11 / 26
陰キャ、ダブルデート(修羅場)に召喚される ―命の保証はありません―
しおりを挟む
「はぁ……行きたくねぇ。マジで今、外に出たくない気分だ。」
陰キャ兼非リア代表の俺がそう嘆くのも当然だ。
今日は――よりによって、不知火先輩と瀬良先輩、文芸部とバスケ部の女王の二大巨頭に挟まれて遊ぶ日なのだ。
どう考えても気が重い。命の保証すら危うい。
「お兄、どこ行くの?」
声をかけてきたのは、中二の妹・柚葉(ゆずは)。紫水中に通う、現役陽キャだ。
「ちょっとした戦場へ行ってくる。もし帰らなかったら、墓碑に俺の名と名声を刻んでおいてくれ……」
「朝から何言ってんの? あと“名声”なんてないでしょ。どっちかって言えば“悪評”――」
「行ってきますっ!! グスン!」
朝から妹に毒を吐かれ、泣き顔で家を飛び出した。
……まあ、確かに戦場ってのは比喩じゃない。
このあと俺が向かう場所は、社会的にも精神的にも修羅場だ。
「あの二人が揃うと、俺の寿命マジで縮むんだよな……」
アホ毛をいじりながら、俺は重い足取りで駅の北口へと向かった。
※
「あっ、高一くーん! こっちこっち!」
凛とした声に顔を上げると――
そこには、二人の天使が立っていた。
一人は、白を基調にしたワンピース姿の瀬良先輩。風にスカートが揺れて、まるで広告ポスターみたいな美しさ。
もう一人は、不知火先輩。黒と青のスポーティな服装に、羽織っている青ジャージ。カッコよさと可愛さを両立したタイプだ。
「なんだあの二人……」
「可愛すぎ」
「芸能人?」
「撮影かなんかじゃないの?」
周囲の人々がざわつく。
その視線を浴びながら、俺の気分はどんどん沈んでいった。
「こういうの、本来はラブコメ主人公がする役なんだよな……俺じゃない。」
呟きながら二人に近づく。
もし数学で例えるなら、先輩二人がプラスなら俺は完全にマイナス。
普通なら合わせたら負の数になるはずなのに、あの二人のオーラが強すぎて全部プラスに上書きされる。
――俺にもそのバフが欲しい(切実)。
「今日は小説のネタ探しに行くんでしょ?」
不知火先輩が楽しげに言い、瀬良先輩が小首を傾げた。
「ネタ探し……なのね?」
「そのつもりですけど、なんかもう既に命の危険を感じてるんですが。」
周囲の男たちの視線が痛い。明らかに殺気を帯びてる。
そんな俺の怯えをよそに、不知火先輩は胸を張って言い放つ。
「まぁ、私たち可愛いからね!」
「そういうことは軽々しく言わないの、優花」
瀬良先輩が苦笑まじりにたしなめる。
……と、次の瞬間。不知火先輩が俺の腕に自分の腕を絡めてきた。
「え、え!? な、何のつもりですか!?」
「決まってるじゃん。遊びに行くんだよ?」
無邪気に笑う不知火先輩。
その光景を見た瀬良先輩の表情が、ほんの少し曇る。
そして――彼女も、反対側の俺の腕にそっと手を回した。
「な、なんなんだこの状況っ!!」
両腕を挟まれ、完全にフリーズする俺。
周囲からの殺気と嫉妬がさらに増す。
もはや、この場にいるだけで命の危機を感じる。
「あ……俺、今日絶対に死ぬわ。」
薄れゆく意識の中で、俺は確信した。
青春ラブコメの神様って、絶対に優しい神じゃない。
たぶん――悪意と悪戯でできた厄病神だ。
「死ンダラ祟ルゾ! 夏油!!」
陰キャ兼非リア代表の俺がそう嘆くのも当然だ。
今日は――よりによって、不知火先輩と瀬良先輩、文芸部とバスケ部の女王の二大巨頭に挟まれて遊ぶ日なのだ。
どう考えても気が重い。命の保証すら危うい。
「お兄、どこ行くの?」
声をかけてきたのは、中二の妹・柚葉(ゆずは)。紫水中に通う、現役陽キャだ。
「ちょっとした戦場へ行ってくる。もし帰らなかったら、墓碑に俺の名と名声を刻んでおいてくれ……」
「朝から何言ってんの? あと“名声”なんてないでしょ。どっちかって言えば“悪評”――」
「行ってきますっ!! グスン!」
朝から妹に毒を吐かれ、泣き顔で家を飛び出した。
……まあ、確かに戦場ってのは比喩じゃない。
このあと俺が向かう場所は、社会的にも精神的にも修羅場だ。
「あの二人が揃うと、俺の寿命マジで縮むんだよな……」
アホ毛をいじりながら、俺は重い足取りで駅の北口へと向かった。
※
「あっ、高一くーん! こっちこっち!」
凛とした声に顔を上げると――
そこには、二人の天使が立っていた。
一人は、白を基調にしたワンピース姿の瀬良先輩。風にスカートが揺れて、まるで広告ポスターみたいな美しさ。
もう一人は、不知火先輩。黒と青のスポーティな服装に、羽織っている青ジャージ。カッコよさと可愛さを両立したタイプだ。
「なんだあの二人……」
「可愛すぎ」
「芸能人?」
「撮影かなんかじゃないの?」
周囲の人々がざわつく。
その視線を浴びながら、俺の気分はどんどん沈んでいった。
「こういうの、本来はラブコメ主人公がする役なんだよな……俺じゃない。」
呟きながら二人に近づく。
もし数学で例えるなら、先輩二人がプラスなら俺は完全にマイナス。
普通なら合わせたら負の数になるはずなのに、あの二人のオーラが強すぎて全部プラスに上書きされる。
――俺にもそのバフが欲しい(切実)。
「今日は小説のネタ探しに行くんでしょ?」
不知火先輩が楽しげに言い、瀬良先輩が小首を傾げた。
「ネタ探し……なのね?」
「そのつもりですけど、なんかもう既に命の危険を感じてるんですが。」
周囲の男たちの視線が痛い。明らかに殺気を帯びてる。
そんな俺の怯えをよそに、不知火先輩は胸を張って言い放つ。
「まぁ、私たち可愛いからね!」
「そういうことは軽々しく言わないの、優花」
瀬良先輩が苦笑まじりにたしなめる。
……と、次の瞬間。不知火先輩が俺の腕に自分の腕を絡めてきた。
「え、え!? な、何のつもりですか!?」
「決まってるじゃん。遊びに行くんだよ?」
無邪気に笑う不知火先輩。
その光景を見た瀬良先輩の表情が、ほんの少し曇る。
そして――彼女も、反対側の俺の腕にそっと手を回した。
「な、なんなんだこの状況っ!!」
両腕を挟まれ、完全にフリーズする俺。
周囲からの殺気と嫉妬がさらに増す。
もはや、この場にいるだけで命の危機を感じる。
「あ……俺、今日絶対に死ぬわ。」
薄れゆく意識の中で、俺は確信した。
青春ラブコメの神様って、絶対に優しい神じゃない。
たぶん――悪意と悪戯でできた厄病神だ。
「死ンダラ祟ルゾ! 夏油!!」
10
あなたにおすすめの小説
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
俺が宝くじで10億円当選してから、幼馴染の様子がおかしい
沢尻夏芽
恋愛
自他共に認める陰キャ・真城健康(まき・けんこう)は、高校入学前に宝くじで10億円を当てた。
それを知る、陽キャ幼馴染の白駒綾菜(しらこま・あやな)はどうも最近……。
『様子がおかしい』
※誤字脱字、設定上のミス等があれば、ぜひ教えてください。
現時点で1話に繋がる話は全て書き切っています。
他サイトでも掲載中。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
*全28話完結
*辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
*他誌にも掲載中です。
イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について
のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。
だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。
「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」
ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。
だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。
その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!?
仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、
「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」
「中の人、彼氏か?」
視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!?
しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して――
同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!?
「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」
代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!
俺にだけツンツンする学園一の美少女が、最近ちょっとデレてきた件。
甘酢ニノ
恋愛
彼女いない歴=年齢の高校生・相沢蓮。
平凡な日々を送る彼の前に立ちはだかるのは──
学園一の美少女・黒瀬葵。
なぜか彼女は、俺にだけやたらとツンツンしてくる。
冷たくて、意地っ張りで、でも時々見せるその“素”が、どうしようもなく気になる。
最初はただの勘違いだったはずの関係。
けれど、小さな出来事の積み重ねが、少しずつ2人の距離を変えていく。
ツンデレな彼女と、不器用な俺がすれ違いながら少しずつ近づく、
焦れったくて甘酸っぱい、青春ラブコメディ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺をフッた女子に拉致されて、逃げ場のない同棲生活が始まりました
ちくわ食べます
恋愛
大学のサークル飲み会。
意を決して想いを告げた相手は、学内でも有名な人気女子・一ノ瀬さくら。
しかし返ってきたのは――
「今はちょっと……」という、曖昧な言葉だった。
完全にフラれたと思い込んで落ち込む俺。
その3日後――なぜか自分のアパートに入れなくなっていた。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる