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6.やっぱ異世界と言えばコレだよコレ
しおりを挟むさて、お腹も膨れた。
この世界に来てからさらに一週間ほどが経過した。
ダンジョンでの生活は大変だったが、徐々に慣れてきた。
冷たい地面で寝るのはきつかったが、慣れれば大したことはない。
クルルがもってきた草や葉っぱを敷き詰めればそこそこ温かいし、十分に寝る事が出来る。
たまに、クルルが『わ、儂の背中で寝ても良いんだぞ?』とか言ってきたが、丁重にお断りした。
お前、高さ何メートルあると思ってるんだよ?
もし寝返り打って落ちて怪我したらどうするんだってーの。
そう言ったら、またいじけたので機嫌を直すのに苦労した。
ホントこのドラゴン面倒くせぇ。
俺はこの一週間、クルルに色々な事を教わった。
先ずは知識と言語だ。
最初にこの世界の言語を、次に知識を教えて貰った。
言葉は喋れなくとも、俺とクルルは『思念通話』で会話できる。
直接、言語を頭にたたき込んで貰ったのだ。
しばし頭が割れる様な激痛に見舞われたが、それでも、その甲斐あってか、何とかこの世界の言葉を喋れるようになった。
この世界は地球と同じように言語を使う種族が多いらしい。
人の他にもエルフ、獣人、天人、魚人、竜人、魔族、妖精と多種多様だ。
というか、やっぱり居るのかエルフとドワーフ。
まあ、異世界のテンプレだが、この世界にもいてよかった。
ぜひとも会いたいものである。もふもふ万歳。
主な地域で使われている言語は『人語』と『獣人語』、そして『魔族語』の三つだそうだ。
俺は現在、人語、魔族語そして獣人語を同時進行で習っている。
クルルは基本的に全ての言語を使えるそうなので、三つを織り交ぜて教えてくれる。
『思念通話』で頭に直接たたき込んで貰ったが、知っているのと実用出来るのでは全く別物だ。
辞書を開きながらスムーズな英会話なんて出来ないのと同じ事だ。
ただ三言語を同時進行で習っても、俺は特に混乱しなかった。
クルルの教え方が上手なのだろう。
いろんな意味でハイスペックな残念ドラゴンである。
そして知識だ。
いま俺達が居るこの世界は、アルトーラと呼ばれる世界らしい。
魔法が有り、そして魔物がいる中世ヨーロッパ風のファンタジーな世界。
どこまでもブレない王道テンプレな異世界だ。
地球の様に丸い惑星なのかは不明。
大陸は今解っているだけでも十以上有り、未だ開拓されていない大陸も多いらしい。
ただクルルから教えて貰った長さや重さの単位を地球の尺に合わせてみたらとんでもない大きさになった。
多分、総面積は地球以上にでかい。あくまでクルルの話から、考察した結果だが、おそらくこの世界は地球の二十倍近くはある。
スケールのでかい話である。
さらにクルルが言うには、この世界には様々な美しい景色が広まっているとのことだ。
青い砂漠に、金色に輝く海、空を貫く森、宙に浮かぶ大陸、財宝が隠されたこことは違う本物のダンジョン。
俺はそれを聞いただけで胸を膨らませた。
何それ、見てみたい!その場所に行ってみたい!
異世界ファンタジー万歳!
クルルの話を聞く度に俺はそう思った。
今はまだ知識と言語だけで手一杯だが、もう少し成長すれば武術も教えてくれるらしい。
俺は体育会系ではないので、出来れば武術の方は遠慮したいのだが。
いや、そりゃあせっかくの異世界転生なんだし、強くなりたくないのかと言われれば嘘になるよ?
でもね、おれ基本的に運動嫌いなんだよ。
汗かきたくない。
動いてもすぐにばてるし、汗だらだら出るし、変な匂いするし。
学校ではそれでよくからかわれた。……やばい、思い出したら泣きたくなってきた。
なんで、ああいう連中って人を茶化して喜ぶかなぁ……。
そりゃ、周りにはウケるかも知れないし、本人達も冗談半分で言ってるんだろうけど、やられる方としてはたまったもんじゃないんだよマジで。アレ、ホント心折れる。
と、話が脱線してしまった。
ともあれ、武術の方はまだまだ先だ。まあ、程々に頑張るとしよう。
ともあれ、言語、知識を覚え、ようやくこの世界のことを飲み込めてきた。
そして、今日俺の修行は次の段階に入る。
異世界と言えばこれだ。
クルルの話を聞いたときから俺はずっとそれを習う日を心待ちにしていた。
―――――――すなわち、魔法の習得である。
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