【完結】JK退魔師と解呪師の罠 ~天才姉妹・凜と雪菜は二人溶け合いながら堕ちていく~

吉田定理

文字の大きさ
5 / 11

5、調査

しおりを挟む
 柏崎家の家の敷地には立派な蔵がある。退魔師として名高い名家だけあって、霊的な力を持った道具や武具、妖魔に関する古い資料などが、大切に保管されている。とはいえ、二人が幼いとき、蔵でかくれんぼをしたり、霊的な道具をおもちゃにして遊んでいたこともあるのだが。
 土曜日、凜と雪菜は母に許可を得て、久しぶりに蔵に踏み入った。雪菜の呪いを解く方法を見つけるためだ。母に相談すれば、あっさりと教えてもらえる可能性もあるが、「母には何も言わない」が、あの水泳の時間の一件以来、二人の約束だった。
 蔵の中はどこもかしこも厚くほこりが積もっていて、黴臭かった。段ボールを一つ一つ開けて、詰め込まれている古書を確認していくと、妖術や呪いへの対処法が詳しく解説されている本を発見した。
 裸電球の明かりの下、二人で額を突き合わせて紙面をのぞき込む。
「あ、これじゃない?」
 凜が指差したところには、性器が肥大化したり奇形化した人間のイラストが描かれていた。
「うん、これだね……」
「読めるか?」
「大丈夫」
 古文の成績がいい雪菜が文章を解読する。
「なんて書いてあった?」
 凜の質問に、雪菜はすぐには答えず、視線を泳がせた。
「いちおう、三つあるって」
「三つもあるのか。ラッキーだな。それで?」
「一つ目は、方法というか、放っておけば自然に元に戻るみたい」
「なんだ、自然に治るのか」凜は何か特別な薬でも必要になるかと想像していたので、回答を聞いてほっとした。
「それで、他は?」
「二つ目は、呪いを編んだ妖魔を殺す」
「ん? スライムはあたしがやっつけたぞ?」
「スライムは呪いの運び屋みたいなものだったのかも。あれが呪いを編めるほどの知能を持っているとも思えないし。だからたぶん、呪いを編んだのは、スライムじゃないんだと思う」
「そうか。そうなると、妖魔の王が犯人だな? あれを倒さなきゃならないわけだ」
 これは大変だな、と凜は思った。
「で? あと一つは?」
「ええと……それが……」雪菜が急にそわそわ、もじもじし始めた。「三つ目は、せ、精子を、全部吐き出させることだって、書いてある」
「それって……」凜は妹の顔を、間近でまじまじと見つめた。「この前みたいなことを、どんどんやればいいってわけだな?」
「それは、だめ」
 雪菜がぶんぶん首を振って拒否した。
「なんで? 妖魔の王と戦うより安全だし、ただ待つだけより、早いだろ?」
「それはそうだけど……さすがに……ちょっと……」
 雪菜の顔は真っ赤だ。あの日の行為を思い出したのかもしれない。呪いのせいだとはいえ、毎日のように、自分の股間に生えた立派なものをしごいているのに、相変わらずそっちの話は苦手らしい。
「あたしは、全然構わないけど? むしろ、それが雪菜のためになるなら、協力する」
「……だめ。恥ずかしすぎるから」
 凜は、消えそうな声で拒否する雪菜を、本当に可愛いと思って、ちょっとドキドキした。仕切りなおすように、古書の一か所を指差す。
「ところでさ、この説明はなんなの?」
「これは……呪いの説明。この呪いで生えた……アレには、女性を妊娠させる力はないんだって。毒もないし、呪いがうつるようなこともないって」
「じゃあ飲んでも大丈夫なわけだ?」
「の、飲む!?」雪菜が嫌悪と驚愕で複雑な顔をした。潔癖で、そういう行為に疎い雪菜が嫌がるのも無理はないだろう。もしかしたら、全く知らないのかもしれない。
「飲みたいわけじゃない。例えばの話だ」
「変なこと言わないでよ」
「まあ、これで解決策は分かった。一番早くて分かりやすいのは、妖魔の王を退治することだけど、居場所も分からないしな」
「退魔師協会の人たちが早く動いてくれるといいんだけど……」
「年寄りってフットワークがないからなぁ。何もしないで待つくらいなら、やっぱり精を吐き出させて……」
 凜が視線を雪菜の下半身に向けると、雪菜は「だめっ! そんなこと、だめ!」と再び顔を赤らめた。「わたしのことは、わたしが何とかする」
「それが苦しいから、あたしが手伝ってるんだろ? 全部雪菜一人でやらなきゃって、思わなくていいんだ。あたしら、双子の姉妹だろ?」
「お姉ちゃん……」雪菜はハッとして、それから子犬のようにしゅんとした。「ごめんなさい」
「そうだ。あたしらも、妖魔の王を探そう。そうすれば、協会に任せておくより、早く解決するだろ?」
「でも……」
「深追いしなきゃ大丈夫だ。あたしらで王を見つけて、有力な情報を協会に持っていけば、評価してもらえるはずだ。今度こそ、母さんの期待に応えられる」
「お母さんの期待に……」雪菜は遠くを見るような目で呟いた。不意に顔を上げて、意志ある目で凜を見た。「わたし、期待に応えたいよ」
「じゃあ、午後は妖魔の王の居場所を突き止めようか。何かいい方法ない?」二人は蔵を出て、部屋に戻った。考えるのは雪菜のほうが得意だ。
「うーん……。わたしたちは何も情報を持ってないし、とりあえず、最近の妖魔の出没情報を集めて、地図にプロットしてみるとか。他には、妖魔との関連が分かっていない事件や異変を、調べてみるとか」
「地図とか新聞とかは雪菜の得意分野だな。あたしは何ができる?」
「お姉ちゃんは、教会関係者にそれとなく聞き込みできる?」
「オーケー、やってみる。じゃ、昼ご飯食べたら、さっそく始めようか」


 その後、地道な調査によって、二人は妖魔の王が潜んでいそうな場所に当たりをつけた。ほとんど人が立ち入りそうにない、さびれた場所だ。母や協会にこのことを打ち明ける前に、二人で確かめに行くことにした。ただの推測ではなく、確実な、価値ある情報を提供したかったからだ。
「……お姉ちゃん」
 その日の夜、凜がお風呂から上がって、髪を乾かし終わった頃。雪菜が部屋にやってきた。
「明日のこと、最後に確認しておこうと思って。……入ってもいい?」
「入りな」
 ドアがためらいがちに開き、夏用のパジャマ姿で、髪を一つにまとめた雪菜が入ってきた。
 姉妹のパジャマはおそろいの色違いだ。凜が水色、雪菜がピンク。前にボタンが並んでいて、そでやすそには白のフリルが可愛らしくあしらわれている。襟元から少しだけのぞく雪菜の鎖骨や首筋は、新雪のように滑らかで綺麗だ。
 二人はテーブルを挟んで座り、明日の行動予定を確認した。次に雪菜がごちゃごちゃとプロットした地図を広げた。移動ルートや周囲の地形などを確認しておくためだ。
「雪菜、サカサマじゃ見づらいからこっち来な」
「う、うん」
 雪菜がずいぶん距離を開けて、凜の隣に腰を下ろした。
 たかだが数十センチの距離だが、これがいつの間にかできてしまった、雪菜と自分の距離なのだな、と凜は思った。
 その後も二人は微妙な距離を保ったまま、全ての確認を滞りなく終えた。
「……お姉ちゃん、わたしなんかのために、ごめんなさい」
 雪菜が申し訳なさそうに言った。
「双子の姉妹なんだから。このくらい当たり前だ。遠慮するな」凜は妹の頭に手を乗せ、くしゃくしゃと撫でてやった。「ところで、どうなんだ? 弓は当たるようになったか?」
「弓は、まだだめ。当たる日もあるけど、当たらない日もあるよ」
「当たる日と当たらない日は何が違う?」
「それは……」雪菜が顔を背ける。頬が赤くなっている。「…………」
「明日、妖魔に出くわす可能性もなくはないだろ? だから、大事だと思ってな」
「そうだね。そうだよね」雪菜は消えそうな声で繰り返したあと、たっぷり二十秒ほど沈黙し、ようやく口を開いた。「あれのせいで、集中力が散漫になるの。今までみたいに、透明で澄んだ心を取り戻そうとするんだけど、うまくできない。わたし、やらしいことを考えてる。穢れた心で弓を引くから、当たらないんだって、自分でも分かる」
「性欲がコントロールできないってこと?」
「コントロール、できてないと思う。いっぱい、出すと、少しの間は、おさまってくれるんだけど。だんだんまた、おさえられなくなる。わたし、スライムみたいな下級の妖魔に、こんなに心を乱されて、もう退魔師なんて名乗れないよ」雪菜が両手で顔を抑えた。指の間から、ぽたりぽたりと、大粒の涙が零れ落ちる。「授業の間も、友達とおしゃべりしてるときも、弓を握っているときも……やらしいことばっかり考えてる自分がいるの。あれを触りたいって思っている、最低な自分がいるの。本当のわたしが何なのか、わたしはもう、分からない。自分が大嫌いになりそう……」
「本当の雪菜……」凜は自分が想像していた以上に、雪菜が追い込まれていると知って、自分のことのように、胸の奥が痛んだ。「あたしにとっての雪菜は、雪菜だ。どんな雪菜だって、雪菜だ」
「こんなに、やらしいことばっかり考えてる、わたしも?」
「そうだ。あたしはどんな雪菜だって受け入れる。みんなが雪菜を否定して、遠ざけても、あたしだけは、ずっと隣にいてやる」凜は雪菜の背中に手を回し、体を引き寄せた。甘く、青い香りが、鼻孔をくすぐる。「だから、心配するな。大丈夫だ、きっと」
 腕の中で、雪菜が頷いた。
「お姉ちゃん……」
 雪菜は声を上げて泣いた。
 ああ、こうして、妹を抱きしめたのは、何年振りだろうか――。
 凜は、雪菜が泣き止むまで、抱きしめ、頭を撫で、背中をさすっていた。
 やがて嗚咽が聞こえなくなると、体を離し、ティッシュで涙の跡と鼻水を拭いてやる。
「あーあ、赤ちゃんみたいな顔になっちゃって」
「お姉ちゃんのパジャマ、染みちゃった」
「あたしのほうは別に構わない」
「でも……」
 雪菜が腰を浮かせて、前かがみになって、ティッシュに手を伸ばした。緩い襟元から、控えめな膨らみを包む下着が見えたとき、凜は自分の体の奥底に、熱いものが生まれたのを感じた。反射的に、雪菜の体を後ろから抱きしめた。
「みゃっ!?」雪菜が子猫みたいな声を出した。「お姉ちゃん!?」
「雪菜の体、柔らかくて、温かくて、女の子って感じ」
「だって、女の子だよ」
「でも、今は、これが生えてる」
「あっ……」凜の右手が、雪菜の体の唯一男らしい部分をなぞると、雪菜は鼻に詰まったような声をこぼした。
「おっきくなってる」凜はパジャマ越しに指を這わせ、大きさと形を確かめた。「それに、硬いな」
「それ、ちがうっ……」
「違うって、何が?」硬いものに沿って、凜は指先を往復させた。とくん、とそれが動いた。「いま、感じたんだな?」
「そんなこと、ない」雪菜が足を閉じる。凜の手は太ももに挟まれて動かせなくなった。
「もし今ここに、妖魔が出たとして、弓を引いたら、当てられる?」
 雪菜は問に答えなかった。
 体を重ねた二人の顔は間近にあって、凜には、雪菜の蒸気した頬の、その熱まで感じられそうなくらいだった。
「明日のためにも、今晩のうちに、多めに出しておいたほうがいい」
「で、でも……」
 雪菜が否定しようとして口を開いたとき、凜は自由なほうの手で、雪菜の胸を鷲掴みにした。
「ひゃうぅ!?」
 雪菜が飛び上がりそうになって、足が開いて、止めていたほうの手も再び動かせるようになった。アレを包み込むようにして、手のひら全体で、上から下まで、さする。雪菜のパジャマに、その形が、浮き上がるくらいに。
「おねえ、ちゃん……!?」
「何? 痛い?」
「そうじゃ、……ぁ……ん……、なくて……。んぁ……、待って……、はぁ……、すこしだけ……待って……、っ……」
「待たない。だって、ちゃんと睡眠も必要だし。時間は大事だぞ」
「んあぁ……」
 凜は雪菜の背中に胸を押しつける格好で、片手で胸を、片手で男の部分を刺激する。雪菜は言葉では抵抗を示すが、暴れたり逃げようとしたりせず、時折刺激に反応して、小刻みに全身を震わせた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

久しぶりに帰省したら私のことが大好きな従妹と姫はじめしちゃった件

楠富 つかさ
恋愛
久しぶりに帰省したら私のことが大好きな従妹と姫はじめしちゃうし、なんなら恋人にもなるし、果てには彼女のために職場まで変える。まぁ、愛の力って偉大だよね。 ※この物語はフィクションであり実在の地名は登場しますが、人物・団体とは関係ありません。

身体だけの関係です‐原田巴について‐

みのりすい
恋愛
原田巴は高校一年生。(ボクっ子) 彼女には昔から尊敬している10歳年上の従姉がいた。 ある日巴は酒に酔ったお姉ちゃんに身体を奪われる。 その日から、仲の良かった二人の秒針は狂っていく。 毎日19時ごろ更新予定 「身体だけの関係です 三崎早月について」と同一世界観です。また、1~2話はそちらにも投稿しています。今回分けることにしましたため重複しています。ご迷惑をおかけします。 良ければそちらもお読みください。 身体だけの関係です‐三崎早月について‐ https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/500699060

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

春に狂(くる)う

転生新語
恋愛
 先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。  小説家になろう、カクヨムに投稿しています。  小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/  カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

小さくなって寝ている先輩にキスをしようとしたら、バレて逆にキスをされてしまった話

穂鈴 えい
恋愛
ある日の放課後、部室に入ったわたしは、普段しっかりとした先輩が無防備な姿で眠っているのに気がついた。ひっそりと片思いを抱いている先輩にキスがしたくて縮小薬を飲んで100分の1サイズで近づくのだが、途中で気づかれてしまったわたしは、逆に先輩に弄ばれてしまい……。

処理中です...