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EP1_2章
2章_6 トレド星石鉱
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「やあ、今日からの新入りなんだ、よろしく。」
カムランは五人組の中でひときわ太った男に声をかけた。
「チッ。新入りの組に来ちまったか。
上がりが悪いんだよなあ新入りは。」
文句たらたらの男だったが、
作業の流れを教えてくれたら今日の上がりは全部渡すと言うと、
急に態度が変わった。
「そうだな、今入ってきたこの坑道をもう少し進めば、
作業場だ。作業場の鉱脈についたら、
壁でも足元でも見てみろ。
ほんのりと青い石が所々にある。
松明を近づけてみて、
石の中に小さな金色の粒がいくつか光ってたら、
そいつが星晶石だ。
鉱石を見つけたら、
鉱石の少し外側をミノで崩していけばうまく取れるさ。
鉱石はめちゃくちゃに固いから、
ミノで直接鉱石を小突いたら手がしびれるぜ。
集めた石は、それぞれに渡された首かけの入れ物に入れといて、
大穴の外に帰るときに守備軍に渡す。そんだけだ。」
歩きながら話したせいか、
太った男は少し息切れしている。
「まあよ、今日のお前さんの上りは、
俺の首かけに間違いなくいれるんだぞ。
お前さんが言い出した話だからな。」
太った男は鋭い目つきでカムランに釘を刺した。
「もちろん、約束は守るよ。」
太った男に礼を言い、
カムランは作業場の奥へと進んでいった。
少し親近感を感じるその男は、
いざ作業場に入ると誰よりも一生懸命に鉱石を掘っていた。
しばらくの間作業に集中し、
男に文句を言われない程度に鉱石を集めたカムランは、
松明の明かりを作業場の隅や壁沿いに照らした。
しかし、作業場の端にあった壊れたスコップやハンマーが
捨てられている大樽の他は何も見つからなかった。
作業場からさらに続く入り組んだ坑道は、
松明の明かりがなければ真っ暗で、
道幅もどんどん狭くなっている。
こちらは新しい坑道で、
まだ掘削が進んでいないのだろう。
カムランは採掘の片手間に作業場の奥の坑道を見て回ったが、
所々にある大樽のゴミ入れ以外は特に何も見つからなかった。
その後作業は夜まで続き、班員皆がへとへとになった頃、
交代の鐘をならす守備兵がやってきた。
「さあ、夜十一時だ。撤収していいぞ。夜番と交代してくれ。」
カムランは約束を思い出し、
太った男に採掘した鉱石を渡すことにした。
男の取れ高を聞いてみると、
あれだけ一生懸命に取り掛かっていたのにも関わらず、
カムランとそう変わらないだけの量しか取れていなかった。
「今日の鉱脈はハズレだったな。
まあお前さんの上がりでチャラってとこか。悪いな。」
顔いっぱいに汗をかいたその男は、
カムランの鉱石をひったくるように受け取り、
地上へのゴンドラに乗っていった。
カムランは五人組の中でひときわ太った男に声をかけた。
「チッ。新入りの組に来ちまったか。
上がりが悪いんだよなあ新入りは。」
文句たらたらの男だったが、
作業の流れを教えてくれたら今日の上がりは全部渡すと言うと、
急に態度が変わった。
「そうだな、今入ってきたこの坑道をもう少し進めば、
作業場だ。作業場の鉱脈についたら、
壁でも足元でも見てみろ。
ほんのりと青い石が所々にある。
松明を近づけてみて、
石の中に小さな金色の粒がいくつか光ってたら、
そいつが星晶石だ。
鉱石を見つけたら、
鉱石の少し外側をミノで崩していけばうまく取れるさ。
鉱石はめちゃくちゃに固いから、
ミノで直接鉱石を小突いたら手がしびれるぜ。
集めた石は、それぞれに渡された首かけの入れ物に入れといて、
大穴の外に帰るときに守備軍に渡す。そんだけだ。」
歩きながら話したせいか、
太った男は少し息切れしている。
「まあよ、今日のお前さんの上りは、
俺の首かけに間違いなくいれるんだぞ。
お前さんが言い出した話だからな。」
太った男は鋭い目つきでカムランに釘を刺した。
「もちろん、約束は守るよ。」
太った男に礼を言い、
カムランは作業場の奥へと進んでいった。
少し親近感を感じるその男は、
いざ作業場に入ると誰よりも一生懸命に鉱石を掘っていた。
しばらくの間作業に集中し、
男に文句を言われない程度に鉱石を集めたカムランは、
松明の明かりを作業場の隅や壁沿いに照らした。
しかし、作業場の端にあった壊れたスコップやハンマーが
捨てられている大樽の他は何も見つからなかった。
作業場からさらに続く入り組んだ坑道は、
松明の明かりがなければ真っ暗で、
道幅もどんどん狭くなっている。
こちらは新しい坑道で、
まだ掘削が進んでいないのだろう。
カムランは採掘の片手間に作業場の奥の坑道を見て回ったが、
所々にある大樽のゴミ入れ以外は特に何も見つからなかった。
その後作業は夜まで続き、班員皆がへとへとになった頃、
交代の鐘をならす守備兵がやってきた。
「さあ、夜十一時だ。撤収していいぞ。夜番と交代してくれ。」
カムランは約束を思い出し、
太った男に採掘した鉱石を渡すことにした。
男の取れ高を聞いてみると、
あれだけ一生懸命に取り掛かっていたのにも関わらず、
カムランとそう変わらないだけの量しか取れていなかった。
「今日の鉱脈はハズレだったな。
まあお前さんの上がりでチャラってとこか。悪いな。」
顔いっぱいに汗をかいたその男は、
カムランの鉱石をひったくるように受け取り、
地上へのゴンドラに乗っていった。
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