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マゾスライム
マゾスライムの盾
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旅の途中、ハプニングはあったものの、オナペットに助けられたリサは、表面上は何事もなく次の村にたどり着いた。
「旅の方よ、よくぞ参られた。ここはイナカ村じゃよ」
「覚えやすくていい名前ですね」
村長とお馴染みの挨拶を済ませたリサは、コンと一緒にギルドを訪ねた。
しかし、その戸は固く閉じられていた……。
「ココン。今日はお休み」
「そんなことあるんだ。明日は開いてるの?」
「責任者が腰をいわしたみたい。きっと数日かかる」
「あちゃー。面倒だね……」
「その代わり宿は無料。三食昼寝付き」
「ならいいかな。いっそ爆発して♡」
「長引くのも困る。早く治って欲しい」
「コンちゃん優しい♡ じゃあ、治しちゃおっか♡」
コンはすっかり忘れているが、リサは1日1本、エリクサーを取得できる。
リサとしてはのんびりしてもいいが、コンの希望を聞いたからには、叶えるために全力を出す。そういう女だ。
責任者にエリクサーを渡したリサたちは、それはもう感謝された。
しかし、リサにとっておっさんの言葉などクソほど興味ない。
コンも自分は何もしてないので、特に何も思わなかった。
翌日、開かれたギルドの掲示板を眺めたリサは、いつもと変わらないメンツにげんなりした。
たまにはいつもと違うことをしたいが、魂喰らいを倒すためには地道なレベルアップが必要だ。
軽い足取りとはいかないが、リサたちは魔物を求めて森の中に入っていった……。
「魔物やーい。出ておいで~。ぶっ殺してあげる♡」
「リサ、相手は害獣に見えても立派な魔物。舐めてると痛い目にあう」
「ご、ごめんねコンちゃん。気をつけるよ。だから嫌いにならないでっ」
「ならない。リサを心配しただけ」
コンは泣きつくリサの頭を撫でて落ち着かせた。
リサはコンのママ属性を見つけて喜び、コンはリサの子供っぽさに微笑ましさを感じていた。
それを邪魔する無粋な魔物が現れる。
木の向こうから顔を覗かせたのはシャドーウルフだ。
1匹いれば、複数いる。それがシャドーウルフだ。
「コンちゃん、気をつけ――」
「ココーン!?」
「コンちゃぁぁぁぁん!?」
背後からばっちり奇襲を受けたコンがぶっ飛ばされた。
リサは慌ててクズ魔石を掴み取る。
「【ゴーレム生成】」
マッドゴーレムが形になるよりも早く、シャドーウルフがリサに飛びかかる。
リサは意表を突かれ、避けられない。
鋭い爪がリサの体を切り裂こうとしたとき、マゾスライムは動いた。
粘体でリサの体を包み、硬質化することでご主人さまを守ったのだ。
「なっ、ザコスライムのくせに生意気!!」
マゾスライムは、予想外の罵倒を受けて喜び悶《もだ》えた。
「みんな死んじゃえ!! 【ロックスピア】」
怒り狂ったリサは魔法を連発し、シャドーウルフを次々と葬った。
森に静けさが戻ると、コンもむくりと起き上がる。
「おかえりコンちゃん♡ 怪我してなぁい?」
「平気。それよりリサも危なかった。そのスライム、勇気ある」
「ザコなのに生意気だよね。俺のペットなんだから勝手に死なれちゃ困るのに」
コンは性格がいいので、リサの発言を照れ隠しと思った。
「……最後に別れの言葉をかけてあげたらいい」
「へっ、嘘ぉ!? ぐったりしてる!? 死んじゃったの!?」
「ご主人さまを守って散った。勇気あるスライムに黙祷。なむなむ」
「……あ、生きてる。これ元気だと思う」
「ココン!? 無事で何より」
スライムがぐったりしていたのは、リサの予想外の罵倒が気持ちよくて飛んでいただけだった。
「リサ、ペットが心配なら、冒険には連れて行かない方がいい」
「そうだよね。今後は宿に預けておこうかな」
しかしマゾスライムはお留守番を嫌がった。
言葉を持たないスライムは、体を左右に振って意思表示をする。
「こら、生意気だよ。ザコスライムはおとなしくお留守番していなさい」
「……ココン。逆らってもリサを守りたい。なかなか骨のあるスライム。そこまで言うなら、コンが試す」
リサそっちのけで、コンとスライムは何かをおっ始めるつもりのようだ……。
「旅の方よ、よくぞ参られた。ここはイナカ村じゃよ」
「覚えやすくていい名前ですね」
村長とお馴染みの挨拶を済ませたリサは、コンと一緒にギルドを訪ねた。
しかし、その戸は固く閉じられていた……。
「ココン。今日はお休み」
「そんなことあるんだ。明日は開いてるの?」
「責任者が腰をいわしたみたい。きっと数日かかる」
「あちゃー。面倒だね……」
「その代わり宿は無料。三食昼寝付き」
「ならいいかな。いっそ爆発して♡」
「長引くのも困る。早く治って欲しい」
「コンちゃん優しい♡ じゃあ、治しちゃおっか♡」
コンはすっかり忘れているが、リサは1日1本、エリクサーを取得できる。
リサとしてはのんびりしてもいいが、コンの希望を聞いたからには、叶えるために全力を出す。そういう女だ。
責任者にエリクサーを渡したリサたちは、それはもう感謝された。
しかし、リサにとっておっさんの言葉などクソほど興味ない。
コンも自分は何もしてないので、特に何も思わなかった。
翌日、開かれたギルドの掲示板を眺めたリサは、いつもと変わらないメンツにげんなりした。
たまにはいつもと違うことをしたいが、魂喰らいを倒すためには地道なレベルアップが必要だ。
軽い足取りとはいかないが、リサたちは魔物を求めて森の中に入っていった……。
「魔物やーい。出ておいで~。ぶっ殺してあげる♡」
「リサ、相手は害獣に見えても立派な魔物。舐めてると痛い目にあう」
「ご、ごめんねコンちゃん。気をつけるよ。だから嫌いにならないでっ」
「ならない。リサを心配しただけ」
コンは泣きつくリサの頭を撫でて落ち着かせた。
リサはコンのママ属性を見つけて喜び、コンはリサの子供っぽさに微笑ましさを感じていた。
それを邪魔する無粋な魔物が現れる。
木の向こうから顔を覗かせたのはシャドーウルフだ。
1匹いれば、複数いる。それがシャドーウルフだ。
「コンちゃん、気をつけ――」
「ココーン!?」
「コンちゃぁぁぁぁん!?」
背後からばっちり奇襲を受けたコンがぶっ飛ばされた。
リサは慌ててクズ魔石を掴み取る。
「【ゴーレム生成】」
マッドゴーレムが形になるよりも早く、シャドーウルフがリサに飛びかかる。
リサは意表を突かれ、避けられない。
鋭い爪がリサの体を切り裂こうとしたとき、マゾスライムは動いた。
粘体でリサの体を包み、硬質化することでご主人さまを守ったのだ。
「なっ、ザコスライムのくせに生意気!!」
マゾスライムは、予想外の罵倒を受けて喜び悶《もだ》えた。
「みんな死んじゃえ!! 【ロックスピア】」
怒り狂ったリサは魔法を連発し、シャドーウルフを次々と葬った。
森に静けさが戻ると、コンもむくりと起き上がる。
「おかえりコンちゃん♡ 怪我してなぁい?」
「平気。それよりリサも危なかった。そのスライム、勇気ある」
「ザコなのに生意気だよね。俺のペットなんだから勝手に死なれちゃ困るのに」
コンは性格がいいので、リサの発言を照れ隠しと思った。
「……最後に別れの言葉をかけてあげたらいい」
「へっ、嘘ぉ!? ぐったりしてる!? 死んじゃったの!?」
「ご主人さまを守って散った。勇気あるスライムに黙祷。なむなむ」
「……あ、生きてる。これ元気だと思う」
「ココン!? 無事で何より」
スライムがぐったりしていたのは、リサの予想外の罵倒が気持ちよくて飛んでいただけだった。
「リサ、ペットが心配なら、冒険には連れて行かない方がいい」
「そうだよね。今後は宿に預けておこうかな」
しかしマゾスライムはお留守番を嫌がった。
言葉を持たないスライムは、体を左右に振って意思表示をする。
「こら、生意気だよ。ザコスライムはおとなしくお留守番していなさい」
「……ココン。逆らってもリサを守りたい。なかなか骨のあるスライム。そこまで言うなら、コンが試す」
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