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朝
七話 よう、お前ら元気そうだな
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アリスとディニー、たわしとニコラスが学校へ到着する。すると周囲にいたすべての使い魔達がざわざわとする。
「わんわん!」
(あ、あれたわしさんじゃないか?)
「にゃー!」
(あ、あれたわし様!)
「ギャーギャー!」
(お、たわし先生じゃーん!!)
校門周辺では使い魔達が[異常行動]を起こしていた。当然だ、本来であれば使い魔は主人の為だけに動き話す生き物なのだが、たわしを目にした使い魔達が一斉に自発的に声を上げたのだ。本来であればほぼありえない状況だろう。ましてや本来は召喚されて間もない使い魔は極めて主人に従順であるので、殊更に異常なのだ。しかしそんな現世でのセオリーはたわしを中心にした使い魔達には関係なく……たわしはアリスの肩から飛び降りると片手をあげる。
「うおお、お前ら! なんだ全員俺の面倒みてたやつらじゃねーか! うはは、元気かお前らー!?」
等と叫び始めた。それに呼応するかのように周囲にいた全ての使い魔達は声を上げる。わんわん! ニャー! ギャー! ピヨピヨ! ……使い魔の主人たちはドン引きしている。そう、主人の命令を聞かないのだ。
「お、おい! なにを勝手に叫んでるんだ?! なんなんだたわしって」
「ピーちゃん! あなた鳴けるの!? え、テレパシーでしか意思疎通できないっていったわよね?!」
阿鼻叫喚のような状況が校庭で発生していた。こともあろうに使い魔達は主人を離れたわしとアリスを囲み始める。制御を失った主人たちはただただその状況を茫然と眺めるほかなかった。しかしそんな状況をよそに、使い魔達は和気あいあいとしている。
「なんなのよ、これ……ちょっとたわしあんたなんなの?!」
アリスはひどく困惑した。当然だ、アリスの読んだ[使い魔召喚術の基礎]では使い魔は主人の指示なしで勝手な行動はできないと記載されているのだ。ただ例外として主人の危機が発生して主人からの命令がもらえない状況下の場合のみ独断行動する場合がある、との記載があったのだ。そしてそれはここにいるすべての魔法使いの共通認識なのだ。
「なにって、皆俺の担当のヤツらなんだよ! 奇遇どころか運命的なものを感じるな……な!? お前らー!」
たわしはそんなことはつゆ知らず、使い魔達の中心でテンションをモリモリ上げていた。もちろん周りの使い魔達もテンション爆上げで、中には踊りだしたり泣き出したりする者もあらわれた。そんな状況下、アリスとディニーを除くすべての魔術師の卵たちはアリスをにらみつける。一人の男子生徒が使い魔をかき分けアリスのもとへと詰め寄り怒号を上げる。
「おいアリス! なんだよこの状況は!? お前、なんなんだよこのたわしはよ、ふざけてんじゃねぇぞ!」
アリスは困惑した、私のせいじゃない……と言いたかったが、たわしの主人なので結果アリスのせいであることも納得できないながらも理解していた。そしてその怒号に呼応してすべての使い魔……そう、この男子生徒の使い魔も男子生徒を一斉ににらみつけた。そして男子生徒はたじろぎながらも
「お、おい、ワンダークーゲル、何お前主人を睨みつけちゃってんの? お前、俺の使い魔だろ!?」
しかしその声は徐々に弱気になっていった。当たり前である、何十匹といる使い魔達に一斉ににらまれているのだ、無理もなかった。そしてワンダークーゲルと思しきプードルが男子生徒に近づく。そしてわんわん! と叫ぶと、男子生徒は顔を青ざめる。しかしそこは空気を読めるたわしは男子生徒の肩に乗る。
「わるいな、キミ。俺との再会を喜ぶあまり皆我をわすれてしまってな……あと、アリスちゃんは悪くない、悪いのは俺……そう、このたわし様なのだ、許してくれたまえ」
というと、男子生徒の頭に手をのせる。男子生徒は尻もちをつき、おびえ始める。
「な、なんでたわしが喋って動いてるんだよ……アリス、お前いったい何を召喚しやがった……」
男子生徒は今にも泣きだしそうな声を上げる。しかしアリスは困った表情でただ
「たわし……たわし……」
と言うしかなかった。そしてこれから起こりえるであろう問題を想像すると胃が激しく痛みだすのであった。
「わんわん!」
(あ、あれたわしさんじゃないか?)
「にゃー!」
(あ、あれたわし様!)
「ギャーギャー!」
(お、たわし先生じゃーん!!)
校門周辺では使い魔達が[異常行動]を起こしていた。当然だ、本来であれば使い魔は主人の為だけに動き話す生き物なのだが、たわしを目にした使い魔達が一斉に自発的に声を上げたのだ。本来であればほぼありえない状況だろう。ましてや本来は召喚されて間もない使い魔は極めて主人に従順であるので、殊更に異常なのだ。しかしそんな現世でのセオリーはたわしを中心にした使い魔達には関係なく……たわしはアリスの肩から飛び降りると片手をあげる。
「うおお、お前ら! なんだ全員俺の面倒みてたやつらじゃねーか! うはは、元気かお前らー!?」
等と叫び始めた。それに呼応するかのように周囲にいた全ての使い魔達は声を上げる。わんわん! ニャー! ギャー! ピヨピヨ! ……使い魔の主人たちはドン引きしている。そう、主人の命令を聞かないのだ。
「お、おい! なにを勝手に叫んでるんだ?! なんなんだたわしって」
「ピーちゃん! あなた鳴けるの!? え、テレパシーでしか意思疎通できないっていったわよね?!」
阿鼻叫喚のような状況が校庭で発生していた。こともあろうに使い魔達は主人を離れたわしとアリスを囲み始める。制御を失った主人たちはただただその状況を茫然と眺めるほかなかった。しかしそんな状況をよそに、使い魔達は和気あいあいとしている。
「なんなのよ、これ……ちょっとたわしあんたなんなの?!」
アリスはひどく困惑した。当然だ、アリスの読んだ[使い魔召喚術の基礎]では使い魔は主人の指示なしで勝手な行動はできないと記載されているのだ。ただ例外として主人の危機が発生して主人からの命令がもらえない状況下の場合のみ独断行動する場合がある、との記載があったのだ。そしてそれはここにいるすべての魔法使いの共通認識なのだ。
「なにって、皆俺の担当のヤツらなんだよ! 奇遇どころか運命的なものを感じるな……な!? お前らー!」
たわしはそんなことはつゆ知らず、使い魔達の中心でテンションをモリモリ上げていた。もちろん周りの使い魔達もテンション爆上げで、中には踊りだしたり泣き出したりする者もあらわれた。そんな状況下、アリスとディニーを除くすべての魔術師の卵たちはアリスをにらみつける。一人の男子生徒が使い魔をかき分けアリスのもとへと詰め寄り怒号を上げる。
「おいアリス! なんだよこの状況は!? お前、なんなんだよこのたわしはよ、ふざけてんじゃねぇぞ!」
アリスは困惑した、私のせいじゃない……と言いたかったが、たわしの主人なので結果アリスのせいであることも納得できないながらも理解していた。そしてその怒号に呼応してすべての使い魔……そう、この男子生徒の使い魔も男子生徒を一斉ににらみつけた。そして男子生徒はたじろぎながらも
「お、おい、ワンダークーゲル、何お前主人を睨みつけちゃってんの? お前、俺の使い魔だろ!?」
しかしその声は徐々に弱気になっていった。当たり前である、何十匹といる使い魔達に一斉ににらまれているのだ、無理もなかった。そしてワンダークーゲルと思しきプードルが男子生徒に近づく。そしてわんわん! と叫ぶと、男子生徒は顔を青ざめる。しかしそこは空気を読めるたわしは男子生徒の肩に乗る。
「わるいな、キミ。俺との再会を喜ぶあまり皆我をわすれてしまってな……あと、アリスちゃんは悪くない、悪いのは俺……そう、このたわし様なのだ、許してくれたまえ」
というと、男子生徒の頭に手をのせる。男子生徒は尻もちをつき、おびえ始める。
「な、なんでたわしが喋って動いてるんだよ……アリス、お前いったい何を召喚しやがった……」
男子生徒は今にも泣きだしそうな声を上げる。しかしアリスは困った表情でただ
「たわし……たわし……」
と言うしかなかった。そしてこれから起こりえるであろう問題を想像すると胃が激しく痛みだすのであった。
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