92 / 104
EP1_6章
6章_9 未開地、七ツ森
しおりを挟む
「さて、旅立つ先は、遥かトルトゥーザ。
急がねばなりませぬ。」
ロクサリオはふいに立ち上がると、
壁に貼られた大きな地図を示した。
「先ず、このブラナスを川沿いに西へ向かえば、
この台地を輪のように取り囲む山脈の切れ目にぶつかる。
川沿いの上流へ進めば、
山脈の合間の低い道を超えて西へ進めるようになっております。
しかし、その向こうは、
このエンタール公国の影響及ばぬ未開地、
七ツ森がひろがっておるのです。」
軍議で七ツ森の名が挙がった時、
家臣たちが一斉に険しい表情になった事を二人は思い出していた。
「その名の通り、
七ツ森には毛色の異なる七つの原生林が広がっております。
それぞれの森の境界は川で区切られているようですので、
森の植生が道標になりましょう。
しかし、広大なる未開地。一体何が住まっているやら。
七つの森のどこかに、エルフ族の集落があるとは伝え聞いておりますが、
詳しい場所まではわかりません。
そもそも、本当にあるのかどうか。
明らかになっていないことばかりなのです。」
ロクサリオは、壁に貼られた地図上に留めてあった羊皮紙を手に取り、
メリッサに手渡した。
「それが、七ツ森の地図です。
歴代の家臣が手の尽くす限りの方法で調べてきたものの結晶ではありますが、
未開地故に完全な地図ではない。
しかし此度の道程についてはその地図に示されている【太古の森】、
【妖花の森】さえ抜ければ、最短で抜けることが出来るはず。
七ツ森さえ抜けてしまえば、
まっすぐ南下するとアークレイ公国。
アークレイについてしまえば、
街道を東に進めばその先にトルトゥーザ領が広がります。」
あくまでも希望的意見だが、と付け加えて、
ロクサリオは二人の対面のソファに腰を降ろした。
急がねばなりませぬ。」
ロクサリオはふいに立ち上がると、
壁に貼られた大きな地図を示した。
「先ず、このブラナスを川沿いに西へ向かえば、
この台地を輪のように取り囲む山脈の切れ目にぶつかる。
川沿いの上流へ進めば、
山脈の合間の低い道を超えて西へ進めるようになっております。
しかし、その向こうは、
このエンタール公国の影響及ばぬ未開地、
七ツ森がひろがっておるのです。」
軍議で七ツ森の名が挙がった時、
家臣たちが一斉に険しい表情になった事を二人は思い出していた。
「その名の通り、
七ツ森には毛色の異なる七つの原生林が広がっております。
それぞれの森の境界は川で区切られているようですので、
森の植生が道標になりましょう。
しかし、広大なる未開地。一体何が住まっているやら。
七つの森のどこかに、エルフ族の集落があるとは伝え聞いておりますが、
詳しい場所まではわかりません。
そもそも、本当にあるのかどうか。
明らかになっていないことばかりなのです。」
ロクサリオは、壁に貼られた地図上に留めてあった羊皮紙を手に取り、
メリッサに手渡した。
「それが、七ツ森の地図です。
歴代の家臣が手の尽くす限りの方法で調べてきたものの結晶ではありますが、
未開地故に完全な地図ではない。
しかし此度の道程についてはその地図に示されている【太古の森】、
【妖花の森】さえ抜ければ、最短で抜けることが出来るはず。
七ツ森さえ抜けてしまえば、
まっすぐ南下するとアークレイ公国。
アークレイについてしまえば、
街道を東に進めばその先にトルトゥーザ領が広がります。」
あくまでも希望的意見だが、と付け加えて、
ロクサリオは二人の対面のソファに腰を降ろした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる