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#6 裏方の大道具さん(ゲストが来ない緊急事態!)

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《おい、今日のゲストはまだ来ないのか! 》
《それが、何度連絡しても出ないんですっ》
《わわわっ! もう本番始まるっすよ~(汗)》


 「・・・はい、始まりました、【おねえさんのおしゃべりラジオ!】 当ラジオの司会進行を務めます、巷の流行りは一歩遅れて乗るタイプ、篠原 怜(しのはら れい)です」

 「そして本日のゲストは・・・」

 「し、失礼するっす! 今日はゲストさんが色々あっていないんですっ! 」

 「やはりそうですか。まぁ、あなた達の様子を見てれば、それぐらいは察せられます」

 「あっ、それでそんなに落ち着いているんすね? 自分だったら絶対、慌てちゃいますもん」

 「いえ、落ち着いているのは、単にゲストがいようがいまいが、特別変わらないからよ」

 「さ、さすが篠原(しのはら)さん、ブレないお人っす・・・ それなら、何とか今日の放送、お願いしますっ! 」

 「ええ、もちろんよ。ただ一つだけいいかしら? 」

 「? どうしたんっすか? 必要なものがあれば何でも言って下さい! 」

 「何でもいいのね? それじゃあ、あなたが今日のゲストになってくれる? 」

 「・・・え、えぇーーー!! 自分っすか!? 自分、ただの大道具っすよ?! 」

 「別に構わないわ」

 「いやいや、自分がめっちゃ構うんっすよ! 」

 「まぁほら、そこに座って下さい」(そう言って無理やり椅子に座らせる篠原 怜(しのはら れい))

 「ちょちょちょ、ちょっと~! 」(腕を取られつつ)

 「リスナーのみなさん、お待たせしました。本日のゲストは当番組を裏から支える、大道具さんです」

 「えっ、いきなりっ、あのど、どうもっす~ 自分、大道具担当の瀬川(せがわ)って言います、よろしくお願いしますっ」

 「はい、よろしくお願いします。今日は、瀬川(せがわ)さんに気になっている事を聞いていこうと思います」

 「えっ、いつのまに、そんな質問コーナーを考えてたんすか? 」

 「? 考えてないですよ。ただ、私が聞いてみたい事を聞くだけです」

 「あ、そぅっすか。いや、さ、さぁどんどん来て下さい! 」(無理やりテンションを上げようとする)

 「もっと普段通りでいいですよ。今日は何があっても代わりのゲストを用意できなかった上の責任ですから」

 「ちょちょ、そんな事言っちゃうんすか!? 」

 「はい、言っちゃいます」

 「いや、す、スゴイっすね・・・」(驚愕、といった表情)

 「もう質問してもいいかしら? 」

 「ッ! はい、何でもどうぞっす! 」

 「あなたはどうして裏方の仕事を選んだの? 」

 「・・・ヘっ? なんか真面目な質問ですね」

 「割といつも真面目な気でいるのだけれど」(表情は無いが、声に怒気がこもる)

 「いや、そうですよねっ いつも真面目ですよねっ(汗) え~っと、どうして裏方になったかって言うと、憧れの人の側にいたい的な感じっすね」

 「? どういう事かしら? 」

 「え~とっすね、つまり、こうキラキラ~っていうオーラというか、自分にはない、そういうのを持ってる人に惹かれるんすよね」

 「そんな人達をずっと近くで見る為に、あわよくばそんな人たちに自分が力になれたらなって思って、この仕事に就いたんすよ」

 「そういう理由があるのね、勉強になったわ」

 「そんなそんな、勉強になっただなんて、大層な事は言ってないっすよ」

 「それじゃあ、私から最後に少しだけ。あなた、なかなかキラキラしてるわよ? 少なくともこの私が呼び止めるぐらいにはね」

 「ッ! あ、ありがとうございますっ! 」(少し涙ぐみながら)

 「そして、いつも番組を、私を支えてくれてありがとう。これからもよろしく頼むわね」

 「ど、どうしたんすか?! いつもの篠原(しのはら)さんらしくないっすよ」

 「(間髪入れずに言う)よ・ろ・し・く・ね? 」

 「は、はい! もちろんっす! 」(ガクブルしながら)

 「それじゃあそろそろエンディングです」

 「・・・これ、全部放送されてるんっすか? いつもみたいに途切れてるやつですよね」

 「いえ、今日は全部放送されてます」

 「・・・自分、めっちゃ恥ずかしい事言っちゃったんじゃ」

 「いい事言ってたから大丈夫よ」

 「(プシュ~~~)」


《この番組は、誰でも自由に作品を、アルファポリスの提供でお送りしました》
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