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プロローグ
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辻北彩瀬(つじきた あやせ)は日々会社と自宅の往復をしていた。アラサーと言われる年代になって久しい昨今、基本的な仕事は要領を得て安定してこなせるようになり、部下への指導・育成も業務の一環となった。
仕事は山あり谷ありで、常に順調とはいかなかったが概ね不満は無い程度に順応出来ていた。
仕事はまずまずな中で、プライベートではどっぷりとオタク趣味に浸かり、日々アニメやゲーム、実況動画やライバー達の配信を視聴していた。
推し達に課金するために、自分のためのお金は最小限にしていた。美容費も最低限、食費も抑えるためにきっちり自炊し昼は弁当持参という徹底ぶり。ヘアカットはほぼ伸ばしっぱなしのワンレンロングヘアのため、3ヶ月に1度毛先のいたんだところを1000円カットするくらい。
病院代も勿体ないと睡眠時間は最低限確保し食事の内容にも気を付けていたはずだった。
だから自分が病死するだなんて思えないし、かと言って交通事故にあった記憶もない。
周りを見渡すと、木、木、木。
とんでもなく濃い緑の香りを含む空気に、彩瀬は知らず詰めていた息を吐き出した。
自身がいるのはとんでもなく大きい木の洞。へたりと座り込んでいる体の下にはふかふかのクッションが敷き詰められている。クッションの上にはなにか果汁のような液体が染み込んでしまっていて、そこだけ色を変えている。果肉のようなものも見受けられ、それは柿のような鮮やかなオレンジ色をしていた。
そのオレンジ色の果肉と果汁は自分の体にも付着しており、まるで自分が果物の中から出てきたようだ。桃太郎かよ。
ベタつく体を見下ろせば、ぷっくりとしたお腹がぷりちーな見事な幼児体型。きめ細やかな真っ白な肌と、やや果汁でベタついているもののツヤがありそうな緑がかった金髪が、己の体を見下ろす動作とともに視界を横切った。
The日本人の黒髪茶色目の自分ではありえない色彩だった。
呆然としていると、遠くから金髪の美男美女がわらわらとこちらに駆けてくる。口々にしている言語は過去聞き覚えのないものだが何を喋っているのかは不思議と理解できた。
「ご誕生されているぞ!」
「早く沐浴の準備を!」
「ああ、なんてめでたいのでしょう!早く皇都へ使いを出さなければ!」
掛けてくる人全員の耳がとんがっている。これはどうみても紛うことなきエルフですね。完全に理解した。
気が付いたら、異世界に転生していた。
なんで???
仕事は山あり谷ありで、常に順調とはいかなかったが概ね不満は無い程度に順応出来ていた。
仕事はまずまずな中で、プライベートではどっぷりとオタク趣味に浸かり、日々アニメやゲーム、実況動画やライバー達の配信を視聴していた。
推し達に課金するために、自分のためのお金は最小限にしていた。美容費も最低限、食費も抑えるためにきっちり自炊し昼は弁当持参という徹底ぶり。ヘアカットはほぼ伸ばしっぱなしのワンレンロングヘアのため、3ヶ月に1度毛先のいたんだところを1000円カットするくらい。
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だから自分が病死するだなんて思えないし、かと言って交通事故にあった記憶もない。
周りを見渡すと、木、木、木。
とんでもなく濃い緑の香りを含む空気に、彩瀬は知らず詰めていた息を吐き出した。
自身がいるのはとんでもなく大きい木の洞。へたりと座り込んでいる体の下にはふかふかのクッションが敷き詰められている。クッションの上にはなにか果汁のような液体が染み込んでしまっていて、そこだけ色を変えている。果肉のようなものも見受けられ、それは柿のような鮮やかなオレンジ色をしていた。
そのオレンジ色の果肉と果汁は自分の体にも付着しており、まるで自分が果物の中から出てきたようだ。桃太郎かよ。
ベタつく体を見下ろせば、ぷっくりとしたお腹がぷりちーな見事な幼児体型。きめ細やかな真っ白な肌と、やや果汁でベタついているもののツヤがありそうな緑がかった金髪が、己の体を見下ろす動作とともに視界を横切った。
The日本人の黒髪茶色目の自分ではありえない色彩だった。
呆然としていると、遠くから金髪の美男美女がわらわらとこちらに駆けてくる。口々にしている言語は過去聞き覚えのないものだが何を喋っているのかは不思議と理解できた。
「ご誕生されているぞ!」
「早く沐浴の準備を!」
「ああ、なんてめでたいのでしょう!早く皇都へ使いを出さなければ!」
掛けてくる人全員の耳がとんがっている。これはどうみても紛うことなきエルフですね。完全に理解した。
気が付いたら、異世界に転生していた。
なんで???
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