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自称天使レア
レアの事情
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エッチなことをしてイライラを解消したリサは、ようやくレアの話を聞く気分になった。
ただし、冒険のついでに、話半分といった態度だが。
「で、どうして魔剣が欲しいわけ? ちゃんと話してみなさい。俺は飼い主だから責任があるけど、コンちゃんまで巻き込まれると困るんだよね」
「すまない。話せば長くなるのだが……」
自称天使の言い分では、外界に降り立ったとき、謎の剣士に奇襲を受けたらしい。
守護隊長として応戦したレアだったが、剣傷を負った。
ただの怪我ならよくあることだが、相手が悪かった。
賊《ぞく》は魔剣チャームに魅了され、自我を失った狂戦士だった。
天使という上位種族《じょういしゅぞく》であっても、切り口から徐々に侵食され、気づいたときには魔剣に異常な執着をするようになった。
あるとき、天界が回収し保管していた魔剣チャームを、世に解き放った罪で追放され、地上でなんやかんやあって今にいたる……。
「盗んだのは、私の意思ではない。地上に落とした魔剣チャームは、今もどこかで誰かを……私を呼んでいる気がするんだ」
「ふぅん。てか、魔剣チャームって何それ?」
リサはレアの話をほぼほぼ信じなかった!!
ただ漠然と、なんやかんやって言葉を濁すあたり、『こいつ余罪ありまくりだな?』とだけ理解した。
「ココン。魔剣チャーム……その話が本当なら、厄介」
「コンちゃん知ってるの!?」
「コンは詳しい。魔剣チャームは、所有者を魅了する。斬った相手も魅了する。魅了されると、魔剣を奪い合うだけの亡者になる」
「何それヤバくない!? 治療法はあるの?」
「ない。聞いたことがない」
「じゃあこいつ殺すか♡」
「ちょおおおおっ!?」
リサはレアの首に手をかけた!!
「ココン!? 待って。聞いたことがないだけで、あるかもしれない」
「そうだね♡ きっとあるよ♡」
「お、恐ろしい目にあった……感謝する。コン殿」
リサはレアの首から手を離した!!
「でもレアの話は嘘っぽい。魔剣チャームに魅了されて、自我が残るわけない」
「やっぱ殺すか♡」
「ままま、待ってくれ!! 言っただろう、私は天使だ。人間より耐性がある!!」
「ココン。コンが聞いたおぞましい話は、人間のもの。天使なら抵抗できるかも」
「そうだね♡ でもどうしたらいいの? 耐性って言っても、あれじゃあねぇ?」
「魔剣チャームへの執着は消えていない。抑え込んでいるだけなんだ」
「それは分かったけど、レアが襲った男が持ってた魔剣は、チャームじゃないよね? レアより理性あったし」
「コンの見立てだと、あれはただの火属性の魔剣。頑張れば買える」
斬りつければ火属性の魔法ダメージが入る。実にシンプルな効果だ。
あの男が持っていた魔剣は、せいぜい数百万アドで買える下級品だった。
「じゃあ何で盗んだの?」
「恥ずかしながら、もう魔剣というだけで暴走する有様だ……」
「ざぁこ♡ この節操なし♡」
「返す言葉もない……」
「リサ、レアはとても貴重な存在かも」
「そうだぞ! 天使なんだぞ!!」
「魔剣チャームに魅了されて、会話ができるなんてレアくらいなもの」
「だからそれは私が天使だからで……」
レアは天使にやたらこだわるが、リサはこの困ったちゃんを上手に扱う方法を考えていた。
「つまり、魔剣さえ見なければレアはまともってこと?」
「そうだとも。信じて欲しい」
「ひとまず信じる。それ以上は、接すれば分かること」
「さすがコンちゃん♡ IQ2億ゥ♡」
「あぁ、それで構わない。私のことを見ていて欲しい。信じるに値する騎士として行動するつもりだ」
レアを魔剣から遠ざければいい。
実に簡単な対処法を見つけ、コンは安堵した。
しかし、リサはレアを疑っていた。
「あんなところに魔剣が(棒読み)」
「魔剣っ!? どこだっ!? よこせぇぇぇぇ!!」
「だめじゃねーか♡ 何が騎士だ、ばかやろー♡」
「ココン……これは重症。やっぱり返品したほうが……」
「リサ殿はずるい!! そんな嘘をつかれたら、誰だって反応するに決まってるじゃないかっ」
「おめーだけだよ♡」
リサはレアを小馬鹿にするが、リサなりの可愛がりだった。
臭いものに蓋をしても、より醗酵するだけだ。
オナ禁に挑戦し、幾度となく失敗したリサだからこそ、分かるのだ。
「ねぇ、レア。魔剣を見ない聞かない関わらない。どれだけ難しいことか分かってる? 治療法を探すにしても、いつ人を襲うか分からないんだよ?」
「無理は承知だ。だが、治療法はある」
不可能と思われたレアの治療法を、他でもないレアが知っている。
最初から言え♡ と、思うリサだった。
「魔剣チャームの破壊……それで私はこの忌まわしい呪いから解放され、天界に戻れる」
「ココン。その手があった。見つけて破壊する。旅の目的のひとつにする」
「コンちゃんがそう言うなら♡ 優しいコンちゃんに感謝しなさい♡」
「あぁ、ありがとう!!」
「きっと帰れる。お友達も『ごめんなさい』すれば許してくれるはず」
「あぁ、あぁ……そうだな!! 私は必ずや魔剣チャームを破壊し、天界に戻る」
拳を握り、空を見つめるレアは、遠い故郷に思いを馳せていた……。
自称天使の事情を知り、『魔剣チャームの捜索と破壊』を旅の目的に加えたリサ御一行。
仲間と協力すれば、どんな困難が待ち受けていようとも、きっと成し遂げられるはずだ……。
なーんて、リサが思うはずがない!!
大金をはたいて買った奴隷が逃げ出そうとしているわけだ。
魔剣チャームの破壊はいいとして、その後が問題だ。
(絶対に逃さない♡ 俺なしじゃ生きられない体にしてやる♡ お前は協力してくれるよね、スライム?)
リサが服の内に潜ませたマゾスライムに裏の計画を語りかけると、それに答えるようにマゾスライムは震えた……。
ただし、冒険のついでに、話半分といった態度だが。
「で、どうして魔剣が欲しいわけ? ちゃんと話してみなさい。俺は飼い主だから責任があるけど、コンちゃんまで巻き込まれると困るんだよね」
「すまない。話せば長くなるのだが……」
自称天使の言い分では、外界に降り立ったとき、謎の剣士に奇襲を受けたらしい。
守護隊長として応戦したレアだったが、剣傷を負った。
ただの怪我ならよくあることだが、相手が悪かった。
賊《ぞく》は魔剣チャームに魅了され、自我を失った狂戦士だった。
天使という上位種族《じょういしゅぞく》であっても、切り口から徐々に侵食され、気づいたときには魔剣に異常な執着をするようになった。
あるとき、天界が回収し保管していた魔剣チャームを、世に解き放った罪で追放され、地上でなんやかんやあって今にいたる……。
「盗んだのは、私の意思ではない。地上に落とした魔剣チャームは、今もどこかで誰かを……私を呼んでいる気がするんだ」
「ふぅん。てか、魔剣チャームって何それ?」
リサはレアの話をほぼほぼ信じなかった!!
ただ漠然と、なんやかんやって言葉を濁すあたり、『こいつ余罪ありまくりだな?』とだけ理解した。
「ココン。魔剣チャーム……その話が本当なら、厄介」
「コンちゃん知ってるの!?」
「コンは詳しい。魔剣チャームは、所有者を魅了する。斬った相手も魅了する。魅了されると、魔剣を奪い合うだけの亡者になる」
「何それヤバくない!? 治療法はあるの?」
「ない。聞いたことがない」
「じゃあこいつ殺すか♡」
「ちょおおおおっ!?」
リサはレアの首に手をかけた!!
「ココン!? 待って。聞いたことがないだけで、あるかもしれない」
「そうだね♡ きっとあるよ♡」
「お、恐ろしい目にあった……感謝する。コン殿」
リサはレアの首から手を離した!!
「でもレアの話は嘘っぽい。魔剣チャームに魅了されて、自我が残るわけない」
「やっぱ殺すか♡」
「ままま、待ってくれ!! 言っただろう、私は天使だ。人間より耐性がある!!」
「ココン。コンが聞いたおぞましい話は、人間のもの。天使なら抵抗できるかも」
「そうだね♡ でもどうしたらいいの? 耐性って言っても、あれじゃあねぇ?」
「魔剣チャームへの執着は消えていない。抑え込んでいるだけなんだ」
「それは分かったけど、レアが襲った男が持ってた魔剣は、チャームじゃないよね? レアより理性あったし」
「コンの見立てだと、あれはただの火属性の魔剣。頑張れば買える」
斬りつければ火属性の魔法ダメージが入る。実にシンプルな効果だ。
あの男が持っていた魔剣は、せいぜい数百万アドで買える下級品だった。
「じゃあ何で盗んだの?」
「恥ずかしながら、もう魔剣というだけで暴走する有様だ……」
「ざぁこ♡ この節操なし♡」
「返す言葉もない……」
「リサ、レアはとても貴重な存在かも」
「そうだぞ! 天使なんだぞ!!」
「魔剣チャームに魅了されて、会話ができるなんてレアくらいなもの」
「だからそれは私が天使だからで……」
レアは天使にやたらこだわるが、リサはこの困ったちゃんを上手に扱う方法を考えていた。
「つまり、魔剣さえ見なければレアはまともってこと?」
「そうだとも。信じて欲しい」
「ひとまず信じる。それ以上は、接すれば分かること」
「さすがコンちゃん♡ IQ2億ゥ♡」
「あぁ、それで構わない。私のことを見ていて欲しい。信じるに値する騎士として行動するつもりだ」
レアを魔剣から遠ざければいい。
実に簡単な対処法を見つけ、コンは安堵した。
しかし、リサはレアを疑っていた。
「あんなところに魔剣が(棒読み)」
「魔剣っ!? どこだっ!? よこせぇぇぇぇ!!」
「だめじゃねーか♡ 何が騎士だ、ばかやろー♡」
「ココン……これは重症。やっぱり返品したほうが……」
「リサ殿はずるい!! そんな嘘をつかれたら、誰だって反応するに決まってるじゃないかっ」
「おめーだけだよ♡」
リサはレアを小馬鹿にするが、リサなりの可愛がりだった。
臭いものに蓋をしても、より醗酵するだけだ。
オナ禁に挑戦し、幾度となく失敗したリサだからこそ、分かるのだ。
「ねぇ、レア。魔剣を見ない聞かない関わらない。どれだけ難しいことか分かってる? 治療法を探すにしても、いつ人を襲うか分からないんだよ?」
「無理は承知だ。だが、治療法はある」
不可能と思われたレアの治療法を、他でもないレアが知っている。
最初から言え♡ と、思うリサだった。
「魔剣チャームの破壊……それで私はこの忌まわしい呪いから解放され、天界に戻れる」
「ココン。その手があった。見つけて破壊する。旅の目的のひとつにする」
「コンちゃんがそう言うなら♡ 優しいコンちゃんに感謝しなさい♡」
「あぁ、ありがとう!!」
「きっと帰れる。お友達も『ごめんなさい』すれば許してくれるはず」
「あぁ、あぁ……そうだな!! 私は必ずや魔剣チャームを破壊し、天界に戻る」
拳を握り、空を見つめるレアは、遠い故郷に思いを馳せていた……。
自称天使の事情を知り、『魔剣チャームの捜索と破壊』を旅の目的に加えたリサ御一行。
仲間と協力すれば、どんな困難が待ち受けていようとも、きっと成し遂げられるはずだ……。
なーんて、リサが思うはずがない!!
大金をはたいて買った奴隷が逃げ出そうとしているわけだ。
魔剣チャームの破壊はいいとして、その後が問題だ。
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