浮気した彼女に利用され捨てられた俺。死んだはずの幼馴染が金髪碧眼の超絶美少女に転生して戻ってきた件 〜今度は二人で幸せになります〜

沢田美

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非情な現実

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 俺には幼馴染がいる。その幼馴染はいつでも俺を見守ってくれている存在だ。

「おっはー! 隆太郎(りゅうたろう)!」

 太刀川朝日(たちかわ・あさひ)、それが彼女の名前だ。そして、俺はそんな朝日にお世話になりっぱなしだった。そう、俺に恋人ができた時なんか特にそうだった。

 好きな子が出来て、俺は朝日のアドバイスを受けながら、白州舞(しらす・まい)に告白するまでに至った。もちろん、告白するまでの流れを朝日にサポートしてもらった。そのサポートのおかげで今も白州との関係は良好だ――と、俺は信じていた。

「おはよう、朝日」

 俺は彼女に歩み寄って、挨拶をした。朝日朝日は陽キャでギャルだ。俺とは全く別の世界に住んでいる人だ。長い黒髪と黒い瞳、それに明るくて人懐っこい笑顔。俺はそんな彼女に憧れを抱いていた。誰にも分け隔てなく接したりできる彼女に、少しでも近づこうと思ったっけ。

「ねぇ、隆太郎。最近どうなん? 白州ちゃんとはさ!」

 朝日は俺を見つめて、どこか何かを探るような目つきで見てくる。いつもとは少し違う、真剣な眼差しだった。

「特に変わらないよ。朝日のおかげで今も関係は良好だ」

 俺がそう言うと、朝日は「そっか」と呟いて、ほんの一瞬だけ――本当に一瞬だけ、寂しそうな顔をした。

「もし、アンタが白州ちゃんに泣かされたら、私が慰めてあげる!」

「そんなことは絶対ないから、心配するな――あと慰める、てどういう意味だよ!」

「そりゃ――言葉の意味だよ!」

 朝日はニヤケ顔しながら、そう言った。俺の顔が赤くなるのが分かった。朝日は時々、こうやって俺をからかってくる。本当に意味が分からない奴だ。

 そのまま、一限目が始まる前に俺は白州舞の元へ向かった。女子グループの中で会話を楽しんでいる白州の元へ歩み寄る。

「おはよう、舞」

 白州にそう声をかけると、彼女は目をキラキラとさせて、俺の元へ駆け寄る。白州は巧みな上目遣いを使いながら、俺に抱きつく。周りの女子たちがクスクスと笑う声が聞こえた。

「ねぇ、隆太郎。今日、デートしない?」

「ああ、別にいいよ」

「やった!」

 白州とそんな会話をした後に、俺はそのまま席に着いた。隣には朝日がいる。

「相変わらず、ラブラブだねー。まぁ? 私の力を借りただけあってこれくらいラブラブになってないと嫌だけど」

「いや本当にありがとうな。これも全部お前のおかげだ」

 朝日に俺は笑顔を作って言うと、彼女は何故か寂しそうな顔を一瞬だけ見せる。その表情に、俺はほんの少しだけ胸がチクリと痛んだ。でも俺はそんな彼女の心境などわからないまま、一限目の授業に勤しんだ。

 ※ ※ ※

 学校も終わり、俺はそのまま白州と共に街のショッピングモールで買い物をしていた。白州は相変わらず元気な様子で、買い物を楽しんでいる。

「ねぇ、隆太郎! このバッグ可愛いくない?!」

「お、良いなそれ」

「うん! これ買ってよ!」

 ウゲッ、まさかまたそれを言うとは。はぁ、給料日前なのに……。バイト代が底をつきそうだ。

「分かったよ、これ買えばいいんだよな? てかお前、この前買ったコスメもちゃんと使ってるのか?」

 俺がそう言うと、白州は「もちろん!」と言った。ここ最近、彼女に何かを買わされている気がする。いや、気がするじゃなくて実際に買わされている。まぁでも、それが彼女のためになるなら、俺達の今後の為になるのなら俺はそれを優先したい。そう、自分に言い聞かせていた。

 そして、その日は俺は白州と別れて、帰路に着いた。財布の中身が寂しくなった重さを感じながら。

 ※ ※ ※

 次の日の学校。俺はいつも通りに学校生活を過ごしていた。そんな時、俺の元に歩み寄ってくる男がいた。

「おお! 隆太郎じゃねぇか!」

「こんにちは、桜井(さくらい)先輩」

 桜井和仁(さくらい・かずひと)。俺の学校の先輩で入学したての俺をよく気にかけてくれた人で、白州の所属するバドミントン部の先輩だ。爽やかな笑顔が印象的で、学校でも人気のある先輩だった。

「なぁ、昨日も白州とデートしたんだってな?」

「な、なんでそれを!?」

「白州がそう言ってたから」

「な、なるほど」

 俺は動揺しながら、そのまま桜井先輩と少しだけ雑談をして、昼休みを過ごした。先輩は相変わらず気さくで、後輩の俺にも優しく接してくれる。ああ何時までもこんな日が続くといいな。俺はそんな叶いもしない願い事を心の中で呟いた。

 この時の俺は、まだ何も知らなかった。

 ※ ※ ※

 そして、理想を謳って過ごしていた俺の生活は、唐突に崩れるのだった。とある日の夏の季節が迫る日の出来事。

 その日も俺は平然と学校に向かっていた。いつも通りの日常を送るつもりだった。でも、それは油断していた自分を突き刺すような感覚だった。

「ごめん隆太郎! 今日は一緒に帰れないかも!」

 白州が勢いよく頭を下げて、謝ってくる。俺はそんな彼女に対して、まぁしょうがないと思いながら、俺はその断りを受け入れた。バドミントン部の用事だろうか。

 そして、その日の俺は一人で昼休みを過ごしていた。そんな時、俺の背後から抱きついてくる人がいた。咄嗟に視線を向けると、そこには朝日がいた。

「あれ? 今日は白州ちゃんと一緒じゃないの?」

「ああ、まぁな」

「なに? フラれたの?」

「なんでそうなんだよ!」

 からかってくる朝日の額に、俺はデコピンをした。そして、そのまま俺は昼休みを朝日と過ごすことにした。朝日は俺の隣に座って、いつものように明るく笑っている。

「なぁ、朝日……俺ちゃんと恋人できてるかな?」

 ふと、そんな言葉が漏れていた。自分でも驚くほど、不安げな声だった。そして、俺はそのまま隣に座って、俺の話を聞いている朝日に視線を向けた。そんな朝日はどこか真剣そうな顔をしている。いつもヘラヘラとして、軽そうな彼女がしそうな顔ではない。

「隆太郎ができてると思うならできてるよ。第三者からの私から見ても問題ないと思うよ」

 その言葉は、どこか優しくて、でもどこか悲しそうだった。

「そうか、良かった」

 そんな会話をすると、俺はそのまま朝日と昼休みを過ごして、朝日には先に教室へ行かせて、俺は少しだけ黄昏れるために遠回りをして教室に行くことした。

 夏の訪れを少しづつ感じる夏空と、雰囲気と暑さ。俺はそのどれもが新鮮なものと感じながら、そのまま俺は歩みを進めた。俺の通る道は人通りが少なくて、何か悪いことをしてもバレないと思うような場所だ。古い校舎の裏手に続く、誰も通らない廊下。

 そんな時、今は何も使われてない空き教室の方から物音がした。気になった俺はソッと歩みをすすめた。そんな時だった、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「先輩、もっと」

「いいのか? こんな所でキスなんてして。お前には隆太郎がいるだろ?」

「いいの、アイツとは遊びで付き合ってるだけだから――だから」

「わかったよ、仕方ないな」

 俺の自分の中に入ってくる情報に自分を疑った。いや、疑いたかった。俺の耳から聞こえてくる声は、桜井先輩と白州達の甘い声、そして、俺の目に映るのは白州と桜井先輩がキスをしている光景だった。

 心臓が凍りついたように動かなくなった。呼吸が止まった。時間が止まった。

 俺はこの状況が嘘だと信じたかった。何か悪い夢を見てるのではないかと、そう疑いたくなった。しかし、現実とは非情だった。白州の手が桜井先輩の首に回されている。二人の唇が重なっている。それは紛れもない現実だった。

 ――そして、俺の中の何かがプツンと切れた音がした。

「おい! 何してんだよ。お前ら!」

 俺の荒い声が教室に響いた。自分でも驚くほど、怒りに満ちた声だった。流石の俺の声に気づいたのか、桜井先輩と白州は咄嗟にキスをやめて、俺の方に視線を向けた。

「うわっ、最悪なんですけど」

「あちゃー、見られちゃったかー」

 二人はどこかバツが悪そうに言葉を吐いた。いや、バツが悪いというよりは――面倒くさそうな顔をしていた。そして、そのまま白州は悪びれもしない顔で俺に歩み寄ってきた。

 その足取りはどこかスキップをするように軽くて、俺を見つめる視線はどこか軽薄。まるで、俺のことなど最初からどうでも良かったと言わんばかりの態度だった。

「今日見たことは誰にも他言しないこと。――あと、今までありがとね! 隆太郎」

「は?」

 白州の言葉が、俺の頭に入ってこない。何を言っているんだ、こいつは。

「先輩! そろそろ行こ!」

「そうだな、悪ぃな、隆太郎」

 桜井先輩は軽く手を挙げて、それだけを言った。まるで、ちょっとした悪戯がバレた程度の軽さで。

 二人は軽い言葉と足取りでその場を去っていった。俺はただ、その場に立ち尽くすことしかできなかった。

 二人が消えたその直後、俺は頭が真っ白になった。二人が俺に隠れてキスをしていた。白州が二股をしていた。いや、違う。俺が遊びだったんだ。最初から、俺は白州にとって本命なんかじゃなかった。

 俺はそんな非情な出来事がいっぺんに来たことに理解を拒んだ。それと同時に、俺の目から雫がぽつりぽつりと落ちる。

「な、なんで……ざけんな……ふざけんじゃねぇ」

 そんな言葉が俺の口から漏れていた。それは憎悪と殺意にも近い感情だった。膝から力が抜けて、その場にへたり込んだ。

 俺は何のために、白州と付き合っていたんだ。

 俺は何のために、あんなに必死になっていたんだ。

 空き教室の窓から差し込む夏の日差しが、やけに眩しかった。
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