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第72話 ハードラックへの制裁⑤
:ファ!?
:ワイアームのスピードがいきなり上がったぞ!?
:なんだあの動き!?
:イレギュラーみたいだな
:でもフロアボスだろ?
:フロアボスがフロアボスのエリアでイレギュラー化するなんて聞いたことないぞ?
リスナーたちは突然動きを変えたワイアームにざわつきだした。美織はその動きを見て獄寺ちょこと目線を合わせてうなずいた。
「──来ましたね。」
「たぶん間違いないわね。」
美織たちはいつかこれが起きることを予想していた為冷静だった。
「中尾を探しましょう。」
「リスナーにも探させよ。ドローンの映像のどっかに、映ってるかもしんないし!」
「確かに。そうですね。」
美織はコックリとうなずいた。
「皆さん!映像の中に人がいないか、目をこらして見てみてください!ワイアームを操っている人が、このフロア内にいる筈です!」
:ワイアームを操ってる人間?
:テイマーがいるってことか?
:それか洗脳持ちだな
:洗脳持ちだろ
:捕獲もしてない、戦ってもない魔物をテイマーがテイム出来るわけがない
:捕獲のスキルあれば、弱ってれば遠くからでもいけるぞ、知らんのか
:マ?
:どっちでもいい!探せ!この世のすべてをそこに置いてきた!
リスナーたちは配信画面の中に、人間の姿を探した。20万人の目が画面の隅々まで中止する。そして中尾は一瞬で見つかった。
:いた!
:どこ?
:入口の岩陰の後ろ!
:マジだ、スーツ着てるやつがいる
美織はコメントを見て、入口近くを注視した。するとそこに、角度によってはほんの少しはみ出しているスーツ姿の男を発見した。
「──ちょこさん。いました。中尾です。例のやつをお願いします。」
「オッケー。まかしといてよ。」
獄寺ちょこは隠密で姿を消しつつ、移動速度強化でワイアームに近付き、スピードの上がったワイアームの動きに追いつくと、ワイアームの口の中に黒っぽい玉を投げ入れた。
それを思わずゴクリと飲み込んでしまうワイアーム。そしてしばらくすると、
「ギュオアアアアアア!」
と変な雄叫びを上げて苦しみ始めた。
中尾はそれを見てギョッとする。ワイアームの姿がどんどんと変色していき、そしてその体が突然──ドロリと溶けた。次の瞬間、中尾のテイムがワイアームから外れた。
「──!?まさか……アンデッド化しやがったのか!?」
中尾はワイアームがテイムから外れたことで、アンデッド化が確実であることを認識する。
テイマーはアンデッドをテイム出来ない。それはネクロマンサーの領域だからだ。
中尾の制御から外れて、突如アンデッド化したワイアームに、リスナーが驚愕する。
:アンデッド化!?
:なんでだ!?
:アンデッド化のスキル持ちがいるのか!?
:アンデッド化のスキル持ち?
:いるんだよ、そういうスキルのやつが
リスナーの予想通りだった。美織は女神の息吹のギルド員、ネクロマンサーの深見のスキルの力を借りたのだ。
ネクロマンサーはアンデッドがいなければ無能なスキルだが、深見は強制アンデッド化をさせるスキルも持ち合わせていた。食べれば強制的に魔物をアンデッド化する丸薬を、1日に1つ作ることが出来る。
美織はまず墨田の複写のスキルの力を借りて、中尾が狙っていた祈りの指環を複写してもらい、沙保里を通じて大山に手渡した。
中尾がオークションに出すであろうこと、だが自分しかドロップしていないことが知られているから、闇オークションでないとさばけないであろうことを予想していたのだ。
闇オークションがどんなところであるのかは、阿平に以前聞いて知っていた。オークションに出した品物を差し出せなければ、制裁に合うということを。
そして複写で作ったアイテムを渡したら、表のオークションからも、闇オークションからも追放され、金を返したところで許してはもらえないということも。
祈りの指環を狙ったことで、金を手に入れてもそれは何らかの形で失われるだろうことは、阿平が予想し美織に伝えていた。
鎌ヶ谷議員の失脚に、祈りの指環が絡んでいたという情報を掴んだのだ。そこまでの呪いの力を持つ祈りの指環を狙い、沙保里の家族まで襲ったことで、確実に呪いが発動するであろう、と。
だからあえて複写で作った祈りの指環を渡し、闇オークションサイドを怒らせることにしたのだった。
闇オークションから狙われた中尾は、本物の祈りの指輪を手に入れる為に自分を狙ってくるだろうと思っていた。中尾のスキルは事前に阿平から聞いて知っている。魔物の動きが変わった時。それが中尾が現れた合図だ。
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:ワイアームのスピードがいきなり上がったぞ!?
:なんだあの動き!?
:イレギュラーみたいだな
:でもフロアボスだろ?
:フロアボスがフロアボスのエリアでイレギュラー化するなんて聞いたことないぞ?
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「──来ましたね。」
「たぶん間違いないわね。」
美織たちはいつかこれが起きることを予想していた為冷静だった。
「中尾を探しましょう。」
「リスナーにも探させよ。ドローンの映像のどっかに、映ってるかもしんないし!」
「確かに。そうですね。」
美織はコックリとうなずいた。
「皆さん!映像の中に人がいないか、目をこらして見てみてください!ワイアームを操っている人が、このフロア内にいる筈です!」
:ワイアームを操ってる人間?
:テイマーがいるってことか?
:それか洗脳持ちだな
:洗脳持ちだろ
:捕獲もしてない、戦ってもない魔物をテイマーがテイム出来るわけがない
:捕獲のスキルあれば、弱ってれば遠くからでもいけるぞ、知らんのか
:マ?
:どっちでもいい!探せ!この世のすべてをそこに置いてきた!
リスナーたちは配信画面の中に、人間の姿を探した。20万人の目が画面の隅々まで中止する。そして中尾は一瞬で見つかった。
:いた!
:どこ?
:入口の岩陰の後ろ!
:マジだ、スーツ着てるやつがいる
美織はコメントを見て、入口近くを注視した。するとそこに、角度によってはほんの少しはみ出しているスーツ姿の男を発見した。
「──ちょこさん。いました。中尾です。例のやつをお願いします。」
「オッケー。まかしといてよ。」
獄寺ちょこは隠密で姿を消しつつ、移動速度強化でワイアームに近付き、スピードの上がったワイアームの動きに追いつくと、ワイアームの口の中に黒っぽい玉を投げ入れた。
それを思わずゴクリと飲み込んでしまうワイアーム。そしてしばらくすると、
「ギュオアアアアアア!」
と変な雄叫びを上げて苦しみ始めた。
中尾はそれを見てギョッとする。ワイアームの姿がどんどんと変色していき、そしてその体が突然──ドロリと溶けた。次の瞬間、中尾のテイムがワイアームから外れた。
「──!?まさか……アンデッド化しやがったのか!?」
中尾はワイアームがテイムから外れたことで、アンデッド化が確実であることを認識する。
テイマーはアンデッドをテイム出来ない。それはネクロマンサーの領域だからだ。
中尾の制御から外れて、突如アンデッド化したワイアームに、リスナーが驚愕する。
:アンデッド化!?
:なんでだ!?
:アンデッド化のスキル持ちがいるのか!?
:アンデッド化のスキル持ち?
:いるんだよ、そういうスキルのやつが
リスナーの予想通りだった。美織は女神の息吹のギルド員、ネクロマンサーの深見のスキルの力を借りたのだ。
ネクロマンサーはアンデッドがいなければ無能なスキルだが、深見は強制アンデッド化をさせるスキルも持ち合わせていた。食べれば強制的に魔物をアンデッド化する丸薬を、1日に1つ作ることが出来る。
美織はまず墨田の複写のスキルの力を借りて、中尾が狙っていた祈りの指環を複写してもらい、沙保里を通じて大山に手渡した。
中尾がオークションに出すであろうこと、だが自分しかドロップしていないことが知られているから、闇オークションでないとさばけないであろうことを予想していたのだ。
闇オークションがどんなところであるのかは、阿平に以前聞いて知っていた。オークションに出した品物を差し出せなければ、制裁に合うということを。
そして複写で作ったアイテムを渡したら、表のオークションからも、闇オークションからも追放され、金を返したところで許してはもらえないということも。
祈りの指環を狙ったことで、金を手に入れてもそれは何らかの形で失われるだろうことは、阿平が予想し美織に伝えていた。
鎌ヶ谷議員の失脚に、祈りの指環が絡んでいたという情報を掴んだのだ。そこまでの呪いの力を持つ祈りの指環を狙い、沙保里の家族まで襲ったことで、確実に呪いが発動するであろう、と。
だからあえて複写で作った祈りの指環を渡し、闇オークションサイドを怒らせることにしたのだった。
闇オークションから狙われた中尾は、本物の祈りの指輪を手に入れる為に自分を狙ってくるだろうと思っていた。中尾のスキルは事前に阿平から聞いて知っている。魔物の動きが変わった時。それが中尾が現れた合図だ。
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