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第1章 俺もチートキャラになりたいんですけど…
18話 才能
しおりを挟む「身体中が痛い。」
俺が起きたときには日が既に昇っていた。
昨日ダンジョンに行き初めての戦闘をしたためか現代っ子の俺は筋肉痛になっていた。
レベルが上がってステータスが伸びても筋肉痛にはなるようである。
着替えを済ましてから洗面所で身だしなみを整えてリビングに向かうと、そこでは舞とローズが一緒にお茶を飲みながら話をしていた。
「おおフウマ。ようやく起きたか。もう昼前じゃぞ。」
「まじか、そんなに寝てたのか。起こしてくれれば良かったのに。」
どうやら俺は昨日の疲れからか寝坊してしまったらしい。
この世界の時計はとても高価なためあまり出回っておらず、ソレイドの人々は一日三回鳴る鐘の音を基準に生活している。
かくいう俺もこの世界に来てからみた時計は冒険者ギルドの壁にかかっているもののみだ。
因みに24時間計だった。
「どちらにせよ今日は休息日としてダンジョンに行かない予定だし、特に用もないから起こさなかったのよ。」
「そうか。確かに俺も筋肉痛が酷いからダンジョンには行けそうにないな。」
「なに、冒険を繰り返しておればじきに体も痛まなくなる。」
「ああ、頑張るよ。しかし腹へったな。二人も昼飯まだなら何か作ろうか?」
昨日食糧を確認した感じ、ペペロンチーノに野菜炒めをのせたような料理ならできそうだ。
日本では両親がいない日に自分で作っていたため少しなら料理もできる。
「なんと!?お主も料理ができるのか?」
「簡単なものだけならな。」
「当然よ!なんせ風舞くんだもの!!」
舞の中の俺は完璧超人か何かなのだろうか。
評価が高すぎる気がする。
「妾も覚えた方が良いかの?」
「練習すれば出来るようになるわ。今度一緒にやってみましょ。」
どうやらローズは料理が出来ないようだ。
確かに魔王なら自分で作ろうとは思わないだろうしな。
一人で行動するときは保存食か外食で済ましていたらしいし、料理をする機会がなかったのだろう。
その後、作ってくれと頼まれた俺は3人分の料理をさっと作り、全員揃って食卓を囲った。
_______________________________________________
「なんじゃこれは!物凄く上手いぞ!」
口の回りを油まみれにして無言で食べ続けたローズの口を吹いてやる。
まったく、中身は千歳なんだからちゃんとしなさい。
「別に普通だろ。適当に作っただけだぞ?」
「むぐ。いや、ここまでの料理はそうないぞ。昨日のボタンの飯も美味かったが、これはそれとは別の安心するうまさじゃ。魔王たる妾が言うんじゃから間違いない。」
「そうね。塩加減も絶妙だし、玉ねぎもすごく甘くて美味しい。本当に特別なことはしてないのかしら?」
誉められて悪い気はしないがここまで絶賛されると反応に困る。
特に力を入れて作った訳でも無いんだが。
「別にただなんとなく切って茹でて炒めただけだぞ?あ、玉ねぎはあったやつの中で一番美味そうなやつを使ったな。」
「なんとなくでこの味…。これは才能ね。それに美味しそうな玉ねぎって何で見分けつくのかしら。」
「え、見たらなんとなくわかるだろ?」
「見たらって。妾はやっぱりマイに料理を教わろう。フウマじゃレベルが高すぎて理解出来なさそうじゃ。」
ローズが少し引いた顔をしてそう言った。
普通だよな?
カップ焼きそばの方が美味いと思うぞ?
それに俺が他に作れる料理は数品しかないから料理の才能はないと思うんだが。
_______________________________________________
とまあそんな一幕がありつつも食事を終えた俺達はリビングでくつろぎながら、ローズにこの世界についていろいろ聞いてみることにした。
今後どうやってスキルを覚えるのか聞いてみたいしな。
「さて、まずは何から話そうかの。」
「そうね。私はステータスの上昇値について聞いてみたいわ。」
「そうじゃの。ではそこから話すとするか。」
そう言って舞に耳をこりこりされながら膝の上に抱えらているローズが話を始めた。
「魔法を覚える際に才能によって習得に必要なステータスポイントが減ると言ったのを覚えておるかの?」
「ああ。才能があればステータスポイントを使わないときは早く習得できるんだろ?」
「そうじゃな。さて、薄々気づいてはおると思うが、これはステータスの各数値にも同様の事が言える。」
「なるほど。つまり適正があればレベルアップの時の上昇値も増えるのね。」
「うむ。そうじゃな。マイは攻撃力と敏捷性の伸びが良いから近接戦闘に才能があり、フウマは魔力と魔法系の伸びが良いから魔法の行使に才能があるようじゃの。」
どうやら俺は魔法の才能があるらしい。
なんかファンタジー溢れる異世界で魔法の才能があるって嬉しいな。
「あと、ここからは妾の推測なんじゃが、異世界から転移して来たものはこの世界に来たときの状態が才能に影響するようじゃ。」
「ん?どういうことだ?」
「そうじゃの。例えば物を投げることを鍛えっておったものがいるとするじゃろ。そやつがこの世界に転移してきた場合、投擲や遠投のスキルを得やすくなるというわけじゃな。」
「なるほど。じゃあ私は剣や弓を習ってきたからこの世界で訓練すれば、比較的簡単に剣術とかのスキルを習得できるのね。」
「そうじゃの。おそらくそうなるはずじゃ。」
へー。でも俺が魔法に才能がでるようなやってきた事ってなんだ?
別に集中力を鍛えていたとかはないし、生まれつきの才能なのだろうか。
もしそうなら元の世界じゃ一切役立たない才能だな。
異世界にこれて本当に良かった。
「で、肝心のスキルだがどうやったら習得できるんだ?魔物を倒せば上がるのか?」
「いや、別に魔物を倒さなくとも鍛練をすれば習得できる。戦闘系のスキルは魔物相手の実践で鍛えるのが良いじゃろうが、算術とかが魔物を相手にしていて使えるようになるとは思えんじゃろ?」
「確かにそうね。」
そこら辺は前の世界と変わらないようだ。
欲しいスキルがあったらそれにあった修行をする必要がある。
まあ、当たり前だな。
「さて、話はここらにして実践してみた方が良いじゃろ。庭に出てスキル習得の為の訓練をしてみるかの。」
_______________________________________________
こうしてローズ教官によるスキル訓練が庭で始まった。
「さて、まずは覚えたいスキルを決めんといかんが。そうじゃな。マイは剣術、フウマは魔力操作を覚えてみるかの。」
「そうね。私は剣のイメージトレーニングでもやってみようかしら。」
「うむ。お主よりも強い相手と戦うことを想定してやるならそれでも効果があるじゃろ。」
「私はお爺様と戦うことを想定してみるわ。ステータスがある今でも勝てる気がしないもの。」
そう言った舞は俺達から離れて剣を振り始めた。
今の舞でも勝てないレベルってどんなじいさんだよ。
舞の圧倒的な強さの秘密の一端を知った気がする。
訓練を始めた舞は速さや力よりも剣の正確さを重視するためか、俺でも見切れる速度で剣を降っている。
「ステータスやスキルも大事だけどそれを使いこなすことも必要なんだな。」
「そうじゃな。ステータスポイントを使わないスキルの習得はそのスキルを使いこなすことも鍛えられる。時間があるなら地道に鍛えた方が良いというのもわかるじゃろ。」
「ああ。しかし時間か。なあ、ローズ。お前魔王として速く国に帰りたいとは思わないのか?」
俺はかねてから気になっていた質問をローズにぶつけてみた。
ローズは俺達の旅に付き合ってくれると言っていたが、魔王の座を長く開けて置くのもまずい気がする。
いくら道中の旅が弱体化して不安だとは言っても速さを考えるならローズ一人の方が速く済むはずだ。
「そうじゃな。確かに謀反を起こされた直後はそうも思ったが、今は魔王になんとしても帰り咲きたいとは思わん。妾はもう数百年も国を修めてきた。ここらが引き時なのではないかと思っておる。」
「それで良いのか?お前自分の国が大好きなんだろ?自分の国の話をする時のお前はすごい誇らしそうだぞ。」
「妾も謀反を起こした連中が録でもない奴等じゃったらそう思ったんじゃが、謀反を起こした中には民草を何よりも重んじるやつがおった。妾はあやつとは気が合わんかったがその力は本物じゃ。あやつがおる限り妾の国も安泰じゃろう。それにあやつがおればこそ妾は愛する妹を残してくる決心がついたのじゃ。近頃のスカーレット帝国が行き詰まっておったのも確かじゃし、もう世代交代の時期なんじゃろうよ。」
ローズは遠くを見るようにしながらそう語った。
千年を生きている吸血鬼には俺なんかよりもずっと遠くまで見えているのだろう。
そして俺の方を振り替えってローズが言う。
「それに、妾はまだ数日しか共にしておらんがお主らと共におる事が何よりも楽しい。魔王であった妾は今まで誰にも負けず、それが故に孤独じゃったからな。あやつらからしたら冷徹な女に見えておったのかもしれぬ。」
「そうか。俺はローズに世話になりっぱなしだからな。俺じゃあ頼りないかもだけれど出来るだけ力になりたいと思う。困ったことがあったら何でも相談してくれよ。」
「ふふっ。マイと同じことを言うんじゃな。マイもお主に助けられたと言っておったし、妾も頼りにさせて貰おうかの。」
「ん?舞がそんな事を言ってたのか?まあいいか。ああ、ちゃんと強くなってローズの妹さんもしっかり助けに行くから任せてくれよ!」
「うむ。期待しておるぞ!さて、その為には強くならんとな。びしばし行くから気張るんじゃぞ?」
「あ、ああ。お手柔らかに頼む。」
ローズは俺達の旅に付き合ってくれる。
それならば俺もローズの期待に応えて強くなり、出来るだけ早くローズの妹さんを助けてやろう。
そう決意した。
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