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第5話 パリピ勇者召喚
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勇者を召喚するらしい。
異世界から。
『召喚』スキルを持った召喚士のレベルが上がったから異世界召喚できるようになったらしい。
完全に誘拐だな。
転生と違って、召喚は相手の人生の途中で連れてくる。
完全に犯罪だ。
しかし、この世界は日々魔物と戦っていて、それどころではない。
僕には関係のない世界の話だ。
激しい戦場へ行く気はないし、魔物とも最低限の戦闘でどうにかやり過ごしたい。
そう、僕には無縁な世界だ。
そんなことより、先日、アドルフお兄様のイケナイ扉を開いてしまったのか、やけに優しい。
なんならベタベタしてくる。
違う意味で嫌いになった。
僕はかわいい女の子以外は人間だと思っていない。
ゴミクズにベタベタされても臭いだけだ。
いや、照れるのはやめておこう。
正直ほっとしている。
あんなに嫌がらせされるのは正直メンタルにきていた。
今の状態の方がマシだ。
さて、今、僕が何をしているかというと、お稽古という名のシゴキだ。
リンチだ。
ガーベラからボッコボコにされて、現在は吹き飛んでいる最中だ。
薄れゆく意識の中、ここ最近を振り返ることで痛みから逃げていた。
そろそろ放物線の頂点に達した。
あとは、降下するのみ。
どれほどの攻撃を食らえば5mも吹っ飛ぶことができるのだろうか。
「アーサー、大丈夫ですか?」
ガーベラは膝枕で心配してくれる。
木剣を持っていない時は優しいが、木剣を握ったとたんに鬼と化す。
今は優しい。
「ああ、大丈夫ではないけど、がんばるよ。君のために……グハッ」
僕は気絶した。
―――ゴーンゴーンゴーン―――
お昼の鐘か。
どうやら1時間ほど気絶していたようだ。
「あ、やっと目覚めましたね。お昼ご飯できたそうですよ」
ガーベラはずっと横にいてくれたようだ。
まあ、自分で吹き飛ばしたんだし、それくらいはするか。
「あ、そうそう、アーサーが寝ている間にどうやら勇者様が召喚されたようですよ」
「へぇ、何か知らせがあったの?」
「いえ、召喚の光が王城から見えました。あれは召喚が成功したからでしょう」
「そうなんだ。どんな人だろうね」
「午後はお稽古ありませんし、見に行ってみます?」
「そうだな。せっかくだし、行ってみようか。先ぶれを送っておこう」
昼食をとり、王城へ向かう。
王城には多くの馬車が止まっており、多数の王族も集まっていた。
なかでも、召喚の間には多くの人でごった返していた。
「アドルフお兄様。お兄様も来られていたのですね」
「ああ、大事件だからな。知っておきたかったんだ」
そう言いながら、アドルフ兄様は僕にピッタリくっつくように立っていた。
あらためて『ピュア』が危険なスキルであると認識した。
イケナイ扉は全開のままだった。
これまでの経験上、効果は1日程度で消えるのだが、ガーベラやサルビアのような例外もある。
つまり、重ねがけでかつ、もともと僕の事を好きでいた人たちだ。
どうやら、お兄様はもともと僕のことを好きだったらしい。
いや、さすがに性的な意味ではないと考えたい。
BL展開は望んでいない。
「お兄様、召喚された方とはどの方ですか?」
「あの青年だよ」
お兄様の指さす方を見ると、黒髪黒目、20代前半で180cmくらいのスラっとした青年がいた。
服装はスーツだった。
見た目はアジア系か。
そもそも地球出身かどうかはわからない。
どこの異世界からきたんだろ?
そんなことを考えているときに、声が聞こえた。
「イエーイ!誰か、日本語のわかる人いないかー?」
日本語でしゃべってる。
イエーイ?
僕は赤ちゃんから生まれたので、自然とこの国の言語を覚えたが、召喚であれば当然の問題だ。
ここで話せることを打ち明けてしまえば、勇者パーティに入れられそうだ。
そんな面倒なことは避けよう。
あの人には悪いけど、だまっておこう。
すると、一人の男性が指輪を持ってきた。
だまって、指輪を見せて、指にはめさせた。
「こんにちは。私の言っていることがわかりますか?」
男性が言った。
「ああ、わかったZEー。よろしくね!サンキュー」
「今渡した指輪は『意思疎通』という効果のあるマジックアイテムです。身に付けておけば会話はできますよ」
なんか、クセの強い人だな。
便利なアイテムがあるんだな。
「そんなのあるなら初めから渡してあげたらよかったのに」
「召喚時にどんな人が来るかはわからないらしいんだ。最悪、悪魔が来て戦闘になることもあるらしい。安全そうな人だとわかったから俺たちもここへ来られてるんだ。あの指輪は外交官しか持っていない貴重なアイテムだから取りに行っていたんだろう」
「なるほど。お兄様は物知りですね」
お兄様がモジモジしている。
うれしかったのだろう。
気持ち悪い。
しばらくするとお父様が現れた。
「おお。勇者殿、よくぞ参られた。こちらへどうぞ」
貴賓室に案内し、事情を説明するのだろう。
貴賓室の入り口の前には多くの野次馬があふれている。
僕とガーベラもその一人だ。
アドルフお兄様はお稽古があるとかで帰っていった。
しばらくして大きな叫び声が聞こえた。
「帰れないだってー?」
そりゃ、怒るよな。
完全に誘拐を国家プロジェクトとする某国と同じだもんな。
拉致被害者の会とか設立されるだろうな。
何時間いても話は平行線っぽい感じがしたので、帰ることにした。
王城にいたメイドがかわいかったので『ピュア』を使って連れて帰ってきた。
もちろん、口説いたのはガーベラだが。
そのメイドは、もともと城勤めより屋敷勤めに変えたかったらしく、二つ返事でOKをもらった。
まあ、これも拉致だな。
やってることは親子で同じだと思った。
そうこうして、アイリス・バルーンは我が家のメイドとなった。
家に帰ってからお母様にこっぴどく叱られたのは別の話だ。
異世界から。
『召喚』スキルを持った召喚士のレベルが上がったから異世界召喚できるようになったらしい。
完全に誘拐だな。
転生と違って、召喚は相手の人生の途中で連れてくる。
完全に犯罪だ。
しかし、この世界は日々魔物と戦っていて、それどころではない。
僕には関係のない世界の話だ。
激しい戦場へ行く気はないし、魔物とも最低限の戦闘でどうにかやり過ごしたい。
そう、僕には無縁な世界だ。
そんなことより、先日、アドルフお兄様のイケナイ扉を開いてしまったのか、やけに優しい。
なんならベタベタしてくる。
違う意味で嫌いになった。
僕はかわいい女の子以外は人間だと思っていない。
ゴミクズにベタベタされても臭いだけだ。
いや、照れるのはやめておこう。
正直ほっとしている。
あんなに嫌がらせされるのは正直メンタルにきていた。
今の状態の方がマシだ。
さて、今、僕が何をしているかというと、お稽古という名のシゴキだ。
リンチだ。
ガーベラからボッコボコにされて、現在は吹き飛んでいる最中だ。
薄れゆく意識の中、ここ最近を振り返ることで痛みから逃げていた。
そろそろ放物線の頂点に達した。
あとは、降下するのみ。
どれほどの攻撃を食らえば5mも吹っ飛ぶことができるのだろうか。
「アーサー、大丈夫ですか?」
ガーベラは膝枕で心配してくれる。
木剣を持っていない時は優しいが、木剣を握ったとたんに鬼と化す。
今は優しい。
「ああ、大丈夫ではないけど、がんばるよ。君のために……グハッ」
僕は気絶した。
―――ゴーンゴーンゴーン―――
お昼の鐘か。
どうやら1時間ほど気絶していたようだ。
「あ、やっと目覚めましたね。お昼ご飯できたそうですよ」
ガーベラはずっと横にいてくれたようだ。
まあ、自分で吹き飛ばしたんだし、それくらいはするか。
「あ、そうそう、アーサーが寝ている間にどうやら勇者様が召喚されたようですよ」
「へぇ、何か知らせがあったの?」
「いえ、召喚の光が王城から見えました。あれは召喚が成功したからでしょう」
「そうなんだ。どんな人だろうね」
「午後はお稽古ありませんし、見に行ってみます?」
「そうだな。せっかくだし、行ってみようか。先ぶれを送っておこう」
昼食をとり、王城へ向かう。
王城には多くの馬車が止まっており、多数の王族も集まっていた。
なかでも、召喚の間には多くの人でごった返していた。
「アドルフお兄様。お兄様も来られていたのですね」
「ああ、大事件だからな。知っておきたかったんだ」
そう言いながら、アドルフ兄様は僕にピッタリくっつくように立っていた。
あらためて『ピュア』が危険なスキルであると認識した。
イケナイ扉は全開のままだった。
これまでの経験上、効果は1日程度で消えるのだが、ガーベラやサルビアのような例外もある。
つまり、重ねがけでかつ、もともと僕の事を好きでいた人たちだ。
どうやら、お兄様はもともと僕のことを好きだったらしい。
いや、さすがに性的な意味ではないと考えたい。
BL展開は望んでいない。
「お兄様、召喚された方とはどの方ですか?」
「あの青年だよ」
お兄様の指さす方を見ると、黒髪黒目、20代前半で180cmくらいのスラっとした青年がいた。
服装はスーツだった。
見た目はアジア系か。
そもそも地球出身かどうかはわからない。
どこの異世界からきたんだろ?
そんなことを考えているときに、声が聞こえた。
「イエーイ!誰か、日本語のわかる人いないかー?」
日本語でしゃべってる。
イエーイ?
僕は赤ちゃんから生まれたので、自然とこの国の言語を覚えたが、召喚であれば当然の問題だ。
ここで話せることを打ち明けてしまえば、勇者パーティに入れられそうだ。
そんな面倒なことは避けよう。
あの人には悪いけど、だまっておこう。
すると、一人の男性が指輪を持ってきた。
だまって、指輪を見せて、指にはめさせた。
「こんにちは。私の言っていることがわかりますか?」
男性が言った。
「ああ、わかったZEー。よろしくね!サンキュー」
「今渡した指輪は『意思疎通』という効果のあるマジックアイテムです。身に付けておけば会話はできますよ」
なんか、クセの強い人だな。
便利なアイテムがあるんだな。
「そんなのあるなら初めから渡してあげたらよかったのに」
「召喚時にどんな人が来るかはわからないらしいんだ。最悪、悪魔が来て戦闘になることもあるらしい。安全そうな人だとわかったから俺たちもここへ来られてるんだ。あの指輪は外交官しか持っていない貴重なアイテムだから取りに行っていたんだろう」
「なるほど。お兄様は物知りですね」
お兄様がモジモジしている。
うれしかったのだろう。
気持ち悪い。
しばらくするとお父様が現れた。
「おお。勇者殿、よくぞ参られた。こちらへどうぞ」
貴賓室に案内し、事情を説明するのだろう。
貴賓室の入り口の前には多くの野次馬があふれている。
僕とガーベラもその一人だ。
アドルフお兄様はお稽古があるとかで帰っていった。
しばらくして大きな叫び声が聞こえた。
「帰れないだってー?」
そりゃ、怒るよな。
完全に誘拐を国家プロジェクトとする某国と同じだもんな。
拉致被害者の会とか設立されるだろうな。
何時間いても話は平行線っぽい感じがしたので、帰ることにした。
王城にいたメイドがかわいかったので『ピュア』を使って連れて帰ってきた。
もちろん、口説いたのはガーベラだが。
そのメイドは、もともと城勤めより屋敷勤めに変えたかったらしく、二つ返事でOKをもらった。
まあ、これも拉致だな。
やってることは親子で同じだと思った。
そうこうして、アイリス・バルーンは我が家のメイドとなった。
家に帰ってからお母様にこっぴどく叱られたのは別の話だ。
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