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第17話 嵯峨先輩の過去⑩
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高校3年になって、バイト仲間が一人増えた。例の美大の先輩が この春入学した後輩を連れて来たのだ。
自分がバイトを卒業する前に知り合いを連れて来るのが、よくあるパターンらしい。
新しい人は関西出身の神戸さん。苗字が「神戸」だが出身は違う。
髪は黒髪に部分的に赤と金髪が入っていて、本人は和風の感じで 錦鯉カラーで日本っぽいと思っているらしい。
眉は半分でパッチリしたつり目、一見近寄りたく無い感じに見えるけど、関西特有の人懐っこい感じと親しみやすい関西弁でお客さん達もすぐ慣れた。
奇抜な見た目も、美大生とか美容師とかなら 全く気にならないのが面白い所だ。
学年は1つ上だけど、一浪してるので 歳は2つ上になる。日本画専攻らしい。
日本画ならモデルの時 会うこと無いかな?と思ったけどそんな事は無く、いつもの美大の人々に混じって関西訛りの(表面上)褒め言葉の奇声(一般的にみれば違うだろう)が増えた。
「嵯峨君~~っつ♡♡♡ええやんっつ♡♡♡自分!」
「ってゆうかぁ~また良い感じの体なってなぁいっつ♡♡♡⁈」
「あ…いえ…そんな…」
「いいでぇ~♡自分~!鍛えてんのぉ~っ?腹斜筋ええや~ん♡自分ン‼︎」
「嵯峨君は背骨のラインでしょっ?譲らないからっそこ!」
「………」(逃走経路チラ見)
「ははっ 神戸~?3階建てのエレベーター無しの本屋は、ある程度鍛えて無いと無理だぞ~?」
「そうですよ。腰とかやりますから。店長なんてギックリ腰の常連ですから」
「えっ?ホンマ⁈じゃ~僕も鍛えよ~!その時はヌード披露しようかなぁ~っ?♪」
「えええ~っやったぁ!!皆~~そん時集合ね~♡」
「イェーイ!⭐︎」
「なんやテンション上がって来たでぇ~~っつ♡僕頑張りまぁすっぅ♡」
「ひゃっつふぅううぅ~~~⭐︎⭐︎⭐︎」
関西弁?の「自分=私」と「自分=あなた」さえ分かれば、後は勝手知ったる美大生の集団なので特に問題無しだ。
俺も慣れたものだなと思う。神戸さんは日本画でボディペイントをするのが得意というか作風らしく
自身の手が届く所は 常に自分の体にタトゥーのような和柄や和彫り、着物の柄のようなものを描いていて
俺をはじめ、お客さん達も 会う度に新しくなる絵を見るのが楽しみだったし、風呂に入ってれば 数日で消えるなら…と年配のお客さん達は 神戸さんに自分にも、と依頼したりだった。
店長もだったし、他のバイト仲間もだ。俺もその気持ち分かるな、なんて思っていたらモデルの一環として背中やら腕やら…顔以外を貸す事になってしまったのだった…。
それでも、共に創作をする仲間的な感じで 夢を応援すると言うか、自分で力になれる事あるなら…ヌードと顔出しは 無理だけど、という気持ちで協力していた。
今までの人生で、東京来てからの方が楽というか 自分に合ってるなと思っていた。あの日までは…。
高3の夏になり、大学の進路を固める時期だった。俺はずっと行きたかった文学部だし 既に決まっていた。
一応 第三志望まで挙げるけど、全て文学部。成績的に全て問題無しのA判定だ。
教師達にも問題無しの太鼓判を押され、学費やら手続きやらがあるので 親に進路希望調査の結果と成績とか、A判定とかと一緒にメッセージで送っといた。
定時制で大学目指すと言った時に志望大学を、この3校を伝えててOKと言ってたので 問題無しだと浮かれてた。
それに 今までで一番力を入れた 自己最高の小説を賞に応募していて、もうすぐ結果が出る頃だった。
今まで全て何かしらの反応があったし、賞も賞金も貰ってた。コメントが必ずついてたし、今回は今までで一番の結果だと確信していた。
憧れの文学部に行って 夢を掴むのに良い弾みになると。
バイト先の先輩達の様に夢を叶えるため文学部や美大に行って頑張ってる、その仲間に俺もなると思ってた。
進路が確定したらバイト先にも伝えるつもりだったけど、結果として伝えて無くてよかった…。
父親からメッセージが来て
「文学部は就職が無いから止めた方がいい。大学は そこで大丈夫だから、別の学部に」と。
「成績が良いから別の大学でもいい」と。
しばらくフリーズした。どのくらい時間が経ったか 分からない程…。
何で⁇昔からずっと…このためだけに…勉強して来たのに…?
何も他は望んで来なかったのに…?
今更…?何?
父親にメッセージを送り、今更何故か、高3の夏に変更なんか出来るハズ無い、第一 ずっと前に志望大学は伝えてあったのに、とメッセージを返した。
これで大丈夫だろう。全く腹が立つ。いくら 一緒に生活したこと無くて 俺の事知らないにしても、あんな事件があったんだから、小説書いてるのは 知ってるだろ?
本しか側に無い生活だったと 知ってるだろ⁉︎今まで 何一つして来なかったのに、何で初めてした事が 一番の希望を否定する事なんだよ⁈
たった一つ、これだけあれば良いって思った事潰すの⁈
全くもって腹が立つ。就職無いのも知ってるし、それでも勉強したいから希望してるのに!
あのクソ女達にだって、色々された事だって我慢して来たのに!!夢があるから!!
それなのに、よくもこんな事言って来たよな⁈あまりにも苛立って眠れず、次の日 父親から返信が来て 人生で初めてブチ切れた。
メッセージは長文で 長々と書いてあったが、要約するとだ。
自分達には親を名乗る資格が無いけど、社会人として会社の採用担当とかの目線で言うと 文学部は止めておいた方が良い。
自分達の頃の大学受験の制度と違っていて分からずに申し訳無かったが、今からじゃ変更が難しいなら予備校で一年浪人しても構わないから。
小説は他の学部に行っても、社会人になっても書けるから。
志望大学にOK出したのは 別の学部行くんだと思ってたから。理系の成績いいし…。と
もうブチ切れた。小説は趣味じゃ無くて、小説家になるのが夢なのに!!もう本当にダメだ!!俺の事 全く分かって無い!!
人生で初めて大荒れした。夏休み中で良かった。学校でも平静を装え無かっただろう。
何?引っ越し以来 俺に会う事もなく、メッセージのみで電話で話す事もしなかったくせに!
何で 一番大事な進路と夢に口出ししてくんの?それもNOと。何で初めてのNOが 俺が一番大切な事なんだよ!!
こればっかりは意志を曲げるつもりは無い。
俺には昔から これしか無かったんだから。これを無くすのは無理。俺じゃ無くなる。
父親にメッセージを送った。
文学部以外なら大学は行かない。
自分で奨学金と貯金して行く。同じ高校の人達もそうやってるから。
もう俺の事は考えなくていいから。
これでもう、両親とは縁が切れたと、予定より4年早くなって さぞかし喜んでいるだろうと思った。
俺は 今までのバイト代とか 仕送りの生活費とかを貯金してるから、そこそこあるし 今支援を切られても暫くは大丈夫だから。
そしたら意外なことに数日後、父方の祖父から連絡があって 皆で話し合おうとの事だった。
母親は 引っ越して以来メッセージ 一つ送って来なかったのに、母方の祖父母には連絡していたようで、その話し合いに来るという。
まぁいい。話が早い。祖父母は俺の味方だから。
そう思って話し合いに行ったら衝撃だ。
祖父母も文学部は反対派だった。
父親はどうしても仕事が休めず、電話での参加だった。
母親は不参加だけど皆と同じく反対派だそうだ。
母親は元々俺が小説書くのに拒絶反応だったから分かるけど。でも…だから、もう俺の事は放っといていいって連絡したのに。
仕送りとか要らないから自分で勝手にするから、もうこれで終了でいいって。
一生会わなくていいし、何かあっても頼ったりしないから安心して、と。
でも何故かそれじゃ悪いらしい。今まで何もしなかったのに
親だから、保護者だから、大学行かせて就職するまでは絶対責任持つと決めてると言い張る。
いやいや、それは父親の目標であって、俺には俺の決めた目標があるし、今までずっと文句一つ言わずに来たけど、こればっかりは譲れないと言うと、暫く沈黙したけど
どうしても俺の腹立つ…癇に障る言い方しかしないから、ボソボソ話すのも限界で、チッと舌打ちした所で、何故か祖母達が泣き出し 祖父達も涙ながらに 俺に言う事には
自分達はもう歳だから 孫の成長を見届けられない、生活も支えてやれない。文学部では不安が残る、と。
自分達の育て方が悪かったばっかりに 両親がこんな感じで 経済面以外は全くのポンコツで 俺に迷惑をかけてしまって
謝っても謝りきれないが、どうか大学を出て欲しい、と。
定時制高校卒では 社会はそんなに甘く無いから。
本も小説も自由に出来るから、経済的に安定してれば、何でもチャレンジ出来ると。
父親も電話越しに 声を詰まらせながら同様の事を言っているが、全く響かない。
俺は返事をせずに 一人暮らしの家へ帰った。誰も味方はいない。
でも一つ、いや二つ…希望というか、バイト先の先輩達みたいに 自分の好きな事勉強して、ちゃんと就職してるし。
もうすぐ応募してた小説の発表がある。絶対大丈夫。過去一の出来栄えだから。
俺の小説 今まで読んだこと無いくせに、自分達の都合ばっか押し付けて来るんじゃねぇよ。
今まで面倒見てくれた祖父母の気持ちは分かるし、そう思うのに納得するし、俺のこと考えてくれて ありがたいと思ってる。
ただ、今回は初めての反対意見だけども。ちゃんと反対してる理由に納得してるからムカついたりはして無い。
小説の発表があって、その過去一の評価であろう結果を知れば全員がOKするハズだ。
そう思ってたのに、結果は…過去最低…落選。コメント一つ無し。今までコメントすら無いとか……一度も無かったのに…。
こんな一番大事な人生かかってるところで……!!
更に追い討ちをかけるように、今回賞を取ったのは、バイト先の文学部の先輩の友達だった。
つまりは文学部に通ってる人であり、サラッと書いたのが 今までの俺よりも一番上の賞だった。
先輩は笑ってて、執筆中のを少し読んだけど、アレを出すのか~?って本人含めて友人達と笑っていて、皆で 最後は上手く纏めて出せよ~?レポート以下じゃん?って笑ってたらしい。
賞を取った本人も、え~?何で~⁇な反応だったとか。
俺は、今まで ずっと一人でやって来て、身近な人と比べたり競ったりしなかった。
俺は全然だったんだ。実力無かった。
ずっと家と学校の往復で、基本 物事に興味無くて淡白で、そんな俺の狭くて小さな世界は 皆知りたがらない、興味ない。
だって 自分の方が より大きくて広くて鮮やかな世界を知ってる人達ばっかりだから…。
小説が返って来たけど、そのまま捨てた。
高校が始まり、クラスの皆の話しに聞き耳をたてていると、「昔 荒れてて 喧嘩してたから就職がなぁ~…」と言ってる。
俺もトラブルあったし、顔も声も拡散されてたし…今は前髪で隠してボソボソ話すから大丈夫だけど…。
スーパーに行く途中、俺の事をモサい、キモいと言ってるのを聞いて、俺は今の外見に満足だけど…
この外見なら仕事とか面接落ちるだろうな…。
今のバイトが 特殊環境なだけであって…。
もう、ポッキリ折れた。今の自分じゃ 自立出来ない。才能も無い。
自分がバイトを卒業する前に知り合いを連れて来るのが、よくあるパターンらしい。
新しい人は関西出身の神戸さん。苗字が「神戸」だが出身は違う。
髪は黒髪に部分的に赤と金髪が入っていて、本人は和風の感じで 錦鯉カラーで日本っぽいと思っているらしい。
眉は半分でパッチリしたつり目、一見近寄りたく無い感じに見えるけど、関西特有の人懐っこい感じと親しみやすい関西弁でお客さん達もすぐ慣れた。
奇抜な見た目も、美大生とか美容師とかなら 全く気にならないのが面白い所だ。
学年は1つ上だけど、一浪してるので 歳は2つ上になる。日本画専攻らしい。
日本画ならモデルの時 会うこと無いかな?と思ったけどそんな事は無く、いつもの美大の人々に混じって関西訛りの(表面上)褒め言葉の奇声(一般的にみれば違うだろう)が増えた。
「嵯峨君~~っつ♡♡♡ええやんっつ♡♡♡自分!」
「ってゆうかぁ~また良い感じの体なってなぁいっつ♡♡♡⁈」
「あ…いえ…そんな…」
「いいでぇ~♡自分~!鍛えてんのぉ~っ?腹斜筋ええや~ん♡自分ン‼︎」
「嵯峨君は背骨のラインでしょっ?譲らないからっそこ!」
「………」(逃走経路チラ見)
「ははっ 神戸~?3階建てのエレベーター無しの本屋は、ある程度鍛えて無いと無理だぞ~?」
「そうですよ。腰とかやりますから。店長なんてギックリ腰の常連ですから」
「えっ?ホンマ⁈じゃ~僕も鍛えよ~!その時はヌード披露しようかなぁ~っ?♪」
「えええ~っやったぁ!!皆~~そん時集合ね~♡」
「イェーイ!⭐︎」
「なんやテンション上がって来たでぇ~~っつ♡僕頑張りまぁすっぅ♡」
「ひゃっつふぅううぅ~~~⭐︎⭐︎⭐︎」
関西弁?の「自分=私」と「自分=あなた」さえ分かれば、後は勝手知ったる美大生の集団なので特に問題無しだ。
俺も慣れたものだなと思う。神戸さんは日本画でボディペイントをするのが得意というか作風らしく
自身の手が届く所は 常に自分の体にタトゥーのような和柄や和彫り、着物の柄のようなものを描いていて
俺をはじめ、お客さん達も 会う度に新しくなる絵を見るのが楽しみだったし、風呂に入ってれば 数日で消えるなら…と年配のお客さん達は 神戸さんに自分にも、と依頼したりだった。
店長もだったし、他のバイト仲間もだ。俺もその気持ち分かるな、なんて思っていたらモデルの一環として背中やら腕やら…顔以外を貸す事になってしまったのだった…。
それでも、共に創作をする仲間的な感じで 夢を応援すると言うか、自分で力になれる事あるなら…ヌードと顔出しは 無理だけど、という気持ちで協力していた。
今までの人生で、東京来てからの方が楽というか 自分に合ってるなと思っていた。あの日までは…。
高3の夏になり、大学の進路を固める時期だった。俺はずっと行きたかった文学部だし 既に決まっていた。
一応 第三志望まで挙げるけど、全て文学部。成績的に全て問題無しのA判定だ。
教師達にも問題無しの太鼓判を押され、学費やら手続きやらがあるので 親に進路希望調査の結果と成績とか、A判定とかと一緒にメッセージで送っといた。
定時制で大学目指すと言った時に志望大学を、この3校を伝えててOKと言ってたので 問題無しだと浮かれてた。
それに 今までで一番力を入れた 自己最高の小説を賞に応募していて、もうすぐ結果が出る頃だった。
今まで全て何かしらの反応があったし、賞も賞金も貰ってた。コメントが必ずついてたし、今回は今までで一番の結果だと確信していた。
憧れの文学部に行って 夢を掴むのに良い弾みになると。
バイト先の先輩達の様に夢を叶えるため文学部や美大に行って頑張ってる、その仲間に俺もなると思ってた。
進路が確定したらバイト先にも伝えるつもりだったけど、結果として伝えて無くてよかった…。
父親からメッセージが来て
「文学部は就職が無いから止めた方がいい。大学は そこで大丈夫だから、別の学部に」と。
「成績が良いから別の大学でもいい」と。
しばらくフリーズした。どのくらい時間が経ったか 分からない程…。
何で⁇昔からずっと…このためだけに…勉強して来たのに…?
何も他は望んで来なかったのに…?
今更…?何?
父親にメッセージを送り、今更何故か、高3の夏に変更なんか出来るハズ無い、第一 ずっと前に志望大学は伝えてあったのに、とメッセージを返した。
これで大丈夫だろう。全く腹が立つ。いくら 一緒に生活したこと無くて 俺の事知らないにしても、あんな事件があったんだから、小説書いてるのは 知ってるだろ?
本しか側に無い生活だったと 知ってるだろ⁉︎今まで 何一つして来なかったのに、何で初めてした事が 一番の希望を否定する事なんだよ⁈
たった一つ、これだけあれば良いって思った事潰すの⁈
全くもって腹が立つ。就職無いのも知ってるし、それでも勉強したいから希望してるのに!
あのクソ女達にだって、色々された事だって我慢して来たのに!!夢があるから!!
それなのに、よくもこんな事言って来たよな⁈あまりにも苛立って眠れず、次の日 父親から返信が来て 人生で初めてブチ切れた。
メッセージは長文で 長々と書いてあったが、要約するとだ。
自分達には親を名乗る資格が無いけど、社会人として会社の採用担当とかの目線で言うと 文学部は止めておいた方が良い。
自分達の頃の大学受験の制度と違っていて分からずに申し訳無かったが、今からじゃ変更が難しいなら予備校で一年浪人しても構わないから。
小説は他の学部に行っても、社会人になっても書けるから。
志望大学にOK出したのは 別の学部行くんだと思ってたから。理系の成績いいし…。と
もうブチ切れた。小説は趣味じゃ無くて、小説家になるのが夢なのに!!もう本当にダメだ!!俺の事 全く分かって無い!!
人生で初めて大荒れした。夏休み中で良かった。学校でも平静を装え無かっただろう。
何?引っ越し以来 俺に会う事もなく、メッセージのみで電話で話す事もしなかったくせに!
何で 一番大事な進路と夢に口出ししてくんの?それもNOと。何で初めてのNOが 俺が一番大切な事なんだよ!!
こればっかりは意志を曲げるつもりは無い。
俺には昔から これしか無かったんだから。これを無くすのは無理。俺じゃ無くなる。
父親にメッセージを送った。
文学部以外なら大学は行かない。
自分で奨学金と貯金して行く。同じ高校の人達もそうやってるから。
もう俺の事は考えなくていいから。
これでもう、両親とは縁が切れたと、予定より4年早くなって さぞかし喜んでいるだろうと思った。
俺は 今までのバイト代とか 仕送りの生活費とかを貯金してるから、そこそこあるし 今支援を切られても暫くは大丈夫だから。
そしたら意外なことに数日後、父方の祖父から連絡があって 皆で話し合おうとの事だった。
母親は 引っ越して以来メッセージ 一つ送って来なかったのに、母方の祖父母には連絡していたようで、その話し合いに来るという。
まぁいい。話が早い。祖父母は俺の味方だから。
そう思って話し合いに行ったら衝撃だ。
祖父母も文学部は反対派だった。
父親はどうしても仕事が休めず、電話での参加だった。
母親は不参加だけど皆と同じく反対派だそうだ。
母親は元々俺が小説書くのに拒絶反応だったから分かるけど。でも…だから、もう俺の事は放っといていいって連絡したのに。
仕送りとか要らないから自分で勝手にするから、もうこれで終了でいいって。
一生会わなくていいし、何かあっても頼ったりしないから安心して、と。
でも何故かそれじゃ悪いらしい。今まで何もしなかったのに
親だから、保護者だから、大学行かせて就職するまでは絶対責任持つと決めてると言い張る。
いやいや、それは父親の目標であって、俺には俺の決めた目標があるし、今までずっと文句一つ言わずに来たけど、こればっかりは譲れないと言うと、暫く沈黙したけど
どうしても俺の腹立つ…癇に障る言い方しかしないから、ボソボソ話すのも限界で、チッと舌打ちした所で、何故か祖母達が泣き出し 祖父達も涙ながらに 俺に言う事には
自分達はもう歳だから 孫の成長を見届けられない、生活も支えてやれない。文学部では不安が残る、と。
自分達の育て方が悪かったばっかりに 両親がこんな感じで 経済面以外は全くのポンコツで 俺に迷惑をかけてしまって
謝っても謝りきれないが、どうか大学を出て欲しい、と。
定時制高校卒では 社会はそんなに甘く無いから。
本も小説も自由に出来るから、経済的に安定してれば、何でもチャレンジ出来ると。
父親も電話越しに 声を詰まらせながら同様の事を言っているが、全く響かない。
俺は返事をせずに 一人暮らしの家へ帰った。誰も味方はいない。
でも一つ、いや二つ…希望というか、バイト先の先輩達みたいに 自分の好きな事勉強して、ちゃんと就職してるし。
もうすぐ応募してた小説の発表がある。絶対大丈夫。過去一の出来栄えだから。
俺の小説 今まで読んだこと無いくせに、自分達の都合ばっか押し付けて来るんじゃねぇよ。
今まで面倒見てくれた祖父母の気持ちは分かるし、そう思うのに納得するし、俺のこと考えてくれて ありがたいと思ってる。
ただ、今回は初めての反対意見だけども。ちゃんと反対してる理由に納得してるからムカついたりはして無い。
小説の発表があって、その過去一の評価であろう結果を知れば全員がOKするハズだ。
そう思ってたのに、結果は…過去最低…落選。コメント一つ無し。今までコメントすら無いとか……一度も無かったのに…。
こんな一番大事な人生かかってるところで……!!
更に追い討ちをかけるように、今回賞を取ったのは、バイト先の文学部の先輩の友達だった。
つまりは文学部に通ってる人であり、サラッと書いたのが 今までの俺よりも一番上の賞だった。
先輩は笑ってて、執筆中のを少し読んだけど、アレを出すのか~?って本人含めて友人達と笑っていて、皆で 最後は上手く纏めて出せよ~?レポート以下じゃん?って笑ってたらしい。
賞を取った本人も、え~?何で~⁇な反応だったとか。
俺は、今まで ずっと一人でやって来て、身近な人と比べたり競ったりしなかった。
俺は全然だったんだ。実力無かった。
ずっと家と学校の往復で、基本 物事に興味無くて淡白で、そんな俺の狭くて小さな世界は 皆知りたがらない、興味ない。
だって 自分の方が より大きくて広くて鮮やかな世界を知ってる人達ばっかりだから…。
小説が返って来たけど、そのまま捨てた。
高校が始まり、クラスの皆の話しに聞き耳をたてていると、「昔 荒れてて 喧嘩してたから就職がなぁ~…」と言ってる。
俺もトラブルあったし、顔も声も拡散されてたし…今は前髪で隠してボソボソ話すから大丈夫だけど…。
スーパーに行く途中、俺の事をモサい、キモいと言ってるのを聞いて、俺は今の外見に満足だけど…
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