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クラスのマドンナと買い物
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「じゃあ、明日、少し遠いけどショッピングモールに行こうよ!」
佐々木さんの提案に、俺は思わず固まった。
「お、俺なんかが、佐々木さんと……一緒に買い物なんか……な、なんか、いけない気がする」
しどろもどろになりながら答えると、彼女はムッと頬を膨らませる。
「なにもいけないことなんてないよ。だって、私たち友達なんだから」
その言葉に、胸がギュッと締め付けられる。
友達――俺には久しく縁がなかった言葉だ。
「……あ、もしかして、女子と買い物するの初めて?」
彼女は俺の反応を見て、からかうようにニヤリと微笑む。
「う、う、うん。俺、小学校以来友達ができてなかったから……」
「なるほどねー。でも、心配無用! 私の趣味を探すために行くんだから、買い物に付き合わせるとかじゃないよ?」
「そ、そうですか……」
「あとさ、私も男子と遊びに行くのは初めてだし。何事も楽しめれば良いんだよ!」
楽しむ。
――俺に、そんなことができるのか?
「それじゃ、私そろそろ仕事があるから、バイバイ!」
そう言って彼女は去っていった。
……本当に、俺なんかが行ってもいいのか?
※
次の日の準備をしようと、クローゼットを開ける。
――だが。
「うーん、どれもサイズが合わない……」
普段、家からほとんど出ない俺は、そもそも服を新調する習慣がない。結果、ほとんどの服が身体に合わなくなっていた。
「やっぱり……痩せないといけないな……」
しかし、今すぐにどうにかできるわけでもない。
俺はクローゼットの奥に眠っていた唯一サイズの合う服を取り出す。
「……うん、これが唯一入る服だ。でも、なんか違和感がすごいけど……まぁ我慢するしかないか」
※
翌日、俺はバス停へと向かっていた。
――が。
「ゼェゼェ……つ、疲れた……」
ここまで歩くだけで息が上がる。やっぱり、執事に送ってもらえばよかったか……。
そんなことを思いながらバス停に辿り着くと、そこには白いワンピースを身にまとった佐々木さんがいた。
「あ、こんにちは裕貴くん!」
彼女は爽やかな笑顔で俺に手を振る。
……ヤバい。制服姿の時も可愛いと思ってたけど、私服はさらに破壊力が増している。
「こ、こんにちは……」
心臓がバクバクと鳴る。こんなに緊張したのは久しぶりだ。
「あと少しでバスが来るから、話して待ってようよ!」
「わ、分かりました!」
彼女の放つ柔らかい雰囲気に、俺の緊張は少しずつ解けていく。
しかし――。
「それより、裕貴くん。その格好、なんか……すごいね?」
彼女の目線が、俺の服に向けられる。
――そう、俺が着ているのは、結婚式とかに着ていくべきフォーマルなスーツ。そして、パツパツに張り詰めたサイズ違いの服。
「や、やっぱり変ですよね!? ちょっと、着替えてくるね!!」
「うん、ちょっと変かな」
笑いを堪えるように微笑む彼女。しかし、その後に彼女は続けた。
「だからさ、裕貴くんの服を買いに行かない?」
「へ? う、うん、分かった……」
そんな会話をしているうちに、バスが到着する。
「ほら、行こう!」
「う、うん」
バスに乗り込むと、俺たちは隣同士に座った。
※
「ねぇ、裕貴くん」
「は、はい!」
突然話しかけられ、俺は思わず背筋を伸ばす。
「裕貴くんはさ、何か欲しいものとかあるの?」
「ほ、欲しいもの……特にないです。ただ、モノじゃないなら……俺は友達がもっと欲しいです」
俺は、思っていたことをそのまま口にしてしまった。
佐々木さんは一瞬驚いたような顔をしたが――すぐにクスッと笑った。
「そうなんだ、友達ね。私も男友達とか、色んな人と友達になりたいな」
そして、にこっと笑って――。
「それを考えると、私の最初の男友達は裕貴くんってことになるね!」
「っ……!?」
可愛い子にそんなことを言われると……なんか、めちゃくちゃ照れるんだが。
「じゃあ、私手伝うよ。裕貴くんがもっと友達を作れるように!」
「あ、ありがとうございます……」
※
ショッピングモールに到着し、俺たちはまず雑貨屋に向かった。
「佐々木さんは何を買うんですか?」
「うーん、まずおばあちゃんが言ってたメイドに必要なものと、あと裕貴くんの服!」
「……俺の服!?」
「うん! ほら、行くよ!」
彼女は俺の手を引っ張り、店内へと走り出した。
※
「裕貴くんのサイズ、どれくらいかな?」
「LLかな……」
「OK、ちょっと店員さんに聞いてくるね!」
佐々木さんはテキパキと店員とやり取りし、俺に合いそうな服を選んでくれた。
「これとかどう?」
「……おぉ」
普段、服を選ぶ習慣のない俺にとって、それはとても新鮮な体験だった。
最終的に、3着の服を選び、購入。
「合計で1万5000円になります」
「じゃあ、これでお願いします」
俺は財布からクレジットカードを取り出し、店員に渡した。
「ありがとうございます、またのご来店をお待ちしております!」
※
服を買い終え、新しい服に着替えた俺は、佐々木さんと並んで歩いていた。
だけど――。
「あの子、超可愛い! 隣のぽっちゃりした子が彼氏!? なんか豚に真珠って感じだね」
俺たちを見た人たちが、ヒソヒソと囁く声が聞こえてくる。
「佐々木さん」
「うん?」
「俺みたいな人間と歩いてて……なんとも思わないの?」
俺は、つい本音を漏らしてしまった。
しかし、彼女はキョトンとした顔で言った。
「私はなんとも思ってないよ。……あ、もしかして、私みたいな可愛い女の子と歩いてて、周りの視線が気になってきた?」
「い、いや別にそういう訳じゃ……」
そんな俺を見て、彼女はニコッと笑い――。
「ほら、次はゲームセンター行こうよ!」
手を伸ばし、俺を引っ張りながら――。
「私の趣味探しを手伝ってくれるんでしょ?」
俺は、その言葉に温かさを感じた。
佐々木さんの提案に、俺は思わず固まった。
「お、俺なんかが、佐々木さんと……一緒に買い物なんか……な、なんか、いけない気がする」
しどろもどろになりながら答えると、彼女はムッと頬を膨らませる。
「なにもいけないことなんてないよ。だって、私たち友達なんだから」
その言葉に、胸がギュッと締め付けられる。
友達――俺には久しく縁がなかった言葉だ。
「……あ、もしかして、女子と買い物するの初めて?」
彼女は俺の反応を見て、からかうようにニヤリと微笑む。
「う、う、うん。俺、小学校以来友達ができてなかったから……」
「なるほどねー。でも、心配無用! 私の趣味を探すために行くんだから、買い物に付き合わせるとかじゃないよ?」
「そ、そうですか……」
「あとさ、私も男子と遊びに行くのは初めてだし。何事も楽しめれば良いんだよ!」
楽しむ。
――俺に、そんなことができるのか?
「それじゃ、私そろそろ仕事があるから、バイバイ!」
そう言って彼女は去っていった。
……本当に、俺なんかが行ってもいいのか?
※
次の日の準備をしようと、クローゼットを開ける。
――だが。
「うーん、どれもサイズが合わない……」
普段、家からほとんど出ない俺は、そもそも服を新調する習慣がない。結果、ほとんどの服が身体に合わなくなっていた。
「やっぱり……痩せないといけないな……」
しかし、今すぐにどうにかできるわけでもない。
俺はクローゼットの奥に眠っていた唯一サイズの合う服を取り出す。
「……うん、これが唯一入る服だ。でも、なんか違和感がすごいけど……まぁ我慢するしかないか」
※
翌日、俺はバス停へと向かっていた。
――が。
「ゼェゼェ……つ、疲れた……」
ここまで歩くだけで息が上がる。やっぱり、執事に送ってもらえばよかったか……。
そんなことを思いながらバス停に辿り着くと、そこには白いワンピースを身にまとった佐々木さんがいた。
「あ、こんにちは裕貴くん!」
彼女は爽やかな笑顔で俺に手を振る。
……ヤバい。制服姿の時も可愛いと思ってたけど、私服はさらに破壊力が増している。
「こ、こんにちは……」
心臓がバクバクと鳴る。こんなに緊張したのは久しぶりだ。
「あと少しでバスが来るから、話して待ってようよ!」
「わ、分かりました!」
彼女の放つ柔らかい雰囲気に、俺の緊張は少しずつ解けていく。
しかし――。
「それより、裕貴くん。その格好、なんか……すごいね?」
彼女の目線が、俺の服に向けられる。
――そう、俺が着ているのは、結婚式とかに着ていくべきフォーマルなスーツ。そして、パツパツに張り詰めたサイズ違いの服。
「や、やっぱり変ですよね!? ちょっと、着替えてくるね!!」
「うん、ちょっと変かな」
笑いを堪えるように微笑む彼女。しかし、その後に彼女は続けた。
「だからさ、裕貴くんの服を買いに行かない?」
「へ? う、うん、分かった……」
そんな会話をしているうちに、バスが到着する。
「ほら、行こう!」
「う、うん」
バスに乗り込むと、俺たちは隣同士に座った。
※
「ねぇ、裕貴くん」
「は、はい!」
突然話しかけられ、俺は思わず背筋を伸ばす。
「裕貴くんはさ、何か欲しいものとかあるの?」
「ほ、欲しいもの……特にないです。ただ、モノじゃないなら……俺は友達がもっと欲しいです」
俺は、思っていたことをそのまま口にしてしまった。
佐々木さんは一瞬驚いたような顔をしたが――すぐにクスッと笑った。
「そうなんだ、友達ね。私も男友達とか、色んな人と友達になりたいな」
そして、にこっと笑って――。
「それを考えると、私の最初の男友達は裕貴くんってことになるね!」
「っ……!?」
可愛い子にそんなことを言われると……なんか、めちゃくちゃ照れるんだが。
「じゃあ、私手伝うよ。裕貴くんがもっと友達を作れるように!」
「あ、ありがとうございます……」
※
ショッピングモールに到着し、俺たちはまず雑貨屋に向かった。
「佐々木さんは何を買うんですか?」
「うーん、まずおばあちゃんが言ってたメイドに必要なものと、あと裕貴くんの服!」
「……俺の服!?」
「うん! ほら、行くよ!」
彼女は俺の手を引っ張り、店内へと走り出した。
※
「裕貴くんのサイズ、どれくらいかな?」
「LLかな……」
「OK、ちょっと店員さんに聞いてくるね!」
佐々木さんはテキパキと店員とやり取りし、俺に合いそうな服を選んでくれた。
「これとかどう?」
「……おぉ」
普段、服を選ぶ習慣のない俺にとって、それはとても新鮮な体験だった。
最終的に、3着の服を選び、購入。
「合計で1万5000円になります」
「じゃあ、これでお願いします」
俺は財布からクレジットカードを取り出し、店員に渡した。
「ありがとうございます、またのご来店をお待ちしております!」
※
服を買い終え、新しい服に着替えた俺は、佐々木さんと並んで歩いていた。
だけど――。
「あの子、超可愛い! 隣のぽっちゃりした子が彼氏!? なんか豚に真珠って感じだね」
俺たちを見た人たちが、ヒソヒソと囁く声が聞こえてくる。
「佐々木さん」
「うん?」
「俺みたいな人間と歩いてて……なんとも思わないの?」
俺は、つい本音を漏らしてしまった。
しかし、彼女はキョトンとした顔で言った。
「私はなんとも思ってないよ。……あ、もしかして、私みたいな可愛い女の子と歩いてて、周りの視線が気になってきた?」
「い、いや別にそういう訳じゃ……」
そんな俺を見て、彼女はニコッと笑い――。
「ほら、次はゲームセンター行こうよ!」
手を伸ばし、俺を引っ張りながら――。
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俺は、その言葉に温かさを感じた。
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