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パーティー参加は上司命令
騎士団事務として配属された私ですが、今までの事務室とは雲泥の差です。優秀な方々が集まっているだけのことはあり、高度な仕事を求められるため、毎日勉強の日々を送っております。
クレイグ様は私が騎士団事務に馴染めているのか心配されているようで、やはり毎日のように顔を出し、私に不便はないかとか調子はどうだとか確認してくださいます。そんな様子に周囲の方々は「噂には聞いていたけれどあの団長が……」と少々驚かれているようです。私からしたらいつもの団長なのですが。
そんなある日の朝礼でのことです。
「王国主催の初代国王デヴィッド・アーサー・リッチフィールドの生誕記念パーティーがめでたく今年も開催される運びとなった。当日警備に配属となっているもの以外はできるだけ参加をするように」
とうとうこの日が来るのね。あの忌まわしい婚約破棄から5年。長かったわ。やっと呪いが解ける。今年も私はその日は家で静かに過ごすことにしましょう。また、何かに巻き込まれたりするのはゴメンですもの。
「貴族はコネクションが重要である。そのコネクションから犯罪に関する噂などを得ることもあるだろう。参加できるものは人間関係をよく観察するように。ちなみに、これは事務メンバーも同様である。以上だ」
聞き間違いかしら。事務メンバーもパーティーに参加するようにと聞こえたのだけれど。そうよ、聞き間違い。私は何も聞いていないし、当日は体調不良の予定なの。
「ねぇ、セシルさんはエスコートのお相手はいらっしゃるの?」
現実逃避から意識を戻すように騎士団事務メンバーであるステイシーが私に話しかけてきました。ステイシーは年も近く、気さくで、仲良くさせていただいているうちの一人です。
私は首を横に振ります。
「え、そうなの? 団長は?」
「……」
なぜそこにクレイグ様の名前が出てくるのでしょう。クレイグ様の心に決めた方を差し置いて私がエスコート相手になるだなんてとんでもないことです。そもそも、エスコートの相手がいないというよりも、参加しないつもりなのですが。
「ふーん、なるほどね……団長もエスコート相手がいなくて困っているみたいよ。あら、噂をすれば団長が来たわね。では、私はお邪魔になるので失礼するわ」
そう言ってひらひらと手を振りながら立ち去って行くステイシーと入れ替わりに、クレイグ様がこちらに向かってきます。
「……」
「すまない。セシルは毎年、生誕記念パーティーは欠席しているのを俺は知っている。辛い思い出もあるだろうが、今年は仕事だと割り切って参加してほしい。……そして、もしよければ、俺にエスコートをさせてもらえないだろうか。何かあれば、俺が必ずセシルを守るから」
クレイグ様は顔を赤くしながら私の返答を待っています。部屋が暑いのでしょうか。なんだか私の顔も熱くほてってきました。
ずっと密かにお慕いしていたクレイグ様からエスコートのお申し出をいただけるだなんて、こんなに嬉しいことはありません。クレイグ様と一緒なら嫌な思い出のパーティーから、幸せなパーティーに塗り替えられそうです。
しかし、気にかかるのは心に決めた方のこと。そちらはよろしいのでしょうか。それとも、クレイグ様は今回のエスコートは仕事として割り切っていらっしゃるから、相手のいない私をどうにか参加させるために、仕方なく申し出てくださったのでしょうか。
どちらにしても、ここでお断りをしてしまえばクレイグ様に恥を塗らせてしまいます。
私はゆっくりと頷きました。
「よかった。では当日を楽しみにしているよ」
安堵しながら笑うクレイグ様を見て、やはり私はこの人のことが好きなんだと改めて思ったのでした。
クレイグ様は私が騎士団事務に馴染めているのか心配されているようで、やはり毎日のように顔を出し、私に不便はないかとか調子はどうだとか確認してくださいます。そんな様子に周囲の方々は「噂には聞いていたけれどあの団長が……」と少々驚かれているようです。私からしたらいつもの団長なのですが。
そんなある日の朝礼でのことです。
「王国主催の初代国王デヴィッド・アーサー・リッチフィールドの生誕記念パーティーがめでたく今年も開催される運びとなった。当日警備に配属となっているもの以外はできるだけ参加をするように」
とうとうこの日が来るのね。あの忌まわしい婚約破棄から5年。長かったわ。やっと呪いが解ける。今年も私はその日は家で静かに過ごすことにしましょう。また、何かに巻き込まれたりするのはゴメンですもの。
「貴族はコネクションが重要である。そのコネクションから犯罪に関する噂などを得ることもあるだろう。参加できるものは人間関係をよく観察するように。ちなみに、これは事務メンバーも同様である。以上だ」
聞き間違いかしら。事務メンバーもパーティーに参加するようにと聞こえたのだけれど。そうよ、聞き間違い。私は何も聞いていないし、当日は体調不良の予定なの。
「ねぇ、セシルさんはエスコートのお相手はいらっしゃるの?」
現実逃避から意識を戻すように騎士団事務メンバーであるステイシーが私に話しかけてきました。ステイシーは年も近く、気さくで、仲良くさせていただいているうちの一人です。
私は首を横に振ります。
「え、そうなの? 団長は?」
「……」
なぜそこにクレイグ様の名前が出てくるのでしょう。クレイグ様の心に決めた方を差し置いて私がエスコート相手になるだなんてとんでもないことです。そもそも、エスコートの相手がいないというよりも、参加しないつもりなのですが。
「ふーん、なるほどね……団長もエスコート相手がいなくて困っているみたいよ。あら、噂をすれば団長が来たわね。では、私はお邪魔になるので失礼するわ」
そう言ってひらひらと手を振りながら立ち去って行くステイシーと入れ替わりに、クレイグ様がこちらに向かってきます。
「……」
「すまない。セシルは毎年、生誕記念パーティーは欠席しているのを俺は知っている。辛い思い出もあるだろうが、今年は仕事だと割り切って参加してほしい。……そして、もしよければ、俺にエスコートをさせてもらえないだろうか。何かあれば、俺が必ずセシルを守るから」
クレイグ様は顔を赤くしながら私の返答を待っています。部屋が暑いのでしょうか。なんだか私の顔も熱くほてってきました。
ずっと密かにお慕いしていたクレイグ様からエスコートのお申し出をいただけるだなんて、こんなに嬉しいことはありません。クレイグ様と一緒なら嫌な思い出のパーティーから、幸せなパーティーに塗り替えられそうです。
しかし、気にかかるのは心に決めた方のこと。そちらはよろしいのでしょうか。それとも、クレイグ様は今回のエスコートは仕事として割り切っていらっしゃるから、相手のいない私をどうにか参加させるために、仕方なく申し出てくださったのでしょうか。
どちらにしても、ここでお断りをしてしまえばクレイグ様に恥を塗らせてしまいます。
私はゆっくりと頷きました。
「よかった。では当日を楽しみにしているよ」
安堵しながら笑うクレイグ様を見て、やはり私はこの人のことが好きなんだと改めて思ったのでした。
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