25 / 104
EP1_2章
2章_7 エンタール公国悩みの種
しおりを挟む
次のゴンドラを待ってテントに戻ると、
マルスが今朝と同じような恰好で伸びていた。
「早かったんだな。なにか手掛かりは?」
昨日の酒場の一件以来、二人は自然に仕事言葉がとけていた。
「手掛かりなんてあるもんか。
ここについてからついさっきまで、ひたすら肉体労働だ。」
文句たらたらのマルスによれば、
彼らの班は坑道内の採掘ではなく、
守備軍の監視のもとに集めた鉱石をひたすら運搬していたのだという。
もう少し情報交換をしようという意識はあったが、
二人とも今日の作業の内容について話しているうちに眠ってしまった。
翌日も採掘と運搬を繰り返し、新たな発見もないままに時間だけが過ぎていった。
それから三日目の夜番、
カムランとマルスは同じ班に入ることにした。
今日の作業は採掘のようだ。
新月の夜だけあって、
ゴンドラから大穴へ降りる間は班員の顔すらほとんど見えなかった。
坑道での作業に入ると、
カムランたちは初日の太った男と同じ班になっていた。
「おう若いの、三日も持つとはたいしたもんだな。
そっちの小僧は友達か?新入りってなら、
また俺が手ほどきしてやってもいいぜ。」
「いや、こっちの小僧も三日目だ。悪いね。」
カムランがおどけて答えると、
太った男はつまらなそうに作業に戻っていった。
松明で辺りを見回すと、
作業場の端には見覚えのある大樽がある。
どうやらカムランが初日に入った坑道と同じところのようだ。
作業の合間に坑道の奥や班員の動きを確認していたが、
特に変わったこともなかった。
仕方なく作業に戻ると、
突如大穴の方から守備兵たちの慌てた声が聞こえてきた。
「さあ、はやく坑道の避難所へ!」
どうやら宿営地で休む鉱夫に対して呼びかけているようである。
「またか!最近多いな。
こうしょっちゅう出られると仕事どころじゃねえ。」
班員の鉱夫が言うには、
迷い星の出現がこのところ増えているらしい。
怯える鉱夫は不安そうに顔を見合わせる中、
外からも逃げるように鉱夫達が坑道へなだれ込んできた。
カムランは坑道を出て迷い星を追おうとしたが、
作業場に太った男がいないことに気が付いた。
松明をかかげると、大樽の位置がさっきと違う。
カムランはマルスに小声で状況を話し、
マルスに外にいる迷い星の行方を任せ、
カムランは太った男を探すことにした。
隅で縮こまっている班員をよそに、
作業場の奥の大樽を調べる。
よく見てみると、
当初大樽のあった位置の地面に扉があることに気付いた。
班員たちに気付かれないように一旦松明を消し、
扉を開けて下に降り立つと、ほのかに風を感じる。
再び松明を灯すと、
坑道よりもしっかりした造りの通路がカムランの眼前に伸びていた。
通路の地面にはまだ新しいと思われる人の足跡がある。
カムランは延々と続くその足跡を急いで追った。
マルスが今朝と同じような恰好で伸びていた。
「早かったんだな。なにか手掛かりは?」
昨日の酒場の一件以来、二人は自然に仕事言葉がとけていた。
「手掛かりなんてあるもんか。
ここについてからついさっきまで、ひたすら肉体労働だ。」
文句たらたらのマルスによれば、
彼らの班は坑道内の採掘ではなく、
守備軍の監視のもとに集めた鉱石をひたすら運搬していたのだという。
もう少し情報交換をしようという意識はあったが、
二人とも今日の作業の内容について話しているうちに眠ってしまった。
翌日も採掘と運搬を繰り返し、新たな発見もないままに時間だけが過ぎていった。
それから三日目の夜番、
カムランとマルスは同じ班に入ることにした。
今日の作業は採掘のようだ。
新月の夜だけあって、
ゴンドラから大穴へ降りる間は班員の顔すらほとんど見えなかった。
坑道での作業に入ると、
カムランたちは初日の太った男と同じ班になっていた。
「おう若いの、三日も持つとはたいしたもんだな。
そっちの小僧は友達か?新入りってなら、
また俺が手ほどきしてやってもいいぜ。」
「いや、こっちの小僧も三日目だ。悪いね。」
カムランがおどけて答えると、
太った男はつまらなそうに作業に戻っていった。
松明で辺りを見回すと、
作業場の端には見覚えのある大樽がある。
どうやらカムランが初日に入った坑道と同じところのようだ。
作業の合間に坑道の奥や班員の動きを確認していたが、
特に変わったこともなかった。
仕方なく作業に戻ると、
突如大穴の方から守備兵たちの慌てた声が聞こえてきた。
「さあ、はやく坑道の避難所へ!」
どうやら宿営地で休む鉱夫に対して呼びかけているようである。
「またか!最近多いな。
こうしょっちゅう出られると仕事どころじゃねえ。」
班員の鉱夫が言うには、
迷い星の出現がこのところ増えているらしい。
怯える鉱夫は不安そうに顔を見合わせる中、
外からも逃げるように鉱夫達が坑道へなだれ込んできた。
カムランは坑道を出て迷い星を追おうとしたが、
作業場に太った男がいないことに気が付いた。
松明をかかげると、大樽の位置がさっきと違う。
カムランはマルスに小声で状況を話し、
マルスに外にいる迷い星の行方を任せ、
カムランは太った男を探すことにした。
隅で縮こまっている班員をよそに、
作業場の奥の大樽を調べる。
よく見てみると、
当初大樽のあった位置の地面に扉があることに気付いた。
班員たちに気付かれないように一旦松明を消し、
扉を開けて下に降り立つと、ほのかに風を感じる。
再び松明を灯すと、
坑道よりもしっかりした造りの通路がカムランの眼前に伸びていた。
通路の地面にはまだ新しいと思われる人の足跡がある。
カムランは延々と続くその足跡を急いで追った。
0
あなたにおすすめの小説
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
「出来損ないの妖精姫」と侮辱され続けた私。〜「一生お護りします」と誓った専属護衛騎士は、後悔する〜
高瀬船
恋愛
「出来損ないの妖精姫と、どうして俺は……」そんな悲痛な声が、部屋の中から聞こえた。
「愚かな過去の自分を呪いたい」そう呟くのは、自分の専属護衛騎士で、最も信頼し、最も愛していた人。
かつては愛おしげに細められていた目は、今は私を蔑むように細められ、かつては甘やかな声で私の名前を呼んでいてくれた声は、今は侮辱を込めて私の事を「妖精姫」と呼ぶ。
でも、かつては信頼し合い、契約を結んだ人だから。
私は、自分の専属護衛騎士を最後まで信じたい。
だけど、四年に一度開催される祭典の日。
その日、私は専属護衛騎士のフォスターに完全に見限られてしまう。
18歳にもなって、成長しない子供のような見た目、衰えていく魔力と魔法の腕。
もう、うんざりだ、と言われてフォスターは私の義妹、エルローディアの専属護衛騎士になりたい、と口にした。
絶望の淵に立たされた私に、幼馴染の彼が救いの手を伸ばしてくれた。
「ウェンディ・ホプリエル嬢。俺と専属護衛騎士の契約を結んで欲しい」
かつては、私を信頼し、私を愛してくれていた前専属護衛騎士。
その彼、フォスターは幼馴染と契約を結び直した私が起こす数々の奇跡に、深く後悔をしたのだった。
【誤字報告ありがとうございます!大変助かります(´;ω;`)】
『まて』をやめました【完結】
かみい
恋愛
私、クラウディアという名前らしい。
朧気にある記憶は、ニホンジンという意識だけ。でも名前もな~んにも憶えていない。でもここはニホンじゃないよね。記憶がない私に周りは優しく、なくなった記憶なら新しく作ればいい。なんてポジティブな家族。そ~ねそ~よねと過ごしているうちに見たクラウディアが以前に付けていた日記。
時代錯誤な傲慢な婚約者に我慢ばかりを強いられていた生活。え~っ、そんな最低男のどこがよかったの?顔?顔なの?
超絶美形婚約者からの『まて』はもう嫌!
恋心も忘れてしまった私は、新しい人生を歩みます。
貴方以上の美人と出会って、私の今、充実、幸せです。
だから、もう縋って来ないでね。
本編、番外編含め完結しました。ありがとうございます
※小説になろうさんにも、別名で載せています
半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜
侑子
恋愛
小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。
父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。
まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。
クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。
その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……?
※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
ワケあり公子は諦めない
豊口楽々亭
ファンタジー
精霊の加護により平和が守られている、エスメラルダ公国。
この国の公爵家の娘、ローゼリンド公女がある日行方不明になった。
大公子であるヘリオスとの婚約式を控えた妹のために、双子で瓜二つの兄である公子ジークヴァルトが身代わりになることに!?
妹になり代わったまま、幼馴染みのフロレンスと過ごすうち、彼女に惹かれていくジークヴァルト。
そんなある日、ローゼリンドが亡骸となって発見されて……───最愛の妹の死から始まる、死に戻りの物語!!
※なろう、カクヨムでも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる