世界一になるって決めた!〜お隣の似た宇宙に転生してました〜

ahootaa

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第四章 ワクドキ学園パラダイス編 12歳

第46話 魔法陣総論

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 俺は興味のある授業を片っ端から取っている。
 それらは、研究色の要素が強い授業に偏っている。
 その中でも、この授業「魔法陣総論」はかなりの体育会系文化系だ。
 俺も言ってて意味が分からないが、ノリは体育会系なのである。
 オラオラ進んでいく感じや、縦社会な雰囲気とかは体育会系であるが、やってる内容は文化系なのである。
 内容というのは、魔法陣の研究のことだ。
 研究の進め方は、出来上がった魔術は片っ端から試していくし、どんな失敗をしても進んでいく研究スタイルである。
 説明するより、1場面を見てもらう方が伝わるだろう。
 ある日のやりとりだが…

「おい、新入り!ライラックとか言ったか?これ打ってこい」

「へい。ヒャッハー先輩」

 俺は併設された試打場で魔術を発動させる。
 
 ぽすっと音を立てて煙が出る。

「先輩、ぽすっと音を立てて煙が出ました」

「あぁ、それは失敗だ。次はこれだ」

「へい。ヒャッハー先輩。でも、これってさっきのと同じじゃ?」

 ぶベェ
 
 ヒャッハー先輩に殴られて吹き飛ぶ。

「お前、俺の言う事が聞けねぇのか?さっさとやってこい」

「へい。ヒャッハー先輩」

 試打場で試打するも同じ反応であった。

「ヒャッハー先輩、同じでした」

「そうだな。どこを変えれば透明人間になれると思う?」

 こんなやりとりをもう何日も繰り返している。
 目的は透明人間になることらしいが、その研究に後輩まで巻き込んでしまう。
 俺は全く興味のないテーマなのだが、仕方なく付き合わせられる。
 もうやめたい。
 
 しかし、何日も行くと、本当に透明人間の術式ができてしまった。
 あのやり方でも研究が進むと言うことに勇気づけられた。
 でも、後輩を巻き込むのはよくないと思います。
 どうやら、教授のテコ入れもかなりあったらしい。
 やはり、風と火だけでなく、光と闇のマナを少量使うことで使えるらしい。
 少し使うだけで透明人間とは、恐ろしい結果となった。
 これなら陽の中級くらいの魔力があれば、1時間くらいは透明になれることになる。
 事の発端は、体の一部を透明にする魔術の一部を発見したらしく、それをいじっていくと全身透明になるのではないか?という研究だったらしい。
 教授はそれで論文を書くと言っていた。
 先輩は透明人間になれただけで満足らしく、文句は言ってなかったが、完全に助手の手柄を奪っている。
 いや、それも縦社会ならOKなのか?
 ちょっとついていけない世界だ。
 
 それにしても、俺もちゃっかりおこぼれに預かった。
 透明人間になれる。
 つまり…。
 むふふ。
 
 ちなみに、この授業はアネモネは取っていない。
 試験の段階で「この教授やばそう」と言っていた。
 だから、取らなかった。
 つまり…。
 むふふ。

 いや、アネモネ以外に興味はないけど、社会見学は必要ですよね?
 セオさんは授業を取っていたが、全て寝ていた。
 先輩もセオさんには何も言わなかった。
 そもそも、11年在籍しているセオさんの方が先輩のはずだしね。

 今回の研究を通して分かったが、論文に起こすと言っても、魔法陣の著作権は守られるらしい。
 だから、研究に携わったものしか知らない秘密の魔法陣となる。
 つまり、この世には出回っていない、秘密の魔術が山ほどあると言うことだ。
 いきなり、不思議パワーで攻撃されるなんてことも想定しなければならない。
 恐ろしすぎる。

 さて、透明人間の研究が終わると、急に静かになった。
 恐らく、研究の糸口が掴めないのだろう。
 次の研究としてはぜひ、俺も興味の持てるものにしてもらいたい。
 火種を落としてみよう。

「あのー、次の研究なんですけど、時を止めるのはどうでしょうか?実は、光と闇を混ぜた無色のオーラで時を止められるって文献で読んだ気がするんですけど、それを魔術で再現できたらすごい発見だと思うんですよね」

「ライ、お前!!……天才かっ!!」

 よっしゃ、俺の興味ある内容に決まった。
 まずは人海戦術で時に関する魔術書を読み漁る。
 関係ありそうな文献をピックアップし、関係ありそうな図形をピックアップする。
 常に授業に出席していて、戦力として数えられるのは30人ほど。
 この人数で集めに集めた図形を片っ端から全通り試す。
 やり方が脳筋すぎる!
 もちろん試すのは俺の魔力頼み!
 あまり、特級であることは言いたくないので、こそっと試しているが、みんなはそんなこと気にしていない。
 目を血走らせながら、魔術書を読み、栄養ドリンクを飲みながら魔法陣を描いている。
 そんな生活を何日も続け、少しずつ前進していく。
 図形を絞り、魔法陣の候補を削っていき、完成に迫っていく。
 体力にものを言わせて無理やり押し通っていく研究だ。
 そもそも、仮説は存在しない。
 「時を止めたい」この願望のみに従っている。

 よし、この集団は使える。
 以前開発した召喚魔法陣も情報提供したら勝手に暴走始めそうだ。

 そうこうしているうちに、時魔術第1弾はできた。
 「時を止めて、術者のみが周囲を観測できるが、動けば解除される」と言う微妙なものだった。
 いや、しかし、研究はこうして1歩進んだ。
 先輩たちは第2段も作る気マンマンだ。
 最終的には1秒でも2秒でも時を止めて、術者が活動できるようになりたいものだ。



下の画像がヒャ・ッハー先輩のイメージ画像です。
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