ブサイクは祝福に含まれますか? ~テイマーの神様に魔法使いにしてもらった代償~

さむお

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ギルド職員編

モテすぎてクロノ死す

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 飛び跳ねるように起き上がった俺は、自分の腹に手を添えた。


「……ちゃんとあるな」


 脂肪はなくなっても良い。いや、待て。内臓脂肪はどうしようもない。


 腹に大穴を開けられた悪夢で飛び起きたわけだが、まさかな。ゴキブリ並みの渋とさと定評がある俺がトラウマ……いや、イップスになったなどありえない。


「……………………」


 戦いから時間が経過し、脳を休めた今でも、恐らく気力と呼ばれるものが戻ってきていない。原因としては、やはり血を流しすぎたのだろう。俺が思ってる以上に大事なもののようだ。


 本当なら『魔術師の塔』に向けて準備を始めるつもりだったが、これはよろしくない。血が戻るまでは休息が必要だろう。


 ちらりと横目でテレサを見ると、メイド服を着たまま寝ている。半開きになった口からは涎が流れ、頬を伝ってシーツに染みを作っている。


「……パンツでも嗅ぐか」


 テレサのスカートに頭を突っ込み、股ぐらに顔を埋める。薔薇の刺繍が施された黒のシースルーのおパンティである。鼻はしっかりとクロッチの部分に押し当てている。


「すー、はー、すー、はー……えくせれんとっ」


 汗とおしっこの匂いのなかに、ほんのりと花の香りがする。俺があげた香水だ。それらが合わさると、少し嗅いだだけでテントが完成した。


 ミニスカのおかげでパンツを嗅ぎやすい。じつに素晴らしい。ここが天国か。


「……目に見えない宝物ってなーんだ? それはね、女の子のおパンティーの香りさ」

「……キモすぎでしょ」


 眠り姫テレサが目覚めてしまった。レベルが高いからスリープも効かないし、しょうがないので会話してやるか……すぅはぁ。


「寝てていいよ。おじさん静かにしとくからね。すぅぅ、はぁぁ」

「いつまで嗅いでるの……よっ!!」


 ばちこーん。背中に強烈な張り手を受けた。吐血しないあたり、自分の成長を実感してしんみりしながら、おパンティを嗅ぐ。離れるつもりはない。


「……あのねぇ、普通は離れるでしょ!?」

「おじさんは常識を覆す男なんだ」

「非常識の間違いでしょ! 離れないなら、酷いわよ?」


 太ももに挟まれ、真っ暗で息ができない。拉致監禁した頃と比べて、むちっとしてきたし、古傷を治したから滑らかな肌触り。それでいて温かいのだから、もう最高だった。


「へぶっ、へっ、ぶ……っ」

「どう? 苦しい? 降参するなら今のうちよ!?」

「ヘヴン状態!!!!!!!!」


 死ぬなら女の子の股ぐらで窒息死がいい。間違っても腹に大穴を空けて死ぬことだけは避けたい。


「はぁぁ……ダメねこいつ。もう勝手にしなさい」

「ありがとう。2時間くらいで飽きると思うから我慢して」

「長すぎでしょ!? ……エッチするの?」

「いや、しない。おじさんはテレサちゃんの、おパンティーの香りを嗜みたいだけだから」


 きっと深い溜息をついていることだろう。おじさんは一向に構わん。テレサちゃんには何をしてもいい風潮あるし。


「……元気、出てきたみたいね」

「息子のことかい? そりゃあもう、凄いことになってるよ」

「じゃなくて、あんた自身よ。うなされてたし」


 気づいていたのか。レンジャー系統の感覚の鋭さは、無防備な日常生活でも発揮されるのか。寝ている女の子を起こさないように、エッチなイタズラをしたかったが、これは難関だな……。


「テレサちゃんのお股で癒やされてるから心配いらないよ」

「言うことがいちいちキモいわね……本当に平気なの?」


 腹に大穴が空いた光景を間近で見たし、ティミちゃんとハゲに叱られたテレサちゃんなりに、俺を心配してくれているのだろうか?


「テレサちゃんこそ、平気かい? 怖かったんじゃないの?」

「怖くなかったわ……だって、あんたが居たしね」

「……んっ? 何か言ったかい?」

「……な、何でもない。黙って嗅いでなさいよ」


 おじさんは青春ラブコメの主人公ではない。都合の良い突発性難聴にはかからない。ゆえに、しっかりと聞いている。それをわざわざ聞き直したのは、相応の理由が存在する。


「俺が居たから怖くない、そう言った? ねぇ、言ったよね!? 恥ずかしかったのかな!? どうなんだい!???!????」

「聞こえてるんじゃないのっ!! うっざ! 性格悪すぎっ」


 ばちこーん。張り手で黙らされた。


「……ティミって子が、あんたは安心させようと強いふりをしているだけで、本当は弱いんだって言ってた」


 あらまぁ、よく見られているな。愛の力、恐るべし。


「でも、ハーゲルって人は、あんたは弱いふりをしているけど、予想外の強さを持ってるって言ってた」


 ハゲに言われても何とも思わねぇ。


「本当のところは、どっちなの?」


 あー、青春ラブコメの主人公が、都合のいい突発性難聴になる理由が分かった。まじで楽だなこれ。今日から俺も青春ラブコメの主人公だ。


「答えないなら嗅がせてあげないわよ」

「……テレサちゃんは、自分のことだけ考えていればいい。少なくとも、おじさんのことを気にかける必要はないよ」

「何よ、それ。一方的に守られてろってわけ?」

「お互いにベストを尽くしたから、生き残れた。何か思うところがあるなら、テレサちゃんなりに考えればいいよ。暇なときにね。すーはー……」


 今は難しいことは考えたくない。テレサちゃんのおパンティから香るフェロモンに集中したい。


 ただ、もしあのとき無茶していなかったら、俺もテレサちゃんも死んでいただろう。この香りを堪能するたびに、生を実感できた。


 そんなわけで俺は大変満足しているのだが、テレサちゃんはまだ納得しきれていないのか、少し腰をくねらせた。


「……あんたを見てると、ドキドキする。これって恋なのかな……?」


 おい、まじかよ。青春ラブコメの主人公は壮大なフラグだったのか。


「テレサちゃん、それは恋じゃない。吊り橋効果さ」


 吊り橋効果の意味を分かりやすく説明してあげたが、まだ引っかかるところがあるらしい。おじさんは補足も得意だ。


「まさかとは思うけど、本気でおじさんに惚れてるわけじゃないよね? 君を拉致監禁陵辱レイプした男だよ」

「そっ、そうよね! ありえないわ! 今もパンツの匂いを嗅がれてるわけだし、こんな変態のクズ男に惚れるなんてない、ないわね!」


 納得してくれたようで何より。だがしかし、補足には追記がつきものだ。


「テレサちゃんは、おじさんにイかされるたびにレベルが下がる。救いの神というよりは疫病神でしょ」

「た、確かに……疫病神ね! それでも……まぁ……パンツくらいなら……嗅がせてあげるわよ。お礼だから恋じゃないし……」


 なーんか怪しくなってきたなぁ。トドメといきますか。


「今は時期が悪いけど、誰にでも必ずチャンスが訪れる。いつかテレサちゃんは、この家を出て、理想の男に出会い、恋をして、母親になるかもね」

「別の男……母親かぁ……ダメね。ちっとも想像が付かないわ」

「そんなもんさ。別にそれがすべてでもない。あくまで可能性のひとつだ。でも……そうだなぁ、夢を見つけるといいよ。きっと楽しくなる」

「夢……あたしの夢……分からないわ。夢が見つかるまで、ここに居ていい?」

「まぁ、それくらいはいいよ。おじさんはテレサちゃんの保護者だ。ひな鳥が巣立つまで見守るよ」

「……なんか、意外だわ。あんたなら、『テレサちゃんはおじさんが好きなんだね。おじさんもテレサちゃんが好きだよ。孕め』とか言うと思ってた」


 腹を抱えて笑った。確かに、言いそうではあるが……最後くらい、真面目に答えてやるか。本当は内緒なんだけど……。


「クズ男にもいろいろあってね。ベクトルが違うのさ。ただ、おじさんは保護者として、テレサちゃんの幸せを願ってるから言うんだよ」

「ふーん……よく分からないわ」

「君はアインとして、強者に人生を決められてきた。ここでおじさんに惚れたとして、従う相手が変わっただけだ。何も変わってない。自由とは呼ばない」

「自由……どうしたら自由だって思えるんだろう」

「テレサちゃんは自分が望むまま、行動を決められるようになる。それが自由ってもんさ」

「む、難しいわ! でも、あたしなりに考えてみる。ありがと」


 願わくば、先ほど言った通りに良い男と結婚して、子供を産んで幸せな家庭を築いて欲しい。できれば娘がいいな。


 生まれた娘が成人したら、あの手この手で口説いてヤろう。テレサちゃんの娘となれば、絶対に美人だからな。
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