366日の愛の花束

１月

１月２８日 スノーフレーク

スノーフレークの可憐な花言葉は「純粋」「汚れなき心」。その花のように純粋な心を持つ、優しくて少し内気な裕香は、幼馴染の彰に恋をしていた。彰は、いつも裕香のそばにいて、彼女を優しく支えてくれる存在だった。しかし、彰は絵を描くことに情熱を注ぎ、裕香にはその情熱を理解できないでいた。

春、スノーフレークが咲き誇る季節。裕香は、彰に想いを伝える決意をする。いつもと違う、少しだけ華やかな、おしゃれな服を着て、彰が絵を描く丘へ向かった。丘には、一面にスノーフレークが咲き乱れ、春の陽射しがキラキラと輝いていた。

彰は、いつものように、キャンバスに向かっていた。裕香は、深呼吸をして、事前に用意していたスノーフレークのブーケを差し出した。「彰くん、私はあなたのことが好きです。」と、緊張で震える声で告白した。

彰は、持っていた筆を置き、裕香をじっと見つめた。彼の瞳には、純粋な驚きと、そして、何とも言えない複雑な感情が混ざっていた。しばらくの沈黙の後、彰はゆっくりと口を開いた。「裕香さん、あなたの気持ちはとても嬉しい。でも、今は絵に集中したいんだ。あなたの気持ちに応える自信がない。ごめんなさい。」

彰も裕香に対して好意的な感情を持っていた。しかし、それは裕香が彰に対して持っているものよりも軽く、同じ重さで気持ちを返すことができないと思ったのだ。また、今は裕香のことよりも、絵を描くことのほうが大事でもあった。彰は、絵を描いて生活していきたいと考えていた。そのためにできることを、一つでも多くするしかないと考えていたからだ。

裕香の心は、スノーフレークのように、散り散りになりそうだった。しかし、彰の言葉の中に、拒絶ではなく、優しさを感じ取れた。今は、彼の気持ちを受け止め、待つことしかできない。裕香は、涙をこらえながら、小さな声で「わかりました。もし私を好きになったら教えてください。待っています。」と答えた。

夕暮れ時、丘には二人だけの影が伸びていた。スノーフレークの花びらは、風にそよぎ、裕香の涙を優しく拭うように揺れていた。 彼女の希望は、まだ消えてはいなかった。彰の絵の中に、いつか、彼女の純粋な想いが描かれることを信じて。










1月28日
誕生花：スノーフレーク
花言葉：純潔
　　　　汚れなき心
科・属：ヒガンバナ科・スノーフレーク属
和名・別名：鈴蘭水仙
　　　　　　大待雪草