クラスごと異世界転移して好きな女の子と一緒に別行動していたら魔王に遭遇したんですけど...

がいとう

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第1章 俺もチートキャラになりたいんですけど…

26話 剣の修行

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「ぎゃふん!」

 地面に突っ伏している俺は自分で情けない叫び声をあげた。
 剣を小ぶりで振るってなんだよ。
 剣のふり幅をただ短くしたら剣速が下ちてローズにはあたらない。
 かといって剣を勢いよく振って急に止めるとそこが隙になる。

 ていうか、剣術の訓練って剣をカンカン打ち合うんじゃないのか?
 ローズは剣を持ってるだけで俺に毎回回し蹴りをくらわせてくるし、剣を使うまでもないってことか。
 こんちくしょう。

「ほれ、謎の声を上げてないでさっさと立て。まだ妾は剣を使っておらんぞ。頭を使え。頭を。」

 頭を使う。頭か。

 俺が唯一ローズに当てられそうな剣は上段からの振り下ろしだ。
 一番速度が乗る分ブレも少ない。
 しかし、ローズもそれが分かっているから俺が腕を上げる前に回し蹴りをくらわしてくる。
 初撃を上段の振り下ろしにしても避けられて何度も蹴られた。

 ローズと俺のステータスには未だ大きな差がある。
 俺が普通にやっても勝てないのは分かり切っているから俺はローズを驚かすことさえできればいい。
 何としても剣をローズに使わせたい。

「よし、次こそ。」

 俺は立ち上がり剣を両手で構えた。
 そのままローズに向かって突っ走り下から斬り上げる。
 ローズは毎度の如くそれを躱しながら回し蹴りをしてきたので、それを転移で後ろにまわって回避し腰を回さないように注意して左手で剣を振り下ろした。

 なるほどな。
 回し蹴りなのは攻撃をしながら俺の転移先を絞り込むためだったのか。
 ローズは俺の斬り下ろしを難なく回避した。
 ここまでは何回かいけた。
 だが、今回はまだ俺の右手が上段に残っている。
 俺は剣を左手から右手に転移させてローズの側面に転移で回り込んだ。
 ローズは俺の斬り下ろしの一回目を避けてまだ片足で立っているためここなら回し蹴りがこないはずだ。
 俺はそのまま右手で剣を振り下ろす。

「うおっ!?」

 ローズが片足でジャンプして空中で回し蹴りを放ってきた。
 だが、おれの振り下ろしは2回ともデコイ。
 ここで反撃が来ることも読んでいる。

 俺は剣をローズの回し蹴りがあたる位置に転移魔法の安全装置を利用して剣を残し、ローズの頭上5センチに逆さまで転移をした。
 何かの漫画で武器には思わず注意が向いてしまうと言っていたし、流石のローズも剣を蹴っている状態で頭上に注意は向くまい。

 と、思っていたらローズが剣に足が当たった瞬間にしゅっとしゃがみ頭上を両手剣で守った。
 俺はそのままなすすべもなく両手剣の側面に頭から落ちた。

「いっつぅ!!」
「頭を使うってそういう意味じゃないんじゃが。」

 ローズが呆れた顔で地面で頭を抱えて悶える俺を見下ろして言った。

「くそ。なんで見てないのに避けられんだよ!」
「それは読みと気配でなんとなくわかるからじゃな。」
「そんな相手に攻撃が当たるか!!」
「まあ、ようやく妾に剣を使わせたんじゃ。お主も成長しておるよ。」

 確かに最初に比べたら戦闘時間も長くなっているかもしれない。
 今の戦闘は3秒以上続いてたし。

「そんなもんかね。」
「そんなもんじゃよ。さて、少し休憩にするかの。かれこれ2時間くらいは続けておったからな。お主も妾に蹴られて体が痛むじゃろう。少し休め。」
「はいよ。」

 俺は地面にそのまま五体投地をして休憩をした。
 今のソレイドの街は半袖でも過ごせるくらいの穏やかな気候で吹きぬく風がとても心地よい
 。気を抜いたらこのまま昼寝をしてしまいそうだ。

「ふふ。さっきの戦闘は見ていたけど凄かったわね。」

 倒れて休憩している俺を舞が覗き込んできてそう言った。

「まだローズに一度も攻撃が当たんないけどな。」
「そりゃあ無理よ。ローズちゃんは何百年も戦い抜いた魔王なのよ?20年も生きていない私たちが叶う訳がないじゃない。」
「ふーん。舞でも攻撃が当たらなそうなのか?」
「そうねぇ。私のお爺様は剣道の一つの流派の師範をやっている人なのだけれど、ローズちゃんに剣をあてるくらいならお爺様100人を相手にするほうが楽ね。」
「なんじゃそりゃ。凄すぎて強さが全く分からん。」
「ふふ。そんな途轍もない強さなのが魔王ローズ・スカーレットなのでしょうね。」

 舞はそう言うと俺の横に腰かけた。
 なんとなくそんな気がしたので転移魔法から土のコップを二つ取り出して舞に渡すと、舞は何も言わずに水魔法でそこに水を入れて片方を俺に渡してくれた。
 俺は半身を起こして水に口をつけた。

「舞の方の訓練はどんな感じなんだ?」
「そうね。魔法を使う時の魔力の体内の流れはもう少しで感じられそうなのだけれど、魔力探知は体外の魔力の流れを感じるスキルらしいからまだまだね。」
「ふーん。結構難しそうなんだな。」
「そうね。今まで魔力なんて概念のない世界で生きたわけだから、もう少し時間がかかりそうだわ。」

 どうやらさすがの舞でも魔法に関することは一筋縄にはいかないようだ。
 そりゃあそうか。
 異世界に来て直ぐに魔法をばんばか使いこなしていたら、日本では超弩級の中二病だろうしな。
 舞は中二病ではなかったはずだ。

 そんな感じで話していたらどこかに行っていたローズがリンゴジュースの瓶を片手にやって来た。
 昼前に買っておいたローズのお気に入りだ。
 3ダースほど買い込んである。

「ん?何を話していたのじゃ?」
「お互い先は長いなって話だよ。」
「ん?どういうことじゃ?」
「ああ、そういえばローズちゃん。私に少し剣の稽古をつけてくらないかしら。風舞くんが凄い強いって言うから興味が湧いたのよ。」
「そうかそうか。フウマも妾を認めておるんじゃな!そんな素振りちっとも見せんから気づかんかったぞ。のぉフウマ。もっと妾を褒めてもいいんじゃぞ?」

 ローズがそう言ってドヤ顔でグイグイ来る。
 俺、結構ローズの事褒めてると思うんだけど。
 それでも足りないのか?
 ていうかドヤ顔がうざい。
 どんだけ褒められたいんだよ。

「わかったわかった。俺も舞とローズの試合を見たかったんだ。ちゃっとやってくれ。」
「やれやれ、素直じゃないのぉ。まったくしょうがない奴じゃな。」
「ふふふ、そうね。それじゃあローズちゃんよろしく頼むわ。」

 舞はそういうと立ち上げって剣を持ち準備を始めた。
 ローズも俺に飲みかけの瓶を渡してから、俺の剣を借りて片手で構える。
 無造作ながらも凄くきれいな構えだ。
 初心者目にも凄く達人っぽく見える。

「さて、どっからでもかかってこい。」
「ええ。行くわね。」

 舞は剣を両手で握り、フーっと長く息を吐くと即座に動き出した。
 体が斜めに傾くところまでは見えたが、気がついたらローズと剣を打ち合っていた。
 おお、初撃からローズに剣を使わせるか。
 凄いな。

「ふむ。中々に綺麗な剣筋じゃな。とても平和な国で生きておったとは思えぬ武の剣じゃ。」
「あら、それは嬉しいわね。」

 舞とローズは剣をギリギリと押し合いながら短く会話をする。

 その後、舞が一度ローズから少し離れもう一度ローズに切りかかった。
 今度は俺でもなんとか見える範囲だ。
 ローズは舞の斬撃を難なく受け止め舞の続く連撃を的確に防いでいく。
 攻撃力は舞の方が上なのに全て受けきれているのはローズのほうが技量が上だからだろう。

 このままではキリがないと思ったのか舞は大きくローズから下がると息を整えた。
 その間にローズが俺に声をかけてくる。

「よいかフウマ。剣を使う上で重要なのは流れじゃ。一度の剣で決められるならそれに越したことはないが、そうでないことも多くある。相手の動きを自分の望むように動かし流れを操る。それが今のフウマの考えることじゃな。」

 なるほどな。
 確かに俺の攻撃は単発で毎回流れが切れていた。
 今の舞の連撃のように体を流れに沿って動かす練習をする必要があるかもしれない。

 と、俺が考えていると息の整え終わった舞にローズが問いかけた。

「剣術のスキルは使わんのか?」
「まだあれは使いこなせていないのよ。」
「なに、これは練習なんじゃ。使ってみればよい。」
「そうね。それじゃあ私が剣術スキルを唯一まともに使える技を本気で使うわ。」

 舞はそういうと剣を片手で腰だめに構えた。
 今の舞が持っているのは両手剣で刀よりも少し長く剣幅も刀の3倍以上あるが、ステータスのあるこの世界では両手剣でも居合ができるのだろう。

「ふむ、居合か。面白い。かかってくるがよいぞ。」
「ええ、いくわ。」

 そう言った舞の顔から表情がすっと消えた。

「果断!!」

 気が付いた時にはもう終わっていた。
 ローズの少し後ろで剣を振り終わった構えの舞が立ち、その横にくるくると宙を舞っていた舞の両手剣が突き刺さった。
 ローズは持っていた剣をくるりと回すと剣を腰に差していた鞘に収めた。

「うむ。今のは中々の技じゃった。剣術LV1のソニックスラッシュが見事お主の技に乗っておったな。」
「参ったわ。さすがローズちゃんね。剣を折らないように考慮してくれたみたいだし私の完敗だわ。ありがとうございました。」

 舞が地面にささっていた剣を引き抜きそう言ってローズに頭を下げた。

「すげえ。最後のは何も見えなかったけどなんかすごい迫力を感じた。」
「うむ。それが剣気じゃな。舞はこの年でそれを使いこなしておる。まったく末恐ろしいことよ。」
「ふふ。二人にそう言って貰えると嬉しいわ。」

 舞がやり切った感のある爽やかな笑顔でそう言った。
 なんか今のを見ていたらゾクゾクした。
 俺もこの二人のような高みに上りたい。
 そう強く思った。
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