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第1章 俺もチートキャラになりたいんですけど…
24話 嵐の予感
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「訳わからん。」
シャーロット襲撃の翌朝、今度は昼迄寝ていることのなかった俺は朝食前に庭で転移魔法の訓練をしていた。
「剣を持った状態では転移できるけど、突き刺す位置に転移しようとすると剣だけ転移されない。」
俺は以前から考えていた転移魔法の新たなる使い方をもう一度掘り下げて考えていた。
まず、転移魔法LV8の俺にできることは大まかに3つだ。
1つ目、アイテムボックス。
これはLV3で習得した異空間に物をしまっておける魔法だ。
出し入れする時に魔力を消費し、生物はここに入れられない。
2つ目、アポート。
これは俺の記憶にあるものをその場所から転移させて持ってこれる魔法だ。
ただ、これには欠点があって明確に思い出せるものでないといけないし、魔法を使うときに転移させたい物が元あった場所から動いていたり、状態が大きく変わっていたら発動しない。
3つ目、テレポート。
自分の触れていないものを視界内のみ転移させることと、自分と自分の触れているものを好きな場所に転移させることができる。
さて、現在俺が頭を悩ませているのはテレポートの[自分と自分の触れているものを好きな場所に一緒に転移できる]というステータスカードの説明についてだ。
俺はこれを読んだ後、それじゃあ剣だけが相手に刺さる位置に転移すればいいじゃんと思い試してみたのだが結果は俺の望む通りにはならなかった。
「なんで俺だけ転移して剣は転移しないんだよ。」
そうなのだ。
これをやろうとすると俺のみが転移して剣は地面にポトリと落ちる。
何度繰り返してもこの結果は変わらなかった。
それならばと思い、剣を腰に差したまま剣が相手にささるように転移してみたのだが、今度は俺の転移位置がずれてしまい望む結果にはならなかった。
「これじゃあ、攻撃には使えねえじゃん。」
何故かはわからないが転移魔法にはセーフティーバーのようなものがあるようだ。
この安全装置を取り払わない限り俺の望むことはできなそうだが、魔法の仕様をどうすれば書き換えられるのかわからない。
「まったく。相変わらず出鱈目な転移魔法じゃな。」
俺が転移魔法について頭を悩ませているとローズが俺を朝食に呼びに来てくれた。
「お、ローズ。良いところに来たな。少し聞きたい事があるんだが。」
「む?なんじゃ?妾に答えられることなら教えてやろう。」
「ああ。転移魔法って安全装置みたいなのがあるのか?」
「む?どういうことじゃ?」
俺はローズに今やっていたことをかくかくしかじか説明した。
「なるほどのう。転移魔法は使い手が極めて少ない魔法じゃから未だ実証されていない説じゃがよいか?」
「ああ、頼む。」
「この前お主の気まぐれ転移じゃったか?を聞いた時に言ったと思うが転移事故というものは確かに存在する。建物や山など大きなものの中に転移してしまうあれじゃな。」
「ああ。確かにそんなこと言ってたな。」
「うむ。それでなのじゃが、この転移事故は少しくらいの誤差なら自動的に回避される。」
「それが俺の言った安全装置みたいなもんってことか。」
「そうじゃな。流石に山の中に転移したら助からんが、転移先にそこそこの大きさのものがあるくらいなら転移事故は起きんという訳じゃな。」
「ほーん。で、それは外せんのか?」
「いや、それは魔法の組成を崩す話じゃからな。魔法の力を最大限に引きだすことはできても、その根本から変える事はできんのじゃ。それこそ、そこらにいる神よりも大分上位の存在でないとできんじゃろうな。」
神よりも大分ちっぽけな俺では到底できそうにない事らしい。
それにしても転移魔法には安全装置があったのか。
どうやら俺のやろうとしていた攻撃は転移事故と判断されていたようだ。
「はあ。それじゃあ転移先をセンチ単位で調節する必要がなかったのか。」
「センチが何かは分からんが、お主そんなことしていたのか。相変わらず転移魔法の才能は凄まじいの。」
「別に言うほどのことじゃないだろ。」
「いやいや、お主の転移魔法はかなりのものじゃぞ?妾が全盛期の時は魔力と知能が1万を超えておったがその当時でもここからラングレシア王国まで転移したら魔力切れを起こすじゃろうな。」
「え?お前魔力と知能1万超えてたの?」
「うむ。全ての数値で1万を超えておったの。攻撃力と敏捷性などは2万強じゃったな。」
「マジかいな。相手をしてきた勇者が可哀そうになってきた。」
「何を言っておるんじゃ?お主らは妾のパーティーメンバーなんじゃから妾に届く強さになってもらうぞ?」
「無茶だろ。全然届く気がしないんだが。」
「なに、すぐじゃよ。すぐ。」
いったい何年かかったら千年を生きる魔王に届くのだろうか?
全然想像もつかないんだが。
と、俺がローズの言葉にドン引きしていると、エプロンをつけた舞がお玉を持って俺たちのもとにやってきた。
「あらあらあら、風舞くんとローズちゃんはいつまで私を待たせるのかしらぁ?」
「ま、舞。」
そこには髪を逆立たせてニッコリと笑う舞がいた。
なんか舞の方から飛んでくるオーラみたいなものが凄いピリピリする。
「スープが冷えちゃったわぁ。二人はもう朝ごはんは要らないのよねぇ?」
「「お待たせしてごめんなさい。」」
俺とローズはばっと頭を下げた。
「まあまあ。そんなに頭をさげてどうしたのかしら?そこらに生えている草でも食べるのかしら?」
「「反省しています。許してください。マイさんの朝ごはんを食べたいです!」」
俺とローズは二人揃って頭をさげたまま同じ言葉で謝罪する。
怒る舞の前では万人が同じ態度をとってしまうようだ。
魔王も男子高校生も関係ないらしい。
「もう。さっさと準備をして食堂にいらっしゃい。温めなおして待ってるわね。」
舞のお許しが出た俺とローズは一目散に風呂場と手洗い場にそれぞれ駆け出した。
「ありがとう。舞!大好き!!」
「舞は優しいの!愛しておるぞ!!」
「まったく。二人とも調子が良いわね。」
後ろから舞の苦笑交じりの声が聞こえた気がした。
_______________________________________________
無事に舞の至高なる朝食を食べられた俺達は街へ買い出しに出ていた。
商人ギルドに用意してもらっていた食料品や生活消耗品が底をつきそうになった為だ。
「さて、生活雑貨はもう揃ったし次は食料品かしら。」
路地裏でアイテムボックスを怪しまれない範囲で使っていた俺達は結構な量の買い物を既にしていた。
買い物に何回も行くのは面倒だしな。
買ったものをアイテムボックスに詰めていた俺は舞の言葉にしゃがんだまま顔をあげると、ふとあることに気が付いた。
「あれ、この路地裏。」
「風舞くん?どうかしたのかしら?」
「ん?ああそうだな。…っとこれだ。この前此処の路地でこれ拾ったんだよ。」
俺は以前路地で拾った黒い玉をアイテムボックスから取り出して舞に渡した。
「なにかしらこれ。黒い宝石、ではなく化合物の結晶みたいね。少し大きいけど薬にも見えるし。」
「む?なんじゃそれは?なにやら呪術の気配を感じるぞ。」
ローズが舞の手元を覗き込んで黒い球を確認する。
何かしらのスキルも使っているようだ。
「えーと、どれどれ。全能感を持たせる事と攻撃力増加それに強い依存性があるようじゃな。」
「なにそれ?麻薬ってことか?」
「まあ、そうじゃの。ただ普通の麻薬とは異なってステータスに影響するようじゃな。」
「快楽だけでなく肉体的にも効果があるなんて、タチの悪い麻薬ね。」
「そうじゃな。じゃがこの攻撃力増加はあくまで一時的なものじゃな。これでは体を蝕むだけで本質的な強さにはならんじゃろう。」
なんだか冒険者に人気がでそうな麻薬だな。
火力が物足りない俺もデメリットがないなら飲みたいし。
「そう。それじゃあ冒険者ギルドに寄ってミレイユさんに聞いてみましょうか。何か知ってるかもしれないわ。」
どうやら舞も俺と同じことを考えていたようだ。
それにしても誰がこんな麻薬を作ったのだろうか。
賑やかなソレイドの街にも暗い世界があるようだ。
俺は空を睨みながら言った。
「雲行きが怪しくなってきたな。」
「何言っとるんじゃ?快晴じゃぞ?」
俺は照れ隠しをしながらも真っ青な空を睨みもう一度口を開いた。
「嵐が来る。」
「じゃから今日は晴れだし、嵐の季節も当分は先じゃ。」
「ほっといてあげなさい。そういう事言いたい時もあるのよ。」
「なんじゃそれ。」
やれやれ、この良さがわからないとはローズには困ったものだ。
シャーロット襲撃の翌朝、今度は昼迄寝ていることのなかった俺は朝食前に庭で転移魔法の訓練をしていた。
「剣を持った状態では転移できるけど、突き刺す位置に転移しようとすると剣だけ転移されない。」
俺は以前から考えていた転移魔法の新たなる使い方をもう一度掘り下げて考えていた。
まず、転移魔法LV8の俺にできることは大まかに3つだ。
1つ目、アイテムボックス。
これはLV3で習得した異空間に物をしまっておける魔法だ。
出し入れする時に魔力を消費し、生物はここに入れられない。
2つ目、アポート。
これは俺の記憶にあるものをその場所から転移させて持ってこれる魔法だ。
ただ、これには欠点があって明確に思い出せるものでないといけないし、魔法を使うときに転移させたい物が元あった場所から動いていたり、状態が大きく変わっていたら発動しない。
3つ目、テレポート。
自分の触れていないものを視界内のみ転移させることと、自分と自分の触れているものを好きな場所に転移させることができる。
さて、現在俺が頭を悩ませているのはテレポートの[自分と自分の触れているものを好きな場所に一緒に転移できる]というステータスカードの説明についてだ。
俺はこれを読んだ後、それじゃあ剣だけが相手に刺さる位置に転移すればいいじゃんと思い試してみたのだが結果は俺の望む通りにはならなかった。
「なんで俺だけ転移して剣は転移しないんだよ。」
そうなのだ。
これをやろうとすると俺のみが転移して剣は地面にポトリと落ちる。
何度繰り返してもこの結果は変わらなかった。
それならばと思い、剣を腰に差したまま剣が相手にささるように転移してみたのだが、今度は俺の転移位置がずれてしまい望む結果にはならなかった。
「これじゃあ、攻撃には使えねえじゃん。」
何故かはわからないが転移魔法にはセーフティーバーのようなものがあるようだ。
この安全装置を取り払わない限り俺の望むことはできなそうだが、魔法の仕様をどうすれば書き換えられるのかわからない。
「まったく。相変わらず出鱈目な転移魔法じゃな。」
俺が転移魔法について頭を悩ませているとローズが俺を朝食に呼びに来てくれた。
「お、ローズ。良いところに来たな。少し聞きたい事があるんだが。」
「む?なんじゃ?妾に答えられることなら教えてやろう。」
「ああ。転移魔法って安全装置みたいなのがあるのか?」
「む?どういうことじゃ?」
俺はローズに今やっていたことをかくかくしかじか説明した。
「なるほどのう。転移魔法は使い手が極めて少ない魔法じゃから未だ実証されていない説じゃがよいか?」
「ああ、頼む。」
「この前お主の気まぐれ転移じゃったか?を聞いた時に言ったと思うが転移事故というものは確かに存在する。建物や山など大きなものの中に転移してしまうあれじゃな。」
「ああ。確かにそんなこと言ってたな。」
「うむ。それでなのじゃが、この転移事故は少しくらいの誤差なら自動的に回避される。」
「それが俺の言った安全装置みたいなもんってことか。」
「そうじゃな。流石に山の中に転移したら助からんが、転移先にそこそこの大きさのものがあるくらいなら転移事故は起きんという訳じゃな。」
「ほーん。で、それは外せんのか?」
「いや、それは魔法の組成を崩す話じゃからな。魔法の力を最大限に引きだすことはできても、その根本から変える事はできんのじゃ。それこそ、そこらにいる神よりも大分上位の存在でないとできんじゃろうな。」
神よりも大分ちっぽけな俺では到底できそうにない事らしい。
それにしても転移魔法には安全装置があったのか。
どうやら俺のやろうとしていた攻撃は転移事故と判断されていたようだ。
「はあ。それじゃあ転移先をセンチ単位で調節する必要がなかったのか。」
「センチが何かは分からんが、お主そんなことしていたのか。相変わらず転移魔法の才能は凄まじいの。」
「別に言うほどのことじゃないだろ。」
「いやいや、お主の転移魔法はかなりのものじゃぞ?妾が全盛期の時は魔力と知能が1万を超えておったがその当時でもここからラングレシア王国まで転移したら魔力切れを起こすじゃろうな。」
「え?お前魔力と知能1万超えてたの?」
「うむ。全ての数値で1万を超えておったの。攻撃力と敏捷性などは2万強じゃったな。」
「マジかいな。相手をしてきた勇者が可哀そうになってきた。」
「何を言っておるんじゃ?お主らは妾のパーティーメンバーなんじゃから妾に届く強さになってもらうぞ?」
「無茶だろ。全然届く気がしないんだが。」
「なに、すぐじゃよ。すぐ。」
いったい何年かかったら千年を生きる魔王に届くのだろうか?
全然想像もつかないんだが。
と、俺がローズの言葉にドン引きしていると、エプロンをつけた舞がお玉を持って俺たちのもとにやってきた。
「あらあらあら、風舞くんとローズちゃんはいつまで私を待たせるのかしらぁ?」
「ま、舞。」
そこには髪を逆立たせてニッコリと笑う舞がいた。
なんか舞の方から飛んでくるオーラみたいなものが凄いピリピリする。
「スープが冷えちゃったわぁ。二人はもう朝ごはんは要らないのよねぇ?」
「「お待たせしてごめんなさい。」」
俺とローズはばっと頭を下げた。
「まあまあ。そんなに頭をさげてどうしたのかしら?そこらに生えている草でも食べるのかしら?」
「「反省しています。許してください。マイさんの朝ごはんを食べたいです!」」
俺とローズは二人揃って頭をさげたまま同じ言葉で謝罪する。
怒る舞の前では万人が同じ態度をとってしまうようだ。
魔王も男子高校生も関係ないらしい。
「もう。さっさと準備をして食堂にいらっしゃい。温めなおして待ってるわね。」
舞のお許しが出た俺とローズは一目散に風呂場と手洗い場にそれぞれ駆け出した。
「ありがとう。舞!大好き!!」
「舞は優しいの!愛しておるぞ!!」
「まったく。二人とも調子が良いわね。」
後ろから舞の苦笑交じりの声が聞こえた気がした。
_______________________________________________
無事に舞の至高なる朝食を食べられた俺達は街へ買い出しに出ていた。
商人ギルドに用意してもらっていた食料品や生活消耗品が底をつきそうになった為だ。
「さて、生活雑貨はもう揃ったし次は食料品かしら。」
路地裏でアイテムボックスを怪しまれない範囲で使っていた俺達は結構な量の買い物を既にしていた。
買い物に何回も行くのは面倒だしな。
買ったものをアイテムボックスに詰めていた俺は舞の言葉にしゃがんだまま顔をあげると、ふとあることに気が付いた。
「あれ、この路地裏。」
「風舞くん?どうかしたのかしら?」
「ん?ああそうだな。…っとこれだ。この前此処の路地でこれ拾ったんだよ。」
俺は以前路地で拾った黒い玉をアイテムボックスから取り出して舞に渡した。
「なにかしらこれ。黒い宝石、ではなく化合物の結晶みたいね。少し大きいけど薬にも見えるし。」
「む?なんじゃそれは?なにやら呪術の気配を感じるぞ。」
ローズが舞の手元を覗き込んで黒い球を確認する。
何かしらのスキルも使っているようだ。
「えーと、どれどれ。全能感を持たせる事と攻撃力増加それに強い依存性があるようじゃな。」
「なにそれ?麻薬ってことか?」
「まあ、そうじゃの。ただ普通の麻薬とは異なってステータスに影響するようじゃな。」
「快楽だけでなく肉体的にも効果があるなんて、タチの悪い麻薬ね。」
「そうじゃな。じゃがこの攻撃力増加はあくまで一時的なものじゃな。これでは体を蝕むだけで本質的な強さにはならんじゃろう。」
なんだか冒険者に人気がでそうな麻薬だな。
火力が物足りない俺もデメリットがないなら飲みたいし。
「そう。それじゃあ冒険者ギルドに寄ってミレイユさんに聞いてみましょうか。何か知ってるかもしれないわ。」
どうやら舞も俺と同じことを考えていたようだ。
それにしても誰がこんな麻薬を作ったのだろうか。
賑やかなソレイドの街にも暗い世界があるようだ。
俺は空を睨みながら言った。
「雲行きが怪しくなってきたな。」
「何言っとるんじゃ?快晴じゃぞ?」
俺は照れ隠しをしながらも真っ青な空を睨みもう一度口を開いた。
「嵐が来る。」
「じゃから今日は晴れだし、嵐の季節も当分は先じゃ。」
「ほっといてあげなさい。そういう事言いたい時もあるのよ。」
「なんじゃそれ。」
やれやれ、この良さがわからないとはローズには困ったものだ。
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