氷焔の冒険者~元ヲタは異世界で侍になるそうです~

不知火 氷雨

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第一章

4 少女の正体

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 side???


 失敗した......。座標の設定を間違えてしまった......。これでに何かあればどんな顔をして会えばよいのだろうか? 彼のことだ、笑って許してくれるかもしれない。いや......生きているとも限らないのだ......。

「急がなきゃ......!」

  私はすぐに現界し、彼を転送した地点へ急ぐ 。こんな時、権能の使用を制限されていることを煩わしく感じる。頭では仕方ないと思いつつも、焦る気持ちは抑えられない。

 ......暫くして転送した位置へ到着したものの既にそこに彼の姿はない。街の近くではないことに気づき、移動してしまったのだろう。

「あぁ......どうしよう......」

 思わずその場で頭を抱えたくなるが、私は即座に踵を返し、辺りを捜索し始めた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 中々痕跡すら見つからない......。どうすればいいの......。
 思わず泣き出してしまいそうになった時

「!!......今のは?」

 遠くから雄叫びと思しき声が聞こえ、その後何かの吠え声のようなものが聞こえた。

「まさか......」

 私はある・・可能性に思い当たり、その声が聞こえた方向へ即座に駆け出した。
 近づくにつれ、誰かが戦っているような、そんな音が大きくなっていく。私は先ほど思い浮かべた悪い予想が当たってしまったことに顔をしかめてしまう。けど、何がどうあれ今は一刻も早く、助けなければ!
 茂みを走り抜けると少し開けた場所に出て、戦闘が行われていた。しかし、私は今までの焦る気持ちとは裏腹にその光景の前に立ち尽くしてしまう。

「......うそ......凄い」

 目の前ではと三頭のリザードマンが激しい戦闘を繰り広げていた。いや......よく見れば地面に首と胴が泣き別れになった遺骸や胴体を横一文字に断たれた遺骸が散らばっており、これまでに何体か倒してきたことが窺える。......私の予想以上に彼が持つ可能性は大きいのかもしれない。
  しかし、よく見れば彼は袈裟懸けの傷を負っていた。それほど深くはなさそうだが、あの失血量だと意識も朦朧としているかもしれない......!
  案の定、傷が痛むのか顔を顰めて、傷口を気にしているよう......って危ない!

「しゃがんでっ!!」

 彼の横から一体のリザードマンが棍棒を振り抜こうとしていたのだ。私は咄嗟に弓を呼び出して・・・・・彼に声を掛けた。 

――――――弓術Lv.5 『五月雨・光』

 彼が頭を下げたのを確認してから、リザードマンへ魔力矢を分割して・・・・・・・・射掛ける。幾本もの魔力矢が突き刺さり、敵は絶命する。私はそのことを確認すると、唖然として口を開けている彼の元へ向かう。
 近づくにつれ、気を取り直したのか安堵の表情を彼は見せた。そのまま立ち上がり私のほうへと歩いてくる......が、直後彼の顔は再度驚愕に染まってこちらを見る。否、彼は私...というよりも私の背後・・に目を向けていた。

「助かっ......危ないっ!!」

 私は突然響いたその声に、驚かなかった・・・・・・
 その場で振り返り、一歩大きく踏み込んで敵の懐に入り込む。突然現れた生意気な獲物を捕らえるはずだったその腕は空を切る。
 私は目の前でバランスの崩した腕を掴み、前のめりのその体を上へと蹴って浮かせた・・・・・・・

「せいっやぁぁぁぁっっっ!!!!」
「ガァッ......!」

 そのまま一本背負いの要領で地面へと叩き付けた・・・・・
 
「ふぅ......」

 パンパンと手を払いつつ、一息つく。そしておもむろに愛弓を構え、頭を打ったのか泡を吹いて気絶してしまっているリザードマンに、狙いを合わせる。

(というか......気絶をするように仕向けたんだけどさ......)

 軽く苦笑漏らしつつ、魔力矢を形成して引き絞る。

「......喰らいなさい」

 そして、その眉間へ遠慮なく打ち込む。ズッ......と矢が入り込み・・・・その頭が爆散した。
 これで今度こそ終わりだ。......と彼のもとに行かなければ。

「そこの君! 大丈夫ー?」
「あ、あぁ......」

 良かった。無事なようだ......。ここでようやく本当の意味で安堵できた。

「そう!ならよかった!」
 
 こちらへとふらつきながらも向かって来ようとするので、慌てて向かう。
 けど、何か様子が......。

「あ、やば......」
「ちょっと!?」

 何か呟きながら彼はそのまま倒れてくる。即座に駆け寄り、抱き留める。どうやら気絶に近い形で眠ってしまったようだ。張りつめていた気持ちが緩んだようでスース―と穏やかな寝息が聞こえてくる。
 よく見れば胸の傷だけでなく、あちこちに小さな傷が出来ているようだ。その姿を見て罪悪感でいっぱいになる。

「ごめんね......いきなりこんな辛い目に合わせてしまって」

 それにしても......だ。仕方ないとはいえ、いささか無茶しすぎではないだろうか。

――――――治癒魔法Lv.2 『ヒール』

 そう独り言ちながら、治療を開始するのだった。

    
 Side out

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