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13話 青春の神様はきっと馬鹿しかいない
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支度OK!火の元OK!水道OK!鍵OK!やばい急げ急げ!
今日は災難だ・・・!
現在8時15分!なんとしても無遅刻無欠席をキープしないと・・・!
「遅かったな。」
玄関の扉を開けると、そこにはちょこんと座り込んでスマホゲームをしている金沢の姿があった。
「ごめん、どいて!急いでるの!」
「今更走って間に合うと思う?」
「多分無理・・・。でも、それでも行かないと!」
「要領悪くて頑固だなぁ・・・。そういう所も悪くないけど。」
「何が悪くないの!?」
「なんでもない。それよりもさ、頼ればいいじゃん、俺を。」
金沢はトコトコと階段を降りて行き、大家さんの家の壁に寄りかかっている自転車を引っ張り出てきた。
「おい、それ大家さんのだろ。」
「新しいの買ったみたい。だから、くれた。」
「ならいいけど・・・。それを私が使ったら、あんたどうやって学校行くの?」
「え?何言ってんの?一緒に行くんだよ。」
「え?」
「行くよ。後ろ乗って。」
「でも・・・」
「いいから乗って。しっかり捕まってろよ。」
私の言葉を遮り、金沢は私を半強制的に自転車に乗せた。
「これで行ったら、学校にはギリ間に合う。」
有難い・・・とても有難いけど・・・。
「金沢、道路交通法で、二輪車の二人乗りは禁止されてる。」
「え?そうなの?」
「二人乗りって少女漫画とかでよくあるけど、あれ実は犯罪なんだよ。」
「マジで?」
「うん・・・。あと、うちの学校って自転車通学ダメだった気がする・・・。」
「え?俺ら指導対象・・・?」
「多分・・・。」
「えー・・・、俺ちょーだせぇじゃん・・・。」
私は自転車についての詳しい法律は分からないが、某少女漫画(?)で二人乗りはダメだって言ってたからそうなんだと思う。天才たちの恋愛頭脳戦のやつ。
あと、あの漫画では校則は守っていたが、今現在私たちは、校則すらも破っている状態である。
まぁ・・・でも・・・。
「ありがと。送ってくれて。」
私は金沢の腰に手を回した。
「何?珍しく素直じゃん。」
「お礼くらいは言うよ。常識人だもん。」
「ヲタクで腐女子が何を言うか・・・。」
「そういうあんたはゲーヲタじゃん・・・。てか、偏見が凄い。ヲタクで腐女子でも、常識位はあるわ。多分。」
くだらない会話をしながら、ふと思ったことがある。
ルールを違反するのは案外初めてかもしれない。こういうのも悪くない。青春っぽい。これが青春なら、きっと青春の神様は馬鹿しかいないだろう。ルールを破ることで青春を感じる日が来るなんて・・・。
でも、不思議と罪悪感は感じなかった。このまま遅刻して怒られたとしても・・・、それすらも青春と感じられる気がする。
「あー!サイコー!」
「うるっさいなぁ・・・」
私は大声で今の気持ちを叫んだ。今を逃したら、次にこんな青春を感じる事はもう無いかもしれない。言葉にしないと勿体ない気がする。
「てか、うちの学校の近くに駐輪場あったっけ?」
「いや・・・、多分ない・・・。」
「そしたらこの自転車どうする?大家さんの・・・。あ。」
口を滑らせた様で、金沢はやっべーみたいな顔をしていた。
「お前!結局パクってんじゃねぇか!!!」
「バレたか・・・。これどうしよ?校舎裏にでも隠しておくか・・・。」
「学校に持って入ったら確実にバレるよね。人の物だし、このまま没収されるのも・・・。」
「駅前の駐輪場行くか・・・。」
「そうだね・・・。」
これは確実に遅刻ですね・・・。無遅刻無欠席は叶いませんでした・・・。
でも、不思議と後悔はない。たまにはこんな日があってもいいんじゃないかと思う。
1つ気になる事があるとすれば・・・。生徒会の顧問の先生が、生徒指導の先生なんだよね・・・。怒るとめっちゃ怖い。授業中キレた時とかめっちゃ怖かった。私には先生に角が見えたもん。マジで。
やばい・・・。学校行きたくなくなってきた・・・。生徒指導嫌だなぁ・・・。
「あ。今日小テストじゃん。」
金沢は私のブルーな気持ちなど気にもとめずにそう呟いた。
小テスト!受けなかったら0点にされる!1回でも0点を取ってしまったら、夏休みの補習から逃れられない!やだ!夏休みはコミケとかイベントが盛りだくさんなのに!!!
「そうじゃん・・・。学校行かなきゃ・・・。」
「暗いな・・・。強く生きろよ。」
「頑張るわ・・・。」
どうしても私は学校から逃れられないようだ。
今日は災難だ・・・!
現在8時15分!なんとしても無遅刻無欠席をキープしないと・・・!
「遅かったな。」
玄関の扉を開けると、そこにはちょこんと座り込んでスマホゲームをしている金沢の姿があった。
「ごめん、どいて!急いでるの!」
「今更走って間に合うと思う?」
「多分無理・・・。でも、それでも行かないと!」
「要領悪くて頑固だなぁ・・・。そういう所も悪くないけど。」
「何が悪くないの!?」
「なんでもない。それよりもさ、頼ればいいじゃん、俺を。」
金沢はトコトコと階段を降りて行き、大家さんの家の壁に寄りかかっている自転車を引っ張り出てきた。
「おい、それ大家さんのだろ。」
「新しいの買ったみたい。だから、くれた。」
「ならいいけど・・・。それを私が使ったら、あんたどうやって学校行くの?」
「え?何言ってんの?一緒に行くんだよ。」
「え?」
「行くよ。後ろ乗って。」
「でも・・・」
「いいから乗って。しっかり捕まってろよ。」
私の言葉を遮り、金沢は私を半強制的に自転車に乗せた。
「これで行ったら、学校にはギリ間に合う。」
有難い・・・とても有難いけど・・・。
「金沢、道路交通法で、二輪車の二人乗りは禁止されてる。」
「え?そうなの?」
「二人乗りって少女漫画とかでよくあるけど、あれ実は犯罪なんだよ。」
「マジで?」
「うん・・・。あと、うちの学校って自転車通学ダメだった気がする・・・。」
「え?俺ら指導対象・・・?」
「多分・・・。」
「えー・・・、俺ちょーだせぇじゃん・・・。」
私は自転車についての詳しい法律は分からないが、某少女漫画(?)で二人乗りはダメだって言ってたからそうなんだと思う。天才たちの恋愛頭脳戦のやつ。
あと、あの漫画では校則は守っていたが、今現在私たちは、校則すらも破っている状態である。
まぁ・・・でも・・・。
「ありがと。送ってくれて。」
私は金沢の腰に手を回した。
「何?珍しく素直じゃん。」
「お礼くらいは言うよ。常識人だもん。」
「ヲタクで腐女子が何を言うか・・・。」
「そういうあんたはゲーヲタじゃん・・・。てか、偏見が凄い。ヲタクで腐女子でも、常識位はあるわ。多分。」
くだらない会話をしながら、ふと思ったことがある。
ルールを違反するのは案外初めてかもしれない。こういうのも悪くない。青春っぽい。これが青春なら、きっと青春の神様は馬鹿しかいないだろう。ルールを破ることで青春を感じる日が来るなんて・・・。
でも、不思議と罪悪感は感じなかった。このまま遅刻して怒られたとしても・・・、それすらも青春と感じられる気がする。
「あー!サイコー!」
「うるっさいなぁ・・・」
私は大声で今の気持ちを叫んだ。今を逃したら、次にこんな青春を感じる事はもう無いかもしれない。言葉にしないと勿体ない気がする。
「てか、うちの学校の近くに駐輪場あったっけ?」
「いや・・・、多分ない・・・。」
「そしたらこの自転車どうする?大家さんの・・・。あ。」
口を滑らせた様で、金沢はやっべーみたいな顔をしていた。
「お前!結局パクってんじゃねぇか!!!」
「バレたか・・・。これどうしよ?校舎裏にでも隠しておくか・・・。」
「学校に持って入ったら確実にバレるよね。人の物だし、このまま没収されるのも・・・。」
「駅前の駐輪場行くか・・・。」
「そうだね・・・。」
これは確実に遅刻ですね・・・。無遅刻無欠席は叶いませんでした・・・。
でも、不思議と後悔はない。たまにはこんな日があってもいいんじゃないかと思う。
1つ気になる事があるとすれば・・・。生徒会の顧問の先生が、生徒指導の先生なんだよね・・・。怒るとめっちゃ怖い。授業中キレた時とかめっちゃ怖かった。私には先生に角が見えたもん。マジで。
やばい・・・。学校行きたくなくなってきた・・・。生徒指導嫌だなぁ・・・。
「あ。今日小テストじゃん。」
金沢は私のブルーな気持ちなど気にもとめずにそう呟いた。
小テスト!受けなかったら0点にされる!1回でも0点を取ってしまったら、夏休みの補習から逃れられない!やだ!夏休みはコミケとかイベントが盛りだくさんなのに!!!
「そうじゃん・・・。学校行かなきゃ・・・。」
「暗いな・・・。強く生きろよ。」
「頑張るわ・・・。」
どうしても私は学校から逃れられないようだ。
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