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1話 乙女ゲームの主人公は大体冴えない少女である気がする

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朝からテンションガタ落ちの私は、頭をフル回転させて、どうしたら新刊を買うことが出来るのかを考えた。
発売日に新刊を買わないなんて、ヲタクの名が廃る!
しばらく唸っていると、ある結論にたどり着くことが出来た。
そもそも学校を休んだら、執行されるはずの刑罰もなくなる。少なくとも今日は。
「明日以降の青春なんざどうだっていい!
新刊さえ買えれば悔いはない!」
そうとなれば今日の予定は決まった!
学校を休み、新刊を書店で買う!
これで決まりだっ☆
新刊~♪進〇の新刊~♪
「そうと決まったら午前中に買ってやる!待ってろよ!新刊!今すぐお前を駆逐してやるからな!」

私はバタバタと支度を始めた。
寝起きで戦闘民族のような髪型をしている髪の毛をどうにかストレートに戻し、レースのついた淡いピンクのワンピースを見にまとい、最後に髪の毛を少し巻いて・・・
はい完成!戦闘準備OK!
友達と出かける時でもジーンズ&Tシャツの私だが、これから戦場に行くとなっては話は別。
なぜなら新刊を巡る戦争に行くのだ。戦争に行くのに、最っ高の装備をしないでどうする!通常の格好が戦闘力100だとしたら、装備をしている今の格好は戦闘力53万だ!
装備はバッチリ決まっている。残るはお財布の中身だ。野口英世が・・・2人います。ちょっとお小遣いピンチですけど、新刊は余裕で買うことができる。
「よっしゃ待ってろ新刊!私の宴が始まる!」
そう言って勢いよく玄関の扉を開けた。
眩しい日差しに私は目を細めた。
そうして正面を向くとあるはずのない人影が見えた。
「あっ、えっ、先生・・・。何故ここに?」
何故か生徒指導の盛岡先生が私の家の前に立っていた。
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