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第一章 ― ワールドガイダンス ―
第10話 良薬は口に苦し
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猪の攻撃を真正面から受け止めるつもりか?!
いくら鎧を着ているオルガでも、あの突進をまともに受けたらただじゃ済まないぞ!
俺の心配を余所に、オルガはもっとありえないポーズをとった。両手のひらを前に突き出したんだ。
いやいやいや! それ両手に穴開いちゃうやつ!
「オルガ、逃げ――」
言い切る前に猪がオルガに衝突した。
やっちまったあぁ! オルガの両手が無残にも――!
目を見張る。信じがたい光景がそこにはあった。
俺の腹を簡単に貫いた猪の牙を、オルガは手のひらで受けたのにも関わらず、貫かれるどころか血も滴り落ちることがなかった。
「これが俺のチート能力『鋼の肉体』だ。肌表面を硬質化させることで、強力な防御力を得る」
直後、オルガは牙を両手で握ると猪の大きな体を軽々と持ち上げ、そのまま地面に叩きつけた。すごい。
断末魔とともに猪は数秒間ピクピクと動いていたが、すぐに動かなくなった。
ところでチート能力? 確か神ジジイがそんなような単語……って。
「いってえぇ!」
気が緩んだところで、再び痛みが襲ってきた。
苦痛の表情を浮かべる俺を見て、マリンはあたふたとしている。
「マリン、どいてな」
オルガが懐から、麻袋を取り出した。
オルガはその袋に手を突っ込むと、緑色のドロドロした物体を引き出すと、俺の眼前に持ってきた。
「……何これ」
青臭い。
ん。っとオルガがさらに俺の口に近づけてくる。
「薬草をすり潰したものだ。飲めばとりあえず痛み止めにはなる」
薬草……ゲームでよく聞くやつだ。飲めばゲームみたいにさっと回復できるだろうか。
意を決してドロドロした物体を鷲掴みにすると、それを口の中に放り込んだ。
「―! にっが!」
良薬は口に苦しとは言うけどこれは……まるでブラックコーヒーを噛んでるみたいな。コーヒーには砂糖とミルクが必須な俺にはきつい。
「あとは傷口の方だな」
オルガが今度はドロップ型の水筒を取り出すと、その蓋を開けて、中の液体を口に運ぼうとする。
待てよ……これはもしかして映画とかでよくある傷口に酒を吹きかけるヤツでは?!
「ちょ、ちょい待ち!」
「ん?」
オルガが水筒を持つ手を止める。
「どうした?」
「吹きかけるの?」
「吹きかけるぞ」
「……えーっとその」
おっさんに唾を吐きかけられるのはいい気分じゃない。とは言えない。
「……マリン、歳はいくつだ?」
「ふぇ?」
急に話を振られて、マリンは肩ビクつかせて驚く。
「二十歳になったばかりですが?」
「おっさんはお呼びじゃないそうだから、マリン頼めるか?」
そう言ってオルガは水筒をマリンに差し出した。
心を読まれてしまったようだ。というか、マリンって俺より年上だったんだなぁ。結構、童顔なのね。
「何をすればいいんですか?」
「その中に酒が入ってるから、吹きかけてやってくれ。あ、度数が高いからそこんところ注意してくれ」
「わ、わかりました」
って、おいおいマリンにやらせるのかよ!
それはそれで問題あるだろ!
言われたとおり、マリンは水筒の中の酒を口に含み、俺の腹部に吹きかけようとする……のだが、そこで固まった。マリンの顔がみるみる赤くなっていくのがわかる。
「恥ずかしいのか?」
オルガの問いに、マリンは口の中の酒を飲み込んでから答える。
「はい……吹きかけるなんて、ご主人様にはしたないところ見られるのは抵抗があります……」
「ふむ、そうか。じゃあナベウマ、マリンに吹きかけるように命令しろ」
「は?!」
「さっきも言ったが、パートナーは主人の言いつけは絶対厳守する。お前が言えばマリンは嫌がっていたこともすんなり受け入れてやってくれるぞ」
「あのなあ! 女の子にそんなことやらせる趣味は俺に――」
「そうかい、なら我慢しろよ」
オルガがマリンから水筒を取り上げると、中身を直接傷口に撒いてきた。
「し、しみるううぅああ!」
俺の叫びが森の中で響き渡った。
いくら鎧を着ているオルガでも、あの突進をまともに受けたらただじゃ済まないぞ!
俺の心配を余所に、オルガはもっとありえないポーズをとった。両手のひらを前に突き出したんだ。
いやいやいや! それ両手に穴開いちゃうやつ!
「オルガ、逃げ――」
言い切る前に猪がオルガに衝突した。
やっちまったあぁ! オルガの両手が無残にも――!
目を見張る。信じがたい光景がそこにはあった。
俺の腹を簡単に貫いた猪の牙を、オルガは手のひらで受けたのにも関わらず、貫かれるどころか血も滴り落ちることがなかった。
「これが俺のチート能力『鋼の肉体』だ。肌表面を硬質化させることで、強力な防御力を得る」
直後、オルガは牙を両手で握ると猪の大きな体を軽々と持ち上げ、そのまま地面に叩きつけた。すごい。
断末魔とともに猪は数秒間ピクピクと動いていたが、すぐに動かなくなった。
ところでチート能力? 確か神ジジイがそんなような単語……って。
「いってえぇ!」
気が緩んだところで、再び痛みが襲ってきた。
苦痛の表情を浮かべる俺を見て、マリンはあたふたとしている。
「マリン、どいてな」
オルガが懐から、麻袋を取り出した。
オルガはその袋に手を突っ込むと、緑色のドロドロした物体を引き出すと、俺の眼前に持ってきた。
「……何これ」
青臭い。
ん。っとオルガがさらに俺の口に近づけてくる。
「薬草をすり潰したものだ。飲めばとりあえず痛み止めにはなる」
薬草……ゲームでよく聞くやつだ。飲めばゲームみたいにさっと回復できるだろうか。
意を決してドロドロした物体を鷲掴みにすると、それを口の中に放り込んだ。
「―! にっが!」
良薬は口に苦しとは言うけどこれは……まるでブラックコーヒーを噛んでるみたいな。コーヒーには砂糖とミルクが必須な俺にはきつい。
「あとは傷口の方だな」
オルガが今度はドロップ型の水筒を取り出すと、その蓋を開けて、中の液体を口に運ぼうとする。
待てよ……これはもしかして映画とかでよくある傷口に酒を吹きかけるヤツでは?!
「ちょ、ちょい待ち!」
「ん?」
オルガが水筒を持つ手を止める。
「どうした?」
「吹きかけるの?」
「吹きかけるぞ」
「……えーっとその」
おっさんに唾を吐きかけられるのはいい気分じゃない。とは言えない。
「……マリン、歳はいくつだ?」
「ふぇ?」
急に話を振られて、マリンは肩ビクつかせて驚く。
「二十歳になったばかりですが?」
「おっさんはお呼びじゃないそうだから、マリン頼めるか?」
そう言ってオルガは水筒をマリンに差し出した。
心を読まれてしまったようだ。というか、マリンって俺より年上だったんだなぁ。結構、童顔なのね。
「何をすればいいんですか?」
「その中に酒が入ってるから、吹きかけてやってくれ。あ、度数が高いからそこんところ注意してくれ」
「わ、わかりました」
って、おいおいマリンにやらせるのかよ!
それはそれで問題あるだろ!
言われたとおり、マリンは水筒の中の酒を口に含み、俺の腹部に吹きかけようとする……のだが、そこで固まった。マリンの顔がみるみる赤くなっていくのがわかる。
「恥ずかしいのか?」
オルガの問いに、マリンは口の中の酒を飲み込んでから答える。
「はい……吹きかけるなんて、ご主人様にはしたないところ見られるのは抵抗があります……」
「ふむ、そうか。じゃあナベウマ、マリンに吹きかけるように命令しろ」
「は?!」
「さっきも言ったが、パートナーは主人の言いつけは絶対厳守する。お前が言えばマリンは嫌がっていたこともすんなり受け入れてやってくれるぞ」
「あのなあ! 女の子にそんなことやらせる趣味は俺に――」
「そうかい、なら我慢しろよ」
オルガがマリンから水筒を取り上げると、中身を直接傷口に撒いてきた。
「し、しみるううぅああ!」
俺の叫びが森の中で響き渡った。
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