世界一になるって決めた!〜お隣の似た宇宙に転生してました〜

ahootaa

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第四章 ワクドキ学園パラダイス編 12歳

幕間 悲運な男の末路

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 俺はライゴン・サイラス、魔術師だ。
 俺の魔術の真価は相手に直接触れることで発揮する。
 得意魔術は雷撃である。
 珍しい魔術の使い手としてその道では知られている。
 雷魔術は発生させるだけでかなりのマナを消費するので、使い手が少ない魔術だ。
 それを俺は相手に触れることで解決した。
 相手に触れると消費マナを抑えて、威力を上げることができる。
 これに気づいたとき、俺は自分が天才だと確信した。
 使い方は風のマナを多重消費することで、その摩擦を雷に変換にできる。
 パチンと小さな雷でも、発生させるには魔速200mpを必要とする。
 これが、雷魔術の使い手が少ない理由である。
 それを俺は半分以下に抑えながらも威力を倍にすることに成功した。

 さらに、俺が使いこなせるのは俺が優れた魔力量を誇る特級術師であるからである。
 陽の魔力が7560mpもある。
 俺はこの魔力で誰にも負けたことはない。
 しかし、特級とは常に命を狙われる存在でもある。
 よって、魔力はなるべく隠さなければならない。
 だから、俺は本気を出して戦ったことはない。
 魔闘士として活躍した時期もあったが、公式大会では、魔力を公表する必要がある。
 それを嫌った俺は魔闘士大会のみの参加とした。
 しかし、そこでも本気は出せなかった。
 最近の大会では予選を勝ち上がったが、あっという間にとんでもないオーラを纏った少年に負けてしまった。
 今まで負けなかったことが俺の強みだったのに、子どもに負けてしまった。
 それもあって、今まで以上に正体と実力を隠すようになった。
 
 そんな俺だったが、魔闘士大会の予選を見ていた今の契約者にスポンサーとなってもらうことができた。
 予選敗退ではあるが、紛れもなく、ワールドランカークラスであることを証明してみせたわけだ。
 それに、俺の本職は魔闘士ではない。
 魔術師大会があることは聞いていたが、情報が少ないため、探しようがなかった。
 そんな俺に、スポンサーの方から接触してくれたのである。
 そして、今日の試合だ。
 なんとしても勝ちたい1戦である。

 しかし、対戦相手を見るとどうやら少年だ。
 お互いマスクをしていてどんな顔かはわからないが、俺の中に「少年に負けた」という大きな傷がある。
 どうも嫌な予感がする。
 でも、なんとかなるかとすぐに開き直る。

 試合は始まった。
 俺はすぐにでも相手に触れて雷魔術を叩き込まなければならない。
 嫌な予感がするので、早く終わらせたかった。
 すると、すぐに重力魔術が飛んできた。

「うっ」

 小さく呻くも、相手に弱みを見せるわけにはいかない。
 ぐっと堪えた。
 俺も魔術師をして長い。
 重力魔術の相殺の方法くらいは知っている。
 この魔術も使い手が少ないことで有名だ。
 とにかく魔力を食う。
 燃費が悪い。
 だから、使い手は少ない。
 だからと言って、手を抜かずに準備をするのがプロってもんさ。

 俺は重力魔術を相殺した。
 恐らく、10倍程度の重力だろう。
 オーラの力で無理やり体を動かすこともできるが、それはこっちにも負担がある。
 なので、まずは相殺することに専念する。
 相殺に成功した。
 
 動けるようになった俺は相手に触れるために近づく必要がある。
 そのため、一歩踏み出した。
 その瞬間。
 一気に体が重くなる。
 立っていられない。
 思わず動けないでいた。
 しかし、動かないのは次なる攻撃を許してしまう。
 一体何倍の重力なのかも考えられないくらいの重さが全身にかかる。
 動くための方法を考える。

 それはあった。
 火オーラのパワーで無理やり動くことだ。
 火オーラを全て体を支えることだけに使う。
 なんとか耐えることができた。
 しかし、あんな重力魔術は見たことがない。
 いや、目には見えない魔術だけど……。

 必死で耐えていると、耐えられない重さが襲いかかってきた。
 あ……。

 グシャリ

 その後の記憶はなかった。
 しかし、その試合を境にスポンサーからは契約を切られていた。
 あの少年は一体何者だったんだ?

 それ以上は考えてもわからなかった。
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