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婚約破棄から一夜明け
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次の日。
昨日は帰宅してからお父様と話し合いの予定でしたが、時間も遅いということで今日に延期となりました。
今までの心労もあったせいか、ぐっすり寝てしまい、気が付けばもう日は高く昇っています。
コンコン
「失礼いたします。お嬢様、起きていらっしゃいますか? マクラグレン伯爵がお呼びでございます」
メイドの声掛けに答えようとした時です。
「……」
声が、出ません……何度も返事をしようとしますが、全く音とならないのです。
待って、落ち着くのよ、冷静に。
昨日、泣き過ぎたのかしら? いえ、泣いたとしても、声が枯れるくらいでそもそも何も発声できないのはおかしいわ。一体、どうして……
その後、私の異常な状態に気づいたメイドの報告を受け、お父様が急いで部屋にやってきました。
「セシル、声、どうしたのだ」
「……」
フルフルと横に首を振ることしかできません。
「お前……まさか、そんなにもエドモンドのことを好いておったのか」
「!」
ブンブンとそこは激しく否定をさせていただきます。
「とりあえず、医者だ! 医者を呼べ」
急いで医者に診てもらいましたが、機能的には全く問題がなく精神的なものではないか、との診断でした。
「こうなったら、アランデル伯爵家への慰謝料請求を倍にしてやる。私のかわいい娘を酷い目に合わせて……許さん!」
お父様は怒り心頭で、お母さまはホロホロと涙を流しています。私、家族には大切にされていましたのね。このような状況ですが、家族の暖かさを感じました。
すると、
「アランデル伯爵、ならびにセシル伯爵令嬢はおられるか! 緊急の用件があり参った」
何があったのでしょうか。突然、クレイグ様が我が家を訪れたのです。
「それで、緊急の用件とは? 今我が家はそれどころではないのだ」
応接室のソファに座ったお父様が身を乗り出してクレイグ様に詰め寄ります。
「今回、セシル伯爵令嬢について確認したいことがあり伺いました。何か不調はありませんか?」
「……」
状況を説明しようにも声が出せず、黙ってうつむいてしまいました。そんな私にお父様がそっと手を握ります。
「我が娘セシルは今朝からなぜか声がでないのだ。医者に見せたところ、精神的なものではないかと診断を受けている」
私の代わりにお父様が答えます。
「それについてなんだが……はっきり言おう。セシル伯爵令嬢は呪いのため、声が出せない状況になっている」
「一体、どういうことなんだ」
話をまとめると、昨日エドモンドとの婚約破棄の場にいたナンシーという女は元々呪術師の家系出身だったようです。檻の中で地面に何やら文字を書いていたところを不審に思った監視員により身柄を拘束され、呪術をかけていたことが発覚。自身の計画を台無しにされたことで勝手に私に恨みを抱き、呪いをかけたと自白したらしいのです。
「呪いを解くにはどうしたらいいんだ!」
「解呪は呪いをかけた本人にしかできないようになっていました。そして、呪いをかけた本人は、身柄を拘束された後、自分の身体を媒介にし、さらに高度な呪詛をかけようとしたが失敗。すぐに裁判にかけられそのまま処刑されました」
「では、セシルは一生このままなのか!?」
「いえ、安心してください。身柄を拘束した際に自白剤を飲ませました。そこでセシルへの呪いは5年間だけということがわかっています」
「……」
これは、私が口を利いて余計なことを言わないようにするための、口封じ。そして5年という期間はその間に、ナンシー自身が上手く工作し、偽の証拠を作るための時間稼ぎかしら。いえ、違うわね。私の結婚阻止と修道院送りを狙っていたのでしょう。
ただでさえ今22歳という結婚ギリギリの年齢なのに、喋ることができない令嬢なんて真っ当な結婚なんて望めないわ。きっと家からも役立たずとして追い出されるか、自ら修道院へ行くに違いないと思ったのでしょう。
でもね、私は家族から愛されているし、泣き寝入りなんてしないの。絶対に幸せになってみせるわ。私の人生は、私が決めるの。
こうして、私は喋れなくなった令嬢として過ごすことになったのです。
昨日は帰宅してからお父様と話し合いの予定でしたが、時間も遅いということで今日に延期となりました。
今までの心労もあったせいか、ぐっすり寝てしまい、気が付けばもう日は高く昇っています。
コンコン
「失礼いたします。お嬢様、起きていらっしゃいますか? マクラグレン伯爵がお呼びでございます」
メイドの声掛けに答えようとした時です。
「……」
声が、出ません……何度も返事をしようとしますが、全く音とならないのです。
待って、落ち着くのよ、冷静に。
昨日、泣き過ぎたのかしら? いえ、泣いたとしても、声が枯れるくらいでそもそも何も発声できないのはおかしいわ。一体、どうして……
その後、私の異常な状態に気づいたメイドの報告を受け、お父様が急いで部屋にやってきました。
「セシル、声、どうしたのだ」
「……」
フルフルと横に首を振ることしかできません。
「お前……まさか、そんなにもエドモンドのことを好いておったのか」
「!」
ブンブンとそこは激しく否定をさせていただきます。
「とりあえず、医者だ! 医者を呼べ」
急いで医者に診てもらいましたが、機能的には全く問題がなく精神的なものではないか、との診断でした。
「こうなったら、アランデル伯爵家への慰謝料請求を倍にしてやる。私のかわいい娘を酷い目に合わせて……許さん!」
お父様は怒り心頭で、お母さまはホロホロと涙を流しています。私、家族には大切にされていましたのね。このような状況ですが、家族の暖かさを感じました。
すると、
「アランデル伯爵、ならびにセシル伯爵令嬢はおられるか! 緊急の用件があり参った」
何があったのでしょうか。突然、クレイグ様が我が家を訪れたのです。
「それで、緊急の用件とは? 今我が家はそれどころではないのだ」
応接室のソファに座ったお父様が身を乗り出してクレイグ様に詰め寄ります。
「今回、セシル伯爵令嬢について確認したいことがあり伺いました。何か不調はありませんか?」
「……」
状況を説明しようにも声が出せず、黙ってうつむいてしまいました。そんな私にお父様がそっと手を握ります。
「我が娘セシルは今朝からなぜか声がでないのだ。医者に見せたところ、精神的なものではないかと診断を受けている」
私の代わりにお父様が答えます。
「それについてなんだが……はっきり言おう。セシル伯爵令嬢は呪いのため、声が出せない状況になっている」
「一体、どういうことなんだ」
話をまとめると、昨日エドモンドとの婚約破棄の場にいたナンシーという女は元々呪術師の家系出身だったようです。檻の中で地面に何やら文字を書いていたところを不審に思った監視員により身柄を拘束され、呪術をかけていたことが発覚。自身の計画を台無しにされたことで勝手に私に恨みを抱き、呪いをかけたと自白したらしいのです。
「呪いを解くにはどうしたらいいんだ!」
「解呪は呪いをかけた本人にしかできないようになっていました。そして、呪いをかけた本人は、身柄を拘束された後、自分の身体を媒介にし、さらに高度な呪詛をかけようとしたが失敗。すぐに裁判にかけられそのまま処刑されました」
「では、セシルは一生このままなのか!?」
「いえ、安心してください。身柄を拘束した際に自白剤を飲ませました。そこでセシルへの呪いは5年間だけということがわかっています」
「……」
これは、私が口を利いて余計なことを言わないようにするための、口封じ。そして5年という期間はその間に、ナンシー自身が上手く工作し、偽の証拠を作るための時間稼ぎかしら。いえ、違うわね。私の結婚阻止と修道院送りを狙っていたのでしょう。
ただでさえ今22歳という結婚ギリギリの年齢なのに、喋ることができない令嬢なんて真っ当な結婚なんて望めないわ。きっと家からも役立たずとして追い出されるか、自ら修道院へ行くに違いないと思ったのでしょう。
でもね、私は家族から愛されているし、泣き寝入りなんてしないの。絶対に幸せになってみせるわ。私の人生は、私が決めるの。
こうして、私は喋れなくなった令嬢として過ごすことになったのです。
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