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第二章 ― 争奪戦 ―
第67話 ボーイミーツ……
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西暦2015年 6月 25日。
世間が口永良部島の噴火に騒いでいた頃。
岐阜県の郊外にある、とある中学校の体育館裏で、俺は同級生の男子二人に重軽傷を負わせた。
*
11歳になるまで、そこそこ幸せだったと思う。
2LDKのマンションに住み母親は専業主婦で、父親はサラリーマン。
母さんは「遊んでばかりいるな」と口うるさい面もあるが、基本的には優しいことがほとんどで、友達と野球がしたいからグローブを買ってほしいとか、友達の家でやったテレビゲームが面白かったからソフトを動かす機械ごと買ってほしいとか、俺のワガママをよく聞いてくれたし、友達とケンカしたときは相談にのってくれたりもした。
親父も母親と同様に、悩みがあれば聞いてくれたし、仕事で疲れているときも、俺の遊び相手になってくれた。
そんな親父には、俺が何かに悩む度、しつこい位言っていた言葉がある。
『自分の行いに筋を通せ』
責任を果たせ。自分が正しいと思うことをしろ。後で後悔するような真似はするな。大人になったとき、誇って語れるようになれ。
それらを一つにまとめた言葉だった。
思えば、これが俺の原点なのだろう。
約束の時間には絶対に遅れない。宿題は指定された日までに必ず出す。約束事は守る。人が嫌がることはしない。などなど、俺は道徳をきちんと守る子に育った。
誤解しないでほしいが、別に堅苦しい性格になったわけじゃない。
優等生のように、夏休みの宿題を初めの内に片付けるほどの意識の高さはない。前から言っているとおり、俺はそういうのはギリギリにやる。ギリギリではあるが、締め切りには絶対間に合わせる。
線があるのだ。ここまでなら許せる線。超えてしまったら許せない線。俺は線を越えない範囲で自由にやっていた。
11歳の頃、親父の会社は倒産した。
それから家が慌しくなり始めた。知らない人が家を訪問するようになったり、親の携帯電話が頻繁に鳴るようになった。
当時の俺は全く状況を理解していなかったが、多分借金の取立てがあったんだろう。
俺たち家族は、近くのアパートへ引越すことになり、親父は懸命に新しい職を、母親はパートを始めた。俺も少しでも両親の力になろうと、食器洗い、洗濯、家の掃除などをするようになった。
しかし、小学校を卒業する頃になっても、親父の就職先は決まらなかった。
親父はだんだんと変わっていった。
仕事を探すことも、俺と話すこともしなくなり、代わりに母さんと喧嘩するようになっていった。
憧れていた親父が別人になっていくのは、見ていて辛かった。
だから、俺は親父に言った。
「自分の行いに筋を通せよ!」
それを言った直後、親父に頬をぶたれた。
「何もわかってないガキが親に説教するな」
もう俺の知っていた親父はいなくなっていた。
そして、俺が中学2年生になる頃、親父は借金を残したまま黙って姿を消した。
中学校では俺は無気力で、授業態度も、クラスメイトへの受け応えも適当だった。
小学校から仲良くしていた友達も初めの内は心配してくれたが、俺の無愛想っぷりに愛想が尽き、離れていった。
それでも、不登校になろうとか、宿題サボろうとか、思わなかったのは、一重に俺の“原点”がそれを許そうとしなかったのだろう。
そんな日々を過ごす中、ある日、俺はイジメの現場に遭遇した。
人通りが無く物置と化している階段裏で、同級生の男子三人が、同じく同級生の男子生徒にプロレス技をかけていた。おまけにパンツまで下げて、その姿をスマホで撮影して嘲笑っていた。
反吐が出る気分だったが、やる気のない俺は、面倒ごとに関わり合いたくなかったから、知らないフリをすることにした。
はずだった。
見えない何かに背中を押されるように飛び出した俺は、プロレス技をかけていた男子を突き飛ばした。
俺に染み付いた行動原理は、関わる道を選んでしまったのだ。
その日を境に地獄と思える日々が始まった。奴ら三人は、イジメの対象を俺に変えたのだ。
どんな仕打ちを受けたかは、あまり話したくない。話したって辛かった以上のことはないし、話そうとすると身体が拒否反応を起こして吐きそうになる。
昔の俺なら、同じ人とは思えない男共に道徳を説いていたかもしれないが、当時の俺にそんな心の余裕はなかった。
他の生徒は見て見ぬフリ、助けた男子生徒ですら俺を助けようとはしなかった。
担任の先生に助けを求めても「はしゃいでないで、ちゃんと勉強しろ」、「気持ちのすれ違いだ。仲良くしろ」と、会話が成立していなかった。他の教師もまともに取り合おうとはしてくれなかった。
決め手は担任の「面倒事を起こさないでくれ」だ。
大人ってやつは口先ではもっともらしいことを言うが、いざ問題が起こると責任逃れをするということを、そのときに知った。
近くにいて頼れる存在だったはずの母さんは、借金を返すためパートや副業を掛け持ちしていたせいで疲れが溜まり、話を取り合ってくれる精神状態じゃなかった。
逃げ場は無かった。
そんな状況が中学3年になっても続き、2015年 6月 25日にその事件は起きた。
体育館裏でいつものようにあとが残らない程度の暴行を受けた後、財布から札を抜き取られる。
「今週はこんだけしかないのかよー。渡辺ちゃんしけてんなー」
毎回毎回、同じ様な台詞、飽きもせずよく言う。
普段通りならこれで終わり、倒れてる俺を置いて三人の悪魔はゲーセンに行く。
でも、その日は余計なことを言いやがったんだ。
「しょうがねぇよ、コイツの家、父親いないんだもん。母親一人の稼ぎじゃ貧乏なのも無理ねーよ」
「ははは、父親からも見捨てられたとかウケる! ま、お前の親なんか願い下げって気持ちはわかるわ!」
……おい、何でそこで親の話が出る。
「渡辺の母親って、どうやって金稼いでんだろ! ひょっとして身体売ってたりしてなー!」
――その瞬間、線を越えた。
俺は、目の前に転がっていた拳大の石を握り締めて立ち上がると、下品な笑い声をあげている一人へ詰め寄り、ソイツの頭に鉄槌を下した。
「ガッッッアアアアァァ!」
側頭部を押さえながら仰向けに倒れる男に馬乗りになって、さらに顔面や胸に石を振り下ろした。
死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。
死ねと頭で一回唱えるごとに、石を握る手を振り下ろす。
一人の男子が俺に掴みかかろうとしてくるのに対し、俺は持っていた石を投げて胸にぶつけた。よろめいたソイツを押し倒して同じ様に馬乗りになった。
無傷で残っていた男子がその場から逃げ出して、先生を呼びに行った。
「やめろよ! やめろって! お前、普通じゃねぇよ!」
は?
はああああああぁぁ?!!?!?!!?!
押し倒された男が涙ぐみながら発した言葉に、俺は一周回って笑いそうになった。
普通じゃない?! 何言ってんだコイツは。お前らの方が散々普通じゃないことしてきただろうが、ちょっと反撃されたぐらいで泣き喚いてんじゃねぇよ!
先生が止めにやってくるまでの間、溜め続けていたものを吐き出すかのように、ソイツを殴りまくった。
「どうしてこんなことしたの! 人を石で殴るなんてこと、しちゃいけないって常識で考えたらわかるでしょ!」
母さんは、俺が殴った生徒の親に謝罪することで一杯一杯で、俺の話を一切聞こうとしなかった。
どうにか訴訟沙汰を避けた俺と母さんは逃げるように、東北の仙台へと引っ越した。
俺の行いは何もかも間違いだったのかと、自信を失いかけた。けど、引っ越す際に届いた一通の手紙が俺を肯定してくれた。「あのとき、助けてくれてありがとう」。イジメから助けた男子生徒からの感謝の気持ち。おかげで、俺は今までの自分を全部捨てないでいられた。
引越し先の中学校で二学期を迎え、心機一転。というわけにはいかなかった。俺が起こした事件は名前こそ明かされてはいなかったが、全国で報道されていた。個人が情報を発信する時代、SNSを通じていくらでも情報は拡散する。転校のタイミングや学年から、例の事件を起こした張本人ではないかという噂が広まり、俺に積極的に近づこうとするやつはいなかった。
だけど、一人に慣れてしまった俺はもうどうでもよくなっていた。孤独のままでもいいと思っていた。
「よっ! 転校生! 放課後、遊ばね?」
そんな俺に、話しかけてきたのが、相ノ山だった。
「エー君も行こうぜ!」
エー君?
相ノ山の隣にもう一人の男子がダルそうに立っていた。名前は何だったっけ。
「行きたくなーい、家帰ってギャルゲーやりたいわ。それとさ、その呼び方やめろって言ってるダルルォ? 普通に栄島と呼べい」
「小学生の頃から呼んでんだぜ? 今更変えられないって。あ、渡辺、エー君のエーってABCのAだからな! 間違えんなよ! で、で、俺は相ノ山だからI、アイ君って呼んでくれ!」
誰もそんなこと聞いてないっての。AだのIだの中三にもなってバカみてぇ。お前みたいなやつがイジメの対象になったりするんだよな……。
「あー、俺の家まだ引っ越ししたばかりでゴタゴタしてるから、また今度誘ってくれよ」
張り付いたスマイルで、誘いを断った。
なのに、その後もそいつらは何度も誘ってきてその度に断わるのだが諦めようとしない。
鬱陶しい。新手のイジメか。なら、誘いにのってやるよ。どーせ、誘いを受けたら、今度はそっちが無理だったとか言い出すんだろ、知ってる知ってる。
「A君、渡辺が遊べるってよ!」
「そマ? よぅし、オレんちに集まってズバブラやろう」
「ちょ、いきなりゲームかよ。まずは運動で親睦を深めるべきっしょ」
「三人で何の運動するんだよ、キャッチボールでもやるのか?」
「んー、グラウンドワン行くか」
「グラウンドワン行くの?! 遠いわ! 今からじゃ行って帰るだけで終わるから! それ行くなら土日にして!」
その後、結局栄島の家でゲームをして遊んだ。
普通に遊んだ。
普通に遊べた。
人と。会話して。
夢のようだった。
一日経ったら無かったことになるんじゃないかと、怖くなるくらい、何年ぶりかの楽しい一日を過ごした。
それから、俺たち三人はよく一緒になって遊んだ。ゲーム、ボーリング、カラオケ、サイクリング、港で釣り、いろんなことをした。
相ノ山は基本的には体を動かしたり、遠出したりするのが好きなアウトドア派で、栄島は家でテレビゲーム――特に、俗に言うギャルゲーとやらにハマっていた。
初めの内はついていけなかった二人のアホなノリにも、だんだんと慣れていき、中学を卒業する時期には、俺は彼らをA君、I君と呼ぶようになっていた。俺自身バカっぽいこと言って、心の底から笑えるようになっていった。
中学を卒業後も、同じ高校へと通い関係は続いた。高校では俺を不信に思うやつもいなくなり、A君ら以外にも友達ができていった。
良い事はさらに続く。母さんが借金を返し終わり、余裕が出てきたことで少しずつ昔のように会話するようになった。それにより、事件以来良くなかった母との仲もゆっくり修復されていった。
そんな調子で、高校三年になって、過去のことも忘れるようになりつつあったときに、俺は死んで今に至る。
*
俺の話はこれで全部だ。全部をマリンに語った。
この話を聞いて、マリンはどう思ったかな……怖いって、危ない人間だって思われたかもしれない。
ベッドの側でマリンは立ったまま俯いていて、青い髪の影に隠れてどんな顔をしているのかわからなかった。
「自分の中学生時代を語ったのは、マリンが初めてだよ」
語るような相手もいなかったし、語ろうとも思わなかった。
久しぶりに、誰かに自分を伝えるように話したからか。改めて、自分という人間がどんなものだったか思い出した。
「マリンはさ、自分が頼りにならないから相談してくれないのかって言ったけど、そうじゃないんだ。そうじゃなくて俺が、他の人に悩みを打ち明けようって考えないだけなんだ」
俺はもう、“これがしたい”からと誰かを頼ることはできても、”こんなことがあったんだけどどうしたらいい”と、甘えることはできなくなってしまった。
一人で勝手に考えて勝手に突っ走る、一人で長くいすぎた俺は、自分だけで解決しようとする癖がついてしまったんだ。
「マリンを信頼してないわけじゃない。ただ、俺にはこういう生き方しか――」
マリンがベッドの上に座ってきたかと思うと、俺を両腕の中へと強く抱き寄せた。
不意打ちだった。
予期していなかったマリンの温もりに、戸惑いながらも安らぎを感じる。
「話してくれてありがとうございます、ショウマ様。私、とても嬉しくて……やっと、やっとショウマ様に出会えた気がします」
さっきまで泣いていたはずのマリンの声はとても落ち着いていた。
「辛かったんですよね、痛かったんですよね、誰かに聞いて欲しかったんですよね。それなのに、たった一人で頑張るしかなかったんですよね」
俺はマリンの胸元で目を閉じたまま、その優しい声に耳を傾ける。
言葉の一つ一つが、胸の奥に響いて目頭が熱くなる。
「甘えていいんですよ」
それを聞いて、涙が零れてしまった。
「ショウマ様の気持ち、全部受け止めますから」
涙が止まらなかった。マリンの腕の中で泣きじゃくって、マリンの服を濡らして、みっともないっていうのに、涙を抑えられなかった。
ああ、そうか、俺はずっと、誰かに、そう言ってもらいたかったんだ……。
「私に、甘えてくれますか?」
久しく忘れていた陽だまりの温かさの中、俺はゆっくりと首を縦に動かした。
渡辺 勝麻が試合を終えたばかりの時間。
フィラディルフィア王国から南へ数十キロ離れた森で、一組の男女がいた。
茶髪のロングヘアの女はかれこれ30分近く目を閉じ続けたまま、立っている。
男の方は木にもたれ掛って両腕を組んでいる。男は金髪で、長さは後ろが肩につく程度で前は目にかかるほどだ。
「試合終わりました」
女は目を開けると、男に向かって言った。
「どうだった? 彼は?」
眠そうな表情で、男は問いかける。しかし、彼は決して眠いわけではなく、細目でそう見えているだけだ。
「送られてきた『精神映像』を『解析』で見てみましたが、あの子の能力は確かに普通じゃないですね。『風魔法』かと思いましたが、対戦相手を殴っている間も魔力はゼロのままでした」
男が腕を組んだまま、片方の手の人差し指を立てる
「彼は僕達が知り得ていない未知の力を行使しているわけだ。もしかしたら、彼こそがカギなのかもしれない」
「彼を捕らえますか?」
「今はやめておこう。下手な行いをして作戦が台無しになったら大変だ。彼にはいずれ挨拶に来てもらうさ」
男が木から離れ、片手を前に出す。
男の前に、どこからともなく自動車が現れた。2000年代初め、まだ見た目のデザインに角ばりが残っていた頃の4ドアの白いセダンだ。
その車の運転席に男が座り、助手席に女が座る。
「それにしても、彼のサポートがあの人とはね」
キーを回し、エンジンをかけながら、男は不敵な笑みを浮かべて小さく呟いた。
「渡辺 勝麻君をよろしくお願いしますよ。小樽 大河さん」
男達が乗った車がランフラットタイヤで森の土を巻き上げながら、走り出していった。
世間が口永良部島の噴火に騒いでいた頃。
岐阜県の郊外にある、とある中学校の体育館裏で、俺は同級生の男子二人に重軽傷を負わせた。
*
11歳になるまで、そこそこ幸せだったと思う。
2LDKのマンションに住み母親は専業主婦で、父親はサラリーマン。
母さんは「遊んでばかりいるな」と口うるさい面もあるが、基本的には優しいことがほとんどで、友達と野球がしたいからグローブを買ってほしいとか、友達の家でやったテレビゲームが面白かったからソフトを動かす機械ごと買ってほしいとか、俺のワガママをよく聞いてくれたし、友達とケンカしたときは相談にのってくれたりもした。
親父も母親と同様に、悩みがあれば聞いてくれたし、仕事で疲れているときも、俺の遊び相手になってくれた。
そんな親父には、俺が何かに悩む度、しつこい位言っていた言葉がある。
『自分の行いに筋を通せ』
責任を果たせ。自分が正しいと思うことをしろ。後で後悔するような真似はするな。大人になったとき、誇って語れるようになれ。
それらを一つにまとめた言葉だった。
思えば、これが俺の原点なのだろう。
約束の時間には絶対に遅れない。宿題は指定された日までに必ず出す。約束事は守る。人が嫌がることはしない。などなど、俺は道徳をきちんと守る子に育った。
誤解しないでほしいが、別に堅苦しい性格になったわけじゃない。
優等生のように、夏休みの宿題を初めの内に片付けるほどの意識の高さはない。前から言っているとおり、俺はそういうのはギリギリにやる。ギリギリではあるが、締め切りには絶対間に合わせる。
線があるのだ。ここまでなら許せる線。超えてしまったら許せない線。俺は線を越えない範囲で自由にやっていた。
11歳の頃、親父の会社は倒産した。
それから家が慌しくなり始めた。知らない人が家を訪問するようになったり、親の携帯電話が頻繁に鳴るようになった。
当時の俺は全く状況を理解していなかったが、多分借金の取立てがあったんだろう。
俺たち家族は、近くのアパートへ引越すことになり、親父は懸命に新しい職を、母親はパートを始めた。俺も少しでも両親の力になろうと、食器洗い、洗濯、家の掃除などをするようになった。
しかし、小学校を卒業する頃になっても、親父の就職先は決まらなかった。
親父はだんだんと変わっていった。
仕事を探すことも、俺と話すこともしなくなり、代わりに母さんと喧嘩するようになっていった。
憧れていた親父が別人になっていくのは、見ていて辛かった。
だから、俺は親父に言った。
「自分の行いに筋を通せよ!」
それを言った直後、親父に頬をぶたれた。
「何もわかってないガキが親に説教するな」
もう俺の知っていた親父はいなくなっていた。
そして、俺が中学2年生になる頃、親父は借金を残したまま黙って姿を消した。
中学校では俺は無気力で、授業態度も、クラスメイトへの受け応えも適当だった。
小学校から仲良くしていた友達も初めの内は心配してくれたが、俺の無愛想っぷりに愛想が尽き、離れていった。
それでも、不登校になろうとか、宿題サボろうとか、思わなかったのは、一重に俺の“原点”がそれを許そうとしなかったのだろう。
そんな日々を過ごす中、ある日、俺はイジメの現場に遭遇した。
人通りが無く物置と化している階段裏で、同級生の男子三人が、同じく同級生の男子生徒にプロレス技をかけていた。おまけにパンツまで下げて、その姿をスマホで撮影して嘲笑っていた。
反吐が出る気分だったが、やる気のない俺は、面倒ごとに関わり合いたくなかったから、知らないフリをすることにした。
はずだった。
見えない何かに背中を押されるように飛び出した俺は、プロレス技をかけていた男子を突き飛ばした。
俺に染み付いた行動原理は、関わる道を選んでしまったのだ。
その日を境に地獄と思える日々が始まった。奴ら三人は、イジメの対象を俺に変えたのだ。
どんな仕打ちを受けたかは、あまり話したくない。話したって辛かった以上のことはないし、話そうとすると身体が拒否反応を起こして吐きそうになる。
昔の俺なら、同じ人とは思えない男共に道徳を説いていたかもしれないが、当時の俺にそんな心の余裕はなかった。
他の生徒は見て見ぬフリ、助けた男子生徒ですら俺を助けようとはしなかった。
担任の先生に助けを求めても「はしゃいでないで、ちゃんと勉強しろ」、「気持ちのすれ違いだ。仲良くしろ」と、会話が成立していなかった。他の教師もまともに取り合おうとはしてくれなかった。
決め手は担任の「面倒事を起こさないでくれ」だ。
大人ってやつは口先ではもっともらしいことを言うが、いざ問題が起こると責任逃れをするということを、そのときに知った。
近くにいて頼れる存在だったはずの母さんは、借金を返すためパートや副業を掛け持ちしていたせいで疲れが溜まり、話を取り合ってくれる精神状態じゃなかった。
逃げ場は無かった。
そんな状況が中学3年になっても続き、2015年 6月 25日にその事件は起きた。
体育館裏でいつものようにあとが残らない程度の暴行を受けた後、財布から札を抜き取られる。
「今週はこんだけしかないのかよー。渡辺ちゃんしけてんなー」
毎回毎回、同じ様な台詞、飽きもせずよく言う。
普段通りならこれで終わり、倒れてる俺を置いて三人の悪魔はゲーセンに行く。
でも、その日は余計なことを言いやがったんだ。
「しょうがねぇよ、コイツの家、父親いないんだもん。母親一人の稼ぎじゃ貧乏なのも無理ねーよ」
「ははは、父親からも見捨てられたとかウケる! ま、お前の親なんか願い下げって気持ちはわかるわ!」
……おい、何でそこで親の話が出る。
「渡辺の母親って、どうやって金稼いでんだろ! ひょっとして身体売ってたりしてなー!」
――その瞬間、線を越えた。
俺は、目の前に転がっていた拳大の石を握り締めて立ち上がると、下品な笑い声をあげている一人へ詰め寄り、ソイツの頭に鉄槌を下した。
「ガッッッアアアアァァ!」
側頭部を押さえながら仰向けに倒れる男に馬乗りになって、さらに顔面や胸に石を振り下ろした。
死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。死ね。
死ねと頭で一回唱えるごとに、石を握る手を振り下ろす。
一人の男子が俺に掴みかかろうとしてくるのに対し、俺は持っていた石を投げて胸にぶつけた。よろめいたソイツを押し倒して同じ様に馬乗りになった。
無傷で残っていた男子がその場から逃げ出して、先生を呼びに行った。
「やめろよ! やめろって! お前、普通じゃねぇよ!」
は?
はああああああぁぁ?!!?!?!!?!
押し倒された男が涙ぐみながら発した言葉に、俺は一周回って笑いそうになった。
普通じゃない?! 何言ってんだコイツは。お前らの方が散々普通じゃないことしてきただろうが、ちょっと反撃されたぐらいで泣き喚いてんじゃねぇよ!
先生が止めにやってくるまでの間、溜め続けていたものを吐き出すかのように、ソイツを殴りまくった。
「どうしてこんなことしたの! 人を石で殴るなんてこと、しちゃいけないって常識で考えたらわかるでしょ!」
母さんは、俺が殴った生徒の親に謝罪することで一杯一杯で、俺の話を一切聞こうとしなかった。
どうにか訴訟沙汰を避けた俺と母さんは逃げるように、東北の仙台へと引っ越した。
俺の行いは何もかも間違いだったのかと、自信を失いかけた。けど、引っ越す際に届いた一通の手紙が俺を肯定してくれた。「あのとき、助けてくれてありがとう」。イジメから助けた男子生徒からの感謝の気持ち。おかげで、俺は今までの自分を全部捨てないでいられた。
引越し先の中学校で二学期を迎え、心機一転。というわけにはいかなかった。俺が起こした事件は名前こそ明かされてはいなかったが、全国で報道されていた。個人が情報を発信する時代、SNSを通じていくらでも情報は拡散する。転校のタイミングや学年から、例の事件を起こした張本人ではないかという噂が広まり、俺に積極的に近づこうとするやつはいなかった。
だけど、一人に慣れてしまった俺はもうどうでもよくなっていた。孤独のままでもいいと思っていた。
「よっ! 転校生! 放課後、遊ばね?」
そんな俺に、話しかけてきたのが、相ノ山だった。
「エー君も行こうぜ!」
エー君?
相ノ山の隣にもう一人の男子がダルそうに立っていた。名前は何だったっけ。
「行きたくなーい、家帰ってギャルゲーやりたいわ。それとさ、その呼び方やめろって言ってるダルルォ? 普通に栄島と呼べい」
「小学生の頃から呼んでんだぜ? 今更変えられないって。あ、渡辺、エー君のエーってABCのAだからな! 間違えんなよ! で、で、俺は相ノ山だからI、アイ君って呼んでくれ!」
誰もそんなこと聞いてないっての。AだのIだの中三にもなってバカみてぇ。お前みたいなやつがイジメの対象になったりするんだよな……。
「あー、俺の家まだ引っ越ししたばかりでゴタゴタしてるから、また今度誘ってくれよ」
張り付いたスマイルで、誘いを断った。
なのに、その後もそいつらは何度も誘ってきてその度に断わるのだが諦めようとしない。
鬱陶しい。新手のイジメか。なら、誘いにのってやるよ。どーせ、誘いを受けたら、今度はそっちが無理だったとか言い出すんだろ、知ってる知ってる。
「A君、渡辺が遊べるってよ!」
「そマ? よぅし、オレんちに集まってズバブラやろう」
「ちょ、いきなりゲームかよ。まずは運動で親睦を深めるべきっしょ」
「三人で何の運動するんだよ、キャッチボールでもやるのか?」
「んー、グラウンドワン行くか」
「グラウンドワン行くの?! 遠いわ! 今からじゃ行って帰るだけで終わるから! それ行くなら土日にして!」
その後、結局栄島の家でゲームをして遊んだ。
普通に遊んだ。
普通に遊べた。
人と。会話して。
夢のようだった。
一日経ったら無かったことになるんじゃないかと、怖くなるくらい、何年ぶりかの楽しい一日を過ごした。
それから、俺たち三人はよく一緒になって遊んだ。ゲーム、ボーリング、カラオケ、サイクリング、港で釣り、いろんなことをした。
相ノ山は基本的には体を動かしたり、遠出したりするのが好きなアウトドア派で、栄島は家でテレビゲーム――特に、俗に言うギャルゲーとやらにハマっていた。
初めの内はついていけなかった二人のアホなノリにも、だんだんと慣れていき、中学を卒業する時期には、俺は彼らをA君、I君と呼ぶようになっていた。俺自身バカっぽいこと言って、心の底から笑えるようになっていった。
中学を卒業後も、同じ高校へと通い関係は続いた。高校では俺を不信に思うやつもいなくなり、A君ら以外にも友達ができていった。
良い事はさらに続く。母さんが借金を返し終わり、余裕が出てきたことで少しずつ昔のように会話するようになった。それにより、事件以来良くなかった母との仲もゆっくり修復されていった。
そんな調子で、高校三年になって、過去のことも忘れるようになりつつあったときに、俺は死んで今に至る。
*
俺の話はこれで全部だ。全部をマリンに語った。
この話を聞いて、マリンはどう思ったかな……怖いって、危ない人間だって思われたかもしれない。
ベッドの側でマリンは立ったまま俯いていて、青い髪の影に隠れてどんな顔をしているのかわからなかった。
「自分の中学生時代を語ったのは、マリンが初めてだよ」
語るような相手もいなかったし、語ろうとも思わなかった。
久しぶりに、誰かに自分を伝えるように話したからか。改めて、自分という人間がどんなものだったか思い出した。
「マリンはさ、自分が頼りにならないから相談してくれないのかって言ったけど、そうじゃないんだ。そうじゃなくて俺が、他の人に悩みを打ち明けようって考えないだけなんだ」
俺はもう、“これがしたい”からと誰かを頼ることはできても、”こんなことがあったんだけどどうしたらいい”と、甘えることはできなくなってしまった。
一人で勝手に考えて勝手に突っ走る、一人で長くいすぎた俺は、自分だけで解決しようとする癖がついてしまったんだ。
「マリンを信頼してないわけじゃない。ただ、俺にはこういう生き方しか――」
マリンがベッドの上に座ってきたかと思うと、俺を両腕の中へと強く抱き寄せた。
不意打ちだった。
予期していなかったマリンの温もりに、戸惑いながらも安らぎを感じる。
「話してくれてありがとうございます、ショウマ様。私、とても嬉しくて……やっと、やっとショウマ様に出会えた気がします」
さっきまで泣いていたはずのマリンの声はとても落ち着いていた。
「辛かったんですよね、痛かったんですよね、誰かに聞いて欲しかったんですよね。それなのに、たった一人で頑張るしかなかったんですよね」
俺はマリンの胸元で目を閉じたまま、その優しい声に耳を傾ける。
言葉の一つ一つが、胸の奥に響いて目頭が熱くなる。
「甘えていいんですよ」
それを聞いて、涙が零れてしまった。
「ショウマ様の気持ち、全部受け止めますから」
涙が止まらなかった。マリンの腕の中で泣きじゃくって、マリンの服を濡らして、みっともないっていうのに、涙を抑えられなかった。
ああ、そうか、俺はずっと、誰かに、そう言ってもらいたかったんだ……。
「私に、甘えてくれますか?」
久しく忘れていた陽だまりの温かさの中、俺はゆっくりと首を縦に動かした。
渡辺 勝麻が試合を終えたばかりの時間。
フィラディルフィア王国から南へ数十キロ離れた森で、一組の男女がいた。
茶髪のロングヘアの女はかれこれ30分近く目を閉じ続けたまま、立っている。
男の方は木にもたれ掛って両腕を組んでいる。男は金髪で、長さは後ろが肩につく程度で前は目にかかるほどだ。
「試合終わりました」
女は目を開けると、男に向かって言った。
「どうだった? 彼は?」
眠そうな表情で、男は問いかける。しかし、彼は決して眠いわけではなく、細目でそう見えているだけだ。
「送られてきた『精神映像』を『解析』で見てみましたが、あの子の能力は確かに普通じゃないですね。『風魔法』かと思いましたが、対戦相手を殴っている間も魔力はゼロのままでした」
男が腕を組んだまま、片方の手の人差し指を立てる
「彼は僕達が知り得ていない未知の力を行使しているわけだ。もしかしたら、彼こそがカギなのかもしれない」
「彼を捕らえますか?」
「今はやめておこう。下手な行いをして作戦が台無しになったら大変だ。彼にはいずれ挨拶に来てもらうさ」
男が木から離れ、片手を前に出す。
男の前に、どこからともなく自動車が現れた。2000年代初め、まだ見た目のデザインに角ばりが残っていた頃の4ドアの白いセダンだ。
その車の運転席に男が座り、助手席に女が座る。
「それにしても、彼のサポートがあの人とはね」
キーを回し、エンジンをかけながら、男は不敵な笑みを浮かべて小さく呟いた。
「渡辺 勝麻君をよろしくお願いしますよ。小樽 大河さん」
男達が乗った車がランフラットタイヤで森の土を巻き上げながら、走り出していった。
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