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争いの跡に 22話
しおりを挟む「今なんて?」
拳銃を下ろして、首を傾げたリアム。
「だから、オリビアをお前から奪うって言ってんだよ」
「はっ・・・?何を言っているのですか?そんなこと、オリビアが許すとでも?」
「この事をオリビアに話すって言ったら?」
「僕を脅してるのですか?」
「さぁな・・・」
じゃあな。と、彼に背を向けて手を振るギルバート。
そんな彼に何も言えずに、見送ってしまったリアムであった。いや、言わなかったのではない、言えなかったのだ。
アパートの自分の部屋に着くと、どっと疲れが出てきた。たったベッドしか置いていない殺風景な狭い部屋だ。
そのベットに横たわり、瞼を瞑りため息を吐いた。
こんな時、アリシアならどうしたのだろう。と、不覚にも思ってしまう。
「多分・・・いや、絶対殴られますね」
アリシアと言う、人物とは。
まだ、戦争が始まって間もない頃の話だ。アリシアは、魔の国の出身でリアムの恋人だった。顔は、本当にオリビアにそっくりで生き写しだった。彼女も銃術の達人だった。しかし、性格はオリビアより遥かに荒れていてでも、自分の信をしっかりと思ったそんな女性だった。
神の国の住人のリアムと、魔の国の住人のアリシア。敵対する二つの国で、アリシアはただ一人調和を望んでいた。そんな彼女をリアムは惚れていた。密会している時二人には、魔の国の秘密の教会があった。
この教会に来る度に、アリシアは必ずこう言っていた。
「近々、この戦争は必ず終わる!!そしたら、魔の国も神の国も仲良くなるわ!絶対に・・・」
彼女の体には、神の国の住人たちや調和を反対している魔の国の住人たちからの暴力を受けていた。
そんな彼女に、リアムは何も言えなかった。
ただ、いつもの笑顔で。
「そうだね」
としか、伝えることが出来なかった。そんな、彼女にリアムは抱きしめることも出来なければ優しい言葉をかけることも出来なかったのだ。
「戦争は時期に終わるわ」
その言葉がアリシアの最後の言葉だった。彼女は、同住に殺されたのだ。リアムを守って。アリシアは、魔の国でリアムの命を狙っていた男から彼を守る為に盾になり亡くなった。
「アリシアーーーーーーーッッッッッッッッッッ!!!!」
彼女は胸、急所を狙い撃ちにされてしまいもう助からなかった。最後の彼女の言葉。
「時期にこんなバカバカしい・・・戦争は終わるわ・・・。そしたら、きっと輝いている未来が待ってるわ・・・リアムの幸せな未来見届けたかった・・・な」
そのまま、彼女の体はまるで氷のように冷たくなっていく。
その時の、段々と冷たくなっていく彼女の体温と声全てをまだ鮮明に覚えている。
ふと、目を開けた。少しの間夢を見ていた様だ。
「オリビアは、絶対に渡さない・・・・」
確かに最初は、アリシアに似ていた境遇も見た目もでも、今は違う・・・。心から、オリビアを彼女を愛してた。
この気持ちは、嘘じゃない。
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