って降りられなくなった子猫のザジーを、屋根の上に登って助けたと言っていたし、高いところが得意なのかしら?普段から屋根に登るとも言っていたわ。
けれどアルベルトは私の心配をよそに、手際よく屋根の穴を塞いで、なおかつ屋根を頑丈に補強してくれたのだった。
「終わった。もうだいじょうぶ。前より頑丈になった筈。心配ない。安心して。」
そう言って穏やかに微笑んだ。
「危険な仕事だったのにありがとう。お茶を入れるから飲んでいってちょうだい。」
私は代金はいらないというアルベルトに、少しでもお礼がしたくてそう提案した。
「俺の専用のティーカップで?」
「そうね、この間購入したティーカップを使いましょう。」
アルベルトと日用品の買い出しに行った時に、私はアルベルト専用のティーカップを購入していた。絵のモデルのこともあるし、頻繁に家に来るだろうと思ったのだ。
もちろん工房長とお父さまの分も購入してあるんだけれど、アルベルトは自分専用のティーカップがあることをいたく喜んでいた。
「騎士さまも、あなたの旦那さんも持ってない。俺だけの専用ティーカップ。だよね?」
「……?そうね?」
いったいぜんたい、そんなことの何がそんなに嬉しいのかしら?アルベルトはニコニコしながら、私の淹れたお茶を飲んでいた。
「おいしい。」
「そう、それは良かったわ。久しぶりに淹れたから、ちょっと自信がなかったの。」
「家じゃやらなかったの?」
「実家じゃしていたんだけれど、婚家では一応メイドってものがいたから。うちの実家は貧乏で、なんでも自分でやっていたのよ。」
「これからは、なんでも出来るようになる。ここはあなたの城だから。」
「そうね。これからは誰にも邪魔されずに生活が出来るのよね。料理も久しぶりよ。」
「早く食べてみたいな。」
「絵のモデルをしてくれる時に、休憩時間に振る舞う予定だから、楽しみにしていて。」
「……あの人は、もう食べたから。」
「あの人?」
「あなたの旦那さん。」
「ああ。でもあれは病人食というか、仕方がないじゃない?具合が悪い人を、いくら離婚しようとしているからって、放ってはおけないもの。振る舞ったつもりはないわよ?」
「でも、夜も食べた。」
「ああ……。なんか有耶無耶のうちに、料理させられたわね……。なんで私の手料理なんか、今更食べたがったのかわからないけど。」
「だから、早く食べたい。」
「うん?そうね?」
イザークが私の手料理を食べたことと、早く料理が食べたいことは何が関係するの?
「おかわりはどう?俺も、あなたにお茶を注いでいいかな?」
アルベルトは、相変わらずニコニコしている。やってみたかったのかしら?
「ええ、もちろん構わないけど。」
アルベルトがそう言ってくれたので、私はお茶のお代わりをカップに注いでもらった。
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
「慣れてる。だいじょうぶ。」
強盗に風穴を開けあられてしまった屋根を修理する為、大工さんを紹介して欲しいと工房長にお願いしたところ、慣れているから自分がやるとアルベルトが名乗り出てくれた。
今アルベルトは、屋根の上に登って、強盗に開けられた巨大な穴を修理してくれているところだ。けれどいくら慣れているとは言っても、本職は絵の具職人なのだ。
そもそも危険な仕事に代わりはないし、ましてや本職でもないのにそんな仕事をして本当にだいじょうぶなのかしらと心配になる。
以前も屋根の上に乗って降りられなくなった子猫のザジーを、屋根の上に登って助けたと言っていたし、高いところが得意なのかしら?普段から屋根に登るとも言っていたわ。
けれどアルベルトは私の心配をよそに、手際よく屋根の穴を塞いで、なおかつ屋根を頑丈に補強してくれたのだった。
「終わった。もうだいじょうぶ。前より頑丈になった筈。心配ない。安心して。」
そう言って穏やかに微笑んだ。
「危険な仕事だったのにありがとう。お茶を入れるから飲んでいってちょうだい。」
私は代金はいらないというアルベルトに、少しでもお礼がしたくてそう提案した。
「俺の専用のティーカップで?」
「そうね、この間購入したティーカップを使いましょう。」
アルベルトと日用品の買い出しに行った時に、私はアルベルト専用のティーカップを購入していた。絵のモデルのこともあるし、頻繁に家に来るだろうと思ったのだ。
もちろん工房長とお父さまの分も購入してあるんだけれど、アルベルトは自分専用のティーカップがあることをいたく喜んでいた。
「騎士さまも、あなたの旦那さんも持ってない。俺だけの専用ティーカップ。だよね?」
「……?そうね?」
いったいぜんたい、そんなことの何がそんなに嬉しいのかしら?アルベルトはニコニコしながら、私の淹れたお茶を飲んでいた。
「おいしい。」
「そう、それは良かったわ。久しぶりに淹れたから、ちょっと自信がなかったの。」
「家じゃやらなかったの?」
「実家じゃしていたんだけれど、婚家では一応メイドってものがいたから。うちの実家は貧乏で、なんでも自分でやっていたのよ。」
「これからは、なんでも出来るようになる。ここはあなたの城だから。」
「そうね。これからは誰にも邪魔されずに生活が出来るのよね。料理も久しぶりよ。」
「早く食べてみたいな。」
「絵のモデルをしてくれる時に、休憩時間に振る舞う予定だから、楽しみにしていて。」
「……あの人は、もう食べたから。」
「あの人?」
「あなたの旦那さん。」
「ああ。でもあれは病人食というか、仕方がないじゃない?具合が悪い人を、いくら離婚しようとしているからって、放ってはおけないもの。振る舞ったつもりはないわよ?」
「でも、夜も食べた。」
「ああ……。なんか有耶無耶のうちに、料理させられたわね……。なんで私の手料理なんか、今更食べたがったのかわからないけど。」
「だから、早く食べたい。」
「うん?そうね?」
イザークが私の手料理を食べたことと、早く料理が食べたいことは何が関係するの?
「おかわりはどう?俺も、あなたにお茶を注いでいいかな?」
アルベルトは、相変わらずニコニコしている。やってみたかったのかしら?
「ええ、もちろん構わないけど。」
アルベルトがそう言ってくれたので、私はお茶のお代わりをカップに注いでもらった。
────────────────────
少しでも面白いと思ったら、エピソードごとのイイネ、または応援するを押していただけたら幸いです。
170
あなたにおすすめの小説
年に一度の旦那様
五十嵐
恋愛
愛人が二人もいるノアへ嫁いだレイチェルは、領地の外れにある小さな邸に追いやられるも幸せな毎日を過ごしていた。ところが、それがそろそろ夫であるノアの思惑で潰えようとして…
しかし、ぞんざいな扱いをしてきたノアと夫婦になることを避けたいレイチェルは執事であるロイの力を借りてそれを回避しようと…
侯爵令嬢ソフィアの結婚
今野綾
恋愛
ソフィアは希少なグリーンアイを持つヴィンセントと結婚したが、これは金が欲しいソフィアの父の思惑と高い爵位が欲しいヴィンセントの思惑が一致したからに過ぎない
そもそもヴィンセントには美しい恋人がいる
美男美女と名高いヴィンセントとその恋人は身分に大きな差があるために結婚することは叶わないのだ
その事をソフィアも耳にしており、この結婚が形ばかりのものであることを知っていた
結婚して早々、ソフィアは実家から連れてきた侍女夫婦とあばら家に住むように言われて…
表紙はかなさんです✨
ありがとうございます😊
2024.07.05
【完】夫から冷遇される伯爵夫人でしたが、身分を隠して踊り子として夜働いていたら、その夫に見初められました。
112
恋愛
伯爵家同士の結婚、申し分ない筈だった。
エッジワーズ家の娘、エリシアは踊り子の娘だったが為に嫁ぎ先の夫に冷遇され、虐げられ、屋敷を追い出される。
庭の片隅、掘っ立て小屋で生活していたエリシアは、街で祝祭が開かれることを耳にする。どうせ誰からも顧みられないからと、こっそり抜け出して街へ向かう。すると街の中心部で民衆が音楽に合わせて踊っていた。その輪の中にエリシアも入り一緒になって踊っていると──
魅了魔法…?それで相思相愛ならいいんじゃないんですか。
iBuKi
恋愛
サフィリーン・ル・オルペウスである私がこの世界に誕生した瞬間から決まっていた既定路線。
クロード・レイ・インフェリア、大国インフェリア皇国の第一皇子といずれ婚約が結ばれること。
皇妃で将来の皇后でなんて、めっちゃくちゃ荷が重い。
こういう幼い頃に結ばれた物語にありがちなトラブル……ありそう。
私のこと気に入らないとか……ありそう?
ところが、完璧な皇子様に婚約者に決定した瞬間から溺愛され続け、蜂蜜漬けにされていたけれど――
絆されていたのに。
ミイラ取りはミイラなの? 気付いたら、皇子の隣には子爵令嬢が居て。
――魅了魔法ですか…。
国家転覆とか、王権強奪とか、大変な事は絡んでないんですよね?
いろいろ探ってましたけど、どうなったのでしょう。
――考えることに、何だか疲れちゃったサフィリーン。
第一皇子とその方が相思相愛なら、魅了でも何でもいいんじゃないんですか?
サクッと婚約解消のち、私はしばらく領地で静養しておきますね。
✂----------------------------
不定期更新です。
他サイトさまでも投稿しています。
10/09 あらすじを書き直し、付け足し?しました。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
誤解は解きません。悪女で結構です。
砂礫レキ
恋愛
オルソン家の伯爵令嬢エリカ。彼女は亡き母がメイドだった為に異母姉ローズとその母によって長年虐げられていた。
二人から男好きの悪女の噂を流布され、それを真に受けた結婚相手に乱暴に扱われそうになる。
その瞬間エリカは前世の記憶を思い出した。そして今の自分が「一輪の花は氷を溶かす」という漫画のドアマットヒロインに転生していることに気付く。
漫画の内容は氷の公爵ケビン・アベニウスが政略結婚相手のエリカを悪女と思い込み冷遇するが、優しさに徐々に惹かれていくという長編ストーリーだ。
しかし記憶を取り戻した彼女は呟く。「そんな噂を鵜呑みにするアホ男なんてどうでもいいわ」
夫からの愛を求めない新生エリカは悪女と呼ばれようと自分らしく生きることを決意するのだった。
【完】王妃の座を愛人に奪われたので娼婦になって出直します
112
恋愛
伯爵令嬢エレオノールは、皇太子ジョンと結婚した。
三年に及ぶ結婚生活では一度も床を共にせず、ジョンは愛人ココットにうつつを抜かす。
やがて王が亡くなり、ジョンに王冠が回ってくる。
するとエレオノールの王妃は剥奪され、ココットが王妃となる。
王宮からも伯爵家からも追い出されたエレオノールは、娼婦となる道を選ぶ。
【完結】旦那は堂々と不倫行為をするようになったのですが離婚もさせてくれないので、王子とお父様を味方につけました
よどら文鳥
恋愛
ルーンブレイス国の国家予算に匹敵するほどの資産を持つハイマーネ家のソフィア令嬢は、サーヴィン=アウトロ男爵と恋愛結婚をした。
ソフィアは幸せな人生を送っていけると思っていたのだが、とある日サーヴィンの不倫行為が発覚した。それも一度や二度ではなかった。
ソフィアの気持ちは既に冷めていたため離婚を切り出すも、サーヴィンは立場を理由に認めようとしない。
更にサーヴィンは第二夫妻候補としてラランカという愛人を連れてくる。
再度離婚を申し立てようとするが、ソフィアの財閥と金だけを理由にして一向に離婚を認めようとしなかった。
ソフィアは家から飛び出しピンチになるが、救世主が現れる。
後に全ての成り行きを話し、ロミオ=ルーンブレイス第一王子を味方につけ、更にソフィアの父をも味方につけた。
ソフィアが想定していなかったほどの制裁が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる