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ピンチ! 使い方がわからない
しおりを挟む「先にシャワー浴びてもいいかしら。汗かいてしまっているから早くさっぱりしたいの」
私に背を向けるようにベッドに座るアルに声をかける。
「わかりました。大丈夫です。……シャワーの使い方はわかりますか?」
「大丈夫よー。お城にいるときだってちゃんと自分で使えるように見て覚えていたのよ。アルは本当に心配性ね」
なんて、言っていた私がバカだったわ……
何よこのシャワー。レバーを捻っても何にも出てこないじゃない。どうすればお湯が出てくるのよ? お城で使っていたものと全然ちが―うっ!
シャワーレバーと格闘することおよそ5分。一瞬冷たい水がシャワーノズルから出て私の頭に降り注ぐ。
「きゃぁ!」
「ステラ様? 大丈夫ですか!?」
ドアの向こうからアルの声が聞こえる。素直に最初からアルに教えてもらえばよかった。
自力でお湯を出すことを諦め、太ももが隠れるくらいのバスタオルを体に巻き、シャワー室のドアを開ける。
「アル、ごめん。使い方、わからないから教えて?」
「わぁっ! どんな格好しているんですかっ」
勢いよくドアを閉めるアル。でも力では負けないのでもう一度力を込めてドアを押し開ける。
「バスタオル巻いているからいいじゃない! 使おうと思ったら全然水出てこないのよ。一瞬出たんだけど、どうして出たかわからないし、お願い! このままじゃ風邪ひいてしまうわ」
風邪という単語がヒットしたんだと思う。
「しっかり、バスタオル持っていてくださいね!」
と、しぶしぶシャワールームに入って来てくれた。
「ステラ様、よく見てくださいね。このレバーは横に動かせますが、これは温度調整のためです。水を出したければ、この出っ張ったボタンを引っ張る必要があります」
「へぇ~、アルは何でも知っているのね! すごいわ。お城のシャワーはレバーを回すだけで出るから。シャワーにも色々種類があるのね。これを引っ張るなんて考えもつかなかったわ。えいっ」
ボタンを押すとシャワーヘッドから勢いよくお湯が出てくる。
「ありがとう、これでもう使い方完璧よってきゃぁっ!」
濡れた床で足を滑らせてしまった。
転んじゃう!
と思った瞬間、体が温かいもので包まれた。
「大丈夫ですか?」
耳元から聞こえるアルの声。私はアルに抱きかかえられていた。
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