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27.メイド達の企み
しおりを挟むディートが魔獣討伐へ出発し、辺境伯邸に残った私は、義祖父母と積極的に交流していた。
義祖父の過去の活躍した話や、二人の恋物語を聞かせてくれたり、穏やかな時間だ。
午前は義祖父母と話し、午後は邸内の仕事や雑用をするという流れも出来た。
そんなふうに過ごして三日目。
メイドのララと、辺境伯邸の敷地の見回りをしていた。
ララは、物静かな四姉妹の中でも一番会話は多い方だ。
今日は、敷地の中に長期間放置された小屋があるので、状況を確認し、修繕するか取り壊すかを判断する為に案内してもらっている。
ディートは、そういったことに興味がないらしく、私はララから聞いて初めて知った。
公爵邸を出て、歩くこと一時間程度。
鬱蒼と茂る草むらの向こうに、それは在った。
「奥様、こちらになります。」
「こんな所に…これは取り壊した方がいいかしらね。雨漏りしそうな屋根だし、古過ぎるわ…」
そんなことを考えていたら、後頭部に衝撃を感じ、そのまま意識が途絶えた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「いっ、痛っ…」
気付けば、後ろ手に縛られ、頭からの血と思われる血溜まりが出来て、髪の毛が湿っていた。
くすくすと笑い声が聞こえる方を見ると、ララを始め、ミナ・ナナ・サリの四姉妹が私を見下ろしていた。
「あら、奥様、いえ、すました貴族のお嬢様!お目覚めですか?」
ナナの顔が、悪意に満ちているように見える。
よくよく見れば、皆、同じ表情だ。
「どういうこと…?」
「奥様は、ここでずっと過ごしてください。あなたでは、領主様に似合いません。自ら辺境伯邸を出て行くなら、今すぐにでも解放しますけど?」
私は頭が混乱してしまい、言葉が出て来ない。
そんな様子にイライラしたのか、ララが声を荒げる。
「私達は領主様とずっと上手くやってきたの。何で今更、他所者のあなたが割り込んでくるのよ!私達四人は、領主様に使えることが喜びで、抜け駆けすることなく、仲良くやってきたわ!!」
それに同調して、ミナとサリも口を開く。
「領主様は、皆のものなの!ぽっと出のあなたが独占していいお方じゃないわ!」
「私達がっ!幼い頃から、どんなに領主様を大切に思ってきたか、あなたなんかに分からないわ!」
私は、未だ意識がはっきりしない中、女の嫉妬だけは理解出来た。
「私が、ディートの妻であることが許せないのね…でも、公爵家には帰らないわ。もう、ここは私の家だし、ディートの妻だもの。」
ディートと暮らす家は、ここだけ。
ディートに追い出されるなら仕方ないけど、こんな理由では出て行かない。
「随分物分かりの悪い人だこと!初めての食事会で、スープやデザートに細工した時に気付いて、さっさとここから出て行けば良かったのに。ベタベタと領主様に纏わり付いて、図々しく居座るからこうなるのよ!あんたは、このままここで野垂れ死ねばいいわ。奥様はこの辺境地がお気に召さなくて、実家に帰ったって言うから!どうせ皇帝陛下に押し付けられたんでしょう?領主様はあなたのことなんて、すぐに忘れるわ!!」
四姉妹は、腹立ち紛れに、私の背中や腰を足蹴りし、小屋を出て行った。
小屋の外では、何か打ち付ける音がしたので、簡単には外に出られないだろう。
それに、縛られた手も解けそうにない。
(蹴られたから腰も痛いし…参ったな…)
そして、また私の意識は途切れた。
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