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その4(おわり)
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ほっぺたが痛い。息が苦しい。重いものに潰されているような圧迫感と息苦しさ。
そして、暑い!
「お兄ちゃん! 何してんの!」
この声は……妹のシオン。またかよ。俺は生きているのか?
「寝ぼけてないで早く起きなさいよ! 今日、入学式なんでしょ? 遅れるよ!」
目を開けると、シオンの足の裏とスカートの中を見上げていた。足が俺の顔に振り下ろされた。
「ぐほっ!」
「あ、起きた」
「人の顔を踏むな! 良心が痛まないのか!?」
シオンが俺の顔から足をどかしたので、俺はベッドからガバッと身を起こした。どう見ても俺の部屋。カーテンは開いていて、朝日が差し込んでいる。
「俺……死んだんだな」
「何言ってんの? 殺される夢でも見てた?」
「いや、信じられないだろうが、夢じゃなく、もう三回も死んだんだ」
「はあ? お兄ちゃん、高校じゃなくて病院行ったほうがいいんじゃない?」
自分の体や顔を手で触ってみたが、やはり傷も痛みもなかった。スマホを確認すると、四月十日、七時四十五分。
死ぬと、この日時に戻ってくるらしい。
「なるほどな。完璧に理解したぞ」
「こわっ……今日のお兄ちゃん、なんかこわっ……」
「シオン、今日は俺の高校の入学式だよな」
「昨日、自分で言ってたじゃん」
「とりあえず、着替えて朝ご飯でも食うか」
「お兄ちゃんの分もキッチンに置いてあるから、どうぞ」
「サンキューな。いつもありがとう。シオンはいい妹だよ」
「は? な、何よ、急に……」
顔を赤らめて照れている妹の頭に、ぽんと手を置いて、
「着替えるから下に行っててくれ」
と上着を脱いでいく。
「う、うん……」
納得いかないような、ふわふわした様子で去っていく妹。
俺はご飯と味噌汁と目玉焼きを食べながら、どうするか考えることにした。そんな俺を、シオンが黙って見ていた。心配してくれているのか。
死ねば何度でも同じ朝からやり直せるのかもしれないし、もしかしたら回数制限や条件があるのかもしれない。
もう一度、美少女との運命的な出会いにチャレンジしようか? 何回もやれば、いつかは本当に運命的な出会いが起こってもおかしくない。
だけど正直、もう死にたくない。次もこの朝に必ず戻って来られるという保証はないのだ。死んだら本当にそれっきり目覚めない、という可能性もある。それに、死が迫ってくるときの、絶望感や凍えるような寒さは、何度も味わいたいものではない。どういう死に方をするにしても、繰り返しているうちに精神が病んでしまうのではないか。
加えて、女子に嫌われたり、敵視されたり、軽蔑されたりするのは、辛いものがある。カオルが俺を追い払おうとしたように、俺を拒絶する女子もいるだろう。運命的な出会いのために、あんな辛い思いを何度も何度もしなきゃならないとしたら、一生童貞で過ごすのも、アリかもしれない。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
シオンの気遣いが素直に嬉しかった。
「なあ、俺ってキモいか?」
「ちょっとね」
「どんなところが?」
「女子を下心アリの、やらしい目で見てるところ」
「正直に言ってくれてありがとう」
妹だけあって、よく分かっているなぁ……。
決めた。普通に登校して、平凡な三年間を過ごそう。
そうしたら、肩の荷が下りたような気がして、何だか楽になった。考えてみれば、それは最初の人生と同じ。プラスマイナスゼロ。少なくとも、悪化はしていない。
ふと一つ、気がかりなことを思い出した。
俺が何度か素通りした、あの婆さんのことだ。
あの婆さんが、あの時あの場所で転ぶのを知っているのは、もしかしたらタイムリープを経験した俺だけかもしれない。そう思ったら、俺がやらなきゃいけないような気がしてきて、食事の途中にもかかわらず、椅子から立ち上がっていた。
「ちょっと用事があるからもう行ってくる」
「朝ご飯は?」
「残りは入学式から帰ってきたら食べる」
「分かった。いってらっしゃい」
俺は自転車を走らせた。朝ご飯を食べていたせいで前回より出発が遅くなった分、ペダルを強く漕いでスピードを上げる。風を切って走りながら思う。このタイムリープを利用すれば、本当に美少女と運命的な出会いができるかもしれない。他にも、宝くじを買って大儲けするといった使い方もできるかもしれない。なのに結局、やることは、見知らぬ婆さんを助けることだけ。バカみたいだ。なんて勿体ないことをしたんだと、卒業の日に後悔するかもしれない。
自分のバカさ加減に、自然と顔が笑ってしまう。何をやっているんだか。
でも、それでいいんだ。もう決めたことだから。
せっかくもらったタイムリープの力で、自分の手の届く範囲の世界を少しだけ――ほんの少しだけ良くする。いや、実際は何も変わらないかもしれないが、俺はそれで満足だ。待ってろ、婆さん。
あの横断歩道が見えてきた。婆さんは……今まさに横断歩道に差し掛かろうというところだった。間に合いそうだ。俺は急ブレーキをかけ、愛車を投げ出すように街路樹に立てかけ、カギもかけずに婆さんの元へ走った。
今までもそうであった通り、婆さんが横断歩道の途中で体勢を崩す。俺は絶妙なタイミングでそばに駆け寄り、その老体を支えた。婆さんの持っていたカバンは、手を離れて落ちてしまい、中身が散らばった。そっちまで完璧に受け止めるのは、俺には無理だった。
「大丈夫ですか」
念のため、そう声をかけると、婆さんは「大丈夫。すまないね。ありがとうございます」と言った。
俺は婆さんと一緒に、散らばった荷物を拾い集める。
心の中で「何度もスルーしてすまんかったな」と謝った。
すると、誰かが「手伝います」と言って、隣にしゃがみこんできた。俺と同じ高校の制服を着た女子生徒。この女子、確か名前は……椎名(しいな)。フルネームは覚えていないが、同じクラスの存在が希薄な地味子ちゃんだ。教室の隅で、いつも静かに読書をしていたような気がする。
前髪が長く、片目が隠れていて、あまりしっかりと顔を見たことがなかったのだが、このとき間近で見た椎名の横顔は、案外可愛かった。
俺たちは婆さんを歩道まで連れていき、家が近くだと言うので、流れで自宅まで付き添った。俺も自転車のカゴに婆さんの荷物を入れて一緒に歩いた。
婆さんに礼を言われて別れたとき、入学式の集合時間まであまり時間がなくなっていた。俺は自転車に乗っていけばギリギリで間に合いそうだったが、椎名は徒歩なので確実に遅刻になる。
そういえば、入学式に遅刻したアホウが一人いたはずだが、それは椎名だったのではないか。思い返せば、女子生徒だった気がする。なるほどな。もしも婆さんを助けたせいで遅刻になったのなら、ちょっと不憫だ。
だから俺は唯一の遅刻しない方法を提案してみた。
「よければ、後ろに乗ってくか? 入学式、歩きだと確実に遅刻だろ?」
「いいの……?」
「ホントは良くない。警察に怒られるかもしれん。でもそうしなきゃ間に合わないだろ?」
椎名は数秒間、迷っていたようだったが、「後ろに乗せてもらってもいいですか」と言った。
「乗り心地は保証できないが」
椎名のカバンを受け取り、カゴに入れ、先にサドルにまたがった。荷台に椎名が座り、俺の肩に両手を置く。思えば、女子と二人乗りするなんて初めてのことだから、体がむずむずした。椎名の手が制服ごしに肩に触れているだけで、なんだか幸せな気分だ。
「じゃあ、行くぞ」
俺は緊張しているのを悟られたくなくて、振り向かずに言った。
「秘密ですね」
すぐ後ろから椎名が囁いた。何のことか分からなくて、聞き返す。
「秘密?」
「初日から二人乗りで学校へ行くなんて、誰にも言えない、私たちだけの秘密です」
ドキッとしたのを誤魔化すように、俺はペダルを漕ぎ出した。
だが一人で乗るのと違って、バランスを取るのが少し難しい。ちょっとふらついた拍子に、椎名が俺の肩に置いていた手を、腰に回してしがみ付いてきた。
「ちょっ……!?」
驚いて一旦停車。椎名の手が離れる。
「あのあのあの、ごめんなさいっ! こわくて、つい……」
「い、いや、いいよ、別に、それでも。そのほうが安定するだろうし……」
なんとなく気まずい空気の中、椎名が「じゃあ、ちょっと、失礼します」と控えめに言って、俺の腰に手を回した。「お、おう」と俺は答えたが、椎名の体が密着しているせいで、体が宙に浮いているような感覚だった。
「今度こそ出発するぞ」
「お願いします」
そうして、俺たちは学校に向かった。火照った顔を撫でていく春風。途中、どちらも何もしゃべらなかった。
式にはギリギリで間に合って、俺たちは二人だけの秘密を胸に秘めたまま、静まり返った体育館の、それぞれの席に着いた。
入学式の開会が宣言される。
俺は今度こそ、今までとは少し違った高校生活が送れるような気がした。
<おわり>
そして、暑い!
「お兄ちゃん! 何してんの!」
この声は……妹のシオン。またかよ。俺は生きているのか?
「寝ぼけてないで早く起きなさいよ! 今日、入学式なんでしょ? 遅れるよ!」
目を開けると、シオンの足の裏とスカートの中を見上げていた。足が俺の顔に振り下ろされた。
「ぐほっ!」
「あ、起きた」
「人の顔を踏むな! 良心が痛まないのか!?」
シオンが俺の顔から足をどかしたので、俺はベッドからガバッと身を起こした。どう見ても俺の部屋。カーテンは開いていて、朝日が差し込んでいる。
「俺……死んだんだな」
「何言ってんの? 殺される夢でも見てた?」
「いや、信じられないだろうが、夢じゃなく、もう三回も死んだんだ」
「はあ? お兄ちゃん、高校じゃなくて病院行ったほうがいいんじゃない?」
自分の体や顔を手で触ってみたが、やはり傷も痛みもなかった。スマホを確認すると、四月十日、七時四十五分。
死ぬと、この日時に戻ってくるらしい。
「なるほどな。完璧に理解したぞ」
「こわっ……今日のお兄ちゃん、なんかこわっ……」
「シオン、今日は俺の高校の入学式だよな」
「昨日、自分で言ってたじゃん」
「とりあえず、着替えて朝ご飯でも食うか」
「お兄ちゃんの分もキッチンに置いてあるから、どうぞ」
「サンキューな。いつもありがとう。シオンはいい妹だよ」
「は? な、何よ、急に……」
顔を赤らめて照れている妹の頭に、ぽんと手を置いて、
「着替えるから下に行っててくれ」
と上着を脱いでいく。
「う、うん……」
納得いかないような、ふわふわした様子で去っていく妹。
俺はご飯と味噌汁と目玉焼きを食べながら、どうするか考えることにした。そんな俺を、シオンが黙って見ていた。心配してくれているのか。
死ねば何度でも同じ朝からやり直せるのかもしれないし、もしかしたら回数制限や条件があるのかもしれない。
もう一度、美少女との運命的な出会いにチャレンジしようか? 何回もやれば、いつかは本当に運命的な出会いが起こってもおかしくない。
だけど正直、もう死にたくない。次もこの朝に必ず戻って来られるという保証はないのだ。死んだら本当にそれっきり目覚めない、という可能性もある。それに、死が迫ってくるときの、絶望感や凍えるような寒さは、何度も味わいたいものではない。どういう死に方をするにしても、繰り返しているうちに精神が病んでしまうのではないか。
加えて、女子に嫌われたり、敵視されたり、軽蔑されたりするのは、辛いものがある。カオルが俺を追い払おうとしたように、俺を拒絶する女子もいるだろう。運命的な出会いのために、あんな辛い思いを何度も何度もしなきゃならないとしたら、一生童貞で過ごすのも、アリかもしれない。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
シオンの気遣いが素直に嬉しかった。
「なあ、俺ってキモいか?」
「ちょっとね」
「どんなところが?」
「女子を下心アリの、やらしい目で見てるところ」
「正直に言ってくれてありがとう」
妹だけあって、よく分かっているなぁ……。
決めた。普通に登校して、平凡な三年間を過ごそう。
そうしたら、肩の荷が下りたような気がして、何だか楽になった。考えてみれば、それは最初の人生と同じ。プラスマイナスゼロ。少なくとも、悪化はしていない。
ふと一つ、気がかりなことを思い出した。
俺が何度か素通りした、あの婆さんのことだ。
あの婆さんが、あの時あの場所で転ぶのを知っているのは、もしかしたらタイムリープを経験した俺だけかもしれない。そう思ったら、俺がやらなきゃいけないような気がしてきて、食事の途中にもかかわらず、椅子から立ち上がっていた。
「ちょっと用事があるからもう行ってくる」
「朝ご飯は?」
「残りは入学式から帰ってきたら食べる」
「分かった。いってらっしゃい」
俺は自転車を走らせた。朝ご飯を食べていたせいで前回より出発が遅くなった分、ペダルを強く漕いでスピードを上げる。風を切って走りながら思う。このタイムリープを利用すれば、本当に美少女と運命的な出会いができるかもしれない。他にも、宝くじを買って大儲けするといった使い方もできるかもしれない。なのに結局、やることは、見知らぬ婆さんを助けることだけ。バカみたいだ。なんて勿体ないことをしたんだと、卒業の日に後悔するかもしれない。
自分のバカさ加減に、自然と顔が笑ってしまう。何をやっているんだか。
でも、それでいいんだ。もう決めたことだから。
せっかくもらったタイムリープの力で、自分の手の届く範囲の世界を少しだけ――ほんの少しだけ良くする。いや、実際は何も変わらないかもしれないが、俺はそれで満足だ。待ってろ、婆さん。
あの横断歩道が見えてきた。婆さんは……今まさに横断歩道に差し掛かろうというところだった。間に合いそうだ。俺は急ブレーキをかけ、愛車を投げ出すように街路樹に立てかけ、カギもかけずに婆さんの元へ走った。
今までもそうであった通り、婆さんが横断歩道の途中で体勢を崩す。俺は絶妙なタイミングでそばに駆け寄り、その老体を支えた。婆さんの持っていたカバンは、手を離れて落ちてしまい、中身が散らばった。そっちまで完璧に受け止めるのは、俺には無理だった。
「大丈夫ですか」
念のため、そう声をかけると、婆さんは「大丈夫。すまないね。ありがとうございます」と言った。
俺は婆さんと一緒に、散らばった荷物を拾い集める。
心の中で「何度もスルーしてすまんかったな」と謝った。
すると、誰かが「手伝います」と言って、隣にしゃがみこんできた。俺と同じ高校の制服を着た女子生徒。この女子、確か名前は……椎名(しいな)。フルネームは覚えていないが、同じクラスの存在が希薄な地味子ちゃんだ。教室の隅で、いつも静かに読書をしていたような気がする。
前髪が長く、片目が隠れていて、あまりしっかりと顔を見たことがなかったのだが、このとき間近で見た椎名の横顔は、案外可愛かった。
俺たちは婆さんを歩道まで連れていき、家が近くだと言うので、流れで自宅まで付き添った。俺も自転車のカゴに婆さんの荷物を入れて一緒に歩いた。
婆さんに礼を言われて別れたとき、入学式の集合時間まであまり時間がなくなっていた。俺は自転車に乗っていけばギリギリで間に合いそうだったが、椎名は徒歩なので確実に遅刻になる。
そういえば、入学式に遅刻したアホウが一人いたはずだが、それは椎名だったのではないか。思い返せば、女子生徒だった気がする。なるほどな。もしも婆さんを助けたせいで遅刻になったのなら、ちょっと不憫だ。
だから俺は唯一の遅刻しない方法を提案してみた。
「よければ、後ろに乗ってくか? 入学式、歩きだと確実に遅刻だろ?」
「いいの……?」
「ホントは良くない。警察に怒られるかもしれん。でもそうしなきゃ間に合わないだろ?」
椎名は数秒間、迷っていたようだったが、「後ろに乗せてもらってもいいですか」と言った。
「乗り心地は保証できないが」
椎名のカバンを受け取り、カゴに入れ、先にサドルにまたがった。荷台に椎名が座り、俺の肩に両手を置く。思えば、女子と二人乗りするなんて初めてのことだから、体がむずむずした。椎名の手が制服ごしに肩に触れているだけで、なんだか幸せな気分だ。
「じゃあ、行くぞ」
俺は緊張しているのを悟られたくなくて、振り向かずに言った。
「秘密ですね」
すぐ後ろから椎名が囁いた。何のことか分からなくて、聞き返す。
「秘密?」
「初日から二人乗りで学校へ行くなんて、誰にも言えない、私たちだけの秘密です」
ドキッとしたのを誤魔化すように、俺はペダルを漕ぎ出した。
だが一人で乗るのと違って、バランスを取るのが少し難しい。ちょっとふらついた拍子に、椎名が俺の肩に置いていた手を、腰に回してしがみ付いてきた。
「ちょっ……!?」
驚いて一旦停車。椎名の手が離れる。
「あのあのあの、ごめんなさいっ! こわくて、つい……」
「い、いや、いいよ、別に、それでも。そのほうが安定するだろうし……」
なんとなく気まずい空気の中、椎名が「じゃあ、ちょっと、失礼します」と控えめに言って、俺の腰に手を回した。「お、おう」と俺は答えたが、椎名の体が密着しているせいで、体が宙に浮いているような感覚だった。
「今度こそ出発するぞ」
「お願いします」
そうして、俺たちは学校に向かった。火照った顔を撫でていく春風。途中、どちらも何もしゃべらなかった。
式にはギリギリで間に合って、俺たちは二人だけの秘密を胸に秘めたまま、静まり返った体育館の、それぞれの席に着いた。
入学式の開会が宣言される。
俺は今度こそ、今までとは少し違った高校生活が送れるような気がした。
<おわり>
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