悪党だらけの乙女ゲームに転生したけど、×亡しすぎて残機が足りない!(溺愛もあるよ★)

夕張さばみそ

文字の大きさ
31 / 77

31)せめて人語でキレろヨ!!!!

しおりを挟む
「ちこくちこく~!」とか言ってる幼女に激突されて、私の腰とアバラがイッたのはわかった。
 ていうか、こんなベタな激突の仕方、あると思う!? 
 明らかに重心低めでエグるようにツッコんできたわよね!?
 と、言いかける私の口を紅龍様の手が塞いだ。

「ふが! ふぉんろんひゃま!?」
「静かにしてろ。こいつが――聖女だ」

 え?

 改めて幼女を見ると、確かにゲームのパッケージに載ってたビジュアルの女の子に似ている。
 黒髪で貧乳で清楚可憐な美少女ユリ……実物を見ると、こんなに可愛かったのねぇ……。
 こりゃあガルーやサングレが『3Pでいいからヤろうぜ!』ってなるはずだわ~。
 なんて下世話なことを考えてしまう。

 しかし彼女はパンを飲み込むと、目を輝かせて騒ぎだす。

「わ! ラッキー! ガルーとサングレが揃ってる! アリアまでついでにいるー♥」

 ついでに……?

 つ い で に だ と!?(ピキッ

 マフィアクターは、どうしてもガルーとサングレがツートップ扱いされてアリアがイロモノ枠にされちゃってるけど、この子だって優しくて美青年で凄く良い子なのよ! 女装癖があるだけで! 女装癖があるだけで!
 
 うちの子をバカにされてガルガルするも、紅龍様は静かに聖女ユリを観察していた。
 紅龍様が沈黙してるのに、私だけ阿修羅になるわけにはいかない。
 彼に倣って私もユリを見てみる。

 聖女ユリは何かおかしかった。

 そもそもガルーもサングレもアリアも、まだ名乗っていないのに、どうして知っているのか……?

 いやいやいや! 私と同じく転生者でしょ! この流れは!(裏手ツッコミ)

 と自らにツッコミを入れてしまったけど、それなら同じマフフレ(マフィアクターフレンズの略)として好意的に接していこう!

 そう、マフィアクター好きに悪い人なんていない……アリアの件は、ほら、まぁ、何というか、私の聞き間違いだったかもしれないし……。

 と良い方に考えようとしていた私の目の前で、ユリがガルーやサングレ、アリアにベタベタ触れていた。何しとんじゃい!!
 ガルーはキレそうだし、サングレは泣いているし、アリアは無表情だっていうか、うちの子にまた何してんのよ!!

 私は腰とアバラを痛めた所為で立ち上がれないまま、ユリに怒鳴っていた。

「ちょっと! 幾ら将来的にくっつくとしても、子供のうちは節度のある距離感をもって……クドクドガミガミ」
「わー! 悪女ディディだ~! おっぱいでっか! お尻もでっか! えっろ!」
「……」

 急に乳と尻についてツッコまれて私が赤面すると、ガルーやサングレ、アリアが怒りだした。

「おい、いいかげんにしろよ。おまえ」
「そ、そーだよ! シスターをいぢめないでよ!」
「わたしの妻へのぼうとくは、ゆるさない」

 しかしユリは皆の反応にキョトンとしていた。

「あれれ? おっかしいなぁ~。今日、このじかんにガルーたちとぶつかるとフラグがたつって、ミーチューブで観たんだけどなぁ……。ぜんぜんちがうじゃん」

 ミーチューブ……?

 貴様!! 未プレイ勢か!!!!!!!!!!!!!!!!!

 途端に牙を剥く私。右手が疼く。

 い、いや、でも、ミーチューブから興味をもってプレイしたりする人もいるし、まだユリちゃんは生まれたてのプレイヤーなだけで……鎮まれ……鎮まれ! 私の右手!!

「ユリ、マフアクはメンドくさそうだから未プレイなんだよね~。キャラがエロいから、同人誌はいっぱい違法サイトで見たし描いたんだけど、こんなことならプレイ動画、ちゃんと観ておけば良かったな~。エロスチルは全部見たんだけど~」
「@=^¥:・。_?@-9#$%&’!!」

 私が人語を失った怒声を上げて殴りかかろうとするのを紅龍様が抱え上げて止めた。

「落ち着けヨ! っていうか、せめて人語でキレろヨ!!!!」
「だ、だって紅龍様! この子が@=^¥:・。_?@%&’!!」

 紅龍様からのお姫様だっこだけど、私はギャーピー泣き叫んでいた。
 生前、大好きで大好きで生きる糧だったマフィアクター。
 それを馬鹿にされたみたいで悔しかったのだ。




【後書き】
読んでくださってありがとうございます~!(涙)

未プレイ云々は様々なご意見があるかと思いますが(色んな都合でプレイできなかったり)
『違法サイトで同人誌を見るな』とか『それを声デカで言うな』ということは
どんな理由があってもキレポイントになるかなと……。ご気分を害してしまって申し訳ありません。
あ、聖女ユリちゃんは、ちゃんとザマァされます。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?

山下小枝子
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、 飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、 気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、 まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、 推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、 思ってたらなぜか主人公を押し退け、 攻略対象キャラからモテまくる事態に・・・・ ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!

なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた

いに。
恋愛
"佐久良 麗" これが私の名前。 名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。 両親は他界 好きなものも特にない 将来の夢なんてない 好きな人なんてもっといない 本当になにも持っていない。 0(れい)な人間。 これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。 そんな人生だったはずだ。 「ここ、、どこ?」 瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。 _______________.... 「レイ、何をしている早くいくぞ」 「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」 「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」 「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」 えっと……? なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう? ※ただ主人公が愛でられる物語です ※シリアスたまにあり ※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です ※ど素人作品です、温かい目で見てください どうぞよろしくお願いします。

華奢な引きこもり魔術師と、マッチョな押しかけ女房

ミクリ21
恋愛
引きこもり魔術師のジルベルトの日常に、突如押しかけ女房のマチルダがやって来た。 ジルベルトは女性のように華奢なのに対し、マチルダは男騎士かと思うぐらいにムッキムキのマッチョだ。 このマチルダ、実はある秘密がある………それは、前世がヤクザの組長だった!? そんな二人のラブコメディーの始まりだ!

主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?

玉響なつめ
恋愛
暗殺者として生きるセレンはふとしたタイミングで前世を思い出す。 ここは自身が読んでいた小説と酷似した世界――そして自分はその小説の中で死亡する、ちょい役であることを思い出す。 これはいかんと一念発起、いっそのこと主人公側について保護してもらおう!と思い立つ。 そして物語がいい感じで進んだところで退職金をもらって夢の田舎暮らしを実現させるのだ! そう意気込んでみたはいいものの、何故だかヒロインの義兄が上司になって以降、やたらとセレンを気にして――? おかしいな、貴方はヒロインに一途なキャラでしょ!? ※小説家になろう・カクヨムにも掲載

無表情な黒豹騎士に懐かれたら、元の世界に戻れなくなった私の話を切実に聞いて欲しい!

カントリー
恋愛
「懐かれた時はネコちゃんみたいで可愛いなと思った時期がありました。」 でも懐かれたのは、獲物を狙う肉食獣そのものでした。by大空都子。 大空都子(おおぞら みやこ)。食べる事や料理をする事が大好きな小太した女子高校生。 今日も施設の仲間に料理を振るうため、買い出しに外を歩いていた所、暴走車両により交通事故に遭い異世界へ転移してしまう。 ダーク 「…美味そうだな…」ジュル… 都子「あっ…ありがとうございます!」 (えっ…作った料理の事だよね…) 元の世界に戻るまで、都子こと「ヨーグル・オオゾラ」はクモード城で料理人として働く事になるが… これは大空都子が黒豹騎士ダーク・スカイに懐かれ、最終的には逃げられなくなるお話。 小説の「異世界でお菓子屋さんを始めました!」から20年前の物語となります。

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

この世界に転生したらいろんな人に溺愛されちゃいました!

キムチ鍋
恋愛
前世は不慮の事故で死んだ(主人公)公爵令嬢ニコ・オリヴィアは最近前世の記憶を思い出す。 だが彼女は人生を楽しむことができなっかたので今世は幸せな人生を送ることを決意する。 「前世は不慮の事故で死んだのだから今世は楽しんで幸せな人生を送るぞ!」 そこからいろいろな人に愛されていく。 作者のキムチ鍋です! 不定期で投稿していきます‼️ 19時投稿です‼️

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

処理中です...