【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい

文字の大きさ
6 / 36

6.おかあさま


ラディアスとの三日間の初夜は、完全に快楽を体に覚え込ませる濃密な日々だった。
ラディアスは飽く迄も優しく紳士だが、夢中になると獣になったかのようにミルゼを攻め立てた。

激しく抱いた後の労りと優しさに、ラディアスを愛する気持ちが抑えられなくなりそうで、ミルゼは怖かった。
それでも、ここに居る限りはラディアスを誰よりも愛そうと心に決めた。

(政略結婚で愛のない夫婦もたくさん居るもの。そんなご時世で、愛する人を見つけられた私は幸運だわ。だから、ラディアス様の前では綺麗で居たいな。)

ラディアスは朝食後に所用で外出したので、見送ってから私室で考え事をしていたら、エマに呼ばれた。

「奥様、大奥様がお呼びです。お着替えが済みましたら、ご案内します。」

実家から持参したデイドレスだったので、もう少しマシだと思えるドレスに着替えた。
しかし、リリスの代わりにパーティに行く以外は、あまりドレスを持っていなかったので、公爵家の夫人としてどうなのかは不安だった。

「大奥様、お待たせ致しました。」

エマとアザリア夫人の執務室を訪ね、見事なカーテシーでミルゼが挨拶をすると、アザリア夫人は厳しい表情で言った。

「ミルゼ!」

「は、はい…」

アザリア夫人の表情に、失礼なことをしてしまったのかとミルゼは焦った。
しかし、アザリア夫人の口から出た言葉は意外なものだった。

「私のことは、大奥様じゃなくて『おかあさま』でしょう?早く慣れてちょうだい!」

「お義母様…」

「そうよ!息子の嫁だもの。おかあさまでしょう?」

その表情はやわらかなものに変わり、アザリア夫人が本心で話していることをミルゼは実感し、嬉しくなった。

「お義母様!」

「はい、ミルゼ。呼んだのはね、ミルゼにドレスをプレゼントしたいの。チェルニエ夫人は、あまり趣味が良くないでしょう?フィレンツェ侯爵家の娘なら仕方ないとして、シグネスティ公爵家の夫人としては、それなりの物を身に付けて欲しいの。」

「申し訳ありません。お恥ずかしい限りです…」

「あらやだ!ミルゼを責めている訳じゃないわ。チェルニエ夫人のせいでしょう?もしかしたら、今着ているドレスは、まさかリリスのお下がり…」

ミルゼは穴があったら入りたいと思った。
アザリア夫人の想像通りだったのだ。

「お義母様の仰る通りです。リリスは一度着たドレスは着ないので、高価なドレスは売り、そうでない物は私に…逆に私が新調したドレスは、リリスとサイズが合わないので、それも持ってきましたがパーティ用なので…」

「ああ、リリスは体格がいいから。ミルゼのドレスは、リリスには胸はスカスカで、ウエストは窮屈でしょうね。ぷぷっ!」

アザリア夫人は、耐え切れずに吹き出した。
厳しいと評判のアザリア夫人の笑顔に、ミルゼもくすくすと笑った。

「明日にでもラディアスと一緒にドレスを作りに行きなさい。ラディアスの色をちゃんと入れてね?」

「承知しました。ありがとうございます。今日は如何致しましょう?何か私に出来ることがあれば、教えていただきたいと思いますが…」

アザリア夫人は少し考えて微笑んだ。

「その気持ちは嬉しいし感心するけど、ラディアスが無理をさせて疲れているでしょう?あの子ったら、限度を知らないと言うか…まあ、執務はそのうち教えるから、ラディアスが戻ったら庭園でも案内してもらいなさい。今は薔薇が綺麗よ。それまで、のんびりしていていいわ。」

「はい。ありがとうございます。」

(本当のお母様ってこんな感じなのかしら…ラディアス様と一緒で、お義母様もとても優しい。)

執務室を出て、ミルゼは人を見掛けや噂で判断してはいけないと強く思った。
実際のアザリア夫人は、緊張するかと思いきや、とても優しかった。
ミルゼはほっとしたと同時に、胸が熱くなるのを感じた。
感想 2

あなたにおすすめの小説

歳の差を気にして去ろうとした私は夫の本気を思い知らされる

紬あおい
恋愛
政略結婚の私達は、白い結婚から離縁に至ると思っていた。 しかし、そんな私にお怒りモードの歳下の夫は、本気で私を籠絡する。

ナイトプールで熱い夜

狭山雪菜
恋愛
萌香は、27歳のバリバリのキャリアウーマン。大学からの親友美波に誘われて、未成年者不可のナイトプールへと行くと、親友がナンパされていた。ナンパ男と居たもう1人の無口な男は、何故か私の側から離れなくて…? この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

図書館の秘密事〜公爵様が好きになったのは、国王陛下の側妃候補の令嬢〜

狭山雪菜
恋愛
ディーナ・グリゼルダ・アチェールは、ヴィラン公国の宰相として働くアチェール公爵の次女として生まれた。 姉は王子の婚約者候補となっていたが生まれつき身体が弱く、姉が王族へ嫁ぐのに不安となっていた公爵家は、次女であるディーナが姉の代わりが務まるように、王子の第二婚約者候補として成人を迎えた。 いつからか新たな婚約者が出ないディーナに、もしかしたら王子の側妃になるんじゃないかと噂が立った。 王妃教育の他にも家庭教師をつけられ、勉強が好きになったディーナは、毎日のように図書館へと運んでいた。その時に出会ったトロッツィ公爵当主のルキアーノと出会って、いつからか彼の事を好きとなっていた… こちらの作品は「小説家になろう」にも、掲載されています。

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

若社長な旦那様は欲望に正直~新妻が可愛すぎて仕事が手につかない~

雪宮凛
恋愛
「来週からしばらく、在宅ワークをすることになった」 夕食時、突如告げられた夫の言葉に驚く静香。だけど、大好きな旦那様のために、少しでも良い仕事環境を整えようと奮闘する。 そんな健気な妻の姿を目の当たりにした夫の至は、仕事中にも関わらずムラムラしてしまい――。 全3話 ※タグにご注意ください/ムーンライトノベルズより転載

独身皇帝は秘書を独占して溺愛したい

狭山雪菜
恋愛
ナンシー・ヤンは、ヤン侯爵家の令嬢で、行き遅れとして皇帝の専属秘書官として働いていた。 ある時、秘書長に独身の皇帝の花嫁候補を作るようにと言われ、直接令嬢と話すために舞踏会へと出ると、何故か皇帝の怒りを買ってしまい…? この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。

パーキングエリアに置いていかれたマシュマロボディの彼女は、運ちゃんに拾われた話

狭山雪菜
恋愛
詩央里は彼氏と1泊2日の旅行に行くハズがくだらないケンカをしたために、パーキングエリアに置き去りにされてしまった。 パーキングエリアのフードコートで、どうするか悩んでいたら、運送会社の浩二に途中の出口に下ろすと言われ、連れて行ってもらう事にした。 しかし、2人で話していく内に趣味や彼に惹かれていって… この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。