4 / 15
クレイグとの出会い
しおりを挟む
バルコニーへ出てみると夜風が気持ちいい。
「ふぅ、疲れましたわ。でも、なんだかスッキリ。私の中で、エドモンド様は相当負担になっていたのね。ちょうどよかったわ」
「大変だったな」
ふと、隣を見ると騎士様が立っていました。ナンシーの件での取り締まりでしょうか。
「いや、身構えないでくれ。俺はクレイグ = エヴェレスト。王城内の治安維持を担当している」
「まぁ、あなたがエヴェレスト侯爵のご子息様ですのね」
噂ではよくクレイグ = エヴェレストという名前を聞いていました。身長が高く、とにかくかっこよくて、女性から大人気であると。確かに、長身で整った顔をしていて嫌な感じは一切ない。
「ああ。先ほどの件、見させてもらったよ。あなたに非はないことはわかっているが、念のため確認してこいと上司から言われてね」
私は外を眺めるようにバルコニーのフェンスにもたれかかります。
「リード男爵令嬢については、他のところでも同様の男女トラブルを引き起こしていてね。以前から少し調査をしていたんだ。先ほど、やっと彼女の付き添いのメイドが彼女の自作自演を手伝ったと言質が取れたところだ。しばらく彼女は檻の中に入ってもらうことになるだろうな」
「そうですか」
ぼんやりと外の景色を見続けながら答えます。
「今回の件、気の毒だったな」
「いいえ。相手は自分の立場を理解していない女好き。政略結婚に愛は求めてはいけないとはわかっていつつも、せめてお互いが居心地の良いと思える関係が構築できればと考えていた時期もありましたわ。あんなのと一緒になるくらいなら一人の方がずっとマシ。婚約破棄出来てちょうどよかったのです」
「これを」
そっとハンカチを顔に当てられました。どうしたのでしょう。
「俺が隠しているから、今は好きなだけ泣くといい」
泣いている? 私が?
あぁ、そうか、悔しかったんだ。家のためと思ってずっと我慢してきたのに、結果がでなくて。いつかきっと、変わってくれるとそう思っていたのに。彼は女好きという割には私にはまったく興味がなかった。最後まで女として見られなかった。あぁ、私の価値とは何なんでしょう。ハンカチを握りしめ、わんわんと泣いてしまいました。
「……私はもう22歳です。貴族として身だしなみには気を付けてきたつもりです。そんなに私には女性としての魅力がないのでしょうか」
クレイグ様に聞いても仕方のない質問なのに、どうしても質問せずにはいられませんでした。何か私に問題があるのならはっきりと言ってほしいと思って。
「俺は、貴女は十分に美しいと思う」
えっ、と顔を向けると、真面目な顔をしたクレイグ様と目が合いました。
お世辞とはいえ、初めて家族以外の男性から優しい言葉をかけていただいた私がときめいてしまったのは仕方のないことです。
「そうだわ、ハンカチ、ありがとうございました。助かりましたわ」
ハンカチを返そうと見てみると涙でびしょびしょ、強く握りしめていたのか、しわくちゃになっていました。
「失礼いたしました。このままお返しするにはいきませんわね、必ず洗って返しますわ」
「いや、いいよ。それは目の前にいる素敵な女性への俺からのプレゼントってことで」
「ありがとう。今日はもう帰るわ。お父様と今後について話をしなければ」
恥ずかしい! こんな対応されたの初めてよ! ドキドキが止まらない私は、この場から逃げるように立ち去ろうとしました。
「そうか、馬車まで送っていこう」
そう言ってエスコートしてくださったクレイグ様の手が温かかったからでしょうか。私の心も温かくなっているのを感じました。
「ふぅ、疲れましたわ。でも、なんだかスッキリ。私の中で、エドモンド様は相当負担になっていたのね。ちょうどよかったわ」
「大変だったな」
ふと、隣を見ると騎士様が立っていました。ナンシーの件での取り締まりでしょうか。
「いや、身構えないでくれ。俺はクレイグ = エヴェレスト。王城内の治安維持を担当している」
「まぁ、あなたがエヴェレスト侯爵のご子息様ですのね」
噂ではよくクレイグ = エヴェレストという名前を聞いていました。身長が高く、とにかくかっこよくて、女性から大人気であると。確かに、長身で整った顔をしていて嫌な感じは一切ない。
「ああ。先ほどの件、見させてもらったよ。あなたに非はないことはわかっているが、念のため確認してこいと上司から言われてね」
私は外を眺めるようにバルコニーのフェンスにもたれかかります。
「リード男爵令嬢については、他のところでも同様の男女トラブルを引き起こしていてね。以前から少し調査をしていたんだ。先ほど、やっと彼女の付き添いのメイドが彼女の自作自演を手伝ったと言質が取れたところだ。しばらく彼女は檻の中に入ってもらうことになるだろうな」
「そうですか」
ぼんやりと外の景色を見続けながら答えます。
「今回の件、気の毒だったな」
「いいえ。相手は自分の立場を理解していない女好き。政略結婚に愛は求めてはいけないとはわかっていつつも、せめてお互いが居心地の良いと思える関係が構築できればと考えていた時期もありましたわ。あんなのと一緒になるくらいなら一人の方がずっとマシ。婚約破棄出来てちょうどよかったのです」
「これを」
そっとハンカチを顔に当てられました。どうしたのでしょう。
「俺が隠しているから、今は好きなだけ泣くといい」
泣いている? 私が?
あぁ、そうか、悔しかったんだ。家のためと思ってずっと我慢してきたのに、結果がでなくて。いつかきっと、変わってくれるとそう思っていたのに。彼は女好きという割には私にはまったく興味がなかった。最後まで女として見られなかった。あぁ、私の価値とは何なんでしょう。ハンカチを握りしめ、わんわんと泣いてしまいました。
「……私はもう22歳です。貴族として身だしなみには気を付けてきたつもりです。そんなに私には女性としての魅力がないのでしょうか」
クレイグ様に聞いても仕方のない質問なのに、どうしても質問せずにはいられませんでした。何か私に問題があるのならはっきりと言ってほしいと思って。
「俺は、貴女は十分に美しいと思う」
えっ、と顔を向けると、真面目な顔をしたクレイグ様と目が合いました。
お世辞とはいえ、初めて家族以外の男性から優しい言葉をかけていただいた私がときめいてしまったのは仕方のないことです。
「そうだわ、ハンカチ、ありがとうございました。助かりましたわ」
ハンカチを返そうと見てみると涙でびしょびしょ、強く握りしめていたのか、しわくちゃになっていました。
「失礼いたしました。このままお返しするにはいきませんわね、必ず洗って返しますわ」
「いや、いいよ。それは目の前にいる素敵な女性への俺からのプレゼントってことで」
「ありがとう。今日はもう帰るわ。お父様と今後について話をしなければ」
恥ずかしい! こんな対応されたの初めてよ! ドキドキが止まらない私は、この場から逃げるように立ち去ろうとしました。
「そうか、馬車まで送っていこう」
そう言ってエスコートしてくださったクレイグ様の手が温かかったからでしょうか。私の心も温かくなっているのを感じました。
183
あなたにおすすめの小説
殿下をくださいな、お姉さま~欲しがり過ぎた妹に、姉が最後に贈ったのは死の呪いだった~
和泉鷹央
恋愛
忌み子と呼ばれ、幼い頃から実家のなかに閉じ込められたいた少女――コンラッド伯爵の長女オリビア。
彼女は生まれながらにして、ある呪いを受け継いだ魔女だった。
本当ならば死ぬまで屋敷から出ることを許されないオリビアだったが、欲深い国王はその呪いを利用して更に国を豊かにしようと考え、第四王子との婚約を命じる。
この頃からだ。
姉のオリビアに婚約者が出来た頃から、妹のサンドラの様子がおかしくなった。
あれが欲しい、これが欲しいとわがままを言い出したのだ。
それまではとても物わかりのよい子だったのに。
半年後――。
オリビアと婚約者、王太子ジョシュアの結婚式が間近に迫ったある日。
サンドラは呆れたことに、王太子が欲しいと言い出した。
オリビアの我慢はとうとう限界に達してしまい……
最後はハッピーエンドです。
別の投稿サイトでも掲載しています。
永遠の誓いをあなたに ~何でも欲しがる妹がすべてを失ってからわたしが溺愛されるまで~
畔本グラヤノン
恋愛
両親に愛される妹エイミィと愛されない姉ジェシカ。ジェシカはひょんなことで公爵令息のオーウェンと知り合い、周囲から婚約を噂されるようになる。ある日ジェシカはオーウェンに王族の出席する式典に招待されるが、ジェシカの代わりに式典に出ることを目論んだエイミィは邪魔なジェシカを消そうと考えるのだった。
殿下は、幼馴染で許嫁の没落令嬢と婚約破棄したいようです。
和泉鷹央
恋愛
ナーブリー王国の第三王位継承者である王子ラスティンは、幼馴染で親同士が決めた許嫁である、男爵令嬢フェイとの婚約を破棄したくて仕方がなかった。
フェイは王国が建国するより前からの家柄、たいして王家はたかだか四百年程度の家柄。
国王と臣下という立場の違いはあるけど、フェイのグラブル男爵家は王国内では名家として知られていたのだ。
……例え、先祖が事業に失敗してしまい、元部下の子爵家の農家を改築した一軒家に住んでいるとしてもだ。
こんな見栄えも体裁も悪いフェイを王子ラスティンはなんとかして縁を切ろうと画策する。
理由は「貧乏くさいからっ!」
そんなある日、フェイは国王陛下のお招きにより、別件で王宮へと上がることになる。
たまたま見かけたラスティンを追いかけて彼の後を探すと、王子は別の淑女と甘いキスを交わしていて……。
他の投稿サイトでも掲載しています。
幼馴染の許嫁は、男勝りな彼女にご執心らしい
和泉鷹央
恋愛
王国でも指折りの名家の跡取り息子にして、高名な剣士がコンスタンスの幼馴染であり許嫁。
そんな彼は数代前に没落した実家にはなかなか戻らず、地元では遊び人として名高くてコンスタンスを困らせていた。
「クレイ様はまたお戻りにならないのですか……」
「ごめんなさいね、コンスタンス。クレイが結婚の時期を遅くさせてしまって」
「いいえおば様。でも、クレイ様……他に好きな方がおられるようですが?」
「えっ……!?」
「どうやら、色町で有名な踊り子と恋をしているようなんです」
しかし、彼はそんな噂はあり得ないと叫び、相手の男勝りな踊り子も否定する。
でも、コンスタンスは見てしまった。
朝方、二人が仲睦まじくホテルから出てくる姿を……
他の投稿サイトにも掲載しています。
子育てが落ち着いた20年目の結婚記念日……「離縁よ!離縁!」私は屋敷を飛び出しました。
さくしゃ
恋愛
アーリントン王国の片隅にあるバーンズ男爵領では、6人の子育てが落ち着いた領主夫人のエミリアと領主のヴァーンズは20回目の結婚記念日を迎えていた。
忙しい子育てと政務にすれ違いの生活を送っていた二人は、久しぶりに二人だけで食事をすることに。
「はぁ……盛り上がりすぎて7人目なんて言われたらどうしよう……いいえ!いっそのことあと5人くらい!」
気合いを入れるエミリアは侍女の案内でヴァーンズが待つ食堂へ。しかし、
「信じられない!離縁よ!離縁!」
深夜2時、エミリアは怒りを露わに屋敷を飛び出していった。自室に「実家へ帰らせていただきます!」という書き置きを残して。
結婚20年目にして離婚の危機……果たしてその結末は!?
【完結済み】妹の婚約者に、恋をした
鈴蘭
恋愛
妹を溺愛する母親と、仕事ばかりしている父親。
刺繍やレース編みが好きなマーガレットは、両親にプレゼントしようとするが、何時も妹に横取りされてしまう。
可愛がって貰えず、愛情に飢えていたマーガレットは、気遣ってくれた妹の婚約者に恋をしてしまった。
無事完結しました。
婚姻破棄された私は第一王子にめとられる。
さくしゃ
恋愛
「エルナ・シュバイツ! 貴様との婚姻を破棄する!」
突然言い渡された夫ーーヴァス・シュバイツ侯爵からの離縁要求。
彼との間にもうけた息子ーーウィリアムは2歳を迎えたばかり。
そんな私とウィリアムを嘲笑うヴァスと彼の側室であるヒメル。
しかし、いつかこんな日が来るであろう事を予感していたエルナはウィリアムに別れを告げて屋敷を出て行こうとするが、そんなエルナに向かって「行かないで」と泣き叫ぶウィリアム。
(私と一緒に連れて行ったら絶対にしなくて良い苦労をさせてしまう)
ドレスの裾を握りしめ、歩みを進めるエルナだったが……
「その耳障りな物も一緒に摘み出せ。耳障りで仕方ない」
我が子に対しても容赦のないヴァス。
その後もウィリアムについて罵詈雑言を浴びせ続ける。
悔しい……言い返そうとするが、言葉が喉で詰まりうまく発せられず涙を流すエルナ。そんな彼女を心配してなくウィリアム。
ヴァスに長年付き従う家老も見ていられず顔を逸らす。
誰も止めるものはおらず、ただただ罵詈雑言に耐えるエルナ達のもとに救いの手が差し伸べられる。
「もう大丈夫」
その人物は幼馴染で6年ぶりの再会となるオーフェン王国第一王子ーーゼルリス・オーフェンその人だった。
婚姻破棄をきっかけに始まるエルナとゼルリスによるラブストーリー。
妹に幼馴染の彼をとられて父に家を追放された「この家の真の当主は私です!」
佐藤 美奈
恋愛
母の温もりを失った冬の日、アリシア・フォン・ルクセンブルクは、まだ幼い心に深い悲しみを刻み付けていた。公爵家の嫡女として何不自由なく育ってきた彼女の日常は、母の死を境に音を立てて崩れ始めた。
父は、まるで悲しみを振り払うかのように、すぐに新しい妻を迎え入れた。その女性とその娘ローラが、ルクセンブルク公爵邸に足を踏み入れた日から、アリシアの運命は暗転する。
再婚相手とその娘ローラが公爵邸に住むようになり、父は実の娘であるアリシアに対して冷淡になった。継母とその娘ローラは、アリシアに対して日常的にそっけない態度をとっていた。さらに、ローラの策略によって、アリシアは婚約者である幼馴染のオリバーに婚約破棄されてしまう。
そして最終的に、父からも怒られ家を追い出されてしまうという非常に辛い状況に置かれてしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる