欲しいものはガチャで引け！～異世界召喚されましたが自由に生きます～

広がりゆく勢力、そして

アルド王国と勇者達の心境

「何ということだ・・・」
アルド王国は再び頭を抱えていた。先ほど幸運の星からの使者が来て賠償金を請求してきたのだ。三億テリーは決して安いものではない。
しかし、支払えないと言った場合、攻め込むとまで脅されてしまった。あのクランのことだ。本当にこの国を滅ぼしかねないだろう。
「一体、どうすれば・・・。」
「軍縮、もしくは増税しかないのでは・・」
「そうだな・・・」
しかし、軍縮を発表した途端、軍部からの大反対が起きた。そして増税の道を考え始めると今度は民衆達がデモを起こした。各所からの反対により王は財宝を売り払うことで無理やり金を確保した。この財宝の中には先祖代々伝わってきたものもあり、王家にとっては屈辱的なこととなった。また、王の権力が脅かされていることも国外に示すこととなった。それによりペッカ国への人口の流出が相次ぎさらなる国力の低下を招いた。

「そうか・・ペッカ村が独立したと・・」
ガーネット王国でもペッカ国の事は伝わっていた。そしてあの戦いのことも伝わっていた。突如姿を現した幸運の星というクラン。帝国と教国の切り札であった、親王と聖徒を負かしたのは有名である。さらにギルドにも干渉できるほど強くなっているらしい。彼らの財産は相当なものであり、国が１つ作れるくらいある。兵力においてはどの国も敵うことは無いだろう。

「そんな変な名前のクラン、俺達の手にかかれば楽勝だよ。」
そう言ったのは森園達であった。誰もが苛立ちを感じたが仮にも勇者である彼に強く言えなくなっていたところ、
「無理だな、お前じゃすぐやられる。俺達でも瞬殺だ。」
武田勝が森園に口を挟んだ。
「何だと？その言い方じゃお前の方が強いみたいな言い方じゃねぇか！」
「事実だろ。ステータス的にも俺の方がはるかに上だ。」
森園達は2500平均であり、高いのは高いがサボりが目立ち同じ勇者である勝には遅れをとっている。
「俺にそんな口を利くとはいい度胸じゃねぇか。」
「ここにはお前の権力は無い。学校とは違うことをいい加減に覚えろバカが。」
「ッッッ！テメェ！」
森園は殴りかかろうとしたが力の差を感じて止めた。よく見ると周りのクラスメイトも森園達を忌み嫌う視線を向けていた。
「陸斗の言ったことを覚えないとはな。偉そうにするな。」
剛も森園に向かって言った。
「藤田だと・・・？あんな雑魚の言うことなんて無視だ！無視！」
そう捨て台詞を残して森園達一行は部屋を出た。
「困ったものだな。あいつらにも。」
この世界に来てクラスの中心は勝と剛になりつつあり、森園の権力に怯えていた者達はこぞって勝と剛側についている。ハブられているのは森園達の方だったのだ。まさしく因果応報と言うのだろう。
そう思いながらも勝達も部屋を後にした。
世界の力関係は完全に崩れていたのだった。