先パイッ!「ビーエル」って何ですかっ?

AnnA

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第14話 嵯峨先輩の過去⑦

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その日は突然やって来た。明日は祖父母が来る日だなと思って帰宅していた。父親も帰って来る日だ。

夜遅く帰って来るから会わないけど。と思ってたのに、たまたま東京出張で 会議終わったら そのままこっちに来る事になったとメッセージが来てた。

家に帰ったら居るかな?と思いながら、次の角を曲がれば家(賃貸マンション)が見える…けど…

何か 聞き覚えのある声が…祖父母の声…?でも誰と話してる…?若い女の声…ホントに若い…10代くらいの声…

俺はハッとなって 急いで角を曲がると、予想は的中。

何と動画撮影のために 俺の家を探し出して来ていた 他校の女子が2人いて、あろう事か祖父母に話しかけている!

何で⁈というか、どうして今日いるのかっ?明日だろっ⁈と思うが それどころじゃない!

早足で向かいながら 祖父母とその女達の話の内容を確認すると、どうもそいつらが 俺の友人だとか嘘を吐いているようだ。

祖父母はそんな事 分からないから、今は俺が留守だから家には…的な 話のようだけど…

ふざけんなっ!!もうキレた。さすがに。

「何してんの?」そう言って俺が現れると、全員驚いていた。

クソ女達より驚いていたのは 祖父母の方で、前髪で顔が見えないし、声も…ボソボソ言うしで 孫だと分からなかったようだ。

祖父母の前では 前髪も分けて顔出してるし普通に話すから。

「鍵持ってる?これで先に家の中入ってて?」そう言って祖父母に鍵を渡すと、俺だと気付いたようで 困惑しつつも

「あ…っ ああ~誰かと思ったわ~」「ホントに~」「どうしたんだ?前髪は~?」と言い始めたけど

さっさと家に入れないと このクソ女達に晒されると思ったら、もうライブ中になって…?このクソ女共がっ!!

「あ、今 そのお嬢さん達が…お友達なのね~?」両方の祖父母とも にこやかにしてるけど、俺はもう黙って無視はしない。ライブ中なら丁度いいか…?

「いいや。友達じゃないよ。全然知らない人。制服見たら学校も違うし」

祖父母は驚いたし クソ女達もマズイ!!って顔してる。

「え?だって…友達だからって…家探してるって…今…」

「嘘だよ。全然 知らない人だから」

「えっ⁈だって友達って…っ!今留守だから待っとくって…!」

「家の中に入れてって?」

「ええ…でも、いくらおばあちゃん達でも…」

「留守中に 勝手には入れられないって…いくらお友達でもって…」

クソ女達は真っ青になりながら「あっ…あの…っ その…あたし達は…その…」とか言っている。

俺は淡々と祖父母に向かって「そっか。良かったよ、家に入れたら何されるか分からなかったから。大丈夫だった?危ないから家入ってて、お願い。オートロックの所に別の不審者が居ないか気をつけてね。入れちゃったらマンションの全員が危険だから。警察呼ぶよ」

「警察っ⁈」俺以外の全員がそう叫んだけど、俺はそのまま淡々と続けた。あの日のように。

「うん。だって嘘ついて不法侵入でしょ?ずっと我慢してたけど、こんな風に身内にまで接触して来て もう無理でしょ」

「待ってっ⁈あたし達はそんなつもりじゃ!」

「そうそう!!家の中とか 誰も見て無いだろうからっ!!皆が見たいと思ってっ!!」

「そうそう!悪気は無くて!泥棒とかするつもりも無いしっ!!」

そう言って慌てふためくクソ女達に向かって「じゃあっ!何で そんな嘘なんか吐いたんだっ⁈」「皆が 家の中見たいってどういう事だね⁈まだ仲間を呼ぶつもりだったのか⁈」とほぼ同時に祖父2人が声を荒げた。

クソ女達は こんな風に強く言われた事 無いんだろうし、さすがにやり過ぎてしまったと思ったんだろうが、もう遅い。

証人もバッチリ、証拠もバッチリ。チラッとクソ女達のスマホ見えたけど、1つは動画撮影中、もう1つはライブ配信中?だ。

フォロワー達が 皆 見ててくれてるぞ?良かったな。せいぜい自分達が警察沙汰になる所を録画してろよクソ女。

「ストーカーして 嘘ついて家に入ろうとするのは立派な犯罪じゃない?あと、盗撮にプライバシーの侵害だよね?勝手に俺と身内と家の近所まで映してさ、配信するか 既に今してるわけでしょ?」

「あっ…待ってっ!ね、消すから!ねっ?お願い!」

「今消すから!警察とか大袈裟でしょっ?皆やってるじゃん!!」

「そうよ!あたし達だけ 警察とかおかしいじゃんっ⁈」

「もう配信してるし、拡散してるんでしょ?もう、皆見てて手遅れだから。一回出たものは 無かった事には なら無いよ。とりあえず祖父母を撮るの止めて」

祖父母はSNSとかしないし、リアルな10代が分かって無いから困惑しつつ祖母が「え…どういう事なの…?」と俺に聞いた。

「…ごめんね。迷惑かけて…家の中に入ってて?お願いだから。今、この2人に無許可で動画撮影されてて世間の人が見られるようになってるから。警察に言って対応してもらう。弁護士とかにも 相談して」

「えっ?今…何…?私達が…?」祖父母は驚いてる。そりゃそうだ。

「ちょっと待って!そんな大袈裟じゃん!!」

「そうだよっ!!待ってよっ!ごめんってば!」

俺以外は顔が真っ青だ。祖母2人は倒れそうな程。いや、クソ女達も必死だな?もう遅いわボケ。

祖父達の方を見て「ねぇ2人が倒れそうだから 家の中に入れてあげて?お願い」と言うと

祖父達はハッとした様子で 顔を見合わせ慌てて祖母を庇った。

そして 俺一人が こんな訳分からない女達と居るのが危ないから、一緒に家へ!と言ったり、警察が来るまでは!と言ったりだ。

はぁ…ありがたいけど…俺が盾になって祖父母が全身映らないポジションに居るんだけど…もう映りたく無い訳だけど…。

クソ女達も焦ってるのか、おいしいハプニングと思っているのか両方とも動画止めないし…。

止めろって!十分証拠出来たから!あとは 俺がボロクソ言って潰してぇんだよ‼︎

そう思ってたら、何と本当にお巡りさんが来た。

自転車で巡回中に 口論が聞こえて来たんだと思っていたら、半分当たり。

実は最近 この近所に このクソ女達と同じ目的の連中が多くて 勝手に近所の人の家の前で動画撮影したりして 防犯上 大迷惑になっていたらしく、交番に相談していたそうだ。

それで 俺が帰宅するくらいの時間…ま、学生の下校時間には この辺りのパトロールを強化していたそうだ。

お巡りさんが来たから クソ女達はビビりまくりで「違います!」「そんなつもりじゃ無くて!」の繰り返し。

俺に助けを求めるように、許しを請うように腕を掴んで縋ろうとしたけど、俺に触れる前に一言

「触らないで。ストーカーとか無理だから。それに 元々ベタベタされんの無理」と言うと

一瞬フリーズして 今度は俺の事をボロクソ言おうとしたけど、お巡りさんが止めて、動画も止めさせた。

応援に来たお巡りさんも加わって 事情聴取と証拠動画の確認だ。

ちゃんとご丁寧に、「家を突き止めました!」「流行りの動画撮ります!」「家族と偶然会いました!」「家の中に入れてもらうね!」「皆も見たいよね⁈」等々フォロワー達に実況中継している。

祖父母はクソ女達が仲のいい友達とでも電話してるんだと思ってたようだ。

それをいい事に、電話です!と祖父母を騙して撮影…無許可だし盗撮…プライバシーの侵害諸々に引っかかるだろう。

もう祖母達は いっぱい いっぱいで顔色が悪いから、お巡りさん達も家に入るように言ってくれた。

クソ女達の対応も お巡りさん達に任せるとして…保護者同士の話し合い…とかは無理だろうな…だって…。

お巡りさんが「第三者にも意見を聞いておきましょう。同じマンションの方ですかね?」と道路の両端にいる人物を見てそう言った。

俺は気付いてたけど、お巡りさんも…特に祖父2人(祖母達はもう家の中だから大丈夫)には 気付かれたく無かったけど…しょうがない。

両端に立っていたのは、両親だ。結構前から居た。

お巡りさんとしては マンションの前で取り込み中だから 住民の人が邪魔しないように、ここに来るのを遠慮してるのかな?と思ってたようだが

違う。俺に関わりたく無いから、動画配信とかに 映り込んだら大変だから。マンションの住民か近所の人 その①、その②としていたかったんだ。

本当は 一旦ここを離れて どこかで時間を潰しときたかったんだろうけど、立場上 そこまでは出来なかったようだ。

祖父達は 自分達に有利な証言をしてくれるであろう通行人に、愛想良く両端にいる人物の顔を見て表情が一変。

怒りで真っ赤になってるし…拳を握りしめ震えてる。

ああ…やばいな?と思ったけど、どうする事も…一応一言…何か…丁度 たった今そこに来たかの様な事 言ってみる?

いや、もう無駄か…両親の顔が「たった今 来たばかりです。驚きました。どうしたんでしょうか?」な表情でも無く、反応でも無い。

祖父達にも それは分かった…から…

「ふざけんなよっ!!何で そこに居るんだっ⁈」と怒鳴り、近所一帯、マンションの中にも聞こえただろう。

一番驚いたのは お巡りさんとクソ女達であり、お巡りさん達は 今度は謎にキレた祖父達を止めるという仕事をしなくてはならず…大変申し訳無かった。

しかし、身内の事まで面倒かけられないし、もう放っておいて欲しいし、さっさとクソ女達を交番なり家なりに…

とにかく早く ここから連れ出して欲しいのが第一。

「落ち着いて2人とも…」「あの大丈夫ですから、知り合いですので…」と双方に言うけど

お巡りさん達も「え…でも…?」と言うし

祖父達は各々両親の…自分の子の方へ行くし…こりゃダメだ。どうしようも無い。

喧嘩というか 祖父達の手が出そうなのでお巡りさん達も焦ったが、俺が「大丈夫です。あれ親なので」と言うと「えっ?」と目を丸くして驚いていた。

お巡りさん達も 結構前から両親がそこに居たのは気付いてたハズだ。

何もそれ以上は 言わなかったけど…。

とりあえず 母親に怒鳴り、頬を引っ叩きそうな様子なので止めに入った。

父親は知らん、男だし大丈夫だろ。

お巡りさん達に 後はよろしくお願いし、祖父達が連絡先を伝えた。

もう両親に保護者は無理だと思ったようだ。そして家族会議である。

ちなみに、何でこんなに 全員タイミングよく揃ったかと言うと

祖父母が たまには親子3人で土日を過ごす方が良いかもしれないと思いつき、両親に連絡した所

丁度 父親が東京出張で 会議後直帰でいいのを知り、それなら金曜だし皆で外食しよう!

そんな事したこと無いだろ?俺を外食に連れて行ってやろう!

という祖父母の優しさであり、母親にもたまには家族サービスで 時間休を取れ!と言い。

近所の評判の良い、アットホームで 個室のある所に行こうとしていたらしい。

俺にはサプライズで…そんな事したこと無いだろうから、と。

確かに無いけど、それ以上の…驚きの展開だろこれ…。


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