私の使い魔がたわしだった件

雷庵

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四話 よう、そろそろ寝ようぜ

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「ふぁぁぁ、使い魔召喚で疲れたからそろそろ着替えて寝るね。パパ、ママ、おやすみ」

「おいおいアリスちゃんよぉ、俺をおいてかないでくれよ」

 あくびをしながら椅子から立ち上がり、部屋を出ようとしたアリスにたわしは声を上げる。たわしはテーブルから飛び降りるとアリスの足にしがみつく。

「ちょ、ちょっと! どこにしがみついてんの!? パンツみえちゃうじゃん! エッチ!」

 アリスは声を荒げると、腰を曲げたわしを足から引きはがす。アリスはたわしをにらみつけるがたわしはニヤリとして

「アリスちゃんのパンツに興奮するような俺じゃないぜぇ? 俺はスポンジにしか恋ができない男なんだ」

 というや否や、アリスはたわしを部屋の隅へと投げ捨てる。たわしは半分泣きをいれるような声で

「まってアリスちゃん! 俺一人で眠れないんだよ! アリスちゃんの使い魔なんだから隣でねかせてぇぇぇぇ!!!」

 その声を聴いてキャロットとトランプは吹き出す。そして笑いだしてしまう。

「おいおいたわし君、さっきまでの威勢はどこへいったんだい? はっはっは!」

「ふふふ、そうねぇ……そんなにアリスと寝たいのかしら? あなた男でしょ? そんな甘えん坊には見えなかったけど」

 二人はそんなことを言いつつも笑いが止まらないようだ。しかしたわしは切羽詰まった声を上げた

「まってくれ! 俺は知らない世界に一人呼び出されて、挙句にこんな扱いされたら悲しいに決まってるじゃないか! なにより俺は甘えん坊なんだよ!」

 その言葉を聞くとさらに二人はふっふっふと笑い出す。

「アリス、一緒に寝てやりなさい。まぁたわしだったら別に襲われたりしないだろうし、そもそもあんたの使い魔なんだから、しっかり世話しなさい」

 キャロットの言葉を聞くとアリスは露骨に嫌な顔を作る。しかしたわしは思わぬ協力者の出現に感動していた。

「えー、なんでたわしなんかと寝なきゃいけないのよ、汚い」

 たわしは激怒した、必ず、この邪知暴虐のアリスの考えを正さねばならぬと決意した。

「アリスちゃん! 俺はな、毎日体洗ってるからきれいだし! 魔法で泡を出せるくらいなんだからいい香りするに決まってるでしょ!?」

「はぁ? たわしは清掃用具でしょ……あんたさっき皿洗いされてたじゃない……だいたいたわしと寝る子なんて話、聞いたことないわよ」

「それは違うぞアリスちゃん! 清掃用具だから清潔にされるのだし、たわしと寝る子がいないんだったらキミが初めてになればいい!!!」

 たわしはこぶしを握り、必死の形相でアリスの懐柔を試みた。だがなかなかうまくはいかないようだ……だが。

「ていうか私眠いから、ほら、寝るならとっとといくよ? あとたわし、あんたいびきとか歯ぎしりひどかったら部屋からたたき出すからね」

 アリスは一度は放り投げたたわしを再び手に持つと居間を離れ自分の部屋へと戻っていった。


 アリスの部屋は学習机とベッド、それに本棚とクローゼットのみという簡素なものだ。アリスはたわしをベッドの端っこに軽くなげると、パジャマに着替え自分もベッドに飛び込んだ。

「ふー、疲れた……もー、今日は最悪だったわ。まぁでも、ちょっと楽しいからゆるしてあげるよ、たわし」

「アリスちゃん、素直じゃないぜぇ。最悪っていわれる俺の立場も考えてほしいが、マスターのために俺も頑張るからよ!」

 たわしは決め顔を作り、小さなこぶしをアリスに向ける。しかしアリスはそれを一瞥すると毛布をかぶる。

「ふふ、たわしが頼りになるってわかったらやってあげるわ。ちょっとだけ期待しといてあげるから。まぁ私の使い魔だし」

 たわしは残念そうにしてみせたが、内心悪い気はしていなかった。

「おやすみ、たわし」

「おやすみんみんアリスちゃーん」

 アリスは軽くイラっとしながらも、二人は目を閉じた。
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