先パイッ!「ビーエル」って何ですかっ?

AnnA

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第20話 気力も失せて

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6月も そろそろ終わる頃、梅雨は まだ終わってくれず、微妙に頭の痛い日々だけど

アイツのおかげで「雨の日は頭痛のため、お暇を頂きますパスポート」が発行されたから、やったー!と、よくやったぞ!とアイツを脳内で褒めたのも束の間

じゃ、ご飯の後 一緒に居られないんなら一緒に食べよっと♪作戦に変更してきやがった…!

それにより、今まで以上に アイツらに物理的な距離感で 両脇を囲まれる事となった。

クッソ~~っ!それにより、校内のヒエラルキートップ集団も近くに座ってるし…!

キャッキャッキャッキャッうるせぇんだよ!テンション高すぎ!

頭痛に響くし、SNSのせいで こんな目にあったのに、どうして意図せず インフルエンサー達の近くに居ることになるのか…!

バレるわけにはいかない…ブチ切れるのもダメ…日々の生活は修行というかミッションというかだ。

早く夏休みになってくれ…!と願う日々。昼飯を食いながら アイツらの話を聞いていると

「ナオくーん!ありがと~!この前 助かった~!」

「いいえ~♪こちらこそ、コーティングしてくれて ありがとうございま~すって お兄ちゃんに言っといて~」

「OK!兄貴さ、ナオくんの対応スゴイ良かったから、これからガソリンとかナオくん所行こーって言ってたよ マジで笑」

「え~マジで~?嬉しいんやけど~!」

「俺の愛車はチャリだからナオくん所 行けないわ~残~念」

「ははっ チャーリーがガソリンスタンド入ったら、絶対フォロワー達から車あるのに嘘ついたな!って来そ~!笑」

「それもあるけど、迷惑系とか言われるからね?一番 気をつけないとなヤツだよ」

「確かにな。あとガソリンスタンドとか静電気とかもダメなんでしょ?」

「じゃあ戸田っちも ダメじゃん」

「なんで?つーか 俺もチャリしか持ってないし?」

「だって戸田君 いつもガスバーナーとか外で料理する道具 持ち歩いてそ~笑」

「いやいや、あれは撮影の時だけだって笑 人様を危険に晒すことなんてしないからねっ?」

話を聞いているだけで、分かってくるものも あるもので、学内のインフルエンサー達の中でも チャーリーと戸田君は一番品行方正な感じだ。

「フォロワーさん」と「さん」付けで呼んでる。

他の連中は「応援してくれて感謝してる」とか口にするものの、大体の奴が「フォロワー」と呼び、数字の一つ程度に思ってる感が伝わるというか

一万以上のフォロワー数になると 感覚が変わってしまうのかもしれない。

アイツは チャーリー達のような品行方正というか人間関係を大切にしてて落ち着いてて穏やかなメンバーと絡んでいるようだ。

承認欲求が激しくて 他者を蹴落とすタイプとは絡んで無いな?

まあ、義理人情を通さない様な ケツの穴の小さい男じゃないって言ってたしな…。

それに、流行りに乗っかるだけで 個性も無く、チャンネルの特色も無く、一芸にも秀でた感じの無い連中とは 絡んで無いかな?

アイツはバイトでも頑張ってて 職場の人から可愛がられてるのが、聞いてれば分かる。

相変わらず、この短時間で怖い奴…。

それに、持ち前の気さくさ というかキャラというかで お客さん達にも人気のようだ。

さっきの話にもある通り、弟の知り合いとは知らず、偶然入ったガソリンスタンドで アイツの接客を気に入って家族にも話して、外出の前に弟と一緒に 例のガソリンスタンドに行ったら、なんと弟の知り合いというか、いつも大学の話に登場する「ナオくん」だったのか!の流れらしい。

それから、お兄さんの知り合いにまで クーポンとかお得情報までくれたアイツの所に通っていて

お兄さん達の彼女達にも アイドル顔のアイツは好評らしい。

相手がアイツだから、彼女をどうとかの醜い争いにはならず

「ナオくん見に行く~?(ガソリン入れるのついて来る~?)」のレベルで看板犬でも見に行く感覚のようだ。

お蔭で固定客も増えて ガソリンスタンドは喜んでいるらしい。

(別の日)

もうすぐ天気予報の上では 梅雨明け間近で、本来なら嬉しいハズだけど。

引っかかることが…。またしてもアイツだけど。

どうやら梅雨が明けたら チャーリーと戸田君の動画に出る約束らしい。

夏だし海方面に行くらしい。その時BBQの話になったのは季節柄 自然な流れだし、アウトドアチャンネルしてる 戸田君がいるから当然そういうBBQとか海辺の過ごし方の話題になる。

アイツは「あっ!そっかっ⁈サザエとかは買わんとダメなんか!潜って獲ったらダメか~漁業権こっちの無いしなぁ~」

と相変わらずの天然というか 島育ち丸出し…では無くなって来ているのを…言葉遣いから感じているのは…俺だけ?

元々、方言というか訛り…イントネーションは ほぼ関東圏だなと感じていて、バイトで 神戸さんがいるから関西圏?西日本出身かな、とは思っていたけど。

最近はあまり方言は出さないような…話し方は イントネーションは関東、方言は関西圏っぽい。

何となく…つまらないというか、残念だ。

折角の個性が、他の誰にもない魅力が、その他一般同様、東京に染まってくのは面白味が無いし、文化が失われたような感じさえする気が…大袈裟か。

(別の日)

天気予報では明日が梅雨明け。漫研のメンバーが ガソリンスタンドで働くアイツのイラストを描いてた。

ホントに…絵描きって…何でもイベント事にするというか…

美大の人達も モデルのお礼とかで封筒に絵を入れたり、神戸さんもバイトの伝言メモに絵を入れたり…

絵を描くのに疲れたから、気分転換に別の絵を描き出したり…

もうすぐ梅雨明け記念で、爽やかな青空の下で仕事してるアイツのイラスト大会って…。

しかも全部妄想。誰一人 現場というか実際働いてる所に行って無いのに…スゲーな。

やっぱ絵が描けるって凄い…。

ファンタジーとかアクションとかは漫画の方がな…。

とか書きもしない小説の事を思っても仕方ないが、何故 俺を審査員の一人にするかな…クソ…。

でも悲しい哉…いや悔しい哉…?

俺も昼時に話を聞いただけで、アイツが梅雨のじめじめした空でも、豪雨でも、皆が言ってるように 背景には青空が見えるような笑顔で 明るく元気に接客してる様子が目に浮かぶ。

漫画は読まないから分からないけど…背景に 花とか羽とか散らしたりするんだよな?

じゃあ、アイツが ただ青空バックに仕事してるのは背景として殺風景か?

と絵心も無いくせに考えて、アイツの元気のよさと明るさとスッキリした爽やかさを出すには…

5月頃の爽やかな青空に白い雲、オレンジの輪切りでも背景に…とか考えたが漫研のイラストを見て撃沈。

赤面しそうだ。慣れないことはするもんじゃない…!言葉に出さないで良かった!

洗剤のCMじゃあるまいし!バカか俺!

審査員をしたが、アイツの制服の資料はネットでいくらでもあるだろうに…

己の性癖というか「好き」を詰め込んだ漫研の連中の凄さというか、素直さ…というかに クールダウンして赤面せずに済んだ。

そんなに「つなぎ服」は萌えるのか…?

それにアイツも黙っとけばいいのに…悪気が全く無いから…漫研の連中の反応見ろ…

内緒で描いてたのにィ!!って青くなってるじゃねぇか…もう 怒る気力も無いというか…。

「先パイッ!見てください!俺らのツーショット描いてくれたんですよ!」

「…あ…そうなんだ…?」

「わっはっはっ!嵯峨~っ!そっくりじゃ~ん⁉︎スゲー!」

「嵯峨~左ハンドル乗ってんじゃ~ん!」

「これ、レトロなミニですよね?かわい~♪」

「あ…っえっと…ナオくんが…嵯峨君には外車が良いって…赤い車でって…言うから その…」

「先パイにぴったりっしょっ? 赤…黒もいいけど…青も黄色も…やっぱ 先パイなら何でも似合うな~!今度はもっと、こう、速そうな高い車 描いてもらおっと♫スパイとか乗ってそうなの!」

「ん~~っつ♡♡♡分かった~~っ♡♡頑張るね~っつ♡♡♡」

…皆の表情を見ろ。今日一番センス無いというか…感覚おかしいのは お前だよ。

一番おめでとう。俺なんか足元にも及ばなかったわ…。怒る気も失せた。
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